総額 100 万ドルのヘルスケア・イノベーション・アワード アフリカの 4 つの

この資料は、英国グラクソ・スミスクラインplcとセーブ・ザ・チルドレンが2015年1月29日に発表したプレスリリースの日本語抄訳
であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈に
ついては英語が優先します。詳細はhttp://www.gsk.comおよびhttp://www.savethechildren.org.ukをご参照下さい。
<報道参考資料>
2015 年 2 月 18 日
グラクソ・スミスクライン株式会社
公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
2015 年 1 月 29 日 英国ロンドン発
総額 100 万ドルのヘルスケア・イノベーション・アワード
アフリカの 4 つの取り組みが受賞
5 歳未満の子どもの死亡率を低下させると認められたイノベーションに対し、
南アフリカ、ザンビア、ケニア、ウガンダの団体が、
GSK とセーブ・ザ・チルドレンから高い評価を受ける
年に 1 度実施されるグラクソ・スミスクライン plc (本社:英国、以下 GSK)と国際子ども支援 NGO
のセーブ・ザ・チルドレンによる 100 万ドルのヘルスケア・イノベーション・アワードにおいて、2 つの
革新的な取り組みが最高賞を受賞しました。それは、母乳バンク(HMB)のスタッフが、寄付され
た母乳を低温殺菌する際に役立つシンプルな携帯アプリと、5 歳未満の子どもの下痢を治療する
救命キットでした。受賞者であるクワズール・ナタール大学(UKZN)と ColaLife Zambia は、新生
児と乳幼児の死亡率の低下を促す革新的アプローチに対し、それぞれ 37 万ドルを授与されまし
た。
「FoneAstra」母乳低温殺菌ツールキットは、もともと、クワズール・ナタール大学が医療 NGO 団
体の PATH およびワシントン大学と共同開発したもので、携帯アプリを使用して低温殺菌の手順を
段階的に指導するものです。このアプリにより、寄付された母乳の記録・追跡が容易になり、より
よい品質管理・品質保証が可能になります。同アプリは電気のない環境で使用する場合にも対応
できます。未熟児または低出生体重児の最大 25%は、往々にして母親の病気や母乳の出が悪
いという理由から十分な母乳を摂取できていないため、下痢や肺炎、新生児敗血症など命を脅か
す疾患にかかりやすくなっています。
現在、FoneAstra システムは南アフリカの地方病院の 4 つの母乳バンクで使用されていますが、
クワズール・ナタール大学の小児科チームは保健省と協力してこのシステムの使用をクワズー
ル・ナタール州のさらに 5 カ所の地方病院へ拡大する予定です。同チームは、全国に母乳バンク
1
のネットワークを設立し、それを母乳育児の促進と地方病院のレベルを超えたサポートの拠点とし
て機能させ、コミュニティの新生児と弱い立場に置かれた乳幼児のニーズを満たすことを目指して
います。
クワズール・ナタール大学小児科の Anna Coutsoudis 教授は次のように述べています。「南アフ
リカにおいて母乳育児は、乳幼児死亡率を低下させるための主要戦略の 1 つとなっています。寄
付された母乳は、母親から必要な栄養を摂取できない未熟児にとって命綱です。FoneAstra シス
テムによって、寄付された母乳を安全に提供することや、包括的な母乳育児促進キャンペーンの
一環として貧困地域で小規模な母乳バンクを設立することも、一層容易になります。」
もう一方の最高賞受賞者である ColaLife Zambia は、ソフトドリンクの輸送に使用される既存の供
給・流通ネットワークを利用して、辺境の地の家庭に手頃な価格の下痢治療を提供する革新的な
「Kit Yamoyo(Kit of Life)」が評価されました。下痢は、世界全体の 5 歳未満の子どもの最大の死
因の 1 つです。下痢は経口補水塩(ORS)と亜鉛で容易に治療できますが、サハラ以南のアフリカ
でこのような治療を受けている子どもは 1 パーセント未満です。ColaLife によると、ザンビアでは、
多くの親たちが下痢の正しい治療法を知らないことや、適切な治療の選択肢がないことが分かり
ました。
ColaLife は母親たちの協力のもと、現地の状況に合わせた低コストの治療キットを設計しました。
各キットには 200ml の ORS 液が作れる小袋入りの ORS、亜鉛の錠剤 10 錠、石けんがすべて 1
つのパッケージに入っています。このパッケージは、水を正確に計量するのに使用できるほか、
ORS の混合・保管容器にもなり、ORS を飲ませる際のカップにもなります。キットの宣伝普及活動
は地方の医療センターを通じて地域ヘルスワーカーが行い、研修を受けた村の小売業者が販売
を行います。小売業者は最寄りの地区の街まで出向き、コカ・コーラや料理用油、塩、砂糖など日
用消費財を購入するのと同じようにキットを購入します。ザンビアでの 12 カ月間の治験終了時、
下痢だった子どものうち 45%が適切な治療を受けていました。Lives Saved Tool(LiST)の推算に
よると、330 キットが売れるたびに 1 人の命が救われるそうです。これまでのところ、5 万キットが販
売されています。
ColaLife 創立者であり、Kit Yamoyo 治験のプロジェクトマネジャーである Simon Berry は次のよ
うに述べています。「下痢の治療キットを辺境の村の売店にあるコカ・コーラのように“どこにでもあ
るもの”にしたいと思いました。ですから私たちは、この目標を達成するため、すでにある民間企業
の流通ネットワークを使用しています。この取り組みのポイントは、バリューチェーンの全員、つま
り製造業者、流通業者、卸売業者、小売業者の誰もが利益を得られるということです。そうするこ
とで、完全に持続可能な供給ネットワークができると同時に、親たちは子どもに必要な薬を自宅に
近い場所で、しかも手頃な価格で入手できるわけです。」
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GSK のアフリカ・途上国部門バイスプレジデントである Ramil Burden は次のように述べています。
「ヘルスケアにおけるイノベーションは、GSK とセーブ・ザ・チルドレンの提携の中心をなすもので
す。こうした優れた取り組みは、ほとんどの場合、少しの変更と低コストの技術によってコミュニテ
ィに大きく貢献しています。私たちが評価したいのはそのような取り組みなのです。このアワードに
よってコミュニティでこれらのプロジェクトが再現され、その規模が拡大され、より多くの幼い命が
確実に救われるのです。」
セ ー ブ ・ ザ ・ チ ル ド レ ン の プ ロ グ ラ ム ・ ポ リ シ ー ・ ク オ リ テ ィ ー ・ デ ィ レ ク タ ー で あ る Mavis
Owusu-Gyamfi は次のように述べています。「複雑な問題に対するもっとも良い解決策が、その問
題に影響を受けている人々やその問題に一番近いところにいる人々によって見出されることはよ
くあることです。残念ながら、そうした解決策の多くはあまり大きな規模で実施することができませ
ん。ですから、ヘルスケア・イノベーション・アワードにおいて子どもの命を救うために実施されたヘ
ルスケアの先駆的な解決策が評価されたことは、じつに素晴らしいことです。このアワードによる
評価と資金援助によって、受賞した取り組みは再現可能になり、世界でもっとも弱い立場に置か
れた子どもたちにより大きな影響を与えることができるようになります。」
ColaLife Zambia と、クワズール・ナタール大学の FoneAstra ツールキットは、途上国からの 100
を超える応募のなかから選ばれたアフリカの 4 つの取り組みのうちの 2 つでした。選考は、公衆衛
生や開発分野の専門家で構成される委員会により行われました。
100 万ドルのうちの一部の資金を受賞した、他の 2 つの団体は以下の通りです。

ナイロビ大学(ケニア)– バーコードつきのワクチン接種/母子健康カードを使用した、子ども
の死亡率を低下させるための取り組みに対し、12 万ドルを授与。このカードでワクチン接種
の記録ができ、母親たちは農業用物品を割引価格で買えるようにもなります。現在、ケニア
における 5 歳未満の子どもの死亡率は 1,000 人の生児出生あたり 71 人で、子どものワクチ
ン接種はこれらの子どもの死亡率を低下させるための重要な手段の 1 つとされています[1]。
ワクチン接種カードは、新生児を登録するたび、また、子どもや母親がワクチンを接種するた
びに自動的に更新されます。接種を受けると、母親はこのカードによって、大学の提携エージ
ェンシーが経営する農業用物品販売店で種や肥料などの製品を割引価格で買うことができ
ます。

Living Goods(ウガンダ)– 命を救う医療サービスを個別訪問で直接提供することにより辺
境の地の子どもの死亡率を低下させるという革新的アプローチを拡大させるための支援とし
て、12 万ドルを授与。コミュニティ・ヘルス・プロモーターと呼ばれる、スキルを持った小規模
起業家が、ウガンダの保健当局と密に連携しながら、フランチャイズ加盟者として業務を行っ
ています。ヘルス・プロモーターは、各家庭を戸別訪問して健康の改善方法を指導し、患者
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の診断や治療も行います。また、蚊帳、駆虫薬、マラリアや下痢の治療薬、栄養強化食品、
浄水フィルターなどの健康関連製品の販売もしています。
ヘルスケア・イノベーション・アワードは GSK とセーブ・ザ・チルドレンの壮大な提携の一部として
実施される主要イニシアチブであり、世界でもっとも弱い立場に置かれた子どもたち 100 万人の命
を救うための、企業・チャリティ団体の取り組みの新しいモデルを見出すことを目的としています。
<参考>
ヘルスケア・イノベーション・アワードについて
GSK とセーブ・ザ・チルドレンは 2013 年、途上国での子どもの死亡を減少させることに成功すると
認められた革新的な取り組みを特定し、表彰するため、100 万ドルのヘルスケア・イノベーション・
アワードを立ち上げました。難題への最善の解決策というものは、その難題をもっとも身近に感じ
て生活や仕事をしている人によって見出されることが多いことから、世界中の途上国の団体に、
自分たちが発見または実行した革新的なヘルスケアアプローチの取組事例をこのアワードに推薦
していただきました。推薦するための条件は、5 歳未満の子どもの生存率を具体的に改善したと
いう結果が出ていること、持続可能なものであること、再現性があることです。アワードは年に 1 回、
少なくとも 2017 年まで続行する予定です。
GSK とセーブ・ザ・チルドレンの提携について
GSK とセーブ・ザ・チルドレンは、それぞれが持つ専門知識、リソース、影響力を融合して、ともに
100 万人の子どもの命を救うべく、長期にわたる壮大な戦略的グローバルパートナーシップを結
びました。この新たな提携関係は壮大かつ革新的なものであり、従来のチャリティ団体・企業間の
資金調達モデル以上の意味をもつものです。この提携には、GSK の事業の多くの領域が関与す
ることになりますが、特に子どもたちの命を救ううえでは GSK の研究開発力が生かされるでしょう。
この提携関係を通じ、GSK とセーブ・ザ・チルドレンは以下のことに焦点を当てて取り組んでいき
ます。

小児死亡率と新生児死亡者数を減少させるための子ども向け医薬品の開発

手を差し伸べることが最も難しいコミュニティの小児死亡者数を減少させるためのワクチン
接種率の拡大

子どもの栄養不良改善を目的とした、子どものニーズに対応した新しい手ごろな価格の栄
養食品の研究

最貧コミュニティの医療従事者の教育に対する投資を増やし、医療従事者を広範囲に普及
できるようにして小児死亡率を低下させる
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グラクソ・スミスクラインは、研究に基盤を置き世界をリードする、医薬品およびヘルスケア企業で
あり、人々が心身ともに健康でより充実して長生きできるよう、生活の質の向上に全力を尽くすこ
とを企業使命としています。詳細は、www.gsk.com をご覧ください。
セーブ・ザ・チルドレンは、世界 120 カ国以上の国々で子どもたちの命を守り、権利を実現させ、能
力を最大限に発揮させるために活動しています。詳細は、www.savethechildren.org.uk をご覧く
ださい。
References
1. World Bank -
http://data.worldbank.org/indicator/SH.DYN.MORT
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