長岡京市地下水利用適正化追跡調査報告書要約版

長岡京市地下水利用適正化追跡調査報告書要約版
1.長岡京市の地下水位
昭和 58 年度に実施した長岡京市の地下水利用適正化調査の結果、地下水位は
徐々に低下傾向を示し、水収支もマイナスと判断された。この結果に基づき、
昭和 59 年度から地下水位の低下状況を追跡する目的で継続的に調査を行って
いる。
長岡京市域の地下水位は、昭和 59 年度から阪急京都線以東において顕著な水
位低下が認められた。しかし、平成元年度以降の地下水位は横ばいないしは上
昇に転じた。
市域全体の地下水位は回復傾向を示し、昭和 59 年度の水位より回復している
ものと判断される。市域の静水位は西部・中央部にかけて高く、北東部・南東
部に向かってやや低く落ち込む傾向を示した。
地下水位の顕著な低下
●
13
昭和 59 年度平均水位(単位:T.P.m)
+10
0
+20
+30
+30
+20
13
●
+10
0
-10
-20
-30
-10
-40
-40
-30
-20
平成 25 年度平均水位(単位:TP.m)
図 1-1 長岡京市域性水位等高線図(東京湾平均海面:T.P.m 換算表示)
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揚水量は近年減少の傾向にある。中でも工業用水の揚水量は、平成元年度を
ピークに継続的に減少し、現在ではほぼ横ばい傾向にある。また、水道用水の
揚水量は、表流水が導入されたことにより、平成 12 年度に大幅に減少した。
市域西部を中心に揚水量が減少した以降、水位が上昇する傾向にあり、揚水
量の抑制によって地下水位が回復することを示唆している。さらに、市域西部
での揚水量減少及び揚水停止が、地下水流の下流に当たる市域東部の水位上昇
となって現れてきている。今後、市域西部では、緩やかな水位上昇が継続する
ものと予想される。
2.まとめ
揚水量の低下により水位が回復する傾向が見られるが、一部では地下水位の
回復はすぐに現れない場合があった。これは、近接する周辺井戸の揚水状態に
影響されること、水収支がプラスに転じても減少した地下水貯留量を回復させ
るには時間を要すること、或いは井戸機能が低下(劣化等)することにより正確な
地下水位が反映されなくなっていること等の要因が考察される。また、地下水
の上流側では、地下水位の上昇量が局所的に大きい箇所がみられた。この要因
としては、地下水貯留量が大きく、周辺地域の揚水による影響が少ない可能性
が指摘される。以上のことから、今後も地下水位観測を継続することに加え、
井戸の機能性及び水位観測の必要性を検討する必要がある。
最終結果としては、今後も市域全体の揚水量と地下水位の追跡調査を行い、
地下水環境の回復が十分確認されるまで、地下水動向の監視を続けていくこと
が望まれる。
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