大腿骨頸部骨折患者様における屋外歩行能力決定因 子の検討

大腿骨頸部骨折患者様における屋外歩行能力決定因
子の検討
手稲渓仁会病院 リハビリテーション部 成田悟志 青山誠
【目的】2008 年 5 月より大腿骨頸部骨折地域連携パスが開始とな
り、連携医療機関退院後の屋外移動能力を把握することが可能とな
った。今回は、屋外移動能力に与える因子について検討する。
【対象と方法】平成 19 年 5 月から平成 21 年 6 月までの、最終生
活場所(自宅等)へ退院し、連携医療機関からデータが返却された 68
名を対象とした。方法は、退院時屋外移動能力を 5 つ (5:独歩 4:
T-cane 歩行 3:歩行器・バギー歩行 2:車椅子自立 1:寝たきり
※介助・監視を要した場合は 1 ランク下げることにした。) に段階
分けし、関連性のあると思われる項目{①年齢②患側/健側筋力(中
殿筋・大腿四頭筋)③HDS-R④患側/健側関節可動域(股関節屈曲・
外転)}を検討した。統計処理は、Spearman の順位相関にて退院
時屋外移動能力と各項目①∼④との相関を求めた。有意水準は 1%
未満とした。
【結果】退院時屋外移動能力は、独歩 4 名、T-cane 歩行 20 名、
バギー歩行 19 名、車椅子自立 5 名、寝たきり 20 名であった。
患側大腿四頭筋(r=0.58)、健側大腿四頭筋(r=0.56)、患側中殿筋
(r=0.59)、健側中殿筋(r=0.56)、HDS-R(r=0.56)とは、各々中等
度の相関が得られた。全て P<0.01 であった。年齢、関節可動
域には相関は認められなかった。
【まとめ】屋外移動能力を左右する因子としては、筋力、認知
機能に相関を認めた。今後絶対値を算出できる評価方法を検討
し、より詳細に歩行能力阻害因子を追及していく必要がある。