添 付 資 料

添 付 資 料
現状の公金支出に替える、外来魚抑制費用捻出案を、次のとおり、提案いたします。
1.提案の目的
外来魚による損害を被っていると主張するのは、長野県内でもごく限られた業種に
限られており、それに対して国庫金の支出ならびに県一般会計予算から抑制費用が拠
出されているのが現状である。
長野県は田中康夫県知事のもと、「脱ダム宣言」など、公金の無駄使いに対して先
進的な取り組みがなされている県であることから、この外来魚問題に対しても、国庫金
ならびに広く一般県民から徴収されている一般会計予算からではなく、特定の財源を
設け、それによる対策を行うのが、他の政策との矛盾を解消するためにも、また、一般
県民の負担を軽減するためにも有用である。
その特定財源として、県もしくは外来魚生息水域に隣接する市町村による外来魚を
釣ることを目的とする遊漁者に対する法定外目的税の導入を提案する。
この方法は、すでに山梨県の河口湖に隣接する河口湖町、勝山村、足和田村の1町
2村にて、平成13年7月より「遊漁税」として施行されており、平成13年7月か
ら平成14年3月までの9ヶ月間(1年間ではない)において、152,783名の
遊漁者から、一人1日200円で総額30,556,600円の税収がある。これを
財源に、河口湖町などでは、湖畔ゴミ収集処理・湖畔公衆トイレ関連費用・案内看板
設置・駐車場整備費用および賃借料・遊漁税事業職員人件費などが支出されており、
事実上、湖の管理に関連してはすべて賄うことができていると思われる。徴収について
は、遊漁券の発行者である河口湖漁業協同組合を特別徴収義務者としている。(別紙資
料①参照)
当然のことながら、河口湖はブラックバスの漁業権魚種認定を受けている、いわば
「公認釣り場」であることから、現在の長野県内の湖沼河川とまったく同一の状態に
あるわけではない。しかし、外来魚対策の財源確保の手段として、非常に参考になる事
例であると思われる。
この手法を取り入れることにより、現状の国庫金および県一般会計予算からの支出
を大きく上回る財源の確保が可能であり、同時に種々の副次的効果が得られるものと
推察する。詳細ならびに推算値は後述する。
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2.現状の確認
長野県内における過去4年間の、国庫金および県一般会計予算からの「外来魚対策
費」は、次の表のとおりである。(別紙資料②参照)
支出先すなわち使途については、公開されていないため明らかではない。
(単位:千円)
年度
国庫金
県一般会計
合計
平成11年度
516
516
1032
平成12年度
400
400
800
平成13年度
4772
610
5382
平成14年度
8247
610
8857
(県農政部園芸特産課水産係作成の事業チェックシートより。)
3.代替案の概要
県内の主な湖沼河川にて、遊漁を行う者から、一人につき1日300円の県税もし
くは市町村民税を徴収する。税の名称は「環境保護税」「釣り場環境保全協力金」等が
考えられる。次項に述べる県内外からの遊漁者の人数を鑑みると、年間約1947万
円の税収が得られることとなる。ただし、これは実地の調査に基づいたものではなく、
かなり控えめな人数推計によるものであり、実際にはさらに多くの税収を見込むこと
ができると思われる。各方面の協力による現実的なデータを見て、一人1日あたりの税
率を見直すことも必要であろう。
こうして得られる財源を、県および市町村関係部門、漁業協同組合、水域管理団体
に対し、水域の面積等を基準に配分し、水域の管理運営、外来魚の抑制もしくは積極利
用のための資金として利用する。水域の管理運営とは、水域周辺の環境保護ならびに魚
類の産卵場所等、水産資源の再生産に必要と思われる場所の回復に要する費用、ゴミ
収集処理・公衆トイレ関連費用・案内看板設置・駐車場整備費用および賃借料・関係
職員人件費などの支出をいう。外来魚の抑制とは、該当水域に生息する外来魚の調査
捕獲をいい、積極利用とは、他水域で捕獲された外来魚の移送、放流をいう。また、使途
のない外来魚の資源としての再利用研究も、この財源から行われることが望ましい。
さらには、遊漁者による湖沼河川周辺の環境保護活動や周辺地域との交流活動に対
する援助、遊漁者に外来魚問題やマナー向上を呼びかけることを目的とした「釣り場
環境リーダー」の育成などにもこの財源を活用することにより、漁業協同組合などの
河川湖沼管理者、周辺地域住民の方々、そして遊漁者相互間の意志の疎通と協力関係の
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確立にも寄与することが可能となる。このことの一例として、提案者の参加する FB’s
Society (エフビーズ・ソサエティ)では、長野市郊外の小山田池の管理者である
小山田溜池水利組合様が、遊漁者のマナーの低下を理由に釣り禁止の措置をとろうと
した問題に取り組んだ。同じ遊漁者へのマナー向上の呼びかけ、インターネットや仲
間内に声をかけての池周辺の清掃などを通じてご理解をいただくことができた。(別
紙資料③参照)
また昨年中、長野県内では他に、野尻湖、木崎湖、小渋ダム、白樺湖、千曲川の5
箇所において、ブラックバスフィッシングを楽しむ遊漁者が集まり、各水域の周辺の清
掃活動を行った。参加者はこのイベント運営のための会費1000円程度をそれぞれ
が負担しており、自分たちの楽しむ水域を守り、大切にするためには経済的負担も辞さ
ないという姿勢を見ることができる。また、事後のアンケートについても更なるマナー
向上が必要との声が多くあり、今後ますますの活動拡大が予想される。(別紙資料④参
照)
このような取り組みの機会をさらに多くの遊漁者に対して広く与えることも、今後
の内水面の有効利用と保護のためには非常に重要であると考える。
仮の計算であるとはいいながら、現状の「外来魚対策費」を大きく上回る原資を確
保することができ、これまで以上の対策を講じることが可能である。また、法定外目的
税の形を取ることで、使途も明確にでき、広く県民の理解を得るのにも有効であると思
われる。
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4.代替案の数的根拠
外来魚を釣ることを目的とする遊漁者が多い主な湖沼河川とその年間延べ人数
(単位:人)
名称
野尻湖
木崎湖
白樺湖
中綱湖
青木湖
千曲川
柳久保池
大蛇法師池
小山田池
美鈴湖
田溝池
奈川渡ダム
大町ダム
北御牧野池群
香坂ダム
小諸西北部野池群
発地野池
小渋ダム
箕輪ダム
松川ダム
深見の池
沢城湖
大沼湖
平成10年
(1998
年)
50183
5040
約4500
平成11年
(1999
年)
42115
6340
約5000
平成12年
(2000
年)
32820
6535
約5000
県内合計
平成13年
(2001
年)
31916
6980
推定約5000
約1500
約1500
約500
約500
約500
約500
約1500
約500
約1500
約1500
約500
約1500
約500
約500
約1500
約1500
約1500
約500
約1500
約1500
約64896
(過去5年間推移。野尻湖・木崎湖・白樺湖については漁業協同組合提供の資料による。
その他については湖は1500人、池・川は500人としての推計)
5.代替案の具体的実施方法
・ 漁業協同組合が管理する水域
山梨県河口湖の例に倣い、遊漁券発行の際に合わせて徴収する。漁業協同組合が
委託している遊漁券発券者も特別徴収義務者に含める。
・ 漁業協同組合が管理していない、または漁業協同組合が存在していない水域
地域住民のうち、徴収に特別の手段を持つ者(湖沼河川の近隣にて事業を営む者
等)および、参加の意志を表明した者を特別徴収義務者に任命し、その事業所もし
くは湖沼河川周辺を巡回することによって徴収する。
いずれの場合においても、専用の領収済通知書(領収証)に日付と徴収者を明示
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して引き換えに渡すこととし、その半券をもって徴収の証拠とする。
6.代替案の副次的効果
・ 遊漁者への啓蒙効果
自然を利用して楽しんでいるのだという意識、自分たちが楽しむことによる自
然への影響をより一層意識することにつながる。そのことにより、外来魚の拡散抑
制についての意識も向上することになると考えられる。
・ 県民の県政および県税制への関心の喚起
水域近くの住民を特別徴収義務者に任命することで、環境についての県政への
理解、関心を喚起することができる。また、目的税として使途を明確にすることで、
県政への信頼感も増すものと思われる。
【参考資料】
①−1 山梨県河口湖町ホームページより、「遊漁税」に関する部分
①−2 山梨県河口湖周辺の、「遊漁税」による施策の写真
② 県農政部園芸特産課水産係作成の事業チェックシート
③ 小山田池レポート(FB’s Society ホームページより)
④ 53PickUp!レポート(FB’s Society ホームページより)
以 上
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