社団 法人 おいしさの科学研究所 Institute of OISHISA Science 梨のおいしさ評価の事例 品種、産地の異なる梨 4 種類について、味、香り、テクスチャーを評価しました。 ■ 味覚試験 果実のおいしさの主要因である酸味、甘味が大きく異なることが分かります。また、甘味・旨味が強い 幸水、甘味の強い新高、すっきりした味の二十世紀、酸味・渋味をもつ豊水という特徴があります。 酸味 5 4 3 2 1 0 -1 -2 -3 -4 -5 甘味 旨味コク 苦味雑味 二十世紀 幸水 豊水 新高 渋味刺激 渋味 旨味 苦味/酸性 塩味 酸味-甘味 甘味 強い 渋味刺激-旨味 旨味 強い 5 4 新高 幸水 3 2 3 幸水 1 2 二十世紀 0 1 -3 二十世紀 0 -5 -4 -3 -2 -1 0 -1 -2 -1 新高 0 2 3 4 5 豊水 酸味 強い -3 2 渋味刺激 強い -1 1 -2 -2 1 豊水 3 社団 法人 おいしさの科学研究所 Institute of OISHISA Science ■ 匂い試験 匂いの強さは、豊水が最も強く、二十世紀、幸水、新高はほぼ同じでしたが、 匂いの質では、新高は他の3種に比べ、甘い香りが弱い傾向がありました。 固有値表 3 甘い香り 強い (エステル系) 2 固有値 寄与率 (%) 累積寄与率 (%) 第1主成分 3.85 48.18 48.18 第2主成分 1.89 23.61 71.79 第3主成分 0.82 10.27 82.06 二十世紀 第2主成分 1 豊水 幸水 0 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 -1 新高 -2 -3 第1主成分 匂い全体 強い ■ テクスチャー試験 幸水、豊水がやわらかく、新高が最もかたく、かたさの差は1.5倍程度ありました。 (4kgf に相当) 噛み始めのかたさが異なる 40 荷重( N) 30 かたさの違い 二十世紀 幸水 豊水 新高 20 10 0 0 20 40 60 80 100 歪率( %) 噛み始め 噛み終わり 今回分析した梨の特徴は、以下のように評価できます。 二十世紀:すっきりとした味に甘い香り、かため 幸水:甘い味と香りを持ち、柔らかい 豊水:複雑な味のバランスがあり、香りが強く、柔らかい 新高:甘味があるが、香りが少なく、かため このように味・香り・テクスチャーの評価を行うことにより、さまざまな食品の 特徴づけを行うことができます。 また、同じ食品における、保存による品 質劣化や製造ロット間のばらつきなども評価することができます。
© Copyright 2024 ExpyDoc