大王級の長持形石棺を目の当たりに

2015 年7月号より
「5月例会(倶楽部の定例会合)」玉丘古墳・他見学
大王級の長持形石棺を目の当たりに
石野氏と共に加西の玉丘古墳を見学/5 月例会
好天に恵まれた5月11日午前11時過ぎ、加西市の玉丘史跡公園に考古楽倶楽部員 20 人が集
合した。石野名誉館長(倶楽部名誉顧問)にも今回の例会に特別に参加していただいた。玉丘古墳
と言えば、先の「播磨国風土記を読む会」で勉強した賀毛郡に登場する「根日女の墓」としてもよ
く知られる。このたび加西市教委によって 84 年ぶりに発掘調査が行われ、その石棺が見られると
いうことで、この例会が実現した。現地の説明は同市教の森、岸本両氏に説明していただいた。あ
わせて名高い石棺仏など近隣の石造物も見学、石野さ
んとともに石尽くしの 1 日となった。
玉丘古墳は前方後円墳で、兵庫県内で 5 番目の大き
さである。また今回見学することが出来た長持形石棺
は、その大きさや形の素晴らしさで国内屈指の長持形
石棺だそうで、まさに大王級の墓と言える。残念なが
ら盗掘によって石棺が破壊され、ほば完全な形で残っ
ているのは底石と短側石 1 枚のみ、蓋石は1/8、長
側石は1/3が残っている状況だった。しかし、蓋石
や長側石の縄掛突起の形や蓋石の表面文様など良くわかった。組み立て式のため、側石を立てる溝
や長側石と短側石の合わせ面の加工なども観察することが出来た。完全な形(復元図)は玉丘古墳
のパンフレットで知ることができるが、大王級の墓と言われるゆえんが良くわかる。
古くから盗掘を受け、人骨は残っていなかったそうだ。人骨があれば女性か男性かの区別はつく
そうだが、根日女の墓なのか、賀毛郡を治めていた首長の墓なのか現在では知るよしもない。
玉丘古墳を見学し、三々五々昼食をとった後は、同市埋蔵文化
財資料室に移動。玄関前での記念写真撮影の際、石野名誉館長が
よろけ、某女性部員に抱き付くハプニングがあった(「意図的だ」
との声あり)。資料室の見学と会議室で石野さんを囲み、懇談を行
った。部員からは被葬者像などについて盛んに質問が出た。石野
さんからは「みなさんで謎解きに挑まれ、冊子などにまとめられ
ては」と提言をいただいた。
懇談の後は、「歴史の謎を解く会」の柳谷さんの案内で加西市の代表的な石造物を 3 か所見学し
た。山伏峠の 2 体の石棺仏、薬師堂石造五輪塔、玉野石仏である。山伏峠石棺仏の一つは長持形石
棺の蓋、もう一つは家形石棺の蓋石を利用したものだが、2m 程度の高さがあり、立派な石棺仏だ
った。
加西市の歴史文化を一日堪能し、午後 4 時に解散。最後に、今回の例会を企画推進してくださっ
た「謎を解く会」の柳谷さんと、懇切丁寧に応対していただいた加西市教委のみなさんに厚く感謝
します。
(横江雅章 記・写真も)