平成27年度の事業方針 当協会の事業目的である「食品包装」に係る活動は、日本の食を支える食品産業にと って非常に重要な包装資材・包装技術を提供する包装産業との両者のコラボであり、食 品包装産業は奥の深い大きな産業分野になっている。また、非常に学際的・業際的な分 野でもあり、我々の日常生活にとって欠かすことのできない重要なものになっている。 しかし、 「食品包装」は、これほど重要な技術分野であるにもかかわらず、日本の大 学や国の研究機関では「ほとんど教えていない、研究・開発をしていない」という実に 不思議な分野でもある。このようなことからも、当協会の行っている若い人達のための 「人材育成講座」や「セミナー」 「研究会」 「勉強会」などの日頃の活動は非常に重要で あると考えている。 平成 25 年度より本格的に始まったアベノミクスにより経済に活力が出てきており、 日本経済はデフレを脱却しつつあるが、平成 26 年 4 月に導入された消費税により一時 的に経済が停滞したものの、日銀の量的緩和により円安が進み、大企業を中心に業績が 改善しつつあり、株価も 15 年ぶりの高値になった。また、円安により輸入品が高くな ることにより国内製品の価格競争力が出てきており、原油価格の大幅な下落により貿易 赤字が緩和され、経済の好循環に移行しつつあるという見方が出てきている。 このような中で、毎年 500~800 万トンもの大量の包装食品が廃棄されている「流通 ロス」を見直し、食料資源を有効に利用する風潮が作られつつあり、一方で大震災・大 津波・大噴火などの大規模災害に備えて包装食品をロングライフ化し、それを備蓄した りする動きもでて来ている。 包装資材は、これまでも食の ESL 化、ロングライフ化に大きな役割を果たしており、 包装資材の機能面からもう一度見直し、包装資材・技術が適正に用いられるようにする 努力が必要である。そのためにも、生活者に包装資材・技術の重要な役割を広く理解し て貰うとともに、賞味期限・消費期限の意味も良く理解して貰い、包装食品を大切に利 用して貰うよう努める必要がある。 円安の効果として、外国人の観光客が大挙して日本を訪れるようになり、またオリン ピックを5年後に控えており、これから日本の国際化が急速に進むと考えられる。食品 表示法も大きく変わることから、これらも含めて国際化対応が急務になっている。包装 の表示も日本語単独の表記から、英語も入れた表記へと変えていく必要があるが、アセ アン諸国の先進事例を見習いながら包装表示の国際化に努める広報をしていきたい。 日本の食品産業は、国内の人口減少や少子・高齢化等により、今後大きな発展は望め ない状況になっているが、東アジア諸国では、人口が増え、経済が大きく発展している。 農林水産省は、主に東アジアにおける食品産業の振興に力を入れる政策をとっているの で、この政策を食品包装の面でも有効に活用するよう、当協会でも取り組んでいく必要 がある。これまで日本で培ってきた食品・包装関係の技術や文化を、東アジアの食品産 業の発展に活かし、新興国の経済と生活に貢献することができればと考えている。 東アジアの国々では、日本のきめ細かな包装資材や包装システムはまだ浸透しておら ず、包装技術はまだ発展途上である。日本の進んだ包装技術は、東京パックなどで触れ ながらも、優れたバリアー包材等を入手することがなかなか難しい地域が多い。 アセアン経済共同体が発足する今年をスタートにして、今後、東アジアのニーズにも 積極的に目を向け、現地で包装資材等を生産し、現地に貢献する形での発展を考える時 代になっている。このような視点でも、食品包装技術を見直し、これを広め、今後アジ アの国々とともに発展していくことを期待したい。 そこで、食品包装の基礎的な研究成果から食品産業・包装産業に役立つ「技術の芽」 を見つけ出し、それらの技術の芽を現場で役立つ技術として発展させる研究・開発が必 要になる。そのためには、食品包装学の立場に立って、多くの基礎研究の中から包装に 役立つ「技術の芽」を見つけ出す作業が必要になる。1990 年代に食品包装学を構築し ようとした際に、充分な予算がなくこの作業を断念した経緯があるが、このことに対し ても当協会の活動として少しずつ取り組んで行ければと考えている。そして、その「技 術の芽」を大きな実用技術として育てるには、「産学官の連携」が必要不可であり、こ の面でも努力していきたいと考えている。 日本では、この重要な「食品包装」の技術を高校・大学で組織的に教えているところ がないので、食品包装については、私達の協会で実施している教育・普及プログラムの 果たす役割は大きいものがある。大部分の受講生が「食品包装」の新人であり、人材育 成講習会の際の自己紹介でお互いに知り合い、交流会で名刺を交換しあい、大変盛り上 がっている。これから機会を見つけ、テキストを不断に見直し、初心者に判りやすい内 容にして広く活用して貰うような取組みが必要である。 当協会は、開かれた組織としてコンプライアンスを高め、会員の利益は勿論のこと、 食品業界・包装業界、ひいては社会全体への貢献を一歩進めたいと考え、以下のような 諸点での活動を活発に進めていくことにしたい。 1.組織のコンプライアンス(法令遵守、社会規範や組織倫理の順守、情報公開等)を 高め、協会活動を充実させる。 2.会員を増強し、会の事業を有効に利用して貰い、併せて財政的な基盤を強化する。 3.昨年度リニューアルしたホームページを充分に活用し、コンテンツを豊かにすると ともに、協会役員と会員相互の連携を強化し、会員サービスを一層充実させる。 4.定款に定めた各事業の内容を充実させ、公益的な事業にも積極的に取り組み、業界 サービスを一層充実させる。特に、人材育成研修を強化・充実させるとともに、教育 の一環として、新たに「食品包装検定システム」を構築する。 5.書籍の出版等により食品包装技術の普及を図り、生活者理解を高め、協会の知名度 を高めるとともに、併せて財政体質を強化する。 6.食品・包装企業等の経験豊富な OB 諸氏に積極的に参加してもらうことにより、出 版、コンサル等の収益事業を行い、併せて財務体質の強化を図る。 7.食品・包装関係の諸団体との連携を強化し、相互にメリットのある姿を構築する。 8.アセアンおよび中台韓等の諸外国との交流を促進する。 関係者の皆様方の一層のご支援・ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。 平成27年度 事業計画予定表 会報発行 平成27年 4月 No146号 ホームページ掲載 事業・行事内容 備考 4月度研究例会(4/14) 第一回定例理事会(4/23) 平成27年度通常総会(4/28) 記念公演(4/28) 6月 7月 6月度研究例会(6/10) No147号 ホームページ掲載 食品包装技術セミナー・前期(7/10) 8月 8月度勉強会(8/27) 9月 9月度研究例会(9/15) 10月 No148号 ホームページ掲載 11月 第一回 食品包装人材育成研修[基礎] (10/14)、(10/21)、(10/28) 食品包装技術セミナー・後期(11/12) 見学会(11/) 第二回 食品包装人材育成研修[中級] (12/3)、(12/10)、(12/16) 12月 第二回定例理事会(12/) 平成28年 1月 No149号 ホームページ掲載 包装界合同賀詞交歓会(1/) 1月度研究例会(1/28) 2月 第49回食品包装シンポジウム(2/25) 3月 3月度勉強会(3/) * 食品包装検定システム 11月開催目標とする。(新企画員会にて検討) *新研修
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