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音
楽(小)
1 新学習指導要領 教科の目標
表現及び鑑賞の活動を通して、音楽を愛好する心情と音楽に対する感性を育てるとともに、音楽活動
の基礎的な能力を培い、豊かな情操を養う。
2 音楽科改訂の趣旨
(1) 音楽科、芸術科(音楽)については、その課題を踏まえ、音楽のよさや楽しさを感じるととも
に、思いや意図をもって表現したり味わって聴いたりする力を育成すること、音楽と生活とのか
かわりに関心をもって、生涯にわたり音楽文化に親しむ態度をはぐくむことなどを重視する。
(2) 子どもの発達の段階に応じて、各学校段階の内容の連続性に配慮し、歌唱、器楽、創作、鑑賞
ごとに指導内容を示すとともに、小・中学校においては、音楽に関する用語や記号を音楽活動と
関連付けながら理解することなど表現と鑑賞の活動の支えとなる指導内容を〔共通事項〕として
示し、音や音楽を知覚し、そのよさや特質を感じ取り、思考・判断する力の育成を一層重視する。
(3) 創作活動は、音楽をつくる楽しさを体験させる観点から、小学校では「音楽づくり」、中・高
等学校では「創作」として示すようにする。また、鑑賞活動は、音楽の面白さやよさ、美しさを
感じ取ることができるようにするとともに、根拠をもって自分なりに批評することのできるよう
な力の育成を図るようにする。
(4) 国際社会に生きる日本人としての自覚の育成が求められる中、我が国や郷土の伝統音楽に対す
る理解を基盤として、我が国の音楽文化に愛着をもつとともに他国の音楽文化を尊重する態度等
を養う観点から、学校や学年の段階に応じ、我が国や郷土の伝統音楽の指導が一層充実して行わ
れるようにする。
3 改訂の要点
(1) 内容構成の改善
これまでのように表現及び鑑賞の2領域で構成しつつ、表現及び鑑賞に関する能力を育成する
上で共通に必要となる〔共通事項〕を新たに設けた。また、表現領域は、歌唱、器楽、音楽づく
りの3分野ごとに示すこととした。
(2) 〔共通事項〕の新設
〔共通事項〕は、音色、リズム、速度など音楽を特徴付けている要素や、反復、問いと答えな
どの音楽の仕組みを聴き取り、それらの働きが生み出すよさや面白さ、美しさなどを感じ取るこ
と、
「音符、休符、記号や音楽にかかわる用語」を音楽活動を通して理解することを示した。〔共
通事項〕は、それのみを扱うのではなく、表現及び鑑賞の各活動の中で扱うものである。
(3) 歌唱共通教材の充実
歌唱共通教材については、取り扱う楽曲数を各学年とも増加することとした。具体的には、第
1学年から第4学年までは4曲すべてを取り扱うこととし、第5学年及び第6学年は4曲中3曲
を含めて取り扱うこととした。(平成21年度より先行実施)
(4) 音楽づくりについて
音遊びや即興的に表現することを通して音の面白さに気付いたり、音楽づくりの様々な発想を
もったりすることを重視するなど内容の改善を図った。また、音を音楽に構成する過程を大切に
し、〔共通事項〕に示す音楽の仕組みを手がかりにして、児童が思いや意図をもって音楽をつく
るようにすることの重要性を示した。
(5) 鑑賞教材における我が国の音楽の充実
鑑賞教材選択の観点について、これまでの第5学年及び第6学年に位置付けていた我が国の音
楽を第3学年及び第4学年にも新たに位置付けることとした。
(6) 言語活動の充実
鑑賞領域の各学年の内容に、感じ取ったことを言葉で表すなどの活動を位置付け、楽曲や演奏
の楽しさに気が付いたり、楽曲の特徴や演奏のよさに気が付いたり理解したりする能力が高まる
よう改善を図った。これは、受動的になりがちであった鑑賞の活動を、児童の能動的で創造的な
鑑賞の活動になるように改善することを意図したものである。
4 評価方法等の工夫改善について
(1) 評価規準の設定について
○ 題材の目標に準拠して評価するために、観点別に題材の評価規準を作成する。(国立教育政策
研究所教育課程研究センター「評価規準の作成のための参考資料」の「評価規準に盛り込むべき
事項」、「評価規準の設定例」を参照する。)
○ 評価規準を「指導と評価の計画」に位置付ける。(国立教育政策研究所教育課程研究センター
「評価方法等の工夫改善のための参考資料(小学校)」を参照する。)その際、題材の目標、学習
指導要領の指導事項、教材、指導内容、評価規準、評価方法、学習活動の展開を明確にするとと
もに、全体が一貫性をもつよう十分留意する。
○ 評価規準に基づいて児童一人一人の学習状況をA・B・Cで判断し、その結果を記録に残す回
数について、題材全体の学習指導を見通して精選する。
(2) 観点別評価の進め方
※ 表現領域(「歌唱」、「器楽」、「音楽づくり」)の学習状況については、①、②、③の3観
点で評価する。鑑賞領域(「鑑賞」)の学習状況については、①、④の2観点で評価する。
① 音楽への関心・意欲・態度
この観点は、「題材の学習内容に対する興味・関心・意欲」を持っているか、学習目標に向かっ
ている姿を積極的に評価する。特に低学年では、この観点は観察での評価が多くなるが、評価場
面を多く設定するなどして丁寧に見取ることが大切である。また、評価のポイントを明確に持つ
こと、複数の評価方法を組み合わせることも大切である。
② 音楽表現の創意工夫
この観点は、〔共通事項〕事項アの学習を支えとしながら、児童がいろいろな表現を試しなが
ら音楽表現を工夫することによって、どのように表すかについての思いや意図をもつことを一体
的に捉え、音楽表現を創意工夫する力をはぐくみ、その学習状況を評価することが大切である。
指導に当たっては、音楽表現を創意工夫する力をはぐくむために、音楽的な感受の場面を大切に
し、〔共通事項〕と音楽的な感受を一体的に指導することが大切である。音楽的な感受について
は、観察(児童のつぶやきや身体の動き)でも見取ることができる。
③ 音楽表現の技能
この観点は、児童が音楽表現をするために必要な基礎的な技能を身に付け、それを実際に歌唱・
器楽・音楽づくりで表現できるかどうかを評価する観点である。歌唱・器楽では、基本的に「演
奏の聴取」から評価するため、学習形態の工夫や評価のポイントを明確にし、適切な評価を行う
ことが大切である。
④ 鑑賞の能力
この観点は、〔共通事項〕事項アの学習を支えとした音楽的な感受を学習活動の中で大切にし、
それを基にして楽曲の特徴や演奏のよさなどを考え、それを言葉で表すことなどを一体的に捉え、
楽曲全体を味わって聴くことができるような力をはぐくみ、その学習状況を評価することが大切
である。指導に当たっては、効果的な題材構成とともに、見取りやすい場の設定、学習の成果や
全体像が把握できる学習カードの工夫などが大切である。
※ 学習評価に当たっては、記録に残す評価を適切に行うとともに、児童の学習状況を常に把握し、
指導に生かす評価を大切にし、児童一人一人の学習が充実するように努めることが大切である。
5 授業改善のポイントと「言語活動」の授業への位置付け
ポイント1 ○ 年間指導計画、題材の指導と評価の計画における〔共通事項〕の明確な位置付けと、
表現領域と鑑賞領域の関連を図った効果的な題材構成や題材の学習全体を把握できる効
果的な学習カードの作成など。
ポイント2 ○ その題材で取り扱う〔共通事項〕を明確にし、評価のポイント、評価の方法を明確に
し、複数の評価方法の組み合わせや評価場面の工夫により、適切な評価を行う。
ポイント3 ○ 「言語活動」の授業への位置付けについては、鑑賞領域における学習の終末段階で言
葉で表すなどの言語活動を取り入れるだけでなく、表現領域、鑑賞領域ともに、学習の
過程で適切に言語活動を取り入れること、児童の思考を促す発問を工夫する、必要に応
じて、絵や図、体の動きなどで音楽的な感受をする活動と言語活動を適宜連付ける。ま
た、鑑賞の学習が豊かな音楽活動となるよう、音楽的な感受にとどまらず、音楽をじっ
くりと聴き味わう時間を設定する。
ポイント4 ○ 範唱・範奏にしっかりと耳を傾け、音楽を形づくっている要素に気を付けながら、繰
り返し模唱・模奏する活動を大切にし、基礎的な表現の能力を育てる。
6 教育課程編成・実施上の留意点
小学校6年間並びに小・中学校9年間の目標及び内容の系統性を十分に踏まえながら、目標及び
内容を2学年ずつまとめて示していることの趣旨を生かし、系統性、連続性に配慮する。
○ 〔共通事項〕を手がかりとして表現活動(歌唱、器楽、音楽づくり)と鑑賞活動の密接な関連を
図るとともに、児童が音楽活動を楽しみ、音楽活動の喜びを味わい、自ら進んで取り組めるように
配慮する。
○ 歌唱共通教材の充実及び鑑賞教材における我が国の音楽の充実を図り、我が国の音楽文化につい
て関心や理解を深めるように配慮する。
○