2015公開講座第4回報告

東海学院大学・東海学院大学短期大学部公開講座 2015
「生きる」につなげる大学の知識 ―大切な命と心のスパイス―
第4回
10/14(水 ) 13:30~15:00
これも音 楽?
講師
報告
~近 ・現代音 楽の語 法 ~
菅 野道雄 (本 学教授 )
於: 図書館大 セミナ ー室
*◆◆◆◆*◆◆◆◆*◆◆◆◆*◆◆◆◆*◆◆◆◆*◆◆◆◆*◆◆◆◆*
第 4 回公開講座(受講者 22 名)は、本学教授で音楽科教育が専門の菅野道雄
先 生を 講 師として開催されました。今回は 、
「 2 つの大戦を経験した 20 世紀の音
楽家たち」の「音楽とは何か?という根源的な問いかけ」から生み出された作
品や音楽家を紹介されました。所謂、現代音楽と言っていいでしょう。シ ェー
ン ベル ク(SCHOENBERG,Arnold
1874-1951)とケージ(CAGE,John
1912-1992)
を 取 り 上 げて、近・現代音楽を読み解く語法を紹介されました。
まず、古典派、ロマン派、後期ロマン派、近・現代音楽といった、音楽の歴史
的 展 開 を 150 年周期で変化すると 大きく説明され、そうした音楽の歴史的展開
の 中 に 、 現代音楽を位置づけ てシェーンベル ク の説明に移っていきました。
シ ェ ー ンベルクは、それまでの調性を脱 し 無調性音楽 に入り 12 音技法を創始
し た と 紹 介 さ れ 、 お そ ら く は シ ェ ー ン ベ ル ク 音 楽 の 展 開 の 基 点 と な る 作 品 とし
て、①3 つ の小品
作品 11(1909)から第 1 曲、②5 つの小品
作品 23(1920-23)
か ら 5. ワ ルツ、③ 「 月に憑かれたピエロ 」作品 21(1912) から第 1 部
冒頭
部 分 を 、 音 楽 と 講 義 を 交 え な が ら 説 明 さ れ ま し た 。 最 後 に シ ェ ー ン ベ ル ク の戦
争体験やユダヤ人としての体験から作られた ④「ワルシャワの生き残り」作品
46(1947)を聞きシェーンベル クを終わ りました。
次 に シ ェーンベルク に教えを受けた(2 年間 )ジョン・ケージの紹介に 移って
い き ま し た 。 弟 子 入 り し た 当 初 、 シ ェ ー ン ベ ル ク の 「 音 楽 を 書 く に は 和 声 が必
要 」 で あ り 「 ケ ー ジ の 和 声 感 覚 の 欠 如 が 壁 に な る だ ろ う 」 と い う 言 葉 に 、 ケー
ジ は「壁に頭を打ち続けることに一生を捧げます 」と答えました。この会話は、
両 者 の 音 楽 に 対 す る 考 え 方 の 違 い を 象 徴 し て い ま す 。 ケ ー ジ の 作 品 を 、 ⑤ 「不
確 定 性」
(1959)、⑥ 4 分 33 秒(1952)、⑦プリペアド・ピアノのための「 ソナ タ
と イ ン タ ールード」
( 1948)から 第 5 ソナタ・第 6 ソナタ、⑧「居間の音楽 」
( 1940)
と 、 映 像 と 音 楽 と 講 義 を 交 え て 紹 介 さ れ ま し た 。 ケ ー ジ は 音 楽 を 「 音 」 に 還元
し 、 無 音 の中の「音」 として 「4 分 33 秒」 を、また映像が紹介された 「居間の
音 楽」は 身近な物による 「 音」を提示しました。
現 代 音 楽 と い う 高 度 で 難 解 な テ ー マ を 、 で き る 限 り わ か り 易 く 紹 介 さ れ まし
た が 、 聴 講 者 は 、 新 し い 音 楽 の 切 り 口 に 新 鮮 さ を 感 じ た 方 と 、 や は り 難 解 だと
感 じ た 方 があったように思われ ます。
【講座の様子】