2月ユーロ圏消費者物価(確報)

EU Indicators
欧州経済指標コメント:2月ユーロ圏消費者物価(確報)
発表日:2016年3月18日(金)
~デフレの亡霊~
第一生命経済研究所 経済調査部
主席エコノミスト 田中 理
03-5221-4527
・ 17日に発表された2月のユーロ圏の消費者物価の確報値は前年比▲0.2%と速報値から不変(四捨五入
前では速報:同▲0.19%→確報:同▲0.15%にやや上方修正)。エネルギー価格の下落率が再拡大し
たこと(1月:同▲5.4%→2月:同▲8.1%)を主因に、昨年9月以来のマイナス圏に転落した姿は
速報段階と同様ながら、コア物価がやや上方修正され(速報:同+0.74%→確報:同+0.83%)、原
油安による二次的波及が速報時点で考えられていたよりも若干小規模なものにとどまった。
・ とは言え、コア物価は昨年7月から今年2月までの同+0.9~+1.1%の推移から、2月は同+0.8%に
水準を切り下げた。コア物価の上昇率鈍化を主導したのは、パッケージ旅行(1月:同+1.7%→2
月:同▲2.4%)、航空運賃(同▲0.7%→同▲4.2%)で、その他費目はほぼ前月から不変。これらは
エネルギー価格の下落が波及しやすい費目であると同時に、サンプル要因や暦要因で月毎の振れが大
きいことで知られている。2月のコア物価の上昇率鈍化は一過性のものだった可能性もある。
・ 3月の追加緩和に合わせてECBは慎重な物価見通しに修正(2016年:同+0.1%、2017年:同+
1.3%、2018年:同+1.6%)。見通しの前提となる原油価格の想定も前回から約3割下方修正した。
その後の原油先物価格の底入れで、原油価格が想定対比やや上振れ。このまま原油市況が落ち着けば、
物価見通しのさらなる大幅下振れの可能性は遠のく。ECBは当面様子見を続けることが可能とみる。
■ ユ ー ロ 圏 :消 費 者 物 価 ( 前 年 比 )
(%)
■北海ブレント原油先物価格
エネルギー(右)
消費者物価(左)
コア消費者物価(左)
5
4
(ドル/b)
70
(%)
25
20
3
15
2
10
1
5
0
0
-1
-5
-2
-10
-3
60
50
40
-15
07
08
09
10
11
12
13
14
15
注:コア物価は食料・タバコ・アルコール・エネルギー除く
2015年9月ECBスタッフ見通し前提
2015年12月ECBスタッフ見通し前提
2016年3月ECBスタッフ見通し前提
3月17日から遡って2週間の平均値
30
16
2015
2016
2017
2018
出所:ECB、Thomson Reuters
出所:Eurostat
■ユーロ圏の消費者物価(%)
2015
2015
2016
1Q
2Q
3Q
4Q
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
消費者物価
(前期比)
-0.2
0.5
0.0
-0.1
0.0
-0.1
-0.1
0.1
-0.0
-0.2
-0.2
-0.1
(前年比)
-0.3
0.2
0.1
0.2
0.2
0.1
-0.1
0.1
0.1
0.2
0.3
-0.2
コア消費者物価 (前年比)
0.7
0.8
0.9
1.0
1.0
0.9
0.9
1.1
0.9
0.9
1.0
0.8
食料/アルコール/たばこ(前年比) 0.3
1.1
1.2
1.4
0.9
1.3
1.4
1.6
1.5
1.2
1.0
0.6
食料
(前年比)
-0.1
0.8
0.9
1.3
0.5
1.0
1.2
1.4
1.3
1.0
0.7
0.4
アルコール
(前年比)
0.8
0.8
0.7
0.7
0.8
0.8
0.6
0.5
0.9
0.8
1.0
1.0
たばこ
(前年比)
2.6
3.1
3.4
3.0
3.5
3.5
3.3
3.1
2.9
2.9
2.7
1.9
エネルギー
(前年比)
-7.7
-5.3
-7.2
-7.2
-5.6
-7.2
-8.9
-8.5
-7.3
-5.8
-5.4
-8.1
注:消費者物価の前期比は季節調整後。コア消費者物価は食料・アルコール・たばこ・エネルギーを除く。出所:Eurostat
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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