EUにおける金融市場の統合とユーロ導入

一橋大学 経済学部/経済学研究所
三井住友銀行寄附講義
「EUにおけるガバナンスと経済運営」
EUにおける金融市場の統合とユーロ導入
2015年4月22日
三井住友銀行
経営企画部金融調査室長
森口 善正
© Copyright Sumitomo Mitsui Banking
Corporation
本日のトピックス
はじめに
単一通貨「ユーロ」の導入について
ユーロの評価
おわりに
1
三井住友銀行の紹介
名称
株式会社 三井住友銀行
英語表記: SMBC
Sumitomo Mitsui Banking
Corporation
従業員数 25,573人
拠点数
業容
国内本支店数 439拠点
海外拠点数
69拠点
総資産
貸出金
預金
資本金
144兆
65兆
85兆
1兆
641億円
7,785億円
4,965億円
7,710億円
本店東館
〈2015年完成予定〉
本店
(東京・大手町)
三井住友フィナンシャルグループの
中核的存在
備考
「三井」・「住友」の2大企業グループ
を含む大企業顧客基盤と、中小企業
及び個人の顧客基盤の厚さは本邦
トップレベル
(注)2013年9月末時点
大阪本店(大阪・淀屋橋)
2
複合金融グループとしての三井住友フィナンシャルグループ
三井住友フィナンシャルグループ
60%
40%
三井住友ファイナンス&リース
10%
連結総資産
172兆円
連結普通株式等Tier1比率
60%
リース事業
住友商事
12/6月連結子会社化
30%
SMBC Aviation Capital
10.80%
100%
100%
100%
09/10月完全子会社化
SMBC日興証券
証券事業
【総口座数:約2.5百万口座】
SMBCフレンド証券
三井住友銀行
100%
総資産
144兆円
コンシューマーファイナンス事業
SMFGカード&クレジット
預金
85兆円
66%
貸出金
66兆円
100%
個人口座数
約28百万口座
法人貸出先数
100%
【カード会員数:約23百万人】
三井住友カード
11/5月完全子会社化
セディナ
34%
NTTドコモ
【有効会員数:約18百万件】
12/4月完全子会社化
SMBCコンシューマーファイナンス
【無担保ローン口座数:約1.3百万口座】
約9.4万社
100%
100%
その他事業
日本総合研究所
13/10月完全子会社化
SMBC信託銀行
44%
40%
*※14年9月末時点
大和住銀投信投資顧問
三井住友アセットマネジメント
3
本日のトピックス
はじめに
単一通貨「ユーロ」の導入について
ユーロの評価
おわりに
4
(1)単一通貨「ユーロ」の導入について
① ユーロとは
ユーロとは
ユーロ記号:€
左図は、フランクフルト
の欧州中央銀行にある
モニュメント
○ユーロはEU内の経済・通貨同盟
(Economic and Monetary Union :EMU)
参加国で使用される単一通貨
○1999年に送金等、非現金取引に導入
2002年より紙幣や硬貨が流通
(資料)ECB
ユーロ紙幣
(下図は一部)
○現在、EU加盟28カ国のうち19カ国で
法定通貨として用いられている
(資料)ECB
5
(1)単一通貨「ユーロ」の導入について
② ユーロ導入の背景、経緯 ~ 通貨統合に向けた試み
欧州域内要因
1950
1960
第二次世界大戦後、欧州統合に
向けた動きが本格化
1951 パリ条約
<欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)>
1957 ローマ条約
<欧州経済共同体(EEC)、
欧州原子力共同体(EURATOM)>
1967 ECSC、EEC、EURATOMを統合
欧州共同体(EC)設立
欧州域外要因
ブ
レ
ト(
1
9
ン4
ウ5
~
ッ7
1
ズ年
)
体
制
1970
1970 ウェルナー報告書
→経済通貨同盟の実現に向けた
計画について記載
⇒ EC首脳会議で経済通貨同盟の
段階的実現に関する決議採択
(1971)
1971
・金と兌換できるのは
ドルのみ
・ドルと金の交換比率を固定
・各国通貨は、ドルに対し
一定の範囲内で固定
米国
対外支出の増加等により、
経常収支赤字が持続
→通貨の信認低下
為替変動リスクの高まり
ニクソンショック
ドルと金との兌換停止
6
(1)単一通貨「ユーロ」の導入について
③ ユーロ導入の背景、経緯 ~ スネークの導入
スネーク制度の経緯
スネーク(トンネルの中のヘビ)
1971/8
+2.25%
①
対ドル
変動幅
4.5%
対ドル
中心
相場
②
2.25%
1971/12 スミソニアン協定
1972/4
加盟国拡大により、
最大11ヵ国が参加
欧州為替相場同盟 (通称:スネーク)
②ヘビ
スネーク参加国が相互間の変動幅を
2.25%に抑制
欧州為替相場同盟(スネーク)発足
(ドイツ、フランス、イタリア、ベルギー、
オランダ、ルクセンブルク)
-2.25%
<概要>
①トンネル
自国為替レートの変動幅を対ドル中心
相場の±2.25%以内に抑制
(スミソニアン協定)
ニクソンショックにより、
ブレトンウッズ体制崩壊
1973/3
スミソニアン体制崩壊
→共同フロート制
(トンネルを出たヘビ)へ移行
参加国の変動を経て、
ドイツを中心とした7ヵ国で形成する
ミニ・スネーク(実質的なドイツ・マルク圏)へ
7
(1)単一通貨「ユーロ」の導入について
④ ユーロ導入の背景、経緯 ~ 欧州通貨制度(EMS)設立
欧州通貨制度(EMS:European Monetary System)
背景
<ミニ・スネーク>
ドイツを中心と
波
した通貨圏
及
→比較的安定的
に推移
EMSの「3つの柱」
<単独通貨圏>
フランス、イタリア
etc.
→為替変動に伴う
経済の停滞
(1)固定相場制を維持するためのメカニズム
ERM(Exchange Rate Mechanism)
(2)為替介入等のための信用供与制度
(3)参加国間の共通の通貨単位
ECU (European Currency Unit)
オイルショックによる金融市場の混乱
経緯
1979年設立:イギリスを除くEC8カ国が参加
ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー
ルクセンブルク、デンマーク、アイルランド
その後、参加国が増加
(イギリス、ギリシャ、スペイン、ポルトガル)
ECU導入による効果
(1)表示単位の共通化
(2)中央銀行間の決済への活用
(3)ECU建金融商品の増加
8
(1)単一通貨「ユーロ」の導入について
⑤ 欧州通貨危機
欧州通貨危機の経緯
ポンド危機の背景
<ドイツ>
(通貨マルク)
徹底したインフレ
抑制姿勢
→高金利政策
<英国>
(通貨ポンド)
不況下にありながら
EMS維持のため
高金利政策を採用
→更なる不況
EMSの持続性に対する疑念の高まり
1992/7
1992/8
ヘッジファンド等による
英ポンド売り・伊リラ売り
1992/9/4
イタリア利上げ
1992/9/16
ブラック・ウェンズデー
イングランド銀行は、
同日中に2度の利上げを
行う異例の措置
1992/9/17
英ポンドと伊リラがERMを離脱
他国通貨において
危機が持続
ヘッジファンド等によるポンド売り
ポンド暴落、ERMから離脱
ドイツ利上げ
1993/8/2
ERM変動幅を上下2.25%から
15%へ大幅に拡大
1996
伊リラがERMに復帰
9
(1)単一通貨「ユーロ」の導入について
⑥ ユーロ導入の背景、経緯 ~ ドロール報告書
ドロール報告書
背景
・欧州通貨制度(EMS)の成功
・世界的な経済競争の激化
「単一欧州議定書」
1992年までに欧州単一市場を形成
ドロール報告書 (1989/4) ⇒経済・通貨同盟(EMU)実現に向けた 3つの段階を提示
段階
具体策
スケジュール
第1段階 域内市場統合の促進
域内資本移動の自由化
1990/7~
第2段階 マクロ経済政策の協調強化
経済収斂の促進
欧州中央銀行制度の設立
未定
第3段階 経済通貨統合の完成
単一通貨の導入
統一金融政策の実施
未定
10
(1)単一通貨「ユーロ」の導入について
⑦ ユーロ導入の背景、経緯 ~ マーストリヒト条約
マーストリヒト条約
背景
・共産圏諸国の動揺
・ベルリンの壁崩壊
→ 難民の増加等への対応
→ 巨大ドイツの誕生
マーストリヒト条約 (1992/2調印、1993/11発効)
⇒欧州連合(EU)の創設により、経済通貨統合と政治統合を目指す
段階
具体策
スケジュール
第1段階 域内市場統合の促進
域内資本移動の自由化
1990/7~1993/12
第2段階 マクロ経済政策の協調強化
欧州通貨機構(EMI)設立
経済収斂基準の達成
1994/1~1998/12
第3段階 経済通貨統合の完成
単一通貨の導入
統一金融政策の実施
1999/1~
11
(1)単一通貨「ユーロ」の導入について
⑧ ユーロ導入の背景、経緯 ~ 単一通貨「ユーロ」導入
マーストリヒト条約からユーロ導入までの経緯
1992/2
マーストリヒト条約調印 (翌年発効)
1995/12
マドリード欧州理事会
・1999/1からの単一通貨導入を決定(2001年末まで従前の各国通貨の併用)
・単一通貨の名称を「ユーロ」に決定
1996/12
ダブリン欧州理事会
・1ユーロ=1ECUを交換レートとする
・財政規律のルールを定めた「安定・成長協定」合意
1998/5
ブリュッセル特別欧州サミット
ユーロ参加国11カ国決定 (ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、
ルクセンブルク、スペイン、ポルトガル、オーストリア、フィンランド、アイルランド)
1999/1
単一通貨「ユーロ」導入
2001/1
ギリシャ、ユーロ参加
2002/1
/2
ユーロ紙幣・硬貨の流通開始
各国通貨とユーロの併存期間終了
参加国において、ユーロが唯一の法定通貨に
12
(1)単一通貨「ユーロ」の導入について
⑨ ユーロへの参加条件
ユーロに参加するための4つの条件
マーストリヒト条約において課せられた条件
①物価
過去1年間、消費者物価上昇率が、消費者物価上昇率の最も低い
3カ国の平均値から1.5%以上高くならないこと
②金利
過去1年間、長期金利が消費者物価上昇率が最も低い3カ国の
平均長期金利より2%以上高くならないこと
③為替
2年間、独自に通貨の切り上げを行わず、欧州通貨制度に深刻な
緊張状態を与えることなく、通常の変動幅を尊重すること
④財政
過剰財政赤字状態でないこと
(財政赤字対GDP比:3%以下、債務残高対GDP比:60%以下)
金融政策の
一本化に
不可欠
財政の
安定化
安定・成長協定 (1996年12月合意)
ユーロ参加国に財政規律の基準の遵守を義務付け
財政赤字対GDP比:3%以下、債務残高対GDP比:60%以下
⇒財政赤字基準に違反した場合に制裁
13
(1)単一通貨「ユーロ」の導入について
⑩ ユーロ導入直前の経済情勢
ユーロ圏諸国の長期金利の推移
6
(%)
18
16
ユーロ圏諸国の実質GDP成長率
ユーロ導入
スペイン
(%)
フランス
スペイン
ドイツ
4
2
0
14
イタリア
イタリア
▲2
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
12
(年)
(資料)IMF
10
ユーロ圏諸国の財政収支対GDP比
8
ドイツ
6
フランス
4
2
0
調印 発効
マーストリヒト条約
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 (年)
2
0
▲2
▲4
▲6
▲8
▲ 10
▲ 12
(%)
フランス
ドイツ
スペイン
イタリア
財政赤字基準
▲3%
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
(年)
(資料)Bloomberg
(資料)IMF
14
(1)単一通貨「ユーロ」の導入について
⑪ ユーロ導入の背景、経緯 ~ 小括
単一通貨「ユーロ」導入までの流れ(概要)
通貨統合の進展
1970
背景
ウェルナー報告書(1970)
欧州統合の進展、米ドル不安
スネーク制度(1972)
ニクソンショック
→ミニスネークへ移行
1980
1990
欧州通貨制度(EMS) (1979)
欧州諸国の経済の停滞、オイルショック
ドロール報告書(1989)
国際的な経済競争の激化
欧州通貨危機(1992)
マーストリヒト条約発効(1993)
共産圏諸国の動揺、東西ドイツ統一
ユーロ発足(1999)
2000
ユーロ流通開始
単独通貨に (2002)
欧州の経済統合の実現
安定的な通貨圏の形成
15
(1)単一通貨「ユーロ」の導入について
⑫ユーロの拡大
ユーロ圏/EUの概要
EU加盟国、ユーロ参加国の拡大
EU加盟国(28ヵ国)
加盟年
1958
ユーロ参加国(19ヵ国)
(参加年)
ドイツ
フランス
イタリア
(1999)
オランダ
ベルギー
ルクセンブルク
1973
アイルランド
(1999)
1981
1986
ギリシャ
スペイン
ポルトガル
(2001)
1995
オーストリア
フィンランド
2004
スロベニア
マルタ
キプロス
スロバキア
エストニア
ラトビア
リトアニア
(2007)
(2008)
GDP
(兆ドル)
債務残高
(GDP比)
3.3
12.8
95%
EU
5.1
17.5
88%
米国
3.2
16.8
106%
日本
1.3
4.9
243%
中国
13.6
9.5
39%
ユーロ圏
デンマーク、英国
(1999)
(1999)
人口
(億人)
スウェーデン
ポーランド
ハンガリー
チェコ
(2009)
(2011)
(2014)
(2015)
2007
ルーマニア
ブルガリア
2013
クロアチア
(資料)IMF(2013年の数値)
ユーロ圏ならびにEUは、参加国合算値
16
(1)単一通貨「ユーロ」の導入について
⑬ なぜ英国はユーロを導入しないのか (その1)
英国がユーロを導入しない理由
(1)世論の反発 : 英国ではEU加盟や共通通貨に対する評価が低い
①自国の欧州共通市場での
参加を評価する回答の割合
②欧州連合により自国の民族意識
や文化の喪失を懸念する回答の
割合
③共通通貨を備えた欧州通貨
同盟が必要だと述べた
回答の割合
(資料)内閣府「世界経済の潮流」
17
(1)単一通貨「ユーロ」の導入について
⑬ なぜ英国はユーロを導入しないのか (その2)
英国がユーロを導入しない理由
(2)経済的背景 : ユーロ導入によるメリットが限られているとの評価
2003年、労働党政権においてユーロ導入の可否を問う国民投票を実施する前提として
必要な「5つの経済テスト」を実施。
内容
判定
①収斂
景気循環や経済構造はユーロ圏と収斂しているか
×
②柔軟性
ユーロ導入に伴う経済的衝撃に耐えられる柔軟性があるか
×
③投資
対英直接投資を促進する投資環境の改善となるか
×
④金融
金融部門に良好な影響をもたらすか
○
⑤成長
総合的に、経済成長・安定性・雇用の拡大を促進するか
×
ユーロ導入を否決
18
本日のトピックス
はじめに
単一通貨「ユーロ」の導入について
ユーロの評価
おわりに
19
(2)ユーロの評価
① 総論 ~ 欧州委員会による評価 (その1)
欧州委員会によるユーロ導入後10年の振り返り (2008)
【ユーロ導入による効果 (10 success stories) 】
①価格の透明化
⑥経済パフォーマンスの向上
②通貨の安定と低インフレーション
⑦公的財政収支の改善
③利子率の低下
⑧国際的な基軸通貨としての
ユーロの確立
④為替手数料の消滅
⑤金融市場の統合進展
⑨国境を越えた貿易の推進
⑩欧州の象徴としてのユーロの誕生
(多様性の中の統一)
20
(2)ユーロの評価
① 総論 ~ 欧州委員会による評価 (その2)
欧州委員会によるユーロ導入後10年の振り返り (2008)
【ユーロ圏における今後の課題】
<残存している課題>
○低位にある潜在成長率
<今後10年間のアジェンダ>
○欧州域内での取組み
○各国間の経済状況の差異
・各国に対する監視体制の強化
→財政の持続可能性、インバランスの是正
○国際的な会議等において
各国で代表が異なる
・更なる統合、構造改革の推進
<今後見込まれる課題>
○グローバル化の更なる進展
○食糧価格、エネルギー価格
の上昇
○欧州域外での取組み
・ユーロ圏の国際的な役割強化
○EMUの効果的なガバナンス体制の構築
○急速な高齢化
21
(2)ユーロの評価
② ユーロの国際的なプレゼンス
外国為替市場における
取引通貨のシェア
0
2001
2004
2007
2010
50
90
88
86
85
100
38
37
37
39
貿易取引における
決済通貨のシェア
150
24 13
21 17
17 15
19 13
200
ユーロ
その他
(資料)BIS “Triennial Central Bank Survey”
※全ての為替取引を200%とした時の比較
(%)
輸出
ユーロ
36
37
輸入
ドル
ユーロ
ドル
ユーロ圏
(圏外貿易)
56.7
31.5
50.7
40.2
非ユーロ圏
EU諸国
58.8
20.9
57.4
25.2
アフリカ
23.3
75.5
52.9
アジア
5.3
80.1
5.2
76.4
2.0
90.3
-
45
44
(年)
米ドル
英国ポンド
(単位:%)
日本円
米国
-
-
(資料欧州委員会 ”Successes and challenges after ten years”
(注1) データは2003~06年における単純平均値
(注2)ユーロ圏は、オーストリア、フィンランド、アイルランド除く
(注3)非ユーロ圏EU諸国は、英国、デンマーク、キプロス、チェコ、
エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーランド、
スロバキア、スロベニア
(注4)アフリカは、アルジェリア、モロッコ、南アフリカ、チュニジア
(注5)アジアは、日本、韓国、インドネシア、マレーシア、タイ
22
(2)ユーロの評価
③ ユーロ参加国の経済の状況
ユーロ圏諸国の失業率
ユーロ圏諸国の実質経済成長率
(%)
(%)
6
アイルランド
ユーロ導入
5
20
ユーロ導入
スペイン
4
ドイツ
3
15
スペイン
ユーロ圏
フランス
ドイツ
2
10
1
フランス
イタリア
イタリア
0
ユーロ圏
5
アイルランド
▲1
▲2
0
1991 93
95
(資料)Eurostat
97
99
01
03
05
07 (年)
92
94
96
98
00
02
04
06 (年/月)
(資料)Eurostat
23
(2)ユーロの評価
④ 金融市場の統合
ユーロ導入による金融市場の変化
【ユーロ導入による金融市場、取引への効果】
・為替リスク、為替手数料の解消
・同一通貨圏内の市場参加者の増加
・金融政策の共通化による金利環境の収斂
【直接金融】
・ユーロ建ての起債増加
・株式公募増加、M&A促進
【間接金融】
・ユーロ圏内において、ユーロ建ての
クロスボーダー貸出が増加
【金融インフラ】
・証券取引所の合併
・域内における決済システムの統合
【金融機関】
・金融機関同士の競争激化
→金融機関の再編加速
24
(2)ユーロの評価
⑤ 通貨統合の弊害
ユーロ圏参加国間の競争力格差の拡大
経常収支、経済力、財政余力の格差の拡大
ユーロ圏諸国の経常収支
(億ユーロ)
3,000
ユーロ導入
2,000
その他
ベネルクス
1,000
ドイツ
0
フランス
イタリア
スペイン
ポルトガル
ギリシャ
▲ 1,000
▲ 2,000
アイルランド
▲ 3,000
95
(資料)Eurostat
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
(年)
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本日のトピックス
はじめに
単一通貨「ユーロ」の導入について
ユーロの評価
おわりに
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27