大谷崩れの森林再生、地域教育

4-⑥ 大谷崩れの森林再生、地域教育
(株)白鳥建設 代表取締役
白鳥勝平
〒421-2301 静岡県静岡市葵区梅ヶ島 692-1
電話 054-246-7767
政令都市静岡市を南北に流れ駿河湾に注ぐ安倍川の源流部にある大規模崩壊地の大谷崩れは、1707
年の宝永地震によってできたとされ、1858 年に富山県でおきた鳶山崩れ、1911 年に長野県でおきた
稗田山崩れとともに日本三大崩れのひとつとされています。
崩壊の規模は、標高約 2000mの大谷嶺からいっきに 800m崩れ、その土砂量は 1 億 2 千万立方メート
ル(東京ドーム 100 杯分)に達するといわれています。
大規模崩壊によって作られた平坦地は、宅地や農地のほか様々なかたちで活用されていますが、現在
でも小規模な崩壊は継続していますので落石等には充分な警戒が必要です。
今でも絶え間なく進んでいる崩壊浸食の防止対策のために長期にわたって砂防事業が行われています。
又、崩れを防ぐ対策として植林作業を進めなければなりませんが、泥質岩の地質であることや、冬期の
凍結融解などの影響もあり山地の緑が回復しにくいのが現状です。
そんな中で、私の所属する静岡西ロータリークラブでは、年間恒例事業のひとつとして会員や大学生・
高校生のボランティアの協力、又、小学生の親子を中心に植林事業を 20 年以上継続して行っています。
2011 年に発生した東日本大震災によって、私たちは自然と共存しながら生きていかなければならない
という厳しい現実をつきつけられました。
記憶に新しい 2014 年 8 月には、1 時間に 100 ミリを超える豪雨による広島での土砂災害では、74 名の
尊い命と財産が失われました。この重大災害は、人事とは思えないつらいものがありました。
大谷崩れでの植林事業の目的は、山地の復元もさることながら、傷ついた自然をそのままに放置するの
ではなく、適切な方法で修復しながら守っていく努力を怠ると大きなしっぺがえしがくることを学びとっ
てもらいたいと思っています。
これからを託する子供達に、実際の崩れの現状を見て植林作業を体験してもらうことで、環境を守る大
切さを学習してもらうという意味も込めてこれからも継続していきたいと思っています。
又、この植林事業に関しては、いち個人でできることではありません。行政や地域の協力はもとより、
最も大切なことは、大谷崩れの位置する梅ケ島に会社の拠点をおく私としては、崩れとともに生きる地域
の方々とぶれない価値観を共有しながら、地道な作業を長きにわたって継続してやっていかなければ自然
は守れないことを、そして災害を防ぐことはできないことを伝えていく事が大切だと思っています。
そして、ひいては人命や財産を守ることにつながる重要なことであると考えています。
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