8. 著明な間接型優位の高ビリルビン血症を呈した遺伝性 球状赤血球症と

8 . 著明な間接型優位の高ビリルビン血症を呈した遺伝性
球状赤血球症とGilbert 症候群の合併例
帝京大学 医学部 内科
相磯 光彦、安達 運、三浦幸太郎、
三浦 亮、有住 俊彦、高森 頼雪、
田中 篤、滝川 一
滋賀医科大学 小児科
中原小百合、丸尾 良浩
【症例】19 歳 男性
【主訴】黄疸
【現病歴】2012 年12 月腹痛、嘔気、発熱(37. 8℃)を主訴に近医受診。
眼球結膜に黄染を認めたため、血液検査を実施したところ、総ビリルビ
ン 8.1mg/dl、直接型ビリルビン 0 .8 mg/dl と間接型優位の高ビリルビン
血症を認めたが、肝胆道系酵素の増加はなく、黄疸の精査目的にて当科
に紹介となった。
【既往歴】特記すべきことなし
【家族歴】母親、叔母も黄疸の既往あり。叔母はフェノバルビタールを
内服中。
【経過】肝胆道系酵素の増加がなく、家族歴もあることから、体質性黄
疸と考え、総ビリルビン値から当初は Crigler-Najjar 症候群 II型を疑っ
た。貧血の進行や LDHの増加は認めなかったが、尿中ウロビリノーゲン
( 2+)
、網状赤血球の増加、ハプトグロビンの低下を認め、溶血の存在
が疑われた。Coombs 試験は陰性で赤血球形態では球状赤血球が認めら
れ、腹部エコーと腹部 CT で脾腫と胆石が認められ、遺伝性球状赤血球
症と診断した。体質性黄疸に溶血が加わると総ビリルビン値が高くなる
という報告もあり、ビリルビンUDP-グルクロン酸転移酵素( UGT 1A 1)
の遺伝子解析を施行したところ、T- 3279 G+A( TA)7 TAAのヘテロと
211G→A:G 71 R のヘテロで Gilbert 症候群と診断した。
【まとめ】本症例は Gilbert 症候群に遺伝性球状赤血球症が合併したため
に、溶血の存在のために総ビリルビン値が高くなったと考えられた。
1例報告ではあるが、内科領域では珍しいケースと考え、若干の考察も
加え、発表させて頂きたい。