12月号 - 鈴木和宏税理士事務所

2015年12月号
【584号】
月一回 関西商人大繁盛ニュース
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大阪市中央区南本町2-2-9
辰野南本町ビル7階
TEL 06-6271-2281
FAX 06-6271-2282
相 続 税 申告調査事 案 と タ ワ ー マ ン シ ョン
節 税 へ の監視強化
相続税無申告事案、
1件当たり課税価格1億円超え
国税当局では、相続税については“たぶん
税務署には把握されないだろう”などと安易
に無申告とする相続人が少なくないことから、
資料情報の収集・活用など積極的に行い目を
光らせています。
27年6月までの1年間で相続税における無申
告事案の実地調査件数は868件(前事務年度
881件)、このうちの76.2%に当たる661件(
同650件)から876億円(同788億円)の申告
漏れ課税価格を把握しています。実地調査1
件当たりでは、申告漏れ課税価格は1億88万
円(同8945万円)と1億円を超えるとともに、
追徴税額も834万円(同522万円)と大幅に増
えています。
お金を生前に移せば税務署にばれない?
ンは部屋数が多いため1戸当たりの土地の
持ち分が小さくなり、相続税評価額を低く
抑える効果があります。
建物の相続税評価額は、固定資産税評価額
を基準に決められます。建物の固定資産税
評価額は同じ広さなら高層階でも低層階も
金額が変わりません。
ところが、マンションの各戸の値段は、面
積だけでなく、眺望の要素、日照の要素が
大きな意味を持ち、高層階の好位置の物件
ほど高く、1億円の物件でも相続税評価額
2,000万円程度というのが通常です。
タワーマンションの節税への課税強化
国税庁は、「富裕層にしかできない節税方
法は、税負担の公平を著しく害する恐れが
ある」として、行き過ぎた節税行為には相
続税を追徴課税する方針です。
不正事例の代表的なものとしては、生前に
「お金を移せば税務署にばれない」と勘違い
をしているケースです。
具体的には、相続人Zは、被相続人が亡くな
る前日及び当日に被相続人の預金口座から現
金を引き出したお金を、Zの口座に入金する
ほか、別の相続人の住宅ローンを返済して、
遺産が相続税の基礎控除以下であるように装
い相続税の申告を行わないなどです。この引
き出したお金は、被相続人の現金とみなされ、
相続財産に含められます。
行き過ぎた節税行為としては、
・相続の直前に被相続人名義で購入された
タワーマンションを相続人により短期間
で売却
・売却価格と相続税評価額との間に著しい
差が生じる
・実際にはほとんど使用していない
などが該当し、追徴課税が行われると思わ
れます。
タワーマンションの相続税評価額の計算
編 集 後 記
近年、都市部を中心にタワーマンションの
建設ラッシュが続いています。平成23年から
25年に売買された20階以上の高層マンション
について、国税庁が調査したところ、市場価
格と相続税評価額は最大で6.93倍、平均でも
3.04倍の開きがあったそうです。
マンションの土地は、路線価で相続税評価額
を計算し、敷地全体の評価額にその部屋の持
ち分割合をかけて算出します。高層マンショ
タワーマンションには、
・ブームの過熱で価格が割高
・国税当局による節税封じも考慮
・地震のリスクや老朽化・手抜き工
事の問題
などのリスクがあります。
購入については、様々な情報も含め
て事前に良く検討して、判断してく
ださい。
所長税理士 鈴木和宏