特集 心臓リハビリテーション Ⅱ-5 患者教育 〜リスク管理の実際〜 外来通院心臓リハビリテーション中の患者教育 開始 リハビリ看護目標:疾病の再発予防に向けて行動変容(セルフケア確立)を支援する 終了 1ヵ月 2ヵ月 3ヵ月 目標設定 行動変容に向け 情報収集と目標設定 中間評価 到達度に 合わせて患者教育 目標評価 3ヵ月評価と維持期に 向けた目標設定 入院から外来への情報提供 りです。1 回の心リハは,問診,準備体操,有酸 心臓や血管の病気は一度発病するとほとんどの ており,当院では 1 クラス約 20 人の集団プログ 場合,一生涯にわたり治療を継続し疾病管理して ラムを 4 クラス実施しています。そのため,問診 初回看護面談 中間看護面談 終了時看護面談 いく必要があります。そのため,患者および家族 や運動中の短時間に指導と評価のフィードバック が疾病とうまく付き合いながら健康な生活が送れ が求められ,看護師間で目標,計画,課題などに るよう,自己管理の方法を獲得するよう継続支援 ついてスムーズに情報共有できるよう,記録の方 目標達成に向けた 中間評価と患者教育 ・ 到達度に応じて生活指導 ・ 計画内容の修正 を行います。心リハ担当看護師は,入院中の記録 法を工夫して進めています。 から,指導内容,患者や家族の反応,指導側の評 疾患の理解 価,継続課題などを情報収集し,初回心リハ時の 患者が自分の病名やどのような病気なのか,また 看護面談に向けて準備を整えます。また,病棟か 病院で受けた治療の名前などを正確に理解している 3ヵ月プログラム評価と 維持期への目標設定 ・ セルフケア到達度評価 ・ 疾病の理解 ・ モニタリング状況 ・ 緊急時対応 ・ 定期受診 ・ 内服管理 ・ 禁煙 ・ 食事管理/節酒 ・ 運動習慣 ら外来へスムーズに引き継げるよう,申し送り方 かを確認します。看護面談の際に,患者や家族に 法や記録などを工夫し,重複した情報の収集を避 質問するなどして緊急時に医療機関先で正確に答え 情報収集 ⇒患者とともに目標設定, 計画立案 ・ 体調確認 ・ セルフケア状況 ・ 疾病の理解 ・ モニタリング状況 ・ 緊急時対応 ・ 定期受診 ・ 内服管理 ・ 禁煙 ・ 食事管理/節酒 ・ 運動習慣 けられるようにします。 られるかを確認し,必要に応じて指導します。 素運動,整理体操の約 1 時間のプログラムになっ リハビリ参加時は,問診や運動中に生活指導を行う! 体調を確認する 心臓リハビリテーションプログラム 中の生活指導 図3 外来心臓リハビリテーションプログラムにおける看護支援 生活のなかで患者が自分の体調を確認できるよ う,入院中に生活日誌を用いてセルフモニタリン グ( メモ 2)を始めとした自己管理の方法を指導 心リハ開始時の面談で,患者および家族から生 活習慣,冠危険因子,家族構成,キーパーソン, メモ 1 通院手段と所要時間,職業,社会的支援状況,日 常生活,心リハ参加の動機などを確認します。入 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 院前後の生活について聞くことで,患者の生活イ メージをとらえることや患者の思いに寄り添うこ とができ,患者個々に合わせた計画を立案するこ とが可能となります。また,プログラム期間中の 3 ヵ月目標と行動計画についても患者と設定し, 心リハ参加時に随時指導するとともに,開始 1 ヵ 患者に生活指導するときの進め方 ~上手な自己管理のための 11 ポイント~ 自分の病気を知る 体の調子を確認する 体の調子が悪化したときの症状と対処を覚える 定期的に受診する 内服薬を管理する 禁煙をする 食生活を見直す 日常生活の過ごし方を知る 安全な運動範囲を知り,運動する ストレスを溜めない 月後に看護面談を実施し評価します。評価の際は, 目標達成している行動は患者にフィードバックし て称賛し,課題については具体的な問題解決方法 を指導するなど自己効力感を高められるように働 きかけます(メモ 1)。 看護支援の流れについては 62 ・ 2015/11 Vol.5 No.11 図3 に示したとお 図4 セルフモニタリングの実際 します( メモ 2 セルフモニタリングとは 患者自身が健康や疾病を適切に管理するために,自覚症状 や血圧,脈拍,体重,運動などを測定・記録・観察し行動 をコントロールすること。 )。初回心リハ時にセルフモニタリ 内服薬後,入浴から 1 時間以上経過した就寝前に ングの実施と方法,モニタリング状況について確 測定しているかを確認します。脈拍は血圧計によ 認し,必要時指導を追加します。 る測定だけでなく,検脈が正しく実施可能かを確 具体的には,血圧・脈拍は 1 日 2 回の測定を勧 認し,動悸などを自覚した場合は脈拍の確認をす め,朝は起床後 1 時間以内かつ排尿後,食事や内 るよう指導します。体重は食事量や排泄物により 服薬前に早朝血圧を測定しているか,晩は夕食と 変化するため,1 日 1 回同じ条件(時刻や服装な 図4 2015/11 Vol.5 No.11 ・ 63
© Copyright 2024 ExpyDoc