修士論文要旨

修士論文要旨
論文タイトル: 「日系企業の ASEAN 進出についてのブランドマーケティング」
学籍番号:AM13013
氏
名:宋
芮
指導教授:小山良教授
【論文の構成】
はじめに
第 1 章 問題意識と研究目的
第 2 章 ASEAN 市場と日系企業の海外進出
第 3 章 日系企業の海外進出についてのブランドマーケティング
第 4 章 仮説の提示と検証
第 5 章 まとめ
終わりに
【論文の内容】
1.
問題意識
近年、ASEAN は最も成長率の高い地域として、世界から注目を集めている。中国が「世
界の工場」の優位性を失いつつある現在、ASEAN は後継者として台頭する傾向を強め、日
本・中国に続き、アジアの「第三極」になる勢いで成長を求めている。ASEAN はチャイナ
リスクという環境の中、それを補う存在として日系企業に重視されつつある。その一方で、
ASEAN は潜在的な消費市場として日系企業にとって魅力的だと考えられている。「チャイ
ナプラスワン」戦略は現在の日系企業にとって、新たな活路でもあり、進出を通して海外
市場を獲得するチャンスとも考えられる。
2.
問題提出
これからの日系企業にとって「チャイナプラスワン」である ASEAN 市場のシェア獲得
が大事だと考えられている。しかし、海外市場・主に新興国市場でのビジネス活動は決し
て容易ではなく、むしろチャンレンジだと思われる。さらに、ASEAN は 10 か国もあり、
各国・地域の経済・習慣などは異なる上に、現地企業・外資企業の競争も激しく、極めて
複雑な進出環境とも言える。この背景の中で進出を成功させて、競争力を上昇するために
は、現地の事情を理解した上で、「日本らしさ」のあるブランド戦略が、競合他社と差別を
つける要点になるであろうと考える。日系ブランドだからこそそこまでしてもらえるよう
な価値・意識を顧客に植え付けて、日系企業を連想させるブランドを立ち上げることであ
る。それを達成するために、マーケティングは必要である上、ブランド戦略を企業戦略の
中核に据えなければならない。
日系企業は、ブランドマーケティング戦略を構築する際に、企業の理念は商品を通して
顧客まで浸透し、組織とブランドを同時に顧客に納得させることは強みである。日本人の
サービス精神を基にした、「日本らしさ」のあるブランドマーケティングは、海外市場で外
資企業と差別をつけて、競争力を上昇させる要点だと考える。
3.
研究目的
以上のような分析より、本研究においては、ASEAN 市場の台頭と、日本国内市場の減尐
という経済環境の中、海外市場を求めている日系企業に遭遇しているリスクと課題を検討
し、主にチャイナリスクを回避するために、「チャイナプラスワン」戦略は日系企業の行う
べき行動だと考える。日系企業の独特な経営理念から生まれた、「日本らしさ」のあるブラ
ンドこそ、海外市場で外資企業と対抗する際に、欠かせないものになる。
そこで本研究では、日系企業のブランドマーケティングについて、現地環境の異なる
ASEAN 市場における外資企業と競争する優位性を分析し、ブランドの競争力を上昇する要
因を認識することを目的とする。
4. 研究方法
本研究は ASEAN 市場と日系企業について先行研究を調べて、分析を行う。日本式ブラ
ンドマーケティングは海外市場で外資企業と競争するに欠かせないものを論証する。仮説
に基づいて、資生堂・無印良品のブランド戦略を論証として提示し、分析から得られた考
察とインタービュー調査を統合して検討し、仮説を実証していく。
5. 仮説の提示
海外進出する際に、「日本らしさ」のあるブランドは海外市場での競争力が上昇に導くこ
とを仮説として提示することになる。
6. 研究結果
日本はアジア地域の先進国として、企業における組織文化・ブランド力は他国より競争
力があると考えられる。ASEAN は中国市場の次、今の日系企業における最も進出したい地
域として、中国と同じような多様性と社会変動性を抱えている。日系企業では、両域進出
の共通点を捕えて、中国市場で得た経験や教訓を活かし、ASEAN に応用すべきだと考える。
それについて、これからの ASEAN 進出には、「日本らしさ」を体現し、企業理念から生ま
れたブランドマーケティングは欠かせないものだと考える。
ASEAN 市場は非常に広くて各国の経済環境や現地習慣なども異なっている。この環境で、
ブランドマーケティングを生かすには現地性をよく考えなければならない。日系企業は
ASEAN 進出については ASEAN 各地の現地性をよく調査・理解し、その上に自分の強みを
生かして、その地域による生まれる現地性の考察・追求から学び取ったブランドマーケテ
ィングを行うことは、市場転換により、新たな市場への進出には不可欠な存在だと考える。
なお、市場シェアを獲得し、外資企業と対抗するため、競争力の上昇が必要であり、「日本
らしさ」のあるブランド戦略を応用すべきである。
本研究では、日系企業の ASEAN 進出におけるブランドマーケティングについて、海外
経済市場の現状と日系企業自らの優位性を分析した。日系企業である資生堂・MUJI が海外
市場で遂行しているブランド戦略に検討し、インタービュー結果を用いて、「日本らしさ」
のあるブランドは海外市場での競争力が上昇に導くである仮説を検証した。
【主要参考文献】
1.
稲垣博史(2014)「ASEAN とは何か」みずほ研究所『ASEAN の実力を読み解く』東洋経済新報社
2.
近藤文男(2014)「アジア市場の特徴」マーケティング史研究会 (編)『日本企業のアジア・マーケティ
ング戦略』
3.
倉林貴之・長尾良太(2013)「ASEAN 消費市場への日系企業の 参入における課題と対応策」野村総合
研究所『知的資産創造』2013 年 8 月号
4.
博報堂ブランドコンサルティング(2000a)『図解でわかるブランドマーケティング』日本能率協会マ
ネジメントセンター
5.
小野公一(1997)『“ひと”の視点からみた人事管理』白桃書房
6.
渡辺米英(2006)『無印良品の「改革」』商業界
7.
太田正人(2013)『中国における資生堂ブランドマーケティング』
8.
寺本義也・高井透(2013a)「日本企業のグローバルと東南アジアの重要性」一般財団法人海外投融資
情報財団(監修)『東南アジアにおける日系企業の現地法人マネジメント』中央経済社