DPP-4阻害薬で重篤な関節痛の可能性,米FDAが安全性情報:医師の

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[2015年8月31日]
DPP-4阻害薬で重篤な関節痛の可能性,米FDAが安全性情報
米食品医薬品局(FDA)は8月28日,2型糖尿病治療薬ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害薬の使用と重篤
な関節痛に関する安全性情報を発出。複数の同クラス薬で同様の副作用報告が見つかったことから,同国内で承認さ
れている全てのDPP-4阻害薬の添付文書改訂などを決定した。
2006年から13年に33例の副作用報告,うち10例が入院
米国で承認されているDPP-4阻害薬はシタグリプチン,サキサグリプリン,リナグリプチン,アログリプチンとその
配合剤を合わせた11品目。
今回の安全性情報は,FDAの有害事象報告システム(FAERS)の解析を受けて発出された。同国内で初めてDPP-4阻
害薬が発売された2006年10月から13年12月までに重度の関節炎の発症例が33件報告されていた。被疑薬のうち最も
多かったのはシタグリプチン(28例),次いでサキサグリプチン(5例),リナグリプチン(2例),アログリプチン
(1例),ビルダグリプチン(2例,米国未承認)。全例に関節炎の発症による活動性の明らかな減少が見られ,10例
は関節痛による障害の治療目的で入院していた。22例がDPP-4阻害薬開始から1カ月以内に関節痛を発症していた
が,投与開始から数年たっての発症例も存在した。20例は薬剤の使用中止による症状の消失が見られたことから,関
節痛の原因である可能性が疑われた。
免疫システムへの影響については判断示さず
33例中8例で関節痛消失後に同じ薬剤または同クラスの異なる薬剤による再治療が試みられたが,関節炎が再発し,
再度中止により症状が寛解したことが報告されていた。33例中21例の関節炎に対し,ステロイド,非ステロイド抗炎
症薬(NSAID),メトトレキサートや免疫調整薬が使用されていた。
副作用症例の臨床経過を精査した結果,33例中10例に発熱や悪寒,関節部の腫脹といった免疫反応に関連した症状が
報告されていた。また,13例が全身性自己免疫疾患診断の参考とされる検査を受けており,8例は異常なし,残り
の5例で抗核抗体陽性(2例),赤血球沈降速度の亢進(1例),CRP陽性(1例),細胞質型抗核抗体陽性(1例)と
報告されていた。
文献検索の結果,同クラス薬使用に伴う関節炎に関する4報,7例の報告が見いだされた。うち2報は日本からの報告
だった。7例中2例はFAERSへの報告も行われており,6例で薬剤中止から6週間以内に症状が改善,1例は痛みによる
障害の程度が重く,入院加療を要したと報告されていた。
FDAは同国内で承認されている全てのDPP-4阻害薬の使用上の注意に関節炎のリスクを追加。医療従事者に対
し,DPP-4阻害薬使用例において重篤かつ持続性の関節痛が見られた場合,同薬が原因となっている可能性を踏ま
え,同クラス薬の中止を考慮することなどを求めている。
(坂口 恵)
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1508/1508092.html[2015/08/31 21:20:42]
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関連リンク
FDA Drug Safety Communication: FDA warns that DPP-4 inhibitors for type 2 diabetes may cause
severe joint pain(FDA公式サイト,8月28日のリリース)
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