足拍子岳 2015/03/14-15 メンバー:落合(CL),松村(SL),荻原(ミソジ) 土樽を基点とした谷川連峰北部の山域で振り返るといつも目に留まる足拍子岳(1,408m) 周囲には魅力的な山が多いだけに谷川主脈に比べ標高でも知名度でも見劣りするこの山にはな かなか足が向かなかったが、ピラミダルな山容が目を引き雪が付くと冬は荒沢山~足拍子岳を結ぶ稜 線が立派な雪稜に変わる。 この山は何といっても土樽の裏山、アプローチの良さが抜群だ。 万太郎山からみた荒沢山~足拍子岳(2014 年 12 月下旬・撮影) 厳冬期は 1 泊2日のルートであるが、3 月は降雪のタイミングによって状況が大きく異なる。 当初は日帰りで抜ける計画だったが、数日前に強い寒気が入りまとまった降雪があったようで、2 日間の計画とした。 ◆3/14(土)晴れのち小雪 土樽駅 8:40 荒沢山(幕営)12:40 初日はあまりいい予報ではないのでゆっくり出発し荒沢山まで、しかし予報に反して朝は快晴で春 山のような陽気となる。登りはシャツ1枚・グローブ無しで登れる程の暑さとなりレイヤリングを誤って汗 だくとなりダレてしまったが、荒沢山山頂付近で快適な幕営とする。 時間もたっぷりあるので昼過ぎからテントでウダウダしながら酒を飲む、暑いのでビールが格別。 晴天は一転、午後は小雪が舞いあっという間にホワイトアウト。天気の周期が目まぐるしい。 日頃の睡眠不足解消で 19:00 には消灯、気温は高く3シーズン・シュラフでも快眠だった。 カドナミ尾根から足拍子岳に続く稜線を仰ぐ。 ◆3/15(日)ドピーカン 荒沢山 6:15 本峰直下 12:50 土樽駅 17:50 絶好の登山日和、ザ・デイ。クロガネの頭からサンライズ。他パーティーもいなく完全貸し切り状態。 朝一で身体のキレが悪いがいきなり切れ味鋭い雪稜に目が覚める、新雪でビッチリ繋がったリッジが 続くので最初からロープを伸ばす。 「さて今日はサクッと片付けてどこの温泉入って食事しようかね」なんて考えていたら、そんな安易な 考えは序盤から見事に覆される。 先の状況が見えないキノコ雪の乗越、クライムダウン、四つん這いトラバースと不確定要素満載の 登攀が続く。オマケに深雪と踏み抜きで足場が定まらず、湿雪でいつになくアイゼンに雪団子が付くし 気持ち悪い感じのリードが多く時間が掛かった。 両側スッパリ切れ落ちている箇所が多いが、東側(足拍子川)は特に急峻で落ちたら終わりなの で失敗は許されない。 荒沢山から足拍子岳の間は雪の付き方にもよるが快適と呼べる幕営適地は少ないので、途中で 泊まるならビバーグのつもりで臨んだほうがいい。(尾根は足拍子岳に進むにつれ広くなる) ラッセルは急登深雪で越えられない箇所は、スコップ・ラッセルで奮闘しながら土木作業で階段を作 りながら進む、こんなことを味わえるのが何とも越後らしい。期待以上の内容だ。 朝日を浴びて足拍子岳を目指す。 足拍子岳山頂直下は 荒沢山側からみると一見容易にみえるが、いざ取りついてみるとナカナカの 急斜面で固雪、大抵見上げるより登ってみる方が際どい事が多い。 山頂直下で左右に大きくクラックが開き、人一人が通過出来る幅しかないので登っても下りが悪く そんないつ崩れるか分からないキノコの山に乗ることは出来ず山頂は目前にしてパス。。 そのまま尾根伝いに南峰へ向かいたいところだが、シュルントとクラックで尾根上はウネウネしているの でクライム・ダウンして斜面をトラバース。視界が悪いと踏み抜きそうでイヤらしいが、この日は気温の急 上昇で雪崩そうで一人ずつ慎重に通過。 南峰からみたらよくもまああんな所に取りついていたなという雪の付き方をしていました。 南峰は地形図や麓から見上げるとたいしたピークには見えないが、森林限界上から見ると本峰には 劣るがナカナカ立派な姿である。 下りでもロープを数回出したが、キノコ雪のトラバース、ナイフリッジ、際どいクライム・ダウン、午後は 気温急上昇もあり雪もシャバシャバで踏み抜き地獄多数と最後まで飽きさせない。 南峰からみた足拍子岳・本峰(左)と、南峰のナイフリッジを馬乗りで越える。(右) 下りの南尾根でも踏み抜きが多く、雪は触ればすぐに水分となりグローブも足元もビチョビチョ祭りと なった。土樽駅に着いたのがちょうど日が暮れる直前、日の出から行動して日の入りまでと結局 12 時 間労働を強いられた。 晩冬の足拍子岳は積雪量、トレースの有無によって状況は大きく異なるので他人の記録は当てに しないほうがいいだろう。 呆気なく抜けれる時もあれば当然ガッツリハマる時もある。雪の付き方も降雪のタイミングや年によっ て違うと思うが、今回は期待以上?にお腹一杯にさせてもらいまいした。 (記録:落合)
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