My Opinion 千代田システムテクノロジーズ 経営統合でシナジー効果、今後はエネルギーマネジメントシステムに力 電気・計装とITの融合で新境地を開く 千代田システムテクノロジーズ 取締役社長 中曽根 裕幸氏 2012年10月に、千代田計装とITエンジニアリングの両社の統合に より設立された千代田システムテクノロジーズ(CST)。設立から2 年4カ月を経て、社内の融合も進み、徐々にシナジー効果も生まれ ている。この時期に、前社長の髙山巧氏からバトンを受け継いだ新 社長の中曽根裕幸氏。一気に15歳若返ったが、今後は若い力がCST を牽引する。千代田グループにとっても、CST、千代田工商、千 代田テクノエースの3子会社の強化は重要課題。この中でCSTの 新社長に就任したばかりの中曽根氏に意気込みを語ってもらった。 中曽根 裕幸(なかそね ひろゆき)氏 昭 和 3 8 年 4 月 1 4 日 生 ま れ 、 長 野 県 出 身。昭和61年、早稲田大学理工学部電 ではありますが、融合が進んでいます。 経営統合でシナジー効果 こうした中で今後は、シナジーが出 せるビジネスの部分を増やして行きた いと考えています。 気工学科卒業とともに千代田化工建設 入社。電気部、電気システム設計セン ター、電気制御設計本部を経て、平成24 年千代田システムテクノロジーズ取締役 常務執行役員エネルギー・社会インフラ ENN:2012年10月に、千代田計装 ENN:どのような部分でシナジー とITエンジニアリングが統合され が発揮されていますか。 て、千代田システムテクノロジーズ(C 中曽根:例えば、スマートメンテナ ST)となって2年4カ月が経ちまし ンスというサービスメニューがあるの た。昨年10月に社長に就任されて、ど ですが、旧千代田計装は石油・石油化 のような印象をお持ちですか。 学のお客様の工場を対象に、改造工事 ンテナンスを得意としていますから、 中曽根:当社には、①旧千代田計装 など、お客様にメンテナンス工事を提 最適制御という形でソリューションを をベースにした制御・計装・電気のE 供してきました。この機能に、ITシ 提供できます。 PCと工事、②旧ITエンジニアリン ステムを活かした、新しいサービスを もう一つ、エネルギーセキュリティ グをベースにしたITソリューショ 提供することで、スマートメンテナン の面から考えても、再生可能エネル ン、③2012年10月の統合時に発足し スのサービスが始まりました。 ギーは必要です。これまで、石油・ガ た、エネルギー社会インフラ事業本 ENN:エネルギー・社会インフラ スが重要なエネルギー源としての役割 部、の3本の柱があります。 事業では、再生可能エネルギーに取り組 を担ってきましたが、長期的に考えれ 統合された当初は、異なる歴史・文 まれています。ただ、再生エネルギー関 ば、エネルギーセキュリティの面で再 化を持ち、違う仕事をやってきた2社が 連設備は、技術的に単純なものが多く、 生可能性エネルギーの役割は大きい。 一緒に仕事をやることに対して、難しさ エンジニアリング企業にとって、相応し また環境配慮の点では、CO 2 排出削 を感じていました。しかし最近になっ い仕事と思えないのですが。 減のためにも必要です。 て、お互いに一緒にやっていくことの意 中曽根:再生可能エネルギーの設備 ENN:社会の仕組み全体で考えれ 義を理解し合うようになりました。例え を建設で見るか、価値として捉えるか ば、再生可能エネルギーが重要で、そ ば、同じお客様には、連携しながらアプ で見方が変わってきます。CSTであ の一端を担うということですね。 ローチするようになりました。少しずつ れば、制御システム、電気、IT、メ 中曽根:私自身、電気のエンジニア 46 ENN 2015.2.10 事業本部長、平成26年4月取締役副社長 執行役員エネルギー・社会インフラ事業 本部長、平成26年10月取締役社長。 千代田システムテクノロジーズ 取締役社長 中曽根裕幸氏に聞く なのですが、技術的にも、再生可能エネ バルスタンダードに ルギーで発電された電気を系統にどのよ なっている、パッ うに取り込むべきかを重視しています。 ケージを扱っていま ENN:2016年度から電力システム す。その中には、P 改革が始まります。電力会社のみなら MS(プロジェクト・ ず、いろいろな企業による発電が可能 マネジメント・シス になりますが、ここにもビジネスチャ テム)の「Prima ンスが期待できます。 vera」や医薬品 中曽根:CSTは大きな会社ではあ 向けの製造実行管理 りませんが、多様化の中でいろいろな システム(MES)で 切り口でビジネスが考えられます。当 ある「PAS-X」 社はEPCでも実績を積んできました があります。「Pr し、ITでも様々なソリューションが imavera」に 提供できます。さらにメンテナンスに ついては、千代田グ 対応できれば、お客様と長期間に渡る ループでも導入し お付き合いができます。 て、プロジェクトの 工程・リソース管 FEMSに注力 理に使っています。 実際に使用した経験 ENN:千代田グループでは、CS スにも活かします。 T、千代田工商、千代田テクノエース ENN:「Primavera」 えられるようなやり方をベースに支援 の3つの子会社の強化を重視されてい は、PMSの世界的なデファクトスタ したいと思います。 ます。その中で、CSTはどのような ンダードになっていると思います。 CSTはEPCにも対応できます 役割を担われるのですか。 中曽根:大型プロジェクトや組織で し、現場や設備も分かっているうえに、 中曽根:千代田本社は大型プロジェ 動かれているお客様にとっては、強力 ITソリューションも提供できます。例 クトが中心になりますが、CSTの特 なツールになると思います。 えば、製薬業界でMESを導入される場 徴は、スピードと機動力を持っている ENN:世界的なデファクトスタン 合、エネルギーの最適化を提案して、新 ことです。中小案件にも対応していま ダードである「Primavera」 たな需要に結び付けることも考えたい。 すが、EPC、O&Mといった、様々 や「PAS-X」を日本市場でいかに ENN:千代田グループとしては、 なビジネスモデルで対応しています。 売るかも課題ですね。 石油・石油化学関連の顧客に入ってい お客様の声を聞いて、ビジネスを修正 中曽根:CSTの市場は7~8割が日 きやすいのではないでしょうか。 しながら展開できる点が強みです。 本国内です。その中で、日本企業にとっ 中曽根:もちろん、石油・石油化学 ENN:親会社である千代田本社 て、グローバル化は大命題になっていま 業界は、最も重要なお客様です。千代田 や、千代田工商や千代田テクノエース す。こうした状況に置かれた日本のお客 本社にとっても重要なお客様ですが、本 といった、他のグループ企業との関係 様の中で、グローバルスタンダードなシ 社がEPCでつながり、その後のお客様 はいかがですか。 ステムの価値を認められるところがあれ との関係は子会社である、われわれも受 中曽根:千代田グループとしては、 ば、積極的にシステムを提供したい。 け継いできました。このため、お客様の その時々で最適なフォーメーションで ENN:今後新規事業として、どの そばにいることができる。これは今後も 対応するのが基本方針です。案件の内 ような分野に力を入れていかれますか。 大事にしていきます。 容によって、必要に応じて、柔軟に取 中曽根:CSTになり、エネルギー ENN:海外での事業展開について り組んでいます。 分野を一つの柱にしようとしていま はいかがですか。 ENN:CST自体を強くするとい す。そこで、エネルギーマネジメント 中曽根:海外市場については、千代 う点では、最近、千代田本社と同様に、 システムに力を入れようと考えていま 田本社の案件とCST独自の海外展開 SAP社のERPを導入されました。 す。現在のところ、導入支援コンサル があります。CSTとして、シンガ 中曽根:システムを導入したからと ティングにとどまっていますが、今 ポール、マレーシアなどに拠点があり いって、すぐにビジネスに結び付くも 後、本格的に展開します。 ますから、これら拠点も活用したいと のではありません。しかし、当社に 工場を対象に、エネルギー最適利用 思います。 は、ITソリューション分野でグロー やその管理を提供し、グローバルで考 ENN:ありがとうございました。 2015.2.10 ENN 47 In Depth は、CSTのビジネ
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