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薬疹
2015/08/18
薬疹とは
体内に摂取された薬剤あるいは
その代謝産物によって、皮膚や粘膜
に発疹を来すこと。
薬疹はあらゆる皮膚病変の形態を
とりうる。
皮膚病変を見たら常に必ず薬疹
を考慮する必要がある。
治療
原因薬剤の中止
重症例(TEN、アナフィラキシーショックなど):
ステロイド大量投与、アドレナリン投与
ステロイド外用、糜爛に対しては熱傷に準ずる。
播種状紅斑丘疹型
原因薬剤:カルバマゼピン、アモキシシリン、
アンピシリンなど
紫斑型
原因薬剤:プレドニゾロン、インターフェロン、
ジゴキシン、カルバマゼピン、ダカルバジンなど
紫斑型
原因薬剤:プレドニゾロン、インターフェロン、
ジゴキシン、カルバマゼピン、ダカルバジンなど
固定薬疹型
原因薬剤:アセトアミノフェン、テトラサイクリンなど
固定薬疹
原因薬剤の摂取後、数分〜数時間で出現。
皮膚粘膜移行部(口囲、口唇、外陰など)や
四肢に好発。
類円形で境界明瞭な直径1~10cm大の
紅色〜紫紅色斑を生じ、搔痒や刺激感を伴う。
水疱や糜爛を伴うこともある。
色素沈着を残して治癒する。
原因薬剤の再度摂取による再発の度に、
色素沈着は著明になる。
SJS(Stevens-Jhonson症候群)型
原因薬剤:カルバマゼピン、アロプリノール、
フェニトイン、アセトアミノフェンなど
SJS(Stevens-Jhonson症候群)型
眼瞼周囲や口腔・口囲、外陰部など
粘膜および皮膚粘膜移行部に発赤や糜爛を生じる。
SJS(Stevens-Jhonson症候群)
全身症状:
高熱、全身倦怠感、関節痛、筋肉痛、胸痛、
胃腸障害など、疼痛あり。
肝・腎機能障害を伴うこともあり。
眼症状:
結膜炎、角結膜上皮欠損、偽膜形成、
角膜混濁など。治癒後も失明など後遺症を
残すこともある。
SJSの皮膚病理組織所見
表皮の壊死性変化を認めれば確定診断となる。
SJS 治療と予後
治療:
ステロイド全身投与
(内服、静脈内投与、ステロイドパルス療法)
原因薬剤の中止・変更
皮膚の糜爛に対しては熱傷治療に準ずる。
予後:
TENへの移行、肺炎や腎不全などで死亡する
こともある。
角膜混濁・結膜癒着が後遺症で残る(重症例)
TEN(中毒性表皮壊死症)型
原因薬剤:フェノバルビタール、アセトアミノ
フェン、カルバマゼピン、アロプリノールなど
TENの病型・症状
① SJS進展型:
境界不明瞭で小型の暗紅色・浮腫性の多形紅斑
が全身に生じ、次第に多発し融合、拡大する。
糜爛の周囲には暗紅褐色斑が認められ、口腔粘膜
の高度な糜爛、咽頭痛、全身症状もみられる。
② 瀰漫性紅斑進展型:
原因薬剤の摂取後2~3日中に発熱を伴う
全身の潮紅が急激に生じ、表皮が剥離する。
TEN 治療
ステロイド全身投与
(高容量ステロイド内服・ステロイドパルス療法)
原因薬剤の中止・変更
(同一薬剤の再投与は絶対禁忌)
皮膚の糜爛に対しては熱傷治療に準ずる。
血漿交換療法、免疫グロブリン大量静注療法が
施行される場合もあり。
DIHS(薬剤過敏症症候群)型
原因薬剤:サラゾスルファピリジン、アロプリノール、
ミノサイクリン、カルバマゼピン、フェニトインなど
DIHS(薬剤過敏症症候群)
薬剤に対するアレルギー反応と体内で潜伏感
染していたウイルスの再活性化が複雑に関与し
て生じる。
特定の薬剤を内服した2~6週後に発熱 (38℃
以上) と急速に拡大する紅斑を生じる。
顔面の浮腫、口囲の紅色丘疹、膿疱、小水疱、
鱗屑は特徴的な所見である。
肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球・好酸球
増多、異型リンパ球出現などの所見がある。
AGEP(急性汎発性発疹性膿疱症)型
原因薬剤:アモキシシリン、エリスロマイシン、ミノサ
イクリン、イトラコナゾール、アロプリノールなど
AGEP(急性汎発性発疹性膿疱症)
臨床所見:
原因薬剤の摂取後数日以内に、急速に紅斑を
伴う無菌性小膿疱が全身に多発し、さらに融合
して膿海を形成する。膿疱は容易に破れて糜爛
を形成し、滲出液による低蛋白血症を来すこと
もある。発熱や全身倦怠感、悪寒戦慄を伴う。
治療:
原因薬剤の中止
ステロイド外用・内服
HFS(手足症候群)型
原因薬剤:カぺシタビン、スニチニブ、ドキソルビシン、
フルオロウラシル、シダラビンなど抗悪性腫瘍薬
HFS(手足症候群)
臨床所見:
手掌足底に生じる有痛性の腫脹、紅斑、落屑
重症例では潰瘍、爪の脱落もあり
治療:
抗悪性腫瘍薬の休薬・減量、
NSAIDs内服、冷却
薬疹はあらゆる皮膚病変の形態を
とりうる。
原因薬剤の中止
皮膚病変を見たら常に必ず薬疹
を考慮する必要がある。