ノーベル物理学賞レクチャーでの閉会の辞 中西洋一郎 赤﨑先生,天野

ノーベル物理学賞レクチャーでの閉会の辞
中西洋一郎
赤﨑先生,天野先生,中村先生,改めましてノーベル物理学賞のご受賞誠におめでとうございま
す。
また本日は大変お忙しいところ,ノーベル物理学賞レクチャーでのご講演を賜り誠にありがとう
ございました。
また,本日ご参加いただきました皆様におかれましては,大変お忙しい中沢山の方々にご参加い
ただき,誠にありがとうございました。
本日のレクチャーにおきまして,赤﨑先生からは GaN 系 LED のご研究のプロセスを詳細にご紹
介いただきました。天野先生からはこれから目指しておられますご研究につきましてご紹介いた
だきました。まだ、お若いので,頼もしい限りでございます。最後に中村先生からは,高輝度青
色 LED 開発の経緯についてご紹介いただくと共に中村先生の成果についてのマスコミ,学会等
の報道について疑問をお話しされましたが,このことにつきましては、理解は出来ますが,ここ
ではこれ以上の言及は控えさせていただきたいと存じます。先ほど藤岡先生が言われましたよう
に,祝賀会の時にでもご議論いただければと存じます。
ところで,天野先生のご講演の中で,研究においては我慢が大切だというお話しがありました
が,ローカルなお話しで恐縮ですが,私が所属しております静岡大学電子工学研究所は浜松キャ
ンパスにございまして,従いまして私浜松市に住んでおります。一方,ご存知の方も多いかと思
いますが,天野先生は名古屋大学に進まれる前は小学校,中学校,高校時代を浜松市で過ごされ,
ご実家は現在も浜松市にございます。それでこの度のノーベル物理学賞のご受賞という栄誉に対
しまして,浜松市より名誉市民の称号を贈られ,静岡県からも名誉県民の称号を授与されました。
この栄誉につきましては私も含めまして浜松市民の誇りとするところでございます。ご受賞後は
浜松で沢山のご講演を依頼されたと伺っております。私はその中の一つのご講演を拝聴する機会
をいただきました。そのご講演の中で,ご苦労なさったことの表れとしまして,ある学会の天野
先生に関係したセッションの始まりの時,その会場には 4 名の人しかいなかったそうです。その
うちの 3 名は天野先生を含む関係者で,1 名が発表者だったそうです。これは先ほど中村先生が
ご紹介下さいましたように ZnSe 系の発光デバイスの人気の裏返しだったことによりました。ご
苦労があったのですね。赤﨑先生はもっと長い間ご苦労があったことと存じます。私どもの電子
工学研究所の教員の一人が、中村先生がフロリダ大学に滞在しておられたのと丁度同じ時に同じ
くフロリダ大学に客員研究員として滞在しておりました。その研究員によれば,中村先生はフロ
リダ大学で MOCVD による結晶成長のご研究を黙々となさっておられたとのことでございます。
帰国後は企業ですので,私どもには分からないいろいろなご苦労があったことと存じます。この
ように成果に至る過程では必ず苦労の過程も存在し,成果が大きければ大きいほど苦労の過程所
謂茨の道も長いと言うことだと存じます。私は今回の栄誉は物作りの原点を示すものではないか
と存じております。
三人の先生方におかれましては,ご健康に留意されまして,特に赤﨑先生には十分にご留意さ
れ,これからも益々ご活躍されまして,私どもをご指導下さいますようお願いいたします。また
本日ご参加具下さいました皆様におかれましても益々ご活躍下さいますと共ご健勝を祈念いたし
まして,本日のノーベル物理学賞レクチャーをお開きとさせていただきます。ありがとうござい
ました。
(2015 年 4 月 20 日)