未 実 現 損 益 が 存 在 す る 場 合 の 持 分 変 動 時 の

特集 改正企業結合会計基準適用でこうなる
ダウン・ストリームとアップ・ストリームの違いは?
成田 充孝
未 実 現 損 益が存 在 す る場
合の持分変動時の会計処理
会社に対して資産を販売する取引
いう点で異なる(図表参照)(連結会
持分と非支配株主持分に按分すると
て、消去された未実現損益を親会社
新日本有限責任監査法人
公認会計士
未実現損益が生じるケースとし
て、次の2つがある。
基準等の改正に伴い、連結税効果実
・ ア ッ プ・ ス ト リ ー ム … 子 会 社 が 親
これらの会計処理は、未実現損益
子会社B
はじめに
務指針等の改正が行われた。本稿で
会社
(または、他の連結会社)
に対し
・ ダ ウ ン・ ス ト リ ー ム … 親 会 社 が 子
は、子会社株式の追加取得や一部売
て資産を販売する取引
企業結合会計基準および連結会計
却により持分比率が変動した時点で
について解説する。なお、文中意見
を全額消去するという点で共通して
未実現損益が存在する場合の取扱い
に 係 る 部 分 は 筆 者 の 私 見 で あ る 旨、
いる。しかし、ダウン・ストリーム
利益の帰属
未実現損益
の場合、未実現損益を計上している
会 社 は 売 手 側 で あ る 親 会 社 と な り、
販売
販売
あらかじめ申し添える。
未実現損益の処理
消去された未実現損益は当該親会社
が全額負担するが、一方で、アップ・
全額消去
アップ・ストリーム
連結会社が他の連結会社に対して
ストリームの場合、未実現損益を計
上している会社は売手側である子会
該子会社に対する持分比率に応じ
親会社
販売
子会社A
子会社
非支配株主への
按分
売手側である親会社 ―
非支配株主持分
売手側である子会社
比率に応じて按分
ダウン・ストリーム
親会社
子会社に未実現損益が
計上されているため、子
会社の利益を調整する。
→非支配株主への按分
ダウン・ストリーム
アップ・ストリーム
(親→子) (子→親 または 子→子)
親 会 社に未 実
現 損 益が計 上
さ れて い る た
め、親会社の利
益を調整する。
販売した資産が、期末時点で企業集
団内部に残っている場合には、当該
社となり、消去された未実現損益は
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当該子会社が全額負担するため、当
資産に含まれる利益
(未実現損益)
を
項)
。
計基準
項)。
一部売却により連結の範囲から除外
有している子会社が、子会社株式の
連結会社間で販売された資産を保
⑵ 支配を喪失する一部売却
は行われない。
囲で変動するならば、追加的な処理
する持分比率が、支配が継続する範
い。このため、買手側の子会社に対
ので、非支配株主への按分は行わな
手側の親会社が負担することとなる
消 去 さ れ た 未 実 現 損 益 は 全 額、 売
⑴ 支配が継続する範囲での
持分比率の変動
(追加取得、
支配を喪失しない一部売却)
(設例1)
ダウン・ストリーム
と持分変動
償却)などがある。
よ り 実 現 す る 方 法( 固 定 資 産 の 減 価
社間で販売された資産の減価償却に
資 産 の 外 部 売 却 )の ほ か に、 連 結 会
よ り 実 現 す る 方 法( 棚 卸 資 産 や 固 定
産を企業集団外部に売却することに
として、連結会社間で販売された資
なお、未実現損益が実現する方法
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された場合、連結会社間で販売され
経理情報●2015.2.10
(No.1404)
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連結財務諸表上全額消去しなければ
ならない
(連結会計基準
(図表) ダウン・ストリームとアップ・ストリーム
Ⅱ
子会社株式「追加取得・一部売却」の会計実務