コミュニケーションは良好ですか

No.10
2005年7 月号発 行
コミュニ ケーシ ョン は良好 ですか
ヘルパース テーシ ョンだい とう
管理者
田 中洋三
私 た ち が快 適 な 日常 生 活 を営 ん で ゆく に は、 自 分 を取 り 巻 く人
たち と 良 い関 係 を 保つ こ と が大 切 な のは 当 然で す が 、こ の 自 分を
取り 巻 く 良い 関 係 の維 持 は 現代 の 社 会で は なか な か 難し く な って
いま す 。 特に 見 ず 知ら ず の 赤の 他 人 との 関 係は 、 地 域社 会 に おい
ても新聞記 事で散 見される ように 無防備で はいら れませ ん。
で は 、 よく 見 知 った 同 士 の関 係 は どう で しょ う か 。昔 は 、 様々
な常 識 と して そ の 関係 を 大 切に し て きま し た。 長 幼 の序 、 先 輩後
輩、 家 長 と家 族 、 男尊 女 卑 、阿 吽 の 呼吸 、 遠く の 親 戚よ り 近 くの
他人 、 世 話焼 き の おば さ ん 、三 歩 下 がっ て 師の 影 を 踏ま ず 、 亭主
関白 、 お 客様 は 神 様。 多 く の言 葉 が 示す よ うに 、 様 々な 人 間 関係
に社会の規 範を持 っていま した。
そ れ ら の言 葉 の もつ 背 景 の是 非 は とも か く、 現 代 の若 い 人 には
その よ う な古 く か らの 世 間 の常 識 は 理解 し がた く 、 人間 同 士 の関
係に 対 し ての 社 会 の規 範 は 崩壊 し 始 めて い ます 。 従 って 、 現 代に
生き る 私 たち は 、 高齢 者 や 障害 者 の 人を 含 めて 皆 が 新た に 、 その
都度 関 係 性を 確 認 して ゆ く 必要 性 に 迫ら れ てい ま す 。「 ○ ○ が自
分の た め に□ □ し てく れ る のは 当 た り前 」 の論 法 は 通用 し な くな
って き て いま す 。 夫が 、 妻 が、 子 供 が、 嫁 が世 話 を する の は 当た
り前でなくな ってきて います。 特に世代 間の乖離 、夫婦・ 親子
間、 地 域 社会 の 有 り様 は 、 昔で は 想 像で き ない ほ ど 変わ っ て きて
いることを 実感し ます。
良 い 関 係 を 築 く た めに は 、 そ れ が た と え 家 族 の
間で あ っ ても 良 い コミ ュ ニ ケー シ ョ ンが 重 要で 、 ま して や ケ アを
する 他 人 に対 し て もお 互 い の( 双 方 向の ) コミ ュ ニ ケー シ ョ ンが
大切 で す 。利 用 者 の方 と 家 族の 思 い や感 情 はバ ラ バ ラで 、 日 頃は
それ を 長 年の 家 族 力で 調 整 され て お り、 そ のこ と は 他人 で あ る私
たち に は 窺い 知 れ ない こ と です 。 そ れで も 、黙 っ て いて は 理 解し
得ない時代 のよう です。
利 用 者 の方 と 私 たち サ ー ビス 提 供 者の 間 は上 手 く いっ て い るで
しょ う か 。私 た ち が心 す べ きこ と は 、つ い つい 介 護 技術 を 誇 りが
ちで す が 、い く ら 技術 を 持 って い て もコ ミ ュニ ケ ー ショ ン が 良好
でな い と 結果 と し て良 い サ ービ ス が 提供 で きま せ ん 。利 用 者 ・ケ
アマ ネ ジ ャー ・ サ ービ ス 提 供責 任 者 ・ヘ ル パー を 主 軸に し て 、利
用者 の 方 々、 ご 家 族、 主 治 医、 ケ ア マネ ジ ャー 、 ヘ ルパ ー 、 サー
ビス提供責任 者、他事 業所など の各々に 関係性が あります 。ま
た、ヘルパー 同士の同 僚として のコミュ ニケーシ ョンも重 要で
す。 利 用 者の 方 々 もお 伺 い する ヘ ル パー も つい 目 の 前の 人 と の関
係を 大 事 にし が ち です が 、 まわ り を 取り 囲 む大 勢 の 人た ち も 意識
して 頂 き たい で す 。私 た ち の支 援 は ケア プ ラン を 中 心と し た チー
ムケアによ って成 り立って います 。
サ ー ビ ス提 供 者 はた だ 決 めら れ た 業務 を 遂行 す る こと の み が目
的で は な く、 支 援 が計 画 さ れて い る 意味 を 大事 に し なけ れ ば なり
ませ ん 。 それ は 、 自立 支 援 であ っ た り、 尊 厳あ る 日 常生 活 の 継続
であ っ た りし ま す 。そ れ を 理解 す る ため に 利用 者 の 方々 の 思 いや
考え 、 時 には そ れ まで の 人 生の 生 活 歴や 人 とな り を 知る こ と も必
要で 、 何 かし ら お 聞き す る こと も あ りま す 。ま た 一 方で は 、 利用
者の 方 の 中に は も っと 自 分 のこ と を 知っ て ほし い と 、た く さ んの
お話をされ ること もありま す。
介 護 の 世界 も 若 い人 が 支 援に 参 加 して き てお り 、 二世 代 の 間隔
があ い て サー ビ ス を提 供 す るこ と も あり 、 個々 の 心 遣い だ け で丸
く収 め る のは 難 し くな っ て きて お り ます 。 様々 な 機 会を 捉 え て双
方向の良好 なコミ ュニケー ション を築いて 維持し たいも のです。
2
梅雨時期は食材が傷みやすく食中毒が起
こりやすい季節です。又、台所は細菌の繁
殖が起こりやすい場所なので食中毒を防ぐ
ために調理、買い物、保存法などに気を付
けることが 必要で す。
買 い物
生 鮮食 品 は、 傷 み やす いの
で最後に購 入する とよいで しょう 。
保存
要冷蔵 ・冷 凍の 食品 は、 すぐ に冷 蔵
庫に入れま しょう 。
冷蔵庫 に食 品を詰 めす ぎる と冷 蔵庫内 が冷 え
にくくなり 痛みや すくなり ます。
賞味期 限の 切れた 食品 はな るべ く処分 し、 賞
味期限が近 いもの は早めに 使いま しょう。
調 理前
洗え る 食材 は 全 て流 水 でよ く
洗 い 流す こ と で 二 次感 染 を 防 ぐ こと に 有
効です。
ま な 板・ 包 丁 な ど は熱 湯 を か け たり 、 食
品を切る度 に洗う ようにし ましょ う。
調理
菌は熱 に 弱い ため 十分 な加 熱
により 殆ど 死滅 しま す。 (特に 肉・ 魚
はしっかり 火を通 しましょ う。)
食事
作りおきのものは必ず
冷蔵・冷凍保存し食べる前には
十分に加熱 して下 さい。
食後
食品・調理器 具だけ
ではなく流し台も綺麗にして
清潔を保ち ましょ う。
3
食中毒予防
当事 業所では月ごとに 研修内 容のテー マを決
めてミー ティン グを行っています。
NO.8(1月号 発行)に昨年の研 修内容の前 期
(4~9月)をまとめましたが、今回は研修内容の
後期を簡単にまとめてみました。
観察と報告について(10・11 月)
ヘル パ ー は、 訪 問 先で 利 用 者の 体 調 や心 境 の 変化 な ど を見 な
が ら介 護 サ ービ ス を 行っ て い ます 。 ヘ ルパ ー は 、利 用 者 と利 用
者 の家 族 の 変化 や 知 り得 た 情 報を 報 告 し共 有 す るよ う に して い
ま す。 共 有 する 一 つ の方 法 と して は 介 護記 録 や 連絡 ノ ー トを 利
用 して い ま す。 現 場 で良 い サ ービ ス が 出来 て い るの か 、 どこ ま
で 報告 す れ ばよ い の か、 記 録 はど の よ うに 書 い たら い い のか な
どの疑問に ついて 話し合い をしま した。
介護保険の見 直しと変更について(10・1 月)
10 月 に は 15 年 度の 介 護 保 険 制 度 の 状況 と 見 直 し に つ い
て、1 月は介 護保険 における 要支援 ・要介 護 1 の 軽度者を 対象
とし た「 新・ 予防 給付 」の 新た なサ ービ スの 導入 を検 討し てい
ることにつ いて当 所長より 説明が ありまし た。
今年の反省と来年の目標について(12・1 月)
12 月と 1 月 には個々 のヘル パーが今 年 1 年介護の 現場で 学
んだ 事や 反省 す べき 事を 話し 合 い、 来年 に向 けて の 抱負 を発 表
しました。
4
ヘルパーミーティング
ノロウィルスについて(1 月)
昨 年 の 末か ら 年 明け に か けて ノ ロ ウィ ル スが 検 出 され ニ ュ ース
や新 聞 で 取り 上 げ られ て い まし た 。 ヘル パ ーは 人 と 接す る 機 会が
多く 、 又 、食 材 に 触れ る 事 、調 理 す る事 も あり 、 感 染す る 可 能性
が高く注意 する必 要があり ます。
①手 洗 い ・う が い の励 行 ② おむ つ 交 換を す る時 は 汚 物や 便 に 直接
触れ な い (手 袋 を 着用 ) ③ 食品 調 理 は十 分 な加 熱 と 衛生 管 理 を行
う④健康管 理を徹 底する事 などを 、責任者 より説 明しま した。
認知症のケアについて(2 月)
平成 16 年 1 月に 認知症 の理解に ついて グループ ホー
ム花 みず きの 施設 長よ り講 義を し て頂 きま した 。今 回は
認知 症の 理解 だけ では なく 、毎 日 の具 体的 な介 護に 関す
る資 料を 参考 に利 用者 の心 境の 変 化な どに つい て再 確認
をしました 。御協 力ありが とうご ざいまし た。
サービスの質向上とスキルアップについて(2・3 月)
当 事 業所 では 、 介護 事 故を 起 こさ な い、 起き な いよ う にと 配慮
しな が らサ ービ ス 提供 に 取り 組 んで い ます 。し か し、 現 場で は幸
い重 大 事故 は発 生 して い ませ ん が、 軽 微な 介護 事 故は 少 なく あり
ません。
2 月には 、介 護事 故の 事例 を 使っ て事 故の 原因 を見 つ け出 しど
う対処すれ ば未然 に防げる のかに ついて話 し合い ました 。
食事 介 助時 の 誤嚥 を 防ぐ 為 に、 嚥下 ・ 咀嚼 ・ 顔色 な どの 観 察を
怠らない。
嚥下 ・ 咀嚼 障 害が あ る場 合 は、 食形 態 が異 な らな い よう に 試食
等で確認す る。
訪問中に利用者の 体調変化が あれば事務所 に報告し指示 を仰
ぐ。(ヘル パーの 勝手な判 断で行 わない。 )
引き 継 ぎを 行 う際 、 介護 サ ービ ス内 容 を細 か く説 明 し、 同 じサ
ービ ス が提 供出 来 るよ う に同 行 引継 用 紙を 使用 し て漏 れ る事 がな
いようにす る、な どの意見 が上が ってきま した。
5
ヘルパーミーティング
摂取・ 嚥下 障害 の現 状を ヘル パー に聞 いた とこ ろ圧 倒的 に多 くの 声
があが った のが 食事 介助 や水 分補 給時 のむ せ込 みで した 。又 、嚥 下障
害のあ る利 用者 の方 には 、ど の様 なと ころ に注 意し なが ら介 助す れば
良い のか ? どの 様な 食 べ物( 食形 態) が良 い のか ?と い う疑 問点 が 殆ど
でした。
ご家族 の方 々も 食事 介助 のこ とで お困 りの こと があ るか と思 いま す
ので一言ア ドバイ スを載せ ていま す。
ベッド上で食べる場合 は膝の下
に枕や座布団を入れると身体がず
り落ちにくくなります。又、身体
の横に枕を置いたりして背筋、腹
口の中に食物が入って
いる時に話しかけると、むせ込
筋の負担を軽くし安 定した姿
勢 が取れ ます。
んだり、つまらせる原因になるた
め話しかけ ない方 がよい
食事中、テレビをつけ ていると
です。飲み込みを確認してからゆ
観賞に夢中になり食事に集中でき
っくり話し かける とよいで す。
ないため飲み込む時にむせ込みや
すく な り ます 。 食 事中 は テレ
食物が口の中に残ってい
ビを消し ておくと 食事に
集中 がで きます。
ないことを確めてから次の
食物を口に 運びま しょう。
食事をする前に少量の お茶や水
吸い飲み を使う 時は、 一度
に たく さ ん 入 らな い よう
に 注意し ましょう 。
など で 口 の中 を湿 らせ てお
く と食物 が飲み込 みやす いです。
介助 する 時は 少量 ず つ 口 の中
を上向きに引き抜くと顎が上がっ
食後にはお 茶や白湯 で口腔
内をうがいするとさっぱりしま
て誤嚥しやすいので注意しましょ
す。(入れ歯がある方は入れ歯を
う。)
外して行い ましょ う。)
に入れます。(介助時にスプーン
6
食事介助のワンポイント
噛みやすい 、
飲み込みや すい
料理作りの ポイン ト
1.
安 全 で お い しく 嚥 下 し
や す い 食 事 をす る た め
に 注 意 が 必 要な 食 材 が
いくつかあ ります 。
水や お茶な どさ らさ らし た液体 は誤 嚥を 起こし やす いの で危 険で
す。
2.
水分はトロ ミ剤で とろみを つける と比較的 飲みや すくなり ます。
3.
うど んやそ ばな ど、 すす り上げ て食 べる ものは むせ やす いの で短
く切る とよ いです 。汁 物に トロミ をつ けた りして も食 べや すくな
ります。
4.
ご飯の場合 は水加 減を多め にして 軟らかく 炊きま す。
冷ご飯 やチ ャーハ ンの よう にパラ パラ した 状態の もの はあ んをか
けると飯粒 がまと まり食べ やすく なります 。
5.
ごぼ うなど の根 菜は 繊維 が多く 、硬 い食 べ物は 、た たい て繊 維を
ほぐしたり 割って から調理 すると 噛みやす くなり ます。
6.
イモ類は水 分量が 少ないの で飲み 込みにく いです 。
ゆでてから つぶす か、煮 汁の多い 煮物に すると食 べやす くなり ま
す。
7.
生も のを加 熱す ると 「蒸 す」→ 「煮 る」 →「焼 く」 →「 揚げ る」
の順に水分 の蒸発 が多くな り素材 が硬くな ります 。
水溶き片 栗粉を 使った
とろみの 付け方 の
ポイント
肉料理の ポイン ト
いったん煮汁を煮立たせ、沸騰を
静めたところで全体に回し入れる
とダマにならないです。さらに沸
騰させることで粉っぽさが消え、
煮汁に透明感がでます。
牛肉は小さく刻み片栗粉をまぶし
て煮付けと、表面がつるつるして
喉越しがよいです。
酒やしょうが、油、すりおろした
玉ねぎ・リンゴ・パインなどに肉
を漬け込むと軟らかくなります。
7
食事介助のワンポイント
体位交換
座位が安定していな
い と 、 利 用 者が 介 助 バ
ー や 柵 を 持 って い て も
ず り 落 ち た り横 に 倒 れ
た り す る こ とも あ り ま
す 。 座 位 保 持が 出 来 て
い て も 目 を 離さ な い よ
うにしまし ょう。
ベッド から起き上がり 端座位に
なっ ている時にヘ ルパー が 支えて
いた手を離す と利 用 者は 上体が
後方に倒れてベッドの柵に頭をぶ
つけてしまっ た。
入浴介助
利 用 者が 入 浴す る 前に 浴 室
内温度を上げよ うと熱いお湯を
シャワー からだしていたつもり が
設 定 温 度 を 間 違 え てい た た め
水をだしていた。浴室 温度は 上
がらずそのままだっ た。
お湯を使 用する
時は温度を必ず確
認しましょ う。
ヘルパース テーシ ョンだい とう「介 護事 故 」集より
〒670-0962
姫路市南駅 前町6 6番地 戸田ビ ル2階
TEL 0 792 -23- 500 9
FAX 0 792 -23- 501 9
介護保険事 業所番 号 2874 000 876
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