ニュースリリ​​ースPDF版はこちら

News Release
日本語版ツイッター@JLLNews_JP
2015 年 11 月 9 日
報道各位
JLL
(ジョーンズ ラング ラサール株式会社)
東京オフィス賃料、14 四半期連続で上昇
大阪の空室率、5 四半期連続で低下
ジャパン プロパティ ダイジェスト 2015 年第 3 四半期(7‐9 月)
総合不動産サービス大手の JLL(本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 河西利信)は、日本の
オフィス、リテール、ロジスティクス、ホテル市場における市況、需給や空室状況、賃料・価格動向及
び 12 ヵ月予測をまとめた調査レポート「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD)2015 年第 3 四半期」
を発表しました。セクター別の概要は、以下の通りです。
東京の A グレードオフィス市場
 賃料
14 四半期連続の上昇
月額坪当たり 34,688 円(共益費込)となり、前期比 0.7 %、前年比 4.3%の上昇となり、14 四半期連続
の上昇となったものの、上昇ペースは 3 四半期ぶりに減速した。
 空室率
安定的に推移
空室率は 3.3%となり、前期比横ばい、前年同期比 0.6 ポイントの低下となった。2015 年の新規供給の
予約契約率が 60%程度にとどまり引き続き空室率の押し上げ要因となった一方で、既存物件の空室
率は引き続き 2%台で推移した。
 ネット・アブゾープション※1
アジア・パシフィック地域等グローバル経済の不確実性が重しとなり需要が弱含みで推移した結果、
ネット・アブゾープションはマイナスに転じた。
 供給
第 3 四半期に新規供給はみられなかった。
第 3 四半期に発表された常盤橋プロジェクトでは、東京駅前に所在する 3.1 ヘクタール超の敷地に
おける大規模複合開発となり、2027 年までに 4 棟総延床面積 680 千㎡が市場に供給される。オフィ
スビルは A 棟が 2021 年に 140 千㎡の規模で竣工、B 棟は 2027 年に 490 千㎡の規模で竣工予定。
 価格・投資利回り
上昇ペースが減速
価格は前期比 0.2%、前年同期比 15.2%の上昇となり、賃料と同様に価格も上昇ペースが減速した。
一方で、投資市場は活発となった。当四半期の取引事例は、森ヒルズリートによる六本木ヒルズ森タ
ワーの追加取得(区分所有権 全体の 1.4%程度)があり、価格は 120 億円、NOI 利回り 3.8%で取得し
た。
 12 ヵ月見通し
2015 年は賃料、価格とも緩やかに上昇
賃貸市場は、健全な需要が新規供給を吸収し、空室率は低位かつ安定的に推移する見通しである
ため、賃料は緩やかに上昇する見通し。投資市場は、投資家による関心の高まりを反映して投資利
回りは一層低下し、これと賃料上昇とがあいまって、価格は上昇する見通し。
※1
当期中に新たに賃貸された床面積から当期中に退去した床面積を控除したネットの床面積の増減
大阪の A グレードオフィス市場
 賃料
5 四半期連続上昇
月額坪当たり 16,125 円(共益費込)。前期比 0.6%、前年同期比 3.2%の上昇となり、上昇ペースは 2
四半期ぶりに加速。5 四半期連続の上昇となった。
 空室率
5 四半期連続で低下
空室率は 5.5%、前期比 0.4 ポイント、前年同期比 3.1 ポイントの低下となり、5 四半期連続の低下と
なった。
 ネット・アブゾープション
ネット・アブゾープションは 7.5 千㎡となり、前期比減速となったものの、年初から第 3 四半期までの総
計は 95 千㎡となり、前年同期比大幅増となった。
 供給
第 3 四半期に新規供給はみられなかった。
 価格・投資利回り
価格は 8 四半期連続の上昇
価格は前期比 6.4%、前年同期比 25.4%の上昇となり、8 四半期連続の上昇となった。投資家の関心
を反映して投資利回りが一層低下し、価格は高い上昇率を維持した。
 12 ヵ月見通し
賃料上昇と投資利回りの低下を反映して価格は上昇
賃貸市場は、景気回復が続けば需要は堅調に推移する見通しである一方、今後 12 ヵ月に新規供
給は予定されていないため、引き続き低下圧力が空室率に加わり、賃料は緩やかに上昇する見通し。
投資市場では、価格は賃料上昇と投資利回りの低下を反映して引き続き上昇する見通し。
JLL リサーチ事業部長の赤城威志は、次のように述べています。
「東京と大阪の不動産市場は引き続き上昇局面にあり、賃料と価格は上昇が続いています。ただし、
市場によって濃淡がみられ、東京では、世界経済減速への警戒感が強まり賃料の上昇幅が縮小し
た一方で、大阪では、景気回復を背景に賃料の上昇幅が拡大しました。投資市場も、賃料上昇期待、
低金利環境等を背景に活況を呈しています。今後も上昇局面が続くことが予想されます。」
東京のリテール(商業施設)市場
 賃料
緩やかに上昇
月額坪当たり 74,737 円(共益費込)。前期比 1.1%、前年同期比 8.1%の上昇となった。上昇基調は 8
四半期連続で、上昇ペースは前期並みとなった。銀座の 1 階賃料が牽引した。
 価格・投資利回り
価格は 8 四半期連続で上昇
価格は前期比 3.3%、前年同期比 20.6%の上昇となった。上昇ペースは減速し、投資利回りの低下が
鈍化したことを反映した。
 12 ヵ月見通し
賃料、価格とも緩やかに上昇
賃貸市場は、堅調な需要に加えて、今後の新規供給の契約率も好調であることから、需給は引き続
きひっ迫し、賃料は上昇基調を維持する見通し。投資市場では、価格は主に賃料上昇を反映して上
昇基調を維持し、投資利回りは安定的に推移する見通し。
東京のロジスティクス(物流)市場
 賃料
11 四半期連続上昇
月額坪当たり 4,197 円(共益費込)。前期比 0.3%、前年同期比 5.9%の上昇となった。上昇は 11 四半
期連続。低位な空室率を背景に、引き続き市場は貸主優位へ傾斜した。
 価格・投資利回り
価格は 12 四半期連続上昇
価格は前期比 2.5%、前年同期比 16.9%の上昇となり、12 四半期連続の上昇となった。主に投資利回
りの低下を反映している。投資市場では引き続き REIT による取得が活発となった。
 ネット・アブゾープション
第 3 四半期に 68 千㎡となり、前期比で減少したものの、年初から第 3 四半期までの総計は 2014 年
通年の水準を上回り、好調となった。
 12 ヵ月見通し
賃料、価格ともに緩やかに上昇
2016 年は大量供給が予定されていることから、空室率は上昇するが、需要は堅調に推移する見通し。
従って、賃料は上昇基調を維持するもののペースは鈍化する見通し。投資市場では、価格は投資
利回りの低下を背景に引き続き緩やかに上昇する見通し。
東京のホテル市場
 需要
訪日外国人客と国内アクティブシニア層が旺盛な宿泊需要を創出
訪日外客数は、2015 年初来 8 月までの累計で前年同期比 49.1%増の 1,290 万人となった。なかでも、
前年比で 117.0%の増加となった中国からの訪日客による影響が大きい。2014 年 9 月に数次ビザの
発行要件が緩和されたインドネシア、フィリピン、ベトナムといったアジア諸国からの訪日客数も堅調
に増加している。 アクティブシニア層による国内宿泊需要への貢献も大きい。1940 年代に出生した
団塊の世代が定年を迎え、資金余力の大きいアクティブシニア層はレジャー旅行客としての存在感
を増している。
 供給
第 3 四半期の 4 ツ星、5 ツ星ホテルの新規供給はなし
2015 年は 5 ツ星ホテルの開業は無いが、2016 年に 2 軒の 5 ツ星ホテルの開業が予定されている。星
のや東京が客室数 84 室の高級旅館として丸の内エリアに、またザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町
が客室数 250 室のホテルを旧グランドプリンス赤坂跡地にそれぞれ開業を予定している。 4 ツ星ホテ
ルの開業としては、二子玉川エクセルホテル東急が客室数 109 室の小規模ホテルとして 2015 年 7
月に開業した。2015 年はその他の 4 ツ星ホテルの開業は予定されていない。
 運営パフォーマンス
好調な運営パフォーマンスを維持
東京の 5 ツ星ホテルの運営パフォーマンスは、1 日当り販売可能客室数当り宿泊売上(RevPAR)が
2015 年初来 8 月までの累計で前年比 16.6%の増加と昨年からの成長が持続している。客室稼働率と
平均客室単価(ADR)の双方が上昇したことよる。また、年移動平均で RevPAR は 2012 年第 2 四半期
以来、継続して成長軌道にある。
 売買
東京の 4 ツ星及び 5 ツ星ホテルの取引はなし
2015 年第 3 四半期は東京の 4 ツ星及び 5 ツ星ホテルの取引は見られなかった。同期間において、
星野リゾートが、広島、福岡、金沢、富山の 4 都市の ANA クラウンプラザが含まれる ANA クラウンプラ
ザポートフォリオを約 400 億円で取得した。
 12 ヵ月見通し
短期的には ADR 上昇が RevPAR の継続成長を牽引
宿泊需要は、国内客及び海外客の双方において引き続き成長が見込まれる。国内客は、全国的な
景況の改善、海外客は、過去最高水準にある訪日外客数が需要を後押しすると見られる。稼働率は
既に高水準にあり、今後は ADR 上昇が RevPAR 上昇を牽引する形となる。 マーケット環境の改善に
より、投資家のホテル投資意欲は高い一方で、ホテルオーナーがキャッシュフローの向上を享受す
るためホテルを当面は保有する意思が強く、売り物件が限定され、ホテル取引件数が伸びにくい状
態が続くことが予測される。
JLL ホテルズ&ホスピタリティ事業部マネージングディレクターの沢柳知彦は、次のように述べていま
す。
「今期も中国をはじめとするインバウンド需要の拡大が継続したことに加えて、日本人の海外旅行の
高騰に伴う国内旅行回帰の傾向も見られ、レジャー客による宿泊需要への貢献が顕著です。ホテル
のキャッシュフローの更なる成長への期待から、ホテル投資マーケットも引き続き活況を呈しています」
【補足】
本レポートの日本での調査対象地区は次の通りです。
東京 CBD(中心業務地区):千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
大阪 CBD(中心業務地区):中央区、北区
東京リテール:銀座と表参道のプライムリテールマーケット
東京ロジスティクス:東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県の一部)の新型物流施設
東京ホテル:特段の説明がない限り東京所在の 5 ツ星ホテルマーケット
「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD) 2015 年第 3 四半期」の詳細は www.joneslanglasalle.co.jp をご
覧ください。
この件に関する問い合わせ先:
広報担当(エイレックス)吉岡・西田 電話:03-3560-1289
JLL について
JLL(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産オーナー、テナント、投資家に対し、包括的な不動産サービスをグロー
バルに提供する総合不動産サービス会社です。世界 80 ヵ国、従業員約 58,000 名、230 超拠点で展開し、年間の手数料収
入は約 47 億米ドル、総売上高は 54 億米ドルに上ります。2014 年度は、プロパティマネジメント及び企業向けファシリティマ
ネジメントにおいて、約 3 億 1,620 ㎡(約 9,486 万坪)の不動産ポートフォリオを管理し、1,180 億米ドルの取引を完了しました。
JLL グループで不動産投資・運用を担当するラサール インベスト マネジメントは、総額 572 億米ドルの資産を運用していま
す。JLL は、ジョーンズ ラング ラサール インクの企業呼称及び登録商標です。
JLL のアジア太平洋地域での活動は 50 年以上にわたり、現在 16 ヵ国、83 事業所で 30,100 名超のスタッフを擁しています。
2015 年ユーロマネー・リアル・エステート・アワードにおいて、最優秀リアル・エステート・アバイザーに選出されました。また、
2014 年インターナショナル・プロパティ・アワード・アジア・パシフィックでは 7 ヵ国・地域で「最優秀不動産コンサルタント賞」
を受賞しました。詳細な情報はホームページをご覧下さい。www.joneslanglasalle.co.jp