くちきデイリーニュース 〒973-8411 2015 年 8 月 19 日(水) 福島県いわき市小島町2-9-15 株式会社朽木会計事務所 TEL 0246-27-3631 FAX 0246-26-4234 Email ソフト開発は著作物 ソフトの開発は著作物です。 パソコンやスマートフォンの普及で、ソ フトの開発を手掛ける企業は多いと思いま すが、1 から 10 まで全てを自社で開発する 企業は少なく必ず外注を使って開発を進め ているのが現状です。 そこで留意しなければならないのは、ソ フト開発は単なる請負業務ではなく、著作 権(厳密に言えば著作財産権)が絡むと言 うことです。 開発されたソフトは著作物です。よって 外注に依頼したソフトの著作権は、特に取 り決めがなければ、依頼者ではなく、依頼 された外注にあります。 請負契約では不十分です。 企画から仕様書までそろえて、その通り にソフトを作成するための請負契約を結ん だとしても、著作権は請け負って作成した 個人または法人にあります。ですから作成 した外注先が、そのソフトを他社にも転売 してしまったとしても文句は言えません。 そこでソフト開発の請負契約には必ず著 作権の譲渡を謳う必要があります。 [email protected] 海外でのソフト開発はもっと面倒 国内の外注先では著作権の譲渡に税金は 発生しませんが、海外の外注先との著作権 の譲渡となると原則 20%の源泉徴収義務 (国によっては租税条約で 15%から免税ま であるが、概ね 10%が多い)が、国内の依 頼した企業に発生します。 契約金額は別々に 請負契約に著作権の譲渡が盛り込まれて おりますと、請負金額に対する源泉徴収義 務が発生します。 そこで海外企業との契約は、ソフト開発 の請負契約金額と著作権の譲渡対価の額を 明確に区分した契約書の作成をお勧めしま す。 また契約書に源泉徴収義務が発生する旨 も記載しておかないと後で海外外注先との トラブルの原因となります。ご留意くださ い。 ソフト開発の 請負契約は細 心の注意を払 ってね!! 補足と解説 著作権は何の法的手続きを取らなくても作成者 =以下所得税法= の権利として発生します。 (国内源泉所得) 著作権には、著作人格権と著作財産権があります。 第 161 条 著作人格権は譲渡できませんが著作財産権は譲 七 国内において業務を行う者から受ける次 渡できます。本コラムでは触れておりませんが、 に掲げる使用料又は対価で当該業務に係る 著作人格権に関する部分も契約で詳細な取り決 もの めが必要です。特に海外へソフト開発を依頼する イ 工業所有権その他の技術に関する権利、 場合は、弁護士等に契約書の精査を依頼すること 特別の技術による生産方式若しくはこ をお勧めします。 れらに準ずるものの使用料又はその譲 渡による対価 著作権は通常作成者個人の権利とされておりま ロ す。唯一の例外として著作権法に以下の条文があ 著作権(出版権及び著作隣接権その他 これに準ずるものを含む。)の使用料又 .. はその譲渡による対価 ります。 ハ (職務上作成する著作物の著作者) 第 15 条 機械、装置その他政令で定める用具の 使用料 法人その他使用者(以下この条におい て「法人等」という。)の発意に基づき その法人等の業務に従事する者が職務 (源泉徴収義務) 第 212 条 非居住者に対し国内において第 161 上作成する著作物(プログラムの著作物 条第 1 号の 2 から第 12 号まで(国内 を除く。)で、その法人等が自己の著作 源泉所得)に掲げる国内源泉所得(そ の名義の下に公表するものの著作者は、 の非居住者が第百六十四条第一項第 その作成の時における契約、勤務規則そ 四号(国内に恒久的施設を有しない非 の他に別段の定めがない限り、その法人 居住者)に掲げる者である場合には第 等とする。 161 条第 1 号の 3 から第 12 号までに 掲げるものに限るものとし、政令で定 2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に めるものを除く。)の支払をする者又 従事する者が職務上作成するプログラムの著 は外国法人に対し~同様の国内源泉 作物の著作者は、その作成の時における契約、 所得(中略)~の支払をする者は、そ 勤務規則その他に別段の定めがない限り、その の支払の際、これらの国内源泉所得に 法人等とする。 ついて所得税を徴収し、その徴収の日 の属する月の翌月十日までに、これを ですから外注先に依頼したソフトのプログラム は、外注先の従業員が作成した場合には、その外 注先の法人に著作権があります。 留意点:上記は国内法であり外国の場合は更に条 約が優先します。 国に納付しなければならない。 (徴収税額) 第 213 条 前条第一項の規定により徴収すべき 所得税の額は、次の各号の区分に応じ 当該各号に定める金額とする。 一 前条第一項に規定する国内源泉 所得(次号及び第三号に掲げるもの を除く。) その金額(次に掲げる 国内源泉所得については、それぞれ 次に定める金額)に 100 分の 20 の 税率を乗じて計算した金額
© Copyright 2024 ExpyDoc