My Opinion j5Japan 取締役社長 大坂 宏氏に聞く プラント運転管理ソフト「j5」が急成長 全世界 500 サイトで導入、今年第2四半期にはメジャーバージョンアップ マン島に本社を持ち、開発拠点を南アフリカのケープタウンに持 つ「j5」。同社が開発したプラント運転管理システム「j5」が急 成長している。この5年間の平均売上増加率は35%、この2年間では 60%という高率で売上高が伸びている。昨年には、日本にも日本法人 j5Japanが設立され、その後に開催されたワークショップには、120名 が参加した。わが国でもすでに、オイル&ガス会社が導入しており、 今後も市場を拡大する気配だ。j5Japanの取締役社長である大坂宏氏 に、好調の要因について語ってもらった。 ENN:海外で開発された、パッ ケージソフトウェアが日本で売れた例 はあまりありませんが、「j5」は順調 にユーザ数を増やしています。「j5」 はどのようなソフトウェアなのでしょ うか。 大坂:海外のパッケージですから、た しかに日本企業が導入することに難し さはあります。しかし、当社の開発者 はプラントの運転管理については、30 年近い経験があり、この豊富な経験を ベースにして開発されたのが、「j5」 です。最初にリリースされたのが1985 年ですから、商品としては、すでに成 熟しています。主に、プロセス産業の 運転管理に使われています。 技術的な特徴は、拡張可能な「j5」 のフレームワーク上に様々な運転管理 とHSEのアプリケーションを統合で きることです。このため、シンプルで 使い勝手が良い点が受け入れられてき たと思います。 このシステムを基盤として、海外案 件の経験をリファインして、ソフトに 反映させています。こうしてお客様と プラクティスを作って、ユーザに提供 していることが、高評価をいただいて いる理由です。 ENN:世界では、どのようなプラ ントで稼働しているのですか。 大坂:全世界で異なる約10の産業分 野、約500サイトで稼働していますが、 主にオイル&ガスと、発電プラント向 けに多くの納入実績があります。地域 的に導入業種が異なりますが、北米で はオイル&ガスと電力の両方、豪州 では電力に使われた実績が多くありま す。最近では、プラントの新設が多い 中東のオイル&ガスのプラント向けが 増加しています。 プラントの新設、改造・増強のいず れにも対応でき、この点も導入実績が 増加して一因です。 全世界で約500サイトで稼働 ENN:「j5」を日本に導入しよ うと考えた理由は何ですか。 大坂:私 自 身 、 石 油 会 社 、 エ ン ジ ニアリング企業、ソフトのプログラ マ ー を 経 験 し て きました。つまり、 プラントのエンドユーザ、コントラク ター、ソフトウェ ア ベ ン ダ ー と し て 勤務した経験があります。その経験を 持った目で、「j5」のパッケージを 見た時に、ピンときました。当時、日 本には、この種のオペレーション管理 ソフトは、個別の小さなパッケージが ある程度で、インテグレートされたも のは無かった。そこで、手応えを感じ ました。 手応えを感じたので、南アフリカの ケープタウンにある「j5」のオフィ スを訪ねたのですが、小さな会社です が、エンジニアは高学歴で技術オリエ 46 ENN 2015.3.25 j5Japan 取締役社長 大坂 宏氏に聞く 第2四半期に 「j5 2015」をリリース ENN:今後の事業展開について は、いかがですか。 大坂:グローバルでは、これまでに 対応ができていない、中国、ヨーロッ パやアジア・大洋州諸国へのアプロー チを強化します。このために、グロー バル・パートナーである、シュナイ ダーエレクトリック、IBM、アクセ ンチュアなどとの関係を強化し、プラ ントの新設および改造・増強の双方に 対応します。 ENN:製品のバージョンアップに ついては、いかがですか。 大坂:今年、第2四半期には、メ ジャーバージョンアップを行う「j5 2015」をリリースします。 バージョンアップにより、エンド ユーザが容易に組み込み可能なソフト ウェア構成が可能になり、ユーザイン タフェースの大幅な改良により使いや すくなります。同時に、運転・保全・ HSEに関する新たなパッケージを製 品として投入します。 また、グローバルスタンダードに準 拠した製品開発にも引き続き、取り組 みます。 ENN:日本国内での事業展開につ いてはいかがですか。 大坂:国内では引き続き、グローバ ル・パートナーや複数のシステムイン テグレーターと市場の掘り起こしを行 います。 これまでオイル&ガスを中心に実績 を上げてきましたが、今後は下流の石 油化学・化学分野やディスクリート系 にも市場を拡大し、従来の運転管理中 心から、保全、HSE分野にも展開し ます。 j5Japanとしては、日本を取り巻くア ジア諸国にアプローチします。 ENN:ソリューションの面ではい かがですか。 大坂:基本的には、業務プロセス、 ワークフロー、業務の可視化、目標管 理といったマネジメントシステムのシ ステム化を進めます。 大坂 宏(おおさか ひろし)氏 1956年、秋田県生まれ。1979年新潟大学 工学部化学工学科を卒業。石油精製エンジ ンニア、産業用リアルタイムシステム構築 システムエンジニアを経て、1992年にプロ セスエンジニアリングとシステムエンジニ アリングを融合させたエンジニアリング・ サービスを提供する大坂システム計画を創 業。2014年には、j5の日本代理店j5Japan を設立。 運転管理では、モバイル環境での巡 回点検やSOP(標準運転要領)の分野 に注力します。 保全分野では、CMMS(コンピュー タを活用したメンテナンス管理システ ム)との連携、作業許可などの拡充を図 ります。 HSEとしては、事故管理、ヒヤリ ハット管理、変更管理、コンプライア ンス管理などが対象となります。 ENN:昨年、j5Japanを設立し、滑 り出し好調ですが、当面の事業目標は いかがですか。 大坂:目標は、サイト数の増加とと もに、アプリケーション数の増加で、 お客様にバリューを提供し、売上高の 50%増です。 ENN:ありがとうございました。 2015.3.25 ENN 47 In Depth ンテッドな会社という印象を持ちまし た。そこで会社を視察させていただい て、「商品コンセプトは日本市場に合 う」という印象を持ちました。 ENN:グローバルな販売ネットワー クは、どのようになっていますか。 大坂:この2年間で、「j5イン ターナショナル」「j5ノースアメ リカ」「j5オーストラリア」「j5 シンガポール」「j5EMEA(ヨー ロッパ・ミドルイースト・アフリカ)」 「j5Japan」の6拠点を設立し、グロー バルに対応しています。 ENN:急成長されていますね。 大坂:過去5年間の平均で年率 35%、2年間では年率60%売上が増加 しています。 ENN:日本国内での実績はいかが ですか。 大坂:2010年からの5年間で、天然 ガス、石油精製を中心に約50サイトで 導入されました。約5,000人の方が生産 現場で使用されています。 ENN:導入のポイントは、どのよ うなところにありますか。 大坂:ユーザの業務フローが適正化さ れていないと、導入しても意味があり ませんから、業務フロー改善をユーザ の方々にお願いします。そのうえで、 お客様に、作業指示、運転ログ、申し 送り帳といった運転管理のアプリケー ションの導入をお奨めしています。 最近では、モバイルを使った巡回点 検やHSEソリューションの導入実績 も増えています。 ENN:j5Japanは昨年、設立されて いますが、これまでの活動実績はいか がですか。 大坂:昨年9月に第一回目のワーク ショップを開催し、120名が参加され、 「j5」の関心は相当に高いという印 象を持ちました。 ENN:日本での販売体制はどのよ うになっていますか。 大坂:現在、ダイセック、千代田シ ステムテクノロジーズ、日揮情報シス テム、三菱化学エンジニアリングの4 社にシステムインテグレーターをお願 いしていますが、システムインテグ レーターは今後も増やしていきたいと 考えています。
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