MagRO ver. 1.20.x マニュアル 0.目次 0-1 1-1.インストール 1-2.作業ディレクトリの追加 1-3.MagRO 1-3.MagRO のアップデート 1-4.MagRO 1-4.MagRO の初期セットアップ 1-5.スタートアップモジュール各部の説明 1)スペクトルの登録 2)MagRO 2)MagRO で使用するスペクトルの簡易名 3)シンクジャンプ(Sync-Jump) 3)シンクジャンプ(Sync-Jump)属性について (Sync-Jump)属性について 4)スペクトル表示の詳細設定 5)シンクジャンプにおける X 軸幅、アスペクト比の調整 6)MagRO 6)MagRO の実行 7)13C 7)13C 化学シフトのオフセット設定 1-6.スペクトルのシンクジャンプモード切替 1-6.スペクトルのシンクジャンプモード切替 1-7.2 1-7.2D ストリップにおけるスペクトル幅固定機能 1-8.NMRView フォーマット変換、スペクトルの軸の順番について 1-8. 1-9.軸のラベルとカーソル線の連動について 1-9.軸のラベルとカーソル線の連動について 1-10.ディレクトリ構成、ファイルなど 1-10.ディレクトリ構成、ファイルなど 1-11.MagRO のメインウインドウ 1-11. 1-1 1-3 1-4 1-5 1-6 1-6 1-7 1-8 1-10 1-11 1-13 1-13 1-14 1-14 1-15 1-16 1-17 1-18 2-1.主鎖シグナルの帰属 1)必要なスペクトル 2)HSQC, 2)HSQC, HNCO あるいは HNCOCA のピークピッキング 3)ピークピッキング前のスペクトル強度しきい値(threshold) 3)ピークピッキング前のスペクトル強度しきい値(threshold)の微調整 (threshold)の微調整 4)ピークピッキング開始 5)ピークリストの読み込み、ノイズ消去、保存など 6)refine 6)refine したピークリストをファイルに保存するには 7)主鎖帰属用ピークテーブルファイル、assign_BBM.txt 7)主鎖帰属用ピークテーブルファイル、assign_BBM.txt の作成 8)主鎖帰属用ピークテーブルフ、 8)主鎖帰属用ピークテーブルフ、assign_BBAM.txt 主鎖帰属用ピークテーブルフ、assign_BBAM.txt の編集 9)古い assign_BBM.txt の読み込み 10)シンクジャンプのテストとスペクトル位置の微調整 11)完全自動ピーク ID テーブル作成 12)主鎖化学シフトテーブル(黄色いモジュール)への化学シフト入力 12)主鎖化学シフトテーブル(黄色いモジュール)への化学シフト入力 13)連鎖帰属候補 PeakID の検索機能 14)主鎖帰属用モジュールを使った連鎖帰属 15)自動連鎖帰属プログラム" 15)自動連鎖帰属プログラム"QuickAssign" 16)手動による残基番号の確定 17) 帰属された残基番号の解除 18)" 18)"CheckAssign"による連鎖帰属の確認、修正 CheckAssign"による連鎖帰属の確認、修正 19)セグメントごとの連鎖帰属に基づいたスペクトル表示、連鎖帰属の確認 20)帰属の終了と帰属結果の Acs シフトテーブルへの移行 21)帰属結果の Acs シフトテーブルへの移行と Hα, Hβシグナルの自動帰属 2-1 2-1 2-2 2-2 2-2 2-3 2-4 2-4 2-5 2-6 2-7 2-8 2-9 2-10 2-12 2-15 2-15 2-16 2-18 2-19 2-20 3-1.脂肪族系側鎖シグナルの帰属 1)必要なスペクトル 2)MacRO-Acs 2)MacRO-Acs モジュールの使い方 3)Acs 3)Acs モジュールへの化学シフト入力 4)H 4)Hα、Hβの帰属 5)C 5)Cγ以降の Aliphatic カーボンシグナルの帰属 6)H 6)Hγ以降のプロトンシグナルの帰属(芳香族系アミノ酸を除く) 以降のプロトンシグナルの帰属(芳香族系アミノ酸を除く) 7)アミドシグナルが観測できない残基の側鎖シグナルの帰属 7)アミドシグナルが観測できない残基の側鎖シグナルの帰属 3-1 3-1 3-2 3-5 3-6 3-7 3-11 0-1 8)帰属されていない脂肪鎖系側鎖シグナルの帰属 8)帰属されていない脂肪鎖系側鎖シグナルの帰属 3-13 3-2.芳香族系側鎖シグナルの帰属 3-2.芳香族系側鎖シグナルの帰属 1)必要なスペクトル 2)Psr 2)Psr を使ったシグナルの帰属 3-14 3-15 3-3."Show 3-3."Show strip" 機能を使った側鎖シグナル帰属結果の確認 3-16 3-4.側鎖脂肪属系、芳香属系シグナルの完全自動帰属機能 1)側鎖脂肪属系、芳香属系シグナルの 1 残基完全自動帰属 2)全残基に対する側鎖シグナルの完全自動帰属 3-17 3-18 4-1.CYANA セットアップモジュール 4-1. 1)CYANA 計算に必要なファイル群 1) 2)実際に実行してみましょう 3)各インプットファイル作成項目の説明 4)ユーザー作成ファイル*.upl, *.lol, *.aco あるいは *.lib ファイルを 4)ユーザー作成ファイル 使用したい場合 4-7 4-2.CYANA result analysis モジュール 4-2. 1)モジュールのセットアップ 2)メインウインドウ( 2)メインウインドウ(Row モード)各部の説明 モード 各部の説明 3)CYANA results analysis モジュールからの"Sync-Jump" 3) モジュールからの 4)メインウインドウ( 4)メインウインドウ(Sort モード)各部の説明 モード 各部の説明 5)このモジュール最強の機能 Sort& &Skip による問題 NOE ピークの探索 6)2D 6)2 アスペクト比( アスペクト比(Y 軸方向の表示スペクトル幅)固定機能 7)ピークラベル支援機能 4-8 4-9 4-10 4-11 4-12 4-13 4-14 5-1.FLYAセットアップモジュール 1)FLYA 計算に必要なファイル群 1) 2)実際に FLYA 計算の設定をしてみましょう 3)FLYA setup module によって作成されるファイル群の詳細 3) 4)FLYA 計算の実行 4) 5)FLYA 計算結果の読み込み 5) 5-1 5-2 5-4 5-4 5-5 6-1.Peak table の取り扱い 6-1. 1)ピークリストの読み込みかた 2)ピークの追加、削除、編集モードへの切り替え 3)ピークリストの保存 4)削除指定されたピークの復元 6-1 6-2 6-3 6-3 7-1.トラブルシューティング 1)ウィンドウが操作できない 2)CYANA 2)CYANA result analysis が正しく表示できなくなった 3)全くキー入力が出来ない 3)全くキー入力が出来ない 7-1 7-2 7-3 0-2 4-1 4-2 4-4 1-1.インストール (NMRView (NMRView C-version) 必要となるものは以下の3つです。 nv_template.tar.gz (中身は NMRView ver5.0) SH3.seq (テキストファイル。中身は1文字表記したサンプルの配列) MagRO_NMRView_v1.18.x.tar.gz MagRO のバージョン名は一番下の桁がバクフィックスなどマイナーな変更があった場合、それよりも上の桁 は新機能追加など大きなバージョンアップがあったことを示しています。 nv_template.tar.gz (中身は NMRView ver5.0) をご自分のホームディレクトリにコピーし、展開します。 cp /home/naohiro/pub/nv_template.tar.gz ~/ tar xvzf nv_template.tar 展開後には nv_template が作られるので適当な名前に変更します。 mv nv_template nv_SH3 このディレクトリが作業ディレクトリ 作業ディレクトリになります。NMRVIEW 形式のスペクトルは全てこのディレクトリの下 作業ディレクトリ の階層にある matrix ディレクトリに置いてください。 次に、MagRO_NMRView_v1.18.x をディレクトリーごとコピーします。コピー先はどこでもよいのですが私 は自分のホームディレクトリに bin ディレクトリを作り、以下のようにしています; cd ~/bin tar xvzf MagRO_NMRView_v1.18.29.tar.gz ~/bin/MagRO_NMRView_v1.18.29 続いて~/bin/MagRO_NMRView_v1.18.29 に移動します。 cd ~/bin/MagRO_NMRView_v1.18.29 run_temp_C.csh というファイルをテキストエディターで開き、以下の項目を編集します。 setenv NKDIR /home/naohiro setenv MGFIR MagRO_NMRView_v1.18.29 setenv NMRVIEW5HOME $NKDIR/nv_SH3 編集後、run_temp_C.csh をホームディレクトリにコピーします。ファイル名はわかりやすい名前に変更しま す。 cp run_temp_C.csh ~/run_SH3_C.csh 以上でインストール完了です。 MagRO を実行するにはホームディレクトリで以下のようにタイプします; ./run_SH3_C.csh エラーが生じた場合、csh ファイルのパーミッションを確認してください。また setenv しているパスが正しい かどうかも確認してみてください。Tcl/Tk のエラーが出る場合は Tcl/Tk のインストールが必要である可能性が あります。 1-1 インストール (NMRView (NMRView Java-version) 必要となるものは以下の3つです。NMRViewJ9 以降がインストールされているものとします。 nv_SH3 (作業ディレクトリ) SH3.seq (テキストファイル。中身は1文字表記したサンプルの配列) MagRO_NMRView_v1.18.x.tar.gz MagRO のバージョン名は一番下の桁がバクフィックスなどマイナーな変更があった場合、それよりも上の桁 は新機能追加など大きなバージョンアップがあったことを示しています。 作業ディレクトリの名称は分かりやすければ何でも良いです。NMRVIEW 形式のスペクトルは全てこのディレ 作業ディレクトリ クトリの下の階層にある matrix ディレクトリに置くことになります。 作業ディレクトリに matrix ディレクトリを作成します nv_SH3/matrix 次に、MagRO_NMRView_v1.18.x をディレクトリーごとコピーします。コピー先はどこでもよいのですが私 は自分のホームディレクトリに bin ディレクトリを作り、以下のようにしています; cd ~/bin tar xvzf MagRO_NMRView_v1.18.29.tar.gz ~/bin/MagRO_NMRView_v1.18.29 続いて~/bin/MagRO_NMRView_v1.18.29 に移動します。 cd ~/bin/MagRO_NMRView_v1.18.29 run_temp_J9.csh というファイルをテキストエディターで開き、以下の項目を以下の例の様に編集します。 setenv MAGDIR /home/nmruser/MagRO_NMRView_v1.18.29 setenv NMRVIEWJ /home/nmruser/NMRViewJ setenv NVDIR /home/nmruser/nv_PH8 MAGDIR、NMRVIEWJ、NVDIR はぞれぞれ、MagRO-NMRView の場所、インストールされた NMRViewJ の場所、解析作業ディレクトリを指定しています。解析対象について適切に編集してください。 編集後、run_temp_C.csh をホームディレクトリにコピーします。ファイル名はわかりやすい名前に変更しま す。 cp run_temp_J9.csh ~/run_SH3_J9.csh 以上でインストール完了です。 MagRO を実行するにはホームディレクトリで以下のようにタイプします; ./run_SH3_J9.csh エラーが生じた場合、csh ファイルのパーミッションを確認してください。また指定しているパスが正しいか どうかも確認してみてください。 [注意] 注意]仮想環境での共有ディレクトリ上に作業ディレクトリを置くと正常にNMRスペクトルデータが読み込ま れないことがあります。解析用の作業ディレクトリは home ディレクトリを使用していただくことをお勧めし ます。 1-2 1-2.作業ディレクトリの追加 1) 作業ディレクトリを新たに作成する場合、インストールと同じように nv_template.tar.gz を 展開し、ディ レクトリ名を変更します; 2)シェルスクリプトファイルを既に作成されたものからコピーし、編集します。 前頁と同様に setenv のパスを変更します。 以上で作業ディレクトリの追加完了です。 1-3 1-3.MagRO 1-3.MagRO のアップデート MagRO は現在も開発途上にあり頻繁にアップデートが繰り返されております。その度に新機能が追加された りバグが新たに発生したりしますが、作業上致命的なバグ等は迅速に対処して発見次第バグフィックス版がリ リースされることがあります。このような理由から MagRO は比較的容易にアップデートができるように設計 されております。アップデートは古い MagRO ディレクトリを新しいものと入れ替えるだけで終了します。 アップデートされるとスタートアップモジュールの左上、 あるいは起動後に出てくるメインモジュールに のようにバージョン名が表示されるのでアップデートされたか確認してください。 1-4 1-4.MagRO 1-4.MagRO の初期セットアップ MagRO が正常にインストールさた状態で MagRO を起動すると以下のようなスタートアップモジュールが現 れます。 初めて"Start"ボタンを押して起動しようとした場合は直ちに MagDB と呼ばれる化学シフトテーブルが保存さ れているディレクトリが見つからないというメッセージが現れます。以下のようなセットアップ画面が自動的 に開きます。 アミノ酸配列画面を開くために左上のメニューから AddChain -> Library: protein_res.lib を選びます。 以下のように画面が切り替わります。 セットアップにはまず解析サンプルのアミノ酸配列を記入するか読み込みます。ファイルの読み込みは左中央 の File:ボタンを押し、配列ファイルを指定します。 1文字表記のみがサポートされますのでご注意ください。スペース、改行は無視されます。また、20種のア ミノ酸に対応しないものが含まれている場合はエラー終了します。 セットアップは"Start Setup"ボタンを押すことで完了します。 1-5 1-5.スタートアップモジュール各部の説明 1)スペクトルの登録 ファイル名エントリ 使用チェックボックス ファイルリストボックス ファイルリストボックスには matrix ディレクトリ中の nv ファイルを表示されています。 マウスでアクティベートした後、リストボックスに表示されている nv ファイルの一つを ファイル名エントリをマウスでアクティベート マウスでアクティベート ダブルクリックするとファイル名がエントリに登録されます。少し特殊な登録の仕方なのでご注意ください。 ダブルクリック 登録したスペクトルを解析で使用したい場合はリストの先頭にあるチェックボックスを有効 チェックボックスを有効にすると使用でき チェックボックスを有効 るようになります。 登録欄は2次元スペクトル用、3次元スペクトル用別に用意されており、一般的に使用頻度の高いスペクトル タイプがあらかじめ指定されています。以下指定されている2次元、3次元スペクトルを以下に示します。 指定項目 2D 15N HSQC 2D 13C CHSQC-all-aliph 2D 13C CHSQC-aro スペクトル名 2D 1H-15N HSDC 2D 1H-13C HSQC for allregion or apliphatic 2D 1H-13C HSQC for aromatic HNCO HNCACO HNCOCA HNCA CBCA(CO)NH HNCACB HBHA(CO)NH HNHAHB CC(CO)NH H(CC)(CO)NH 3D HNCO 3D HN(CA)CO 3D HN(CO)CA 3D HNCA 3D CBCA(CO)NH 3D HNCACB 3D HBHA(CBCA)(CO)NH 3D HNHAHB 3D C(CC)(CO)NH 3D H(CC)(CO)NH 1H-15N NOESY 13C NOESY all-aliph 13C NOESY arom 3D 1H-15N HSQC NOESY 3D 1H-13C HSQC NOESY for allregion or apliphatic 3D 1H-13C HSQC NOESY for aromatic HCCH-COSY HCCH-TOCSY CCH-TOCSY HCCH-COSY arom HCCH-TOCSY arom 3D H(C)CH-COSY for aliphatic 3D H(C)CH-TOCSY for aliphatic 3D (H)CCH-TOCSY for aliphatic 3D H(C)CH-COSY for aromatic 3D H(C)CH-TOCSY for aromatic ここに登録されていないスペクトルタイプは 2D-15N-other1, -other2, -other3 などとして4つまで登録できま す。 1-6 2)MagRO 2)MagRO で使用するスペクトルの簡易名 MagRO ではスペクトルの簡易命名法を使用します。スペクトルの管理画面などで登場しますので対応させら れるようにしてください。 簡易名 hsqc chsqc chsqc-ar スペクトル名 2D 1H-15N HSDC 2D 1H-13C HSQC for allregion or apliphatic 2D 1H-13C HSQC for aromatic hnco hncaco hncoca hnca cbcaconh hncacb hbhaconh hnhahb ccconh hccconh 3D HNCO 3D HN(CA)CO 3D HN(CO)CA 3D HNCA 3D CBCA(CO)NH 3D HNCACB 3D HBHA(CBCA)(CO)NH 3D HNHAHB 3D C(CC)(CO)NH 3D H(CC)(CO)NH nnoesy cnoesy cnoesy-ar 3D 1H-15N HSQC NOESY 3D 1H-13C HSQC NOESY for allregion or apliphatic 3D 1H-13C HSQC NOESY for aromatic hcchc hccht ccht hcchc-ar hccht-ar 3D H(C)CH-COSY for aliphatic 3D H(C)CH-TOCSY for aliphatic 3D (H)CCH-TOCSY for aliphatic 3D H(C)CH-COSY for aromatic 3D H(C)CH-TOCSY for aromatic 1-7 3)シンクジャンプ(Sync-Jump) )シンクジャンプ(Sync-Jump)属性について (Sync-Jump)属性について MagRO には3つのシンクジャンプ属性があり、スペクトルタイプそれぞれに対応しています。 シンクジャンプ属性 15N 13C-al 13C-ar 対象スペクトル系 1 H-15N 系 1 H-13C for all region or aliphatic 系 1 H-13C for all region or aromatic 系 ここで指定されている属性により帰属作業中に同じ属性を有するスペクトル群を連動させることができます。 例えば HNCACB や 15N-edite NOESY といった主鎖系帰属用スペクトルを 15N のシンクジャンプ属性として 登録すると登録された全てのスペクトルが 2 次元の1H-15N HSQC スペクトルを基準として同調しながら下の 図のようなスペクトルストリップを連動して表示できるようになります。 A B signal A に対する Sync-Jump C HN -> signal B に対する Sync-Jump 1-8 スタートアップモジュールには以下のようなボタンがあり、 シンクジャンプ属性切り替えボタン 以下のようにシンクジャンプ3つの属性を切り替えて表示することができます。 1 H スペクトル 15 N スペクトル 13 C-aliphatic スペクトル 13 C-aromatic スペクトル 1-9 4)スペクトルストリップ表示の詳細設定 デフォルトではシンクジャンプで表示される2次元スペクトルストリップはあらかじめ指定されたアスペクト 比で表示されるように設定されています。下の図に示すように各シンクジャンプ属性に登録されているスペク トル群の詳細設定が行えます。 詳細設定モードのスタートアップモジュール アスペクト比 ストリップ幅 (ppm) しきい値 設定項目の保存は "save" ボタンを押すことで実 行されます。 1-10 5)シンクジャンプにおける X 軸幅、アスペクト比の調整 スタートアップモジュールでは Sync-Jump コントロールによる 2 次元スペクトルのアスペクト比、3 次元スペ クトルではストリップ表示における HSQC プロジェクションアスペクト比を調整できます。 X 軸幅とアスペクト比を調整すると以下のように"Sync-Jump"により表示される2D スペクトルの表示範囲が 調整できます。 X 軸幅: 0.5 X 軸幅: 1.0 X 軸幅: 1.0 アスペクト比: 80 アスペクト比: 80 アスペクト比: 20 X 軸幅: 1.0 アスペクト比: 200 1-11 3 次元スペクトルについても前項で説明した X 軸幅、アスペクト比による調整が反映されます。 90°フリップ 90 フリップ X 軸幅: 軸幅:1.5 X 軸幅: 軸幅:1.0 アスペクト: アスペクト:10 アスペクト: アスペクト:20 アスペクト: アスペクト:2 シンクジャンプによる 2 次元ストリップを表示する際に X 軸幅は上記の左図のように調整できます。 また 90°フリップによる X 軸と Z 軸の交換を行なった際には X 軸の幅とアスペクト比により決定された Z 軸 幅が上図右のように調整されます。 1-12 6)MagRO 6)MagRO の実行 解析をスタートさせるには "start" ボタンを押します。 【注意】"start" ボタンを押して解析をスタートさせても設定は上書き保存されるようになっています。 7)13C 7)13C 化学シフトのオフセット設定 13C-correction と示されたエントリがありますが作業上はあまり重要ではありませんのでわからない場合は 0.0 を入力しておいてください。 MagRO には帰属の評価機能、自動帰属の機能があり、そこでは主にに 13C の化学シフト値が重要になります。 もし解析中のスペクトルが全て標準となっている化学シフトからずれている場合(全スペクトルで共通してオ フセットがずれている場合)そのずれの値をこのエントリに記入すると評価機能が正常に働きます。 特に、TALOS や FLYA などの化学シフトのずれに sensitive な計算を予定している場合は調整の必要がありま す。 1-13 1-6.スペクトルのシンクジャンプモード切替 全てのスペクトルウインドウにはすべてシンクジャンプ、サイレント シンクジャンプ、サイレントの2つのモード、2D の HSQC タイプの シンクジャンプ、サイレント スペクトルにはこれらに加えクリックアンドジャンプモード クリックアンドジャンプモードがあり、ウィンドウ上部のボタンで切り替えるこ クリックアンドジャンプモード とができます。 15 N)をもつスペクトルが同調的に動くモード シンクジャンプモードでは前項での説明どおり,同じ属性(たとえば シンクジャンプモード で、シンクジャンプ命令に対して従属的になります。これに対してクリックアンドジャンプモード クリックアンドジャンプモードの状態では クリックアンドジャンプモード スペクトル上の任意の場所をクリックすることで対応する化学シフトに対するシンクジャンプ命令を発生でき るようになります。サイレントモード サイレントモードではシンクジャンプ命令に対して反応しなくなります。 サイレントモード シンクジャンプモード クリックアンドジャンプモード サイレントモード 1-7.2D 1-7.2 ストリップにおけるスペクトル幅固定機能 3 次元スペクトルからシンクジャンプ機能により表示される2D スペクトルストリップはスペクトル幅を 固定することができます。この機能は後述する CYANA result analysis モジュールを使用する際に特に役立 ちます。 ストリップ中央下部分にあるチェックボックスを有効にすると Sync-Jump 直前の XY 軸方向の表示スペク トル幅が固定されます。チェックボックスを無効にすると Y 軸方向の表示範囲は全域に、X 軸は前述の設 定値に戻ります。 1-14 1-8.NMRView フォーマット変換、スペクトルの軸の順番について 1-8. MagRO-NMRView では NMRView フォーマットのスペクトルのみを取り扱うことが出来ます。 NMRView フォーマットの変換には NMRPipe を使用します。 以下に 3D 15N-edited NOESY スペクトルの NMRPipe マクロを示します。 xyz2pipe -in /home/naohiro/NMRPipe/ft/n15noe_%03d.ft3 -x -verb ¥ | pipe2xyz -out n15noe.nv -nv -ov このスクリプトを実行すると既に NMRPipe フォーマットとして処理されたスペクトルデータが読み込まれ NMRView フォーマットとして保存されます。 スクリプト実行中に軸のラベルが各次元で以下の例のように表示されます 555 1024 32 18 32 1 256 256 16 16 16 18 128 128 8 16 16 288 31 15 7 1 500.13 3257.16 5 500.13 6756.76 9 50.68 1315.79 4.80 614.00 H 4.80 128.00 HN 120.12 64.00 N 右端の軸のラベルの順番に注意してください。 MagRO では観測核をX軸に、15N 核あるいは 13C 核の軸をZ軸に設定しないと多くのスペクトル連動機能が 正常に機能しません。 15N 系 HNCO, HNCACB, CBCACONH など N edited NOESY, H(CCCO)NH など HN-C-15N HN-H-15N HCCH-TOCSY, 13C-edited NOESY など HC-H-13C 15 13C 系 正しい軸の順番に並べ替えるには以下のように NMRPipe データの読み込む軸を変えてみる必要があります。 xyz2pipe -in /home/naohiro/NMRPipe/ft/n15noe_%03d.ft3 -x -verb ¥ | pipe2xyz -out n15noe.nv -nv -ov あるいは TP コマンドを使って軸の回転(transpose)を行って順番を変更します。 [注意]HCCH-TOCSY 注意]HCCH-TOCSY は特に軸の順番に注意してください。 左の図のスペクトルでは X 軸が H、y軸が観測核(direct dimension)、 Z 軸が 13C 核になっています。 この軸の順番の設定は他のスペクトルとシグナル位置をy軸で比較する 場合に非常に重要になってきます。 1-15 1-9.軸のラベルとカーソル線の連動について y 軸のカーソル線が 連動する 15 HCCH-TOCSY N-edited NOESY NMRView の重要な機能としてスペクトルウインドウのカーソル線が連動することが上げられます。 この機能はシグナル位置、化学シフトの確認などに非常に重要かつ便利な機能です。 この機能には連動させたい軸のラベルが同一であることが必要です。 上図の場合、HCCH-TOCSY のy軸が 15N-edited NOESY のスペクトルとカーソル線が連動できることを説明 しています。重要なのは y 軸のラベルが両方とも"H"に設定されていることです。 もしカーソルが連動しない場合はスペクトルの上部にある Pref ボタンを押してラベルを変更して MagRO を再 起動すると常に有効になります。 またスペクトルのウインドウから Attribute 画面を開いて各軸のラベルを一時的に変更できます。MagRO 再起 動後は元に戻ります。(Java 版ではマウス右クリック-> attribute->View タブで開きます) NMRView C-version 1-16 NMRView Java-version 1-10.ディレクトリ構成、ファイルなど MagRO では以下のようなディレクトリ構成を使用しています。 matrix -----------| | MagDB protein_0_0_acs.db protein_0_0_seq.db 化学シフトテーブル アミノ酸配列 backup 化学シフト、連鎖帰属結果のバックアップ xpkfiles MagRO が使用する peak list ファイルの保存場所 CYANA_results CYANA 計算の解析結果の保存場所 000temp 各種の一時的なファイルの保存場所 この中で最も重要なディレクトリは MagDB です。化学シフトテーブルを保存していますので定期的にバック アップを取っておくことをお勧めします。 000temp には表示ウィンドウのサイズなどの情報が保存されていますが削除しても問題はありません。 CAYANA_results のディレクトリは CYANA 計算の一時的な情報が保存されています。削除しても問題はあり ません。 1-17 1-11.MagRO のメインウインドウ 1-11. MagRO が起動されると下のようなウインドウが表示されます。 Startup モジュールの呼び出し 通常の NMRView に戻す 90 度フリップボタン Acs モジュール呼び出し スペクトルウインドウの呼び出し Acs editor 呼び出し BBAM 呼び出し PSR 呼び出し 各ボタンの機能を以下に示します。 Quit: SetSpec: Call NMRView: Acs Main: Acs Editor: BackBone: PSR: MagRO-NMRView を終了します。 Startup モジュールを呼び出します。 通常の NMRView のメニューに戻します。 MagRO-Acs モジュールを呼び出します。 Acs Editor を呼び出します。 主鎖シグナルの連鎖帰属ツール BBRM を呼び出します。 帰属支援ツール PSR を呼び出します。 中央のリストボックスは登録され使用可能なスペクトル群を簡易名でリストしています。 右側の 90 度フリップボタン 15N 90°>>、13C-al 90°>>、13C-ar 90°>>はそれぞれ 15N 系、13C-aliphatic、13C-aromatic のシンクジャンプ属性を持つ 3D-スペクトル群について Z-軸を中心に スペクトル全体をフリップさせます。 スタートアップモジュールを呼び出すことで各スペクトルのシンクジャンプ設定を変更できます。また登録さ れていないスペクトルを追加して表示することもできます。 1-18 2-1.主鎖シグナルの帰属 1)必要なスペクトル 主鎖帰属をはじめるにあたって、2次元 1H-15N HSQC および以下の3次元スペクトルが必要となります。 スペクトル名 3D HNCO 3D HN(CA)CO 3D HN(CO)CA 3D HNCA 3D CBCA(CO)NH 3D HNCACB 化学シフトを読む核種 CO(i-1) CO(i) Cα(i-1) Cα(i) Cβ(i-1) Cβ(i) 軸の核種とその順番 1 H(acq)-13C-15N 1 H(acq)-13C-15N 1 H(acq)-13C-15N 1 H(acq)-13C-15N 1 H(acq)-13C-15N 1 H(acq)-13C-15N 軸のラベル例 HN-C-N HN-C-N HN-C-N HN-C-N HN-C-N HN-C-N 主鎖シグナルの帰属には CO 系、Cβ系のスペクトルを用意しなくても帰属できる場合があります。 HNCACB などスペクトル中に Cα(i)などか観測されるものはその核種を代用することができます。 【注意】軸の核種とその順番に注意してください。もし間違っている場合 MagRO は正常に動作しません。 2)HSQC, 2)HSQC, HNCO あるいは HNCOCA のピークピッキング 作業の第一段階として、1H-15N HSQC 上に観測される主鎖アミドシグナルに ID 番号を割り当てます。 分解能と感度の点から3次元スペクトル、特に HNCO,あるいは HN(CO)CA を使用することをお勧めし ます。本稿では HNCO を例として説明します。 まず、hnco.xpk ファイルの作成を行います。 メインウィンドウにリストされているスペクトル群の中から hnco を選んでダブルクリックします。 ダブルクリック HNCO スペクトルウインドウの右上にある Peaks ボタンをクリックします。 2-1 3)ピークピッキング前のスペクトル強度しきい値(threshold) 3)ピークピッキング前のスペクトル強度しきい値(threshold)の微調整 (threshold)の微調整 上下キーを使ってスペクトルの Z 軸方向を移動させて見 HNCO スペクトルの画面を開いている状態で、上下キー 上下キー ます。スペクトルが現れたら、R R キー、F threshold キー、F キーを押してちょうど良いスペクトル表示になるまで キー を調整します。 4)ピークピッキング開始 MagRO Simple Peak Manager の画面が表示されたら、AutoPicker ボタンを押します。 Automate peak picker の画面で出力ファイルの名前を hnco.xpk に変更します。 Peak Picker ボタンを押すとピークピッキングが開始されます。 5)ピークリストの読み込み、ノイズ消去、保存など 作成されたピークリストは nv_demo/matrix/hnco.xpk などとして保存されます。 ピークマネージャーのウィンドウで File->Load xpk を押して、hnco.xpk を選んで読み込みます。 読み込んだ後、上記中央図のように Peak list:が"none"になっているのでプルダウンメニューからピーク リストとして読み込まれた hnco に変更します。変更後に DrawPeaks ボタンを押すと上記右図のように 検出されたピークが青い四角で表示されます。Z 軸の切り出しプレーンの真上に乗っているピークは青く、 近いプレーンにあるピークは緑色に表示されています。 2-2 ピーク消去 ピーク位置、ボックス大きさ調整 通常モード ピーク追加 HNCO スペクトルウィンドウの上部にはピークボックスを追加、大きさ位置調整、削除させるモードに カーソルを変化させるボタンが実装されています。 ピーク消去モードは取り消しが難しいので慎重に操作してください。 スペクトルを表示させた状態で W、A、D、S キーを押すとそれぞれ上左右下への移動が出来ます。 <誤って消去してしまったピークの復活は以下のようにします> MagRO Simple PeakManager のウィンドウを開き、PeakList: を編集している対象のピークリストに競 ってします。ウィンドウの中段にある"show only deleted", "jump to peak"のチェックボタンを有効にし ます。<>ボタンを押すと消去指定されているピークにジャンプします。 削除対象のピークはドクロマークボタンの右側に"deleted" 削除対象のピークはドクロマークボタンの右側に"deleted"と表示されます。 "deleted"と表示されます。 削除を取り消したいピーク位置にジャンプしたらドクロマークボタンを押して消去を取り消します。 6)refine 6)refine したピークリストをファイルに保存するには 保存の仕方は何通りかありますが、削除対象のピークを完全削除して、ピーク番号をリナンバーするには MagRO Simple PeakManager のウィンドウの Tool -> Get-Int,Cmp&Degap,Write を選び、ファイル名 を指定します。 【注意】主鎖帰属のピークリスト作成のために本項では hnco.xpk というファイル名で保存してください。 【注意】スペクトルの軸のラベルに同一の文字列 同一の文字列を使用すると正常にファイルが作成されません。 同一の文字列 誤)1H-1H-N 正)HN-N-C 2-3 7)主鎖帰属用ピークテーブルファイル、assign_NN.txt 7)主鎖帰属用ピークテーブルファイル、assign_NN.txt の作成 まず左に示す黄色いモジュールのメニューにある "Setup" ボタンを押します。すると右上のような確認 メッセージが現れますので Yes を選んで次に進みます。 すると以下のような選択画面が現れますので、"hnco.xpk" をチェックして Setup ボタンを押します。 以上でエラーメッセージが現れなければセットアップは終了です。 8)主鎖帰属用ピークテーブルフ、assign_NN.txt 8)主鎖帰属用ピークテーブルフ、assign_NN.txt の編集 assign_NN.txt が正常に作成されたので、続いてこのファイ ルの編集を行います。 黄色いモジュールの下段にある ID 番号の増減ボタン<>を押 してピーク ID 番号を増減させて見ましょう。 主鎖帰属系スペクトル群が連動して各ピーク番号ごとに 1H15 N のシグナル位置にジャンプして表示されていることが確 認できます。 黄色いモジュールの左上にある "Show Id" ボタンを押すと主鎖帰属系スペクトル群に上図に示すような 青いピークボックスが表示されるようになります。 2-4 assign_NN.txt ファイルは適当なテキストエディターで編集が可能です。 ID 番号は欠番が発生しても問題がありませんが、重複しないように、正の整数を使用してください。 ファイルのカラム数には注意してください。多くても少なくても MagRO は正常に機能しなくなります。 続いて、できる限り側鎖シグナルのピーク、マイナーピーク、ノイズ等が含まれないよう ID の総数がア ミノ酸配列の 1.2~1.3 倍程度に収まるように編集します。 ピーク ID の整理は 2D 1H-15N HSQC を用いて行えます。 ピークボックスが表示された状態でピークの削除、追加、移動等が通常のピーク同様に操作できます。ピ ークの整理ができたら"Save ID"ボタンを押し、assign_NN.txt ファイルに反映させます。 9)古い assign_NN.txt の読み込み Matrix ディレクトリには/backup ディレクトリが自動的に作成され、assign_NN.txt、Acs ディレクトリ などが随時バックアップとして保存されていきます。問題が発生したとき、あるいは以前の状態に戻した いときは matrix/backup ディレクトリにあるファイルを探してみてください。 黄色いモジュールの左上にある Editor ボタンを押すと assign_NN.txt のエディターウインドウが開きま す。エディターの File->Open から読み込みたいファイルをします。 2-5 10)シンクジャンプのテストとスペクトル位置の微調整 N 系 90 度フリップ 15 N 系に指定された主鎖帰属用3次元スペクトル をウインドウにサイズや位置を調整しながら左図 のように並べます。 並べたら下のような黄色いモジュール下段にある ボタンで ID 番号を増減させてみます。 スペクトル全てが同調して動いていることを確認 してください。 15 続いて黒と赤のカーソルラインが連動していることも確認してください。もし連動していないときは軸ラ ベルが一致していない可能性があるので後述のとうり確認してください。 次に、ID 番号を増減させた際に全てのスペクトルストリップにあるシグナルが中心となるように連動し ていることを確認してください。OK であれば 15N90º>>、を押して15N 系スペクトルを90度フリッ プさせ、横軸を1H から15N に換えます。同様にカーソルラインの連動や、ピークの中心位置が一致して いることを確認します。 【問題の解決】 A)カーソルラインが連動しない場合 軸ラベルが正しくない場合があります。スペクトルのヘッドにある Pref ボタンを押して Preference 画面 を表示し、軸ラベルが他のスペクトルと一致していることを確認してください。またスペクトルの軸の核 種が正しくないことがあります。この場合 NMRView の Attribute 画面内で軸の順番を変更をするか、ス ペクトルを再変換する必要があります。 B) 全体的にスペクトルがずれているらしい場合 スペクトルのヘッドにある Pref ボタンを押して Preference 画 面を表示し、ずれていると思われる軸のオフセット値を微調整 してください。 C) 一部のシグナルだけが全てのスペクトルで同様にずれている場合 前項に解説した方法でずれていると思われる peak の化学シフトを修正してください。 2-6 11) 11) 完全自動ピーク ID テーブル作成 以下に作業に必要な条件を示します。 最低限必要なスペクトル 3D-HNCO あるいは 3D-HN(CO)CA 最大限の機能を発揮させるには 3D-HNCO, HN(CA)CO, HN(CO)CA, HNCA, CBCA(CO)NH, HNCACB, C(CO)NH 実行するには黄色いモジュールの" Setup" ボタンを押します。 すると Yes/No を聞かれますので Yes を選択すると以下のような ID テーブルの作成方法を選択する画面 が現れます。 自動作成には、①単純に ID テーブルを作成する 、②ID テーブルを作成した後 CA, CO, CB シグナルの 同定も行う、の 2 つの方法が選択できます。それぞれ実行時点で使用できる全てのスペクトル群を使用 してプログラムが自動的に出来る限りのことを実行しようとします。 1 2 "Setup"ボタンを押すとテキストエディターが起動すると同時に実行の意思のを再確認してきます。 ここで Yes を選択すると、ターミナルウインドウが開き、完全自動プログラムが起動します。実行には作 業環境に依存しますが数分程度かかります。 自動作成プログラムが終了すると、ターミナルウインドウが閉じてテキストエディターが最前面に表示さ れます。うまく行けば多くの CO, CA, CB シグナルが帰属されているはずです。 各ピーク ID ごとに CO, CA, CB のシグナル登録を実行する "AutoFill"、同様の作業をすべてのピーク ID に実行する FillAll ボタンがあります。実行精度はそれほど高いものではありませ んが作業効率の向上のために利用可能です。 2-7 12)主鎖化学シフトテーブル(黄色いモジュール)への化学シフト入力 12)主鎖化学シフトテーブル(黄色いモジュール)への化学シフト入力 主鎖化学シフトテーブルを完成することが主鎖シグナル帰属の次のステップになります。 並べた3D スペクトルストリップ群に対して、カーソル操作による手動入力あるいは全自動入力を行いま す。それぞれのスペクトルから入力される核種はスペクトルのボトム部分に青い囲み部分のように示され ています。 マウス中クリック 横カーソルラインをターゲットのピーク頂上に合わせてマウス中ボタンを押すと化学シフトが該当する各 種のエントリに入力されます。(青い四角の囲み) 入力後は"Save" "Save" ボタン(赤い囲み)を忘れず押してください。 "Predict" (黒い囲み)ボタンを押すと入力された化学シフトから予想されるアミノ酸タイプを i 番目と i-1 番目の残基に対して可能性の高い順番で表示します。すべてアミノ酸 1 文字表記法で大文字で表されてい ます。 アミノ酸タイプの予測は Cαおよび Cβの化学シフトと BMRB のデータベースより得た標準的な化学シフ トとの差から実行されます。したがってもし 13C の化学シフトが全体的にずれてしまっている場合 13C の 補正値をスタートアップモジュールで設定してださい。 "ShowId" ボタン(緑色の囲み)を押すことで入力された化学シフトに対応するスペクトル上での位置を 青い四角の囲みを表示させることで簡単に確認できます。 2-8 13)連鎖帰属候補 PeakID の検索機能 "Search <" および "Search >"ボタン(青色の囲み)は現在表示されている PeakID に対して入力された Cα, Cβ, CO 化学シフト値に基づいて、連鎖帰属できそうな peakID のリストを表示する機能です。スペ クトルデータの位置と強度から判断されるのできわめて高い精度で検出できることがあります。 検索される対象のスペクトルはそれぞれ; (i-1)の検索 (i-1)の検索 CO: HN(CA)CO Cα: HNCA Cβ: HNCACB (i+1)の検索 (i+1)の検索 HNCO HN(CO)CA CBCA(CO)NH 左側にあるチェックボックスを OFF にすると検索の対象か らはずされます。 検索結果は可能性の高い順に直下のリストボックスに表示さ れます。高い可能性を持つ PeakID は濃い色で表示され、既 に残基番号の帰属が確定しているものは括弧内に表示されま す。 (i+1)の検索結果 (i+1)の検索結果 (i-1)の検索結果 (i-1) の検索結果 ダブルクリック 表示させたい核種をモジュールの右下にある CO, CA, CB チェックボックスを ON にした状態で、リストボックス に表示されている PeakID の候補をダブルクリックする と対応するスペクトルストリップが呼び出され現在解 析」している PeakID に対して寄り添うように表示され ます。 左の例では現在解析中の PeakID15 に対して検索された 候補 PeakID を CO シグナルについて検討しています。 (i-1)の候補の PeakID:14 をダブルクリックすると緑色の 緑色の HN(CA)CO ストリップが表示されます。現在解析中の PeakID のシグナルと完全一致しているので連鎖帰属が 達成されています。 (i+1)の候補 PeakID:3 をダブルクリックすると黄色の 黄色の HNCO ストリップが表示されます。 現在解析中の PeakID のシグナルと完全一致しているので連鎖帰属が達成され ています。 HNCO, PeakID 15 HN(CA)CO, PeakID 14 HNCO, PeakID 3 HN(CA)CO, PeakID 15 2-9 14)主鎖帰属用モジュールを使った連鎖帰属 黄色いモジュール左上にある"Editor"ボタンを押すと以下のようなエディターが開きます。 このエディターは assign_NN.txt ファイル専用であり、ID 番号、残基タイプ、残基番号、化学シフトに 対してソートができる設計になっています。 2 1 9 10 3 4 5 6 7 8 11 1:ファイルの読み込み、書き出し 2:"QuickAssign"を実行する 3:"CheckAssign" を実行する。連鎖帰属結果の評価 4:"Show Segments" を実行する。連鎖帰属されたスペクトルストリップを表示して帰属の確認ができ る。 5:ソート機能における昇順、降順の切り替えスイッチ 6:Acs への化学シフトデータの移行 7:HBHA の帰属と Acs への化学シフトデータの移行 8:Sequence Board の表示。アミノ酸配列、組成、帰属状況の確認に使う。 9:Quick Save を実行する。即時にファイルに保存する。 10:Undo, Redo ボタン。 11:ソートボタン。残基番号、アミノ酸タイプ、PeakID、化学シフト値に対してソートする。 2-10 Peak ID 番号 残基タイプ 残基番号 Peak ID 番号。番号を重複させることは出来ません。 アミノ酸タイプを1文字表記で並べて表現します。コメントを記入することは出来ますがスペースを 含めることは出来ません。 帰属されていない残基番号はすべて 999 になっています。 化学シフト値 HN, 15N, Ca, Cb, CO 各シグナルの化学シフト値。初期状態は 999.990 になっています。 2 1 4 3 5 エディター右上にある"Sequence"ボタンを押すと解析中の配列を表示するウィンドウが開きます。 各部の機能 1:"Unassign"ボタン。選択された帰属を解除する。 2:"Select Res"スイッチ。各残基のボタンを押すことによる選択を可能にする 3:"All"ボタン。すべての残基を選択する。 4:"Reset"ボタン。残基の選択をリセットする。 5:アミノ酸組成ボタン。押すことにより配列中のアミノ酸タイプを強調できる。 "Select Res"スイッチを ON にした状態で配列ボタンを押すとボタンの色が暗い灰色になります(右上の パネル) 。この状態で"Unassign"ボタンを押すと選択された残基に対応する PeakID の帰属が解除されま す(残基番号が 9999 になります) 。帰属の解除後も化学シフト値は保持されます。 2-11 15)自動連鎖帰属プログラム" 15)自動連鎖帰属プログラム"QuickAssign" エディターの右上にある"QuickAssign"ボタンを押すと左下のようなウィンドウが開きます。 【各部の説明】 1:13C 補正値。もし解析中の化学シフト値が全体的に BMRB データベースとずれている場合、補 正値として入力してください 2:"QuickAssign"ボタン。自動連鎖帰属を実行します。 3:連鎖帰属における各シグナルに対するトレランス値。 4:"Trust user assign"スイッチ。ユーザーが決定した帰属配列を自動連鎖帰属に使用させる。 5:ペナルティ値。自動連鎖帰属によって決定されたピーク ID セグメントの評価値。5.0 を超える とやや信頼性が落ちます。 6:ピーク ID セグメントに対応する残基番号。 7:自動連鎖帰属によって見つかったピーク ID セグメント。ペナルティ値が 10.0 を超えたものは 表示されません。 1 5 2 4 3 7 6 "QuickAssign"ボタンを押すことによって自動連鎖帰属が実行されます。 プログラムは assign_NN.txt に記載されている CO, Ca, Cb の化学シフト値に基づいて予想されるアミノ 酸タイプとタンパク質の配列とを見比べながら最も可能性の高いセグメントを作成してリストボックスに 表示します。実行時間はおよそ数秒間です。 【注意】ノイズやマイナーピークが多い場合、残基数が 200 を超える場合は異常終了してしまうことが あります。 【重要】1 つ以上の残基で分岐した帰属結果が見出される場合、マイナー成分由来のピークが含まれてい ることが原因となっているケースが多いようです。その場合どの残基で分岐しているかを注意深く調べる とマイナーピークの帰属が行えます。 【重要】セグメント長が4残基以下の場合、ペナルティスコアが 5.0 を超える場合は C(CO)NH スペクト ルを使って隣接残基(i-1)のタイプを参照しながら帰属結果を確認することで確定できることがあります。 2-12 自動帰属によって見つかったピーク ID セグメントのうち一つをダブルクリックすると以下のようなウィ ンドウが開きます。 このウインドウには自動連鎖帰属によって作成されたセグメントの詳細が記述されています。 ペナルティ値、評価 確定ボタン 確定解除ボタン ピーク ID 番 自動帰属された残基番号 確定された残基番号 化学シフト差 配列上のアミノ酸残基名 "Assign"ボタンを押して帰属を確定します。するとダブルクリックしたセグメントの色が以下のように青 く変わります。 2-13 もしセグメントのペナルティ値が 5.0 以下であり、4 残基より長ければ次々確定していくことで連鎖帰属 の 8 割から 9 割が達成されるでしょう。 更に帰属を完成させるには帰属の確定した残基番号を利用させて"QuickAssign"を実行することが有効で す。"Fix user assign"チェックボックスを ON にして"QuickAssign"を実行します。 OFF の状態で実行すると以下のようなセグメントが帰属されますが、 ON にするとセグメントが長くなりいくつかのセグメントが連結されたり、長くなったりしているのが分 かります。 このことは帰属が確定したことにより複数の可能性があるセグメントが更に帰属されやすくなったためで 徐々に残りの残基を確定させていくことが出来ます。 2-14 16)手動による残基番号の確定 連鎖帰属を手動で行った場合、主鎖帰属モジュールに帰属が確定していない PeakID について残基番号を 確定することが出来ます。 左図にある Resno:のエントリに残基番号を入力して保存 します。 [注意] 注意]重複した残基番号を保存してしまうとエラーになり、 残基番号を増減させて連動表示させる機能が正常に動作 しなくなります。 17) 帰属された残基番号の解除 主鎖帰属モジュールの扱う aasign_NN.txt では残基番号が決定されていない PeakID については仮の残 基番号として 9999 が入力されています。 98 Q S 108 7.935 113.664 176.927 173.545 57.251 58.839 25.865 60.502 --- 99 S C 109 7.577 118.443 173.545 999.990 58.839 999.990 60.502 999.990 --- 100 P S 115 8.428 116.081 999.990 174.416 60.860 60.111 31.242 60.097 --- 101 S S 116 8.5990 116.794 102 S S 9999 8.511 117.864 174.416 172.145 60.111 56.059 60.097 61.633 --- 172.465 172.803 55.926 56.231 61.618 61.620 --- 確定された残基番号を解除するには黄色いモジュール(BBAM)あるいは MAGRO Assignment Table Manager にある"Sequence"ボタンを押して主鎖帰属用配列テーブルを表示させます。 右図の通り、モジュール上部にある"select res"ボタンをチェックします。この状態で配列ボタンを押すと ボタンの色が濃い灰色に変わり残基の選択状態になります(右図)。帰属された残基番号を解除したい残 基を選択したら左上の Unassign ボタンを押します。 2-15 18) "CheckAssign" "CheckAssign"による連鎖帰属の確認、修正 CheckAssign"による連鎖帰属の確認、修正 エディターのヘッド部分にある Check Assign ボタンを押すと左のようなウインドウが開き、確定したセ グメントが正しいかどうか直ちに判定することができます。 このウインドウでは化学シフトの差、アミノ酸タイプ、番号の重複など多くの項目を一度に調べて表示で きますので帰属の問題点を直ちに把握することができます。 注意すべき問題点には Warning が、深刻な問題には 深刻な問題には Error が赤字で表示されます。 赤字で表示されます。 連鎖帰属された peakID 間の化学シフトがやや大きい場合(0.3ppm 以上) 連鎖帰属された peakID 間の化学シフトが大きい場合(1.0ppm 以上) 複数の PeakID が同じ残基番号に帰属されている場合 連鎖帰属されているが化学シフトが入力されていない場合 連鎖帰属された PeakID のアミノ酸タイプが配列上のものと異なる場合 問題点が何も見出せない場合 2-16 Warning, Error の項目をダブルクリックすると問題点を含む連鎖帰属された PeakID に対するスペクト ルストリップを表示することが出来ます。 ダブルクリック 問題のあるスペクトルストリップ HN(CO)CA, PeakID 24 Thr62 に帰属 HNCA, PeakID 48 Arg61 に帰属 上記の例では Arg61, Thr62 に帰属された PeakID 24 と 48 は Ca の化学シフトが大きく異なっているた め Error となっている。このストリップ表示により PeakID 48 の入力位置がずれていることが明瞭に分 かります。カーソルをピークの頂点において右クリックすると化学シフト値がエントリーに入力されます。 入力後に"Save"ボタンを押すと変更が保存されます。変更は"ShowId"ボタンを押すと確認できます。 マウス右クリック 2-17 19)セグメントごとの連鎖帰属に基づいたスペクトル表示、連鎖帰属の確認 配列上考えられるセグメントごとに連鎖帰属されたピーク ID に対するスペクトルストリップを表示する ことが出来ます。エディターの右上にある"Show Segment"ボタンを押します。左下に示すようなウイン ドウが開きます。このウインドウのリストボックスには配列上可能な(Pro 残基で区切られる)セグメン トを表示しています。表示したい核種のチェックボタンを ON にしてセグメントをダブルクリックします。 ダブルクリック 注目すべきスペクトル領域 CBCA(CO)NH HNCACB CO, Cα, Cβ, Cα/Cβ, Hα/Hβ, NOE による連鎖帰属がこのモジュールで確認できます。 【注意】それぞれ対応する残基内および残基間相関スペクトルが必要になります。たとえば CA/CB モー ドの場合、CBCA(CO)NH と HNCACB スペクトルが必要です。 【各部の機能】 カーソル入力された PeakID 化学シフト値の保存 カーソル入力された化学シフト値 残基番号送り 90°フリップ シグナルの位置表示 2-18 20)帰属の終了と帰属結果の Acs シフトテーブルへの移行 主鎖シグナルの帰属が完了したら、化学シフト値を Acs テーブルに移行させる必要があります。化学シフ トテーブルは matrxi/MagDB/ディレクトリに、protei_0_0_chem.db というファイルに保存されています。 移行の方法にはまず、黄色いモジュールの"Editor"ボタンを押して Assignment table manager を開き、 モジュールのヘッダ部分にある Export Acs ボタンを押し、メッセージにしたがって操作します。 【注意】もともとあったファイルは上書きを選択した場合変更されてまうので必要に応じてバックアップ を取っておいてください。 エラーが生じなければ帰属結果が ACS モジュール(ピンク色のモジュール)に反映されます。 左に ACS モジュールが残基番号12番目 Gly の化学シフトテーブルを示しています。上記の手順によっ て主鎖原子、N, HN, CA の値が自動入力されます。残基によっては i 番目と i-1 番目の化学シフト値も得 られるため入力する値はそれらの平均値になります。 また HN と 15N の両方が帰属されている残基は 2D-1H-15N HSQC の"Assign" ボタンを押すことで帰属結 果を右下に示した図のように視覚的に確認することができます。 2-19 21)帰属結果の Acs シフトテーブルへの移行と Hα, Hβシグナルの自動帰属 MagRO では連鎖帰属終了後に Acs テーブルへの移行時の際に Hα, Hβシグナルの帰属を同時に実行する 機能があります。 実行するには以下のスペクトルが使用できる状態である必要があります。 スペクトル名 2D 1H-13C HSQC for aliphatic 3D HBHA(CO)NH MagRO での簡易表記 chsqc hbhaconh 実行は BBAM モジュールから Assignment table manager を開き、"Export HBHA"ボタンを押します。 帰属精度はスペクトルのクオリティーに強く依存しますが、70%程度の正確さで帰属が実行できます。 実行後は MagRO-Acs モジュールあるいは BBAM モジュールの残基番号を移動させながらスペクトルス トリップを連動させる機能により帰属を確認します。 非常に良くある帰属のミスとして Hβ2, Hβ3 のシグナルが分離できて観測できるのに重なっているものと して帰属されてしまう場合が多く見られます。 まず、メインのモジュールから hbhaconh を選んでダブルクリックし、HBHA(CO)NH を表示させます。 続いて、HBHA(CO)NH のウインドウ上部にある"Assign"ボタンをクリックして、シグナル帰属を表示さ せます。右図にある BBAM モジュールの残基番号を増減させるボタンを押して、HBHA(CO)NH スペク トルの 2D ストリップを連動させて(i-1)番目の残基に相当するスペクトルを表示させます。 対応する残基番号の帰属テーブルを Acs モジュール(左下図)で表示させ、対応するシグナル帰属の部分を ダブルクリックして編集画面(右下図)を開いて帰属情報の編集を行います。編集方法の詳細は次項3-1 を参照してください。 2-20 3-1.脂肪族系側鎖シグナルの帰属 1)必要なスペクトル 帰属をはじめるにあたって、2次元スペクトルとして 1H-13C HSQC for aliphatic および以下の3次元ス ペクトルが必要となります。 スペクトル名 3D HCCH-TOCSY for aliphatic 3D HCCH-COSY for aliphatic 3D 1H-13C edited-NOESY for aliphatic 軸の核種とその順番 H-1H(acq)-13C 1 H-1H(acq)-13C 1 H(acq)-1H-13C 軸のラベル例 HC-H-C HC-H-C HC-H-C 1 側鎖の帰属には HCCH-TOCSY、1H-13C edited-NOESY はほぼ必須となります。COSY タイプのスペク トルは必須ではありません。横軸は15N 系同様にすべて観測軸に対応します。 【重要】シンクジャンプの設定は 13C-al に設定してください。 【注意】軸の核種とその順番に注意してください。もし間違っている場合 MagRO は正常に動作しません。 特に HCCH 系のスペクトルは観測軸(direct dimension)をy軸に設定する必要があります。 2)MacRO-Acs 2)MacRO-Acs モジュールの使い方 残基番号の増減 残基タイプ 残基番号 シンクジャンプボタン MagRO-Acs モジュールの主な機能は帰属された化学シフトテーブルの管理です。 上図の赤く囲ったところに現在作業中のディレクトリ名が表示 されています。 希望する残基番号に移動するには、残基番号エントリに番号を 入力し、リターンキーを押すことで実行できます。また残基番 号増減ボタンによっても移動することができます。 希望する残基タイプに移動するには、残基タイプエントリに残 基タイプを入力し、残基タイプ移動ボタンによって残基番号ご とに移動することができます。タイプする残基タイプは 3 文字 表記、1 文字表記いずれも使用でき、大文字小文字の区別はあ りません。 シンクジャンプボタンをチェックすると、Acs モジュールを使 って 15N 系スペクトル群を連動表示させることができます。 また、青く囲った sequence ボタンを押すと左に示すような配 列テーブルが開きます。 ここで青く表示された残基は主鎖の HN、 15 N シグナルが帰属されていることを示しています。残基番号 のボタンを押すことで希望する残基の化学シフトテーブルに移 3-1 動することができます。もしシンクジャンプモードが有効になっている場合、青くなっている残基のみに ついてシンクジャンプ命令が発生します。黄色く表示されている Pro 残基はシンクジャンプしません。 帰属の完了していないシグナルの欄は左のように灰色で 表示され、データベースから得た標準的な化学シフト値 が表示されます。カーボンの化学シフトに関しては帰属 の参考になります。 【注意1】これらの標準的な化学シフト値はあくまでも目安として利用してください。 【注意2】スペクトルが全体的に標準的な値からずれている場合は注意が必要です。カーボンオフセット のずれはの MagRO 起動時にスタートアップ画面にある 13C 化学シフトのオフセット値を入力すること ができます。 3-2 3)Acs 3)Acs モジュールへの化学シフト入力 Acs モジュールに化学シフトを入力するには、希望するシグナルの化学シフト項目をダブルクリックする と右下のようなウィンドウ(Assigned Chemical Shift Editor)が開きます。 ダブルクリック 右下に示すスペクトルの部分(この場合ピークの頂点)にカーソル線を移動して、マウスの中ボタンをク リックすると指定された軸の化学シフト値が Assigned Chemical Shift Editor のエントリに入力されます。 マウス中クリック 上図の例ではスペクトルの Y 軸の化学シフト値が入力されますが、 化学シフト入力エントリ右にある x, y,z 軸を指定することで希望する軸方向の化学シフト値が入力できます。 入力後に赤く囲った Update ボタン(青い囲み)を押すことで 入力を確定することができます。この段階では帰属された 化学シフトは保存されません。 最終的な帰属確定には MagRO-Acs モジュールの"Save モジュールの"Save CS" ボタンを押してください。 帰属されると MagRO-Acs の帰属テーブルの項目が青く なります。 帰 属 を 解 除 し た い 場 合 は Assigned Chemical Shift Editor の Unassign をチェックして Update ボタンを 押し、MagRO-Acs モジュールの"Save CS"を押して削除 の確定をしてください。 3-3 Update ボタンを複数回押して一度に"Save CS"ボタンに よる確定も可能です。 間違って帰属してしまった場合一回だけ Undo をするこ とができます。 Acs モジュールには帰属の値が標準的なものであるかチェ ックしてくれる機能があります。帰属が標準的な化学シ フトのある範囲内にある場合は青く表示されていますが、 大きく標準的な値より離れたものになっている場合図の ようにエラーとして赤く表示されます。(ワーニングの場 合オレンジ色に表示されます。 入力したいシグナルが対象となるスペクトルで折りか えってしまっているときは、Acs Editor にある up ある えってしまっているときは いは dwn のどれかをチェックして折り返し方向を決定 した後、折り返しの回数を増減ボタンを押してスペクトルから右クリック入力を行い、希望する値になる まで同様の操作を繰り返してみてください。 Leu の HB1, HB2 や、Val や、Val の CG1, CG2 といったプロキラルなシグナルが立体特異 的に帰属されていない場合、それぞれのシグナルの帰属に際して左に示すような 的に帰属されていない場合 ambig (ambiguous)をチェックしした状態で Update してください。またそれらのシ グナルが完全に重なっている場合は degen (degenerate)をチェックしした状態で Update してください。 ユーザーが帰属した化学シフトはすべて以下のディレクトリに保存されます。 ~/nv_data/matrix/MagDB ディレクトリ内には帰属テーブルの protein_0_0_acs.db がテキスト形式で保存されています。 たとえば Gly41 の帰属テーブルの内容は以下のようになっています。 原子番号 原子名 560 NH 561 N 562 CA 563 HA1 564 HA2 565 O 566 C 残基名 GLY GLY GLY GLY GLY GLY GLY 残基番号 41 41 41 41 41 41 41 化学シフト Ambiguity code 8.410 1 112.500 1 43.500 1 4.450 3 4.450 3 999.990 0 176.200 1 帰属されていない化学シフトは 999.990 が入力されています。 Ambiguity code は帰属のあいまいさを示すものです。0 が未帰属、1 が帰属完了、2 は立体特異的帰属は 出来ないが化学シフトは帰属できる場合、3 は立体特異的帰属ができるシグナルが重なってしまっている 場合を表現しています(メチルシグナルも含む)。 このファイルはテキストですのでマニュアルでの編集が可能です。 【重要】MagRO にはこれらのファイルのバックアップを作成する機能を持っていませんので適宜バック アップを作成してください 3-4 4)H 4)Hα、Hβの帰属 必要なスペクトル: HBHACONH, 2D 1H-15N HSQC, 2D 1H-13C HSQC 通常は HBHA(CO)NH を用いて、帰属していきます。まず赤いモジュール(MagRO-Acs)を帰属したい残 基の番号(i-1)にセットします。下の図では Glu11 の帰属テーブルを表示しています。 ダブルクリック Hαあるいは Hβの項目をダブルクリックしてエディターを開きます。 つづいて黄色のモジュール(BBRM モジュール)の帰属したい残基の番号の 1 つ先に進めて15N 系の スペクトルである HBHACONH のスペクトル表示領域をシンクジャンプさせます。 Hαあるいは Hβのシグナルにカーソルを合わせて右クリックして化学シフトを入力します。 Hαあるいは Hβのシグナルが立体特異的帰属が可能な場合、Sterero、ambig、degen の帰属のあいまい さを規定するチェックボックスが現れます。Hβ2、Hβ3 シグナルが重なっている場合は degen を、創で ない場合で立体特異的帰属ができない場合は ambig をチェックしてください。 最 後 に Assigned Chemical Shift Editor の "Update" ボ タ ン 、 MagRO-Acs の"Save CS"ボタンを押して帰属を確定します。 [重要]アミドプロトンの重なり合いがひどい場合、90 度フリップ ボタン(赤い囲み)を押すことでストリップを 90 度フリップさせ、 15N 軸上のピーク間のずれから帰属すべきピークを判断できる ことがあります。 左のスペクトルは HBHA(CO)NH のスペクトルを Z 軸に対して 90 度フリップさせている様子を示しています。 HN-15N 15N-HN 3-5 先述した 2D 1H-15N HSQC と同様に、Assign ボタンを押して帰属結果を 2D 1H-13C HSQC に表示させ て入力された帰属の確認をすることができます。 わずかにずれている個所は現時点では問題がありませんが、解析の後半では NOESY スペクトル上のピ ーク位置にあわせるよう帰属されることをお勧めします。 3-6 5)C 5)Cγ以降の Aliphatic カーボンシグナルの帰属 必要なスペクトル: CC(CO)NH, 2D 1H-15N HSQC, 2D 1H-13C HSQC ここでの説明では Cα, Cβまでのカーボンシグナルの帰属は終わっている ものとします。芳香族系アミノ酸を除いて、Cγ、Cδ、Cεのシグナル帰属 は通常 C(CO)NNH を用いて行われます。 本項では Thr の帰属を例として説明します。Thr は側鎖に Cγ2を持つた め CC(CO)NNH スペクトル上では図のようなスペクトルパターンを示し ます。 左の図は、Lys81 に対応する CBCACONH および CCCONNH スペクト ルストリップを表示させたものです。残基番号として(i-1)の側鎖シグナ ルが確認できます。 Cγ2 メチルシグナル 【注意】 1.CCCONNH の測定はスピンロックを使用するため、発熱による影 響等で化学シフトのずれが生じることがあります。 Cα シグナル 2.150 残基を超えるような分子量の大きなサンプル、シグナルがブロ ードなサンプルは十分なシグナル強度が得られないことがあります。 3.cis コンホマーの Pro、SS 結合をした Cys などの Cβ、Cγは特殊な 値を示すので注意してください。 他の残基タイプ、Glu, Ile, Lys, Leu, Met, Pro, Gln, Arg, Val の側鎖カー ボンシグナルは標準的な化学シフト値を頼りに帰属することができます。 Cβ シグナル CC(CO) CO)NNH CBCACONH CC( 左の図は Cα, Cβ以降 の 側 鎖 が CC(CO)NH スペクトル上で観測さ れないタイプのアミノ 酸残基由来の側鎖 13C シグナル帰属例を示し たものです。 スペクトルウインドウ の上にある"Assign"ボ タンを押すと帰属され ているシグナル位置に 図のように青いボック スが表示されます。 Glu Gln Met Pro Arg Lys Val 3-6 Ile Leu 6)H 6)Hγ以降の側鎖シグナルの帰属(芳香族系ア 以降の側鎖シグナルの帰属(芳香族系アミノ酸を除く) (芳香族系アミノ酸を除く) 必要なスペクトル: HCCH-TOCSY for aliphatic (hccht), 2D 1H-13C HSQC (chsqc) シグナルの 帰属には多くの方法が用いられていますが、HCCH-TCOSY、 13C edited NOESY(以 下 CNOESY)と MagRO に搭載されている機能を用いることで簡単に帰属が行える例を説明します。 まず帰属をはじめる時点で希望する残基の Cα, Cβ, Hα, Hβ, Cγ以降のカーボンシグナルは帰属されている ものとします。 まずは、Leu-Hβ-Cβのシンクジャンプを行って Leu-Hδ1、Cδ1 を帰属する例 を示します。 最初に HCCH-TOCSY for aliphatic の画面を表示させます。 左に示す MagRO-Acs モジュールにある残基番号エントリに希望する残基番号 を入力しリターンキーを押します。シグナルのリストが表示されます。ここで HB2 をダブルクリックします。 ここで右上図のような Assigned Chemical Shift Editor が開きます。続いて Jump: 13C-al ボタンを押すと HCCH-TOCSY のスペクトルは Leu-Hβ-Cβ (x 軸, z 軸)のスペクトル領域を表示します。 3-7 main モジュールにある PSR ボタンを押して PSR モジュールを開きます。 PSR モジュールの Pattern チェックボタンを押すと下に示すような黄緑色の PSR モジュールが登場しま す。そこで HCCH モードスイッチを押すと PSR モジュールは右下のように変化します。 この状態で HCCH-TOCSY 上のシグナルをマウス中クリックします 上図の例では y 軸の化学シフト-1.813ppm がモジュールに入力されています。 3-8 この状態で Search ボタンを押すと入力された化学シフトに近い化学シフトを x 軸に持つダイアゴナルピ ークを検索し、その結果が表示されます。 左の図の例では-1.813ppm の値が入力され、この値 X 軸に持つダイアゴナルピークがスペクトルから直 接検索され、その化学シフトが表示されます。 図ではシグナルが一つしか見つからない結果となり ましたが、場合によっては複数のシグナルが検出さ れることが多いです。 検索結果では-1.81ppm を Y 軸、19.72ppm を Z 軸 に持つピークのようです。 また検出されたダイアゴナルピークに検索元の X 軸 の化学シフトに当たるスペクトル位置にしきいち以 上の強度が検出されると結果のリストが青く表示さ れます。 下の図のように検索元のストリップと並べてピーク パターンが良く一致していることを確認してくださ い。 検索されたストリップ 検索元のストリップ ダブルクリック X 軸が-1.81ppm のストリップ ピークパターンが一致 3-9 ピークパターンがよく一致するようならサーチされたダイアゴナルピークは信頼できるものといえます。 結果が満足できるものであることが確認できたら、Acs モジュールに入力し、保存します。 まず、検出された y 軸の 1H 化学シフト-1.81ppm および z 軸の 13C 化学シフト 19.72ppm 付近にあ るシグナルを 1H-13C HSQC 上で探します。 このシグナルは 1H と 13C の化学シフトから Leu の HD1*、CD1 あるいは HD2*、CD2 であると推 定できます。これらの標準的な化学シフトは MagRO-Acs モジュールに灰色で下記のように表示 されていますので確認してください。 さて、 シグナルの帰属を完了するために MagRO-Acs モ ジ ュ ー ル の HD11 を ダ ブ ル ク リ ッ ク し て Assigned Chemical Shift Editor を開きます。 チェックボックス x を押して入力軸を x 軸に指定し ます。 1H-13C HSQC 上シグナルにカーソルを合わせ中ク リックし、化学シフトを入力します。"Update"ボ タンを忘れずクリックしてください。 続いて MagRO-Acs モジュールの CD1 をダブルク リックして Assigned Chemical Shift Editor を開き ます。 今度はy軸を指定して同様にスペクトルを中クリッ クして化学シフトを入力します。"Update"ボタン を忘れずクリックしてください。 1 H-13C HSQC スペクトルのy軸が折りかえっている場合、化学シフトはスペクトル幅を差し引くかある いは足さないといけません。Assigned Chemical Shift Editor は中クリックの入力の際に自動的に折り返 し回数を推定して正しい化学シフト入力を支援します。 Acs モジュールの"Save CS"ボタンを押して化学シフト帰属が完了します。 【注意】1.HCCH-TOCSY のスペクトルはスピンロックを仕様するパルススキームを含むため、発熱 による影響で化学シフト値のずれが生じることがあります。最終的な化学シフト入力は NOESY 使用す ることをお勧めします。 2.150 残基を超えるような分子量の大きなサンプル、シグナルがブロードなサンプルは十分なシグナル 強度が得られないことがあります。 3.シグナルの重なりがひどい場合は無理に帰属せずに解析を進めることをお勧めします。 4.極端な折り返しスペクトルの場合は手動で折り返しの方向、折り返しの回数を指定する必要がありま す。 3-10 7)HN-15N 7)HN-15N シグナルが観測できない残基の側鎖シグナルの帰属 シグナルが観測できない残基の側鎖シグナルの帰属 必要なスペクトル: HCCH-TOCSY for aliphatic, 1H-15N edited NOESY, 1H-13C edited NOESY, 2D 1H-13C HSQC for aliphatic この場合も多くの帰属方法が存在しますが、ここでは主に NOESY 系のスペクトルと 2D 1H-13C HSQC を用いて、MagRO の機能を併用しながら帰属する方法を Thr65-Pro66 という配列における Pro66 の側 鎖シグナルの帰属を例として紹介します。 この例では Thr65 の全シグナル、Pro66 の Hα, Hβ,およびすべての 13C シグナルの帰属が完了している ものとします。 Pro に隣接した残基の側鎖シグナルを帰属するには NOE を使用するため、その Pro が cis であるか trans であるかを知る必要があります。Cβと Cγの化学シフト差が 5.0ppm 以下である場合は trans、9.0ppm 以 上である場合は cis であることが知られています。MagRO-Acs モジュールには入力された化学シフトと データベースとの値から以下のようにある程度の精度で判断して表示する機能があります。 trans と判断された場合 cis と判断された場合 どちらともいえない場合 Weak NOE HΝ(i-1) - Ηα(i) H H O H Cα N C Cα C Cα O H 本項における例では化学シフトの値から Pro53 は trans で あると判断できます。 N H2Cδ CβH CγH2 Strong NOE Hα(i-1) - Ηδ(i) Pro が trans である場合、 左の図に示した通り、 Hα(i-1) -Hδ(i) の強い NOE が観測されることが予想されます。 その一方、Pro が cis の場合は Ha(i-1)- Ha(i)の強い NOE が観測されます。 クリックアンドジャンプ まず、1H-13C HSQC のスペクトルをク リックアンドジャンプモードにします。 ここで 13C-edited NOESY のストリップ を表示します。Hd-Cd と思われる HSQC のピークをクリックして NOESY のスト リップをジャンプさせます。 ここで、6.50ppm 付近に強いNOEが見 えますのでこのピークについて PSR で検 索を行いいます。 PSR モジュールを一つ起動して、NOE シ グナルに対してマウスの中クリックを行 います。 Search ボタンを押して検索すると近い化 学シフトを持つシグナルが表示されます。 NOE Pro65Hδ Pro65Hδ-Thr65Hα -Thr65Hα 3-11 検索結果のリストから Pro の隣接残基の Ha に対応するシグ ナルを確認します。 図の例では Thr65-Ha 4.63ppm が最も近い化学シフトです。 このシグナル位置は水のシグナルに近いので 13C-edited NOESY を使った確認が難しいのですが、他に候補が無け れば先ほどクリックアンドジャンプを行ったピークは Pro66-Hd/Cd であると結論できます。 念のために MagRO-Acs にある 2D-strips ボタンを押して側 鎖帰属の整合性を確認します。 この機能は主鎖、側鎖の帰属情報にしたがって 15N-edited NOESY、13C-edited NOESY のストリップを下図のように 表示するものです。通常、どのストリップも良く似た NOE パターンを示すので帰属の整合性を確認することができま す。 3-12 8)帰属されていない脂肪鎖系側鎖シグナルの帰属 8)帰属されていない脂肪鎖系側鎖シグナルの帰属 メチルシグナルなど帰属が達成されていないシグナルの帰属を達成することはNMR構造解析にとってき わめて重要です。2D 1H-13C-HSQC スペクトルを注意深く見て、帰属されてないシグナルがあることを 確認しましょう。本項では帰属が達成されていないメチルシグナルを帰属させる手順を説明します。 まず、2D 1H-13C-HSQC for aliphatic (chsqc)のスペクトルウインドウを開き、クリックアンドジャンプ (C&J)モードに切り替えます。 つづいて、3D- HCCH-TOCSY for aliphatic (httht),スペクトルを開きます。この状態で chsqc の"Assign" ボタンを押して帰属されていないシグナルを探します。 クリックアンド ジャンプ 図では Leu メチルシグナルと思われるピーク上でマウス左クリックし、クリックアンドジャンプ機能に より、hccht 上の該当するスペクトル領域表示をさせています。 続いて、Psr モジュールを開き、Patter サーチモードに切り替えます。 hccht のスペクトル上で大き目のシグナルに対してマウス中クリックすると化学シフトが Psr モジュール に入力されます。Search ボタンを押して同じピークパターンを持つ側鎖シグナルが検索されます。候補 の一つをダブルクリックすると hccht の該当するスペクトル領域が表示されます(上右図) 。 ピークパターンが同じであることを確認したら帰属されていないシグナルが Leu59 のメチルシグナルで あることが結論できます。 3-13 3-2.芳香族系側鎖シグナルの帰属 3-2.芳香族系側鎖シグナルの帰属 1)必要なスペクトル 帰属をはじめるにあたって、2次元スペクトルとして 1H-13C HSQC for aliphaticおよび以下の3次元 スペクトルが必要となります。 スペクトル名 2D 13C-HSQC for aromatic 3D 1H-13C HSQC-NOESY for aliphatic 3D 1H-13C HSQC-NOESY for aromatic 軸の核種とその順番 1 H(acq)-13C 1H(acq)-1H-13C 1H(acq)-1H-13C 軸のラベル例 HC-C HC-H-C HC-H-C もし解析に使用する 13C-NOESY が全域(aliphatic-aromatic)をカバーするよう測定されたものである 場合、同じスペクトル名を apliphatic と aromatic としてスタートアップモジュールに登録してくださ い。 2)Psr を使ったシグナルの帰属 アロマティックシグナルの帰属には残基内の Hβ-Hδ間の NOE を見つけることが通常の作業になりま す。解析の手順は 13C-HSQC 上に観測される Hδ-Cδらしきピークについてクリックアンドジャンプに より 13C-NOESY をシンクジャンプさせて Hδ-Cδに対応するスペクトルストリップを表示させストリ ップ上に観測される Hβ-Hδ間の NOE を見つけます。Hβ-Cβは帰属が完了している必要があります。 まず、2D 1H-13C HSQC for aromatic (chsqc-ar)ウィンドウの下にある"Sync"ボタンを押して、クリック アンドジャンプモード(C&J)にします。 同時に 3D 13C-edited NOESY for aromatic(c13noe-ar)のスペクトルを表示します。 左にクリックアンドジャンプモードの chsqc-ar を示します。このモード で Hδ-Cδと思われるシグナルをクリックします。ここで c13noe-ar がク リックした領域にジャンプするはずです。 main モジュールにある"PSR"のボタンを押して PSR モジュールを起動 します。 4-1 起動後に NOE のチェックボタンを押して PSR を NOE サーチモードに切り替えます。 左下に先ほどのシンクジャンプにより表示された 3D 13C-edite NOESY for aromatic (c13noe-ar)のス ペクトルストリップを示します。 ここで Hβと思われる強度の比較的強いシグナルに対してカーソルを合わせ中クリックします。すると 図のように PSR モジュールの左上のエントリにターゲットの化学シフト値が入力されます。 Hβと思われるシグナルを 中クリック 検索結果の一つを ダブルクリック NOE の対称性チェック機能を ON にするとターゲットに対して transposiotion にあるピークの強度を 確認し現在表示されているスペクトルの threshold の80%より強い場合その項目が青く表示されます。 この機能により検索結果が多い場合候補を絞るのに役立ちます。 続いて、検索結果のうち有力な候補をダブルクリックすることによりターゲットとするプロトンシグ ナルに対して transposiotion にあるピークをダイアゴナルピークとするスペクトラムストリップが上 右図のように表示されます。 ここで最も重要なことは左右のストリップの NOE パターンが良く似ていること、それぞれダイアゴナ ルピークに対応する位置に強い NOE が検出されていることです。これが確認できれば多くの場合、帰 属はほぼ確定できます。 【注意】この帰属方法は PHE が構造上複数集まってクラスターを形成し、なおかつ Hb の化学シフト が近いような場合には注意が必要です。立体構造がある程度決まってきたら疎水コアに芳香環側鎖が クラスターを形成しているか確認してください。 4-2 3-3. 3-3. "Show strip" 機能を使った側鎖シグナル帰属結果の確認 必要な条件: 必要な条件: 15N-NOESY, 13C-NOESY, HN および 15N の帰属 15 N-NOESY と 13C-NOESY、少なくとも HN および 15N シグナルの帰属がされている場合、"Show strip" 機能を使用することが出来ます。マゼンタ色の Acs モジュールの水色のボタンからを押すと "Show Strip" 以下に示すような大き目のウインドウが開きます。. 15 N-NOESY 13 C-NOESY aliphatic 1 2 4 3 5 6 7 8 ウィンドウの機能の説明 1: 一残基分だけ側鎖シグナルの完全自動帰属を実行します。 2: 現在の残基番号, 3: 残基番号の増減ボタン 4: 修正中の原子タイプに対する化学シフト 5: "Save"ボタン.変更した化学シフトを保存 6: "Show" ボタン。帰属された化学シフトを元に予想されるピークの一部を青いボックスとして表示。 7: "none"ボタン。表示中の青いボックスを非表示にする。 8: 90 度プリップボタン 5-1 The "Show strip"機能は3次元の 15N あるいは 13C edited NOESY を使うことで特定の残基番号に対応 するシグナルを確認できます。前項の図に示すように観測が期待される残基内あるいは隣接残基間の NOE ピーク位置に対してピークボックスが表示されます。帰属された化学シフトに基づいているので もし帰属された化学シフトに誤りがあればピークパターンに合わないので明白に判断できます。 例えば、HG1 methyl のシグナルの帰属が間違っているように見えた場合、cross-hair を正しいと思わ れるポジションに置いてマウスの中ボタンをクリックします。すると x-軸方向の化学シフト値がエン トリーに自動入力されます。 この状態で"Save"ボタンを押しますと変更された化学シフト値が該当す る残基番号の原子タイプについて修正保存されます。 "Save" ボタンを押して保存 マウス中ボタン 5-2 3-4.側鎖脂肪属系、芳香属系シグナルの完全自動帰属機能 3-4.側鎖脂肪属系、芳香属系シグナルの完全自動帰属機能 1)側鎖脂肪属系、芳香属系シグナルの 1 残基完全自動帰属 必要なもの: 必要なもの: 13C-NOESY, HCCH-TOCSY スペクトル, Hα-Cα および Hβ-Cβ シグナルの化学シフト MagRO には側鎖脂肪属系、芳香属系シグナルを残基ごとに完全自動帰属する機能があります。必要と されるスペクトルは 3D の 13C-NOESY, HCCH-TOCSY スペクトであり、2D の13C-HSQC あるいは 3D の HC(CO)NH といったスペクトルを必要としません。また自動帰属には Hα-Cα および Hβ-Cβ の 化学シフトが必要となります。帰属実行前にはスペクトルの Threshold を適当な値に調整してくださ い。側鎖シグナル確認用 GUI のヘッダ部分にある"Assign one residue" ボタンを押しますと自動帰属 がただちに開始されます。 実行時間はマシン環境に依存しますが Core i7 のマシンで Trp の場合 10 秒 程度かかります。 帰属の完全性、正確性はスペクトルのクオリティーに強く依存します。 5-3 2)全残基に対する側鎖シグナルの完全自動帰属 自動帰属を実行するには帰属対象によって必要条件が異なります。 必要なもの脂肪属側鎖系: 必要なもの脂肪属側鎖系: Hα-Cα, Hβ-Cβ シグナルの化学シフトが Acs モジュールに記述されていること. 3D 1H-13C NOESY for aliphatic 3D-HCCH-TOCSY for aliphatic 必要なもの芳香属側鎖系: 必要なもの芳香属側鎖系: Hα-Cα, Hβ-Cβ シグナルの化学シフトが Acs モジュールに記述されていること. 芳香属系領域をカバーする 3D 1H-13C NOESY スペクトル 芳香属系領域 3D-HCCH-COSY 実行前には必要となるスペクトルの threshold を適当な値に調整してください。 プログラムの実行には以下のようにマゼンタのモジュールの左上部にある"Tools"ボタンからプルダウ ンメニューを出し、オプションのうち一つを選択して実行を開始します。 1 残基ずつ自動帰属を実行します。 100 残基を超えるタンパク質の場合、Core i7 のマシンの場合 2-3 分ほど掛かります。 帰属の精度は前項に記述した通りです。 【注意】実行開始後はしばらく操作が出来なくなります。 5-4 11.CYANA セットアップモジュール 11. 1)CYANA 計算に必要なファイル群 1) ”CYANA セットアップモジュール”CYANA 計算を実行するための基本的な設定作業をサポートす セットアップモジュール るモジュールです。モジュールの起動はマゼンタ色の ACS の"plugin"から行ないます。セッティン グはほとんど自動化されておりますのでバージョンに依存したファイルフォーマットの変換など煩 雑な作業からユーザーを開放することが期待できます。 必要な条件:少なくとも 1 つの NOE ピークテーブルファイル(*.xpk)が作成されていること。 ACS ディレクトリが存在すること。 出力されるファイル群は以下の通りです。 CALC.cya, int.cya CYANA 計算の設定項目を記述するファイルです。計算で使用される constrain file, violation tolerances, library, stereo chemistry settings などが記述できます。 *.seq サンプルの配列を記述するファイルです。特殊なアミノ酸タイプはここで指 定します。cis-Pro, 酸化型 Cysteine および t-型 His (library がこれらの残基 タイプをサポートしている必要があります). タイプをサポートしている必要があります *.prot 化学シフトテーブルです。 (現在のところ 1 つの *.prot file のみサポートし ています). talos.aco TALOS prediction の結果などから作成した phi, psi 角の constraint ファイル *.peaks NOE ピークテーブルです。 9-1 2)実際に実行してみましょう マゼンタ色の Acs モジュールの左上から"plugins"を選択してプルダウンメニューを開きます。 ここで、"Export CYANA input files"を選択します。 すると以下のようなウィンドウが出現します。サンプル名と CYANA のバージョンを選択し、計算 を実行するディレクトリを指定したら、"Next"ボタンを押します。 もし既に存在するディレクトリを指定した場合、上書きするかどうか質問されます。質問に答えた 後、以下のようなウインドウが開きます。 9-2 このウインドウの初期状態は全ての項目が空欄になっています。もし自動設定で構わない場合、中 央上部に有る"AutoSet"というボタンを押してください。 自動設定が実行され、作業環境に応じて各エントリーに必要事項が記入されます。 この状態でもし設定項目に誤りがあれば訂正し、問題が無くなれば"MakeAll"ボタンを押します。 うまく実行されると作業ディレクトリ上に CYANA 計算に必要なファイル群が全て作成されます。 また各ファイルの作成を"Make"ボタンを押すことで実行することも出来ます。 また、実際に作成されたファイルを編集したい場合は"Edit"ボタンを押すことでエディターを立ち上 げて編集、保存をすることが出来ます。 9-3 設定された内容をデフォールトとして次回の設定に使用したい場合は、設定完了後に"SaveDefault" ボタンを押してください。 3)各インプットファイル作成項目の説明 A) Chemical shift table: 化学シフトテーブル*.prot は Acs ディレクトリに存在するファイル群 Acs.*より作成されます。ここ では出力ファイル名、もし必要なら化学シフトの核種に依存した修正値を記入し、加算します。ま た3D-NOESY の Z 軸に対するおり返し効果が有る場合、出力される化学シフトテーブルに反映さ せる必要があります。その場合、仮に NOE スペクトル1,2両方に対して依存性がある場合"depend:" に"1_2"と記入します。 B) NOE peak table: もし AutoSet を利用してセットアップした場合この GUI エントリーには最近作成あるいは編集され た NOE ピークテーブル*.xpk ファイルが表示されます。3 つの NOESY スペクトルをピークテーブ ルに対応させることが出来、デフォールトでは1番が 3D 15 N-edited NOESY、2番が 3D 13 C-edited 13 NOESY for aliphatic に 3番が C-edited NOESY for aromatic に対応しています。 このエントリーから入力および出力ファイル名を指定できます。更に記載されているピーク群の各 軸の化学シフトに微調整を加えたい場合、Correction のエントリーに加算される修正値を ppm で入 力してください。 9-4 C) CYANA init.cya files: CYANA 計算の設定パラメータを記述するファイル、CALC.cya (ver. 1.0b では CANDID.cya)および init.cya ファイルを作成する GUI セクションは以下のようになります: 3 1 5 4 6 7 2 11 8 9 10 1: 2: CYANA 計算で用いる CPU の数. [default 10] 収斂度を計算するための構造を重ね合わせ領域を残基番号で指定。 [default begin-residue-1 - end-residue] 3: アニーリングで計算される立体構造の数 [default 100] 4: アニーリングでの計算ステップ数 [default 10000] 5: 計算後に選択される立体構造の数 [default 20] 6: "confine mode"を距離制限で使用するか [default disable] 7: 自動2面角制限ファイルを作成するか [default disable] 8: ユーザー指定のファイル群(*.aco, *lib)を指定する GUI を開く 9: CALC.cya および init.cya ファイルの作成実行 10 & 11: テキストエディターを呼び出す この GUI セクションの下では更に側鎖の立体特異的帰属を指定することが出来ます。 2 1 1: 2: 3: 4: 5: 4 3 5 マゼンタ色の Acs モジュール中で指定されている立体特異的帰属が可能なシグナル 群を表示しています。init.cya ファイル中で既に指定されているものを青く表示して います。 "reload"ボタン。Acs 中で指定された立体特異的帰属可能なシグナル群を再検索して 左のリストボックスに表示します。 右のリストボックス内の項目を追加、削除するボタン。 init.cya ファイル中で現在指定されているものを表示。 "reload"ボタンにより検索されるシグナル群のうち立体特異的帰属がされているもの "stereo", Ambiguous に帰属されているもの "ambig", および シグナルが degenerate し ているもの"dege"を選択的に検索するように指定できます。 9-5 4)ユーザー作成ファイル*.upl, *.lol, *.aco あるいは *.lib ファイルを使用したい場合 4)ユーザー作成ファイル 前項で説明した"CYANA init.cya files:"セクションにおける”UserFiles”ボタンを押すと、以下 のような小ウインドウが現れます。 このウインドウではユーザーが作成した*.upl, *.lol, *.aco あるいは *.lib ファイルを init.cya ファイ ルに記述することで CYANA 計算に使用可能に出来ます。 それぞれのファイルの説明は以下の通りです: *.upl *.lol *.aco *.lib . upper limit distance constraints lower limit distance constraints dihedral angle constraints library file for atom coordinate ウインドウの各部の説明は以下の通りです。 2 1 3 5 4 1: ユーザーファイルのパスとファイル名を指定します。".."ボタンからファイルを探 すことも出来ます。 2: "add"ボタンにより下のリストボックスにファイルを追加します。 3: CYANA 計算で使用されるユーザー指定のファイルを表示します。 4: ユーザー指定のライブラリーファイルを CYANA がデフォールトで使用するファ イルに append して使うかどうかを指定します。チェックされない場合、CYANA がデフォールトで使用するファイルは無効となります。 5: "delete"ボタンにより、選択されたファイルのみがリストから削除されます。 この小ウインドウで設定された内容は"MakeInitFiles" ボタンあるいは"MakeAll" ボタンにより 作 成される CALC.cya および int.cya ふぁいるに反映されることになります。 9-6 12.CYANA result analysis モジュール 12. 1)モジュールのセットアップ CYANA result analysis モジュールは CYANA で計算された実際のスペクトル上のピークと見比べなが ら NOE 帰属結果を解析することを可能にするモジュールです。 必要となるもの: 必要となるもの: CYANA 計算で使用された CYANA input ファイル群 として CALC.cya および init.cya ファ イル、cycle*.noa および cycle*.upl files などの 出力ファイル群、3D 15N edited NOESY, 3D 13C edited NOESY などの NOE ピークを検出したスペクトルファイル 本節では以下の条件で解析された例をもとに機能を説明します。 Sample: ubiquitin スペクトル: NOE peak table: 3D 15N edited NOESY, 3D 13C edited NOESY for aliphatic and aromatic n15.peaks および c13noe.peaks NOESY より作成されノイズをある 程度除去したもの。 Chemical shift table: ubiq.prot, NOESY に良く合うように精密化された Acs テーブルを 元に作成。 CYANA のバージョン: official release ver 2.1 対象とする NOA ファイル: final.noa "CYANA result analysis"を実行するために SSM と読んでいる緑色のモジュールの"plugin"からプルダウ ンメニューを表示させ、 "CYANA 2.x results analysis"を選択します。 すると、以下のような小ウインドウが現れますので、解析したいディレクトリを指定して、"Load"ボ タンを押します。 プログラムはディレクトリ内の CANDID.cya あるいは CALC.cya ファイルを探し、内容を読み取りま す。問題無ければ、以下のようにウインドウが変化しセットアップの準備が出来ます。 ここで表示されている項目に変更の必要が無ければ"Setup"ボタンを押してセットアップを実行します。 10-1 2)メインウインドウ( 2)メインウインドウ(Row モード)各部の説明 モード 各部の説明 Row モードでは CYANA が実行した NOE ピークの帰属結果を順次表示し、その詳細を表示します。 3 1 5 7 6 8 9 10 2 11 4 1: 2: 3: 4: 5: 6: 7: 8: 9: 10: 11: メインウインドウのモードを"Row" から "Sort"に変換します。 NOE ピークリストを切りかえるプルダウンメニューです。 "Assigned" から"Unassigned"へ NOE peak analysis モードを切り替えます。 現在解析中の NOE peak ID を示します。数値を入力してリターンを押すことでも希 望の番号に飛ぶことが出来ます。適当な値を入力しても最も近い ID にジャンプ します。 Window ヘッダには CYANA のバージョンと現在解析中の*.noa ファイル名が表示 されます。 NOE PeakID 番号の増減ボタン ピークラベリングを行なうための小ウインドウを開きます。 PSR モジュールを一つ開きます。 解析結果の集計結果を表示するウインドウを開きます。 セットアップウインドウを開き、解析ウインドウを閉じます。 解析中の NOESY スペクトルのストリップを90度フリップさせます。 また、ピーク ID を選択的に表示したい場合は下に示す GUI パーツを利用します; 1 2 3 4 5 1: 2: 3: 4: 5: CYANA が見積もったプロトン間距離に対する上限と下限を設定します。 CYANA が計算した Violation に対する上限と下限を設定します。 "No corresponding signal" と diagonal peak をスキップさせます。 NOE 帰属の対称性を確認するための"twin strips display"を有効にします。 "No corresponding signal" と diagonal peak 以外のピークをスキップさせます。 10-2 3)CYANA results analysis モジュールからの"Sync-Jump" モジュールからの CYANA results analysis モジュールには関連するスペクトル群の"Sync-Jump"によるコントロールが可能で モジュールには関連するスペクトル群の す。 "Show" ボタンを押すとターゲットとなる 3D-NOESY スペクトルストリップはピークの表示領域に ジャンプします。 "<" や ">" ボタン、残基番号の直接入力でも有効です。前項で示したチェックボタン "Sym" (red circle)を有効にしますと、"twin strips display" モードになります。これにより NOESY スペクト ルは ピーク位置にジャンプすると同時に以下に示すように寄り添うような形でもう一つの NOEY スペク トルが表示されます。この新たに表示されたストリップは NOE 帰属の対称位置に該当する領域を表示し ています。 この機能は NOE ピークの帰属が妥当であるかを確認できます。4次元の NOESY-HSQC-NOESY のような 大規模な実験を実行することなく3次元の NOESY のみによって帰属の妥当性を確認することが可能にな ります。またリストボックスに表示された全ての NOE 帰属候補についても確認することが出来ます。 更にこのモードでは対称位置のピーク強度も同時に計測され、ユーザーが解析中に設定している threshold よりも大きい場合青く、低い場合は赤く NOE 帰属の結果に表示します。 "show" あるいは"<", ">" ボタンを押す 一つのアイテムをダブルクリックする 10-3 4)メインウインドウ( 4)メインウインドウ(Sort モード)各部の説明 モード 各部の説明 "Sort"ボタンを押すことで解析ウィンドウを Sort モードに変更できます。このモードでは一つのピー クリストに含まれる NOE ピーク全てが表示されます。NOE ピーク帰属の第一候補のみが表示され、 赤く囲ったボタン群によりピークがソートされます。 以下、各カラムとソートボタンの説明です; noeID Dist(A) Voil(A) Y(ppm) X(ppm) Z(ppm) XZ Atom2(Y) Atom1(X) (ボタン無し) Sym_NOA NOE ピーク ID 見積もられたプロトン間距離(Å) 構造計算で発生したバイオレーション(Å) Y 軸の化学シフト(ppm) X 軸の化学シフト(ppm) Z 軸の化学シフト(ppm) XZ 平面でソート Y 軸方向での帰属された原子タイプ、アルファベット順でソート X 軸方向での帰属された原子タイプ、アルファベット順でソート 距離制限として、UPL:使用された -:使用されなかった 対称的に帰属された NOE の有無 このモードにおいてもやはりリストボックスのアイテムをダブルクリックすると関連する NOE スペクト ルの2D ストリップが表示されます。また"Row"モードと同様に"sym"チェックボタンが有効である場合 NOE 帰属第一候補の対称位置に相当する NOE スペクトルストリップも同様に表示されます。 一つのアイテムをダブルクリックする 10-4 5)このモジュール最強の機能 Sort& &Skip による問題 NOE ピークの探索 このモードでの機能群は立体構造解析の終盤で威力を発揮します。NOE ピークは CYANA により帰属 されるとその大半は距離制限になりませんが、距離制限として使用され、ある程度の強度を持ってい 距離制限として使用され、ある程度の強度を持ってい るにもかかわらず、NOE 帰属第一候補の対称性がピークとして確認できない場合、そのピークそのも るにもかかわらず、 帰属第一候補の対称性がピークとして確認できない場合 のあるいは化学シフト、計算された立体構造に問題がある可能性があり、終了前に解決しなければな らない問題となります。実際にこの機能無しに問題あるピークを探索しようとすると数千個の NOE ピークを相手にしなければならないので大変労力のかかる作業になります。更に"Sort"モードでは上図 での青く囲った部分の様にチェックボックス群が現れます。 これらのチェックボックスは以下のような機能を持っています。 increasing: 増加させてソート decreasing: 減少させてソート、 Sym: 対称的に帰属された NOE ピークをスキップ Trans: 対称位置にピーク強度が確認できるピークをスキップ close H2O: H2O シグナルの近くのシグナルをスキップ close diag: diagonal シグナルに近いピークをスキップ 下の図では解析の終盤で使用された 2000 個以上の CYANA により帰属が成功した 13C-edited NOESY 由来の NOE ピーク群を Sort_&_Skip により僅か 3 つの候補にまで絞れている様子を示しています。実 際に表示されているいくつかのピークから Acs 上での化学シフトに誤りがあることが判明しました。 全て有効にして再びソートする 10-5 6)2D 6)2 アスペクト比( アスペクト比(Y 軸方向の表示スペクトル幅)固定機能 CYANA result analysis モジュールを使 用する際に NOESY スペクトルストリ ップのアスペクト比固定機能を使用す ると解析が楽になります。ストリップ 左上部分に現れるチェックボックスを 有効にすると Sync-Jump 直前のアスペ クト比(Y 軸方向の表示スペクトル 幅)が固定されます。チェックボック スを無効にすると Y 軸方向の表示範 囲は全域に戻ります。 7)ピークラベル支援機能 このモジュールには CYANA が実行した NOE 帰属の結果を NOE ピークリストファイル中のコメント 部分に書きこみ保存することが出来ます。作成されたピークリストファイルを読みこむことでスペク トル上に NOE ピーク位置を CYANA の帰属結果と共に表示することが出来ます。モジュール上の "PeakLabel"ボタンを押すと以下のような設定ウィンドウが現れますのでピークをラベルするための参 照ファイルと出力ファイルを指定してください。"Execute"ボタンを押すと実行されますが問題無く終 了した場合、ピークの帰属情報でラベルされたファイルが作成され、それを NMRView に読みこませ ることが出来ます。 ピークラベルには以下のような省略表記が用いられます。 Diagonal peak No corresponding signal Not assigned, Ala32-Ha <-> Thr55-Hg# Assigned, Met103-Hg# <-> Gln29HN Assigned intra-residual, Phe67-HB2<->Phe67-HD# 10-6 Xdiag X0/0 X32a/55g# 103g#/29n b1/67d# 12.FLYA セットアップモジュール 12. 1)FLYA 計算に必要なファイル群 1) ”FLYA セットアップモジュール”FLYA 計算を実行するための基本的な設定作業をサポートするモ セットアップモジュール ジュールです。モジュールの起動はマゼンタ色の ACS の"plugin"から行ないます。セッティングは 搭載されたボタンを順次押していくことで実行できるようになっています。 必要な条件: 主鎖シグナル帰属には以下のスペクトル群が必要です、 2D 1H-15N HSQC, 3D-HNCO, 3D-HN(CA)CO, 3D-HNCACB, 3D-CBCA(CO)NH 上記に加え、3D-HNCA, 3D-HN(CO)CA もあれば帰属の精度が向上します。 全シグナル帰属には更に以下のスペクトル群が必要です。 3D-HCCH-TOCSY for aliphatic, 3D-HCCH-TOCSY for aromatic 3D-15N edited NOESY, 3D-13C edited NOESY for aliphatic and aromatic 上記に加え、3D-HBHA(CO)NH, 3D-CC(CO)NH, 3D-H(CCCO)NH もあれば帰属の精度が向上します。 FLYA 必要なファイル群は以下の通りです。 RUNFLYA.cya, int.cya FLYA 計算の設定項目を記述するファイルです。計算に利用されるスペクト ル群、計算方法などが記述されています。 *.seq サンプルの配列を記述するファイルです。 *.peaks 各スペクトルのピークテーブルです。 【重要】 自動帰属の精度はスペクトルの質に強く依存します。TOCSY 系のスペクトルのピークの分離がよ 自動帰属の精度はスペクトルの質に強く依存します。 くない、ピーク強度が著しく悪い場合は困難になる場合があります。 帰属が困難な場合、信頼性の高いモデル構造を読み込ませると解析精度が向上する場合があります。 詳細についてはお問い合わせください。 【注意】 スペクトルの折り返しは基本的にNGです。多くの場合、FLYA の自動帰属の精度が著しく低下し スペクトルの折り返しは基本的にNGです。多くの場合、 ます。ただし、HCCH-TOCSY、 ます。ただし、 、13C-edited NOESY の Z 軸に関してのみ自動的な折り返しピークの 復元が可能です。復元には折り返ししていない 13C-HSQC スペクトルを必要とします。 詳細についてはお問い合わせください。 11-1 2)実際に FLYA 計算の設定をしてみましょう マゼンタ色の Acs モジュールの左上から"plugins"を選択してプルダウンメニューを開きます。 ここで、"Export/Import Flya files"を選択します。 すると左図のようなウィンドウが出現します。 11-2 スペクトル群の選択 CPU数の指定 FLYA計算ディレクトリ a) スペクトル群の一括選択を行います。ウィンドウ上部のチェックボタンを backbone を選ぶと主 鎖帰属系、all signals を選ぶと全シグナル帰属系を選択できます。 b) FLYA 計算用のディレクトリ指定を行います。ウィンドウ上部のエントリに指定すべきディレク トリを入力するか、".."ボタンで直接指定します。 ディレクトリを作成したい場合は MakDir ボタンを押します。 自動ピーク検出 ノイズフィルター ファイルフォーマット変換 FLYAファイルの出力 c) "Pick All spectra"ボタンを押して自動ピーク検出を行います。 [重要] 選択されているスペクトルの threshold を調整しておいてください。 d) スペクトルが 13C 軸で fold している場合、"Unfold peaks"ボタンを押して折り返しを復元します。 [重要] 折り返し復元には折り返しをしていない 13 C-HSQC スペクトルが必要になります。必ず、 chsqc, chsqc-ar にスペクトルを登録してください。 e) "Noise Filter"ボタンを押してノイズフィルターを実行します。 ノイズフィルターは 15N-HSQC、13C-HSQC スペクトルをマスクデータとしてピークのフィルタ ーを実行するものです。 f) "Convert xpk-->FLYA"ボタンを押して xpk ファイルを peaks ファイルに変換します。 11-3 3)FLYA setup module によって作成されるファイル群の詳細 3) 以下のファイル群が作成されます RUNFLYA.cya, FLYA 計算の各種設定 (スペクトル群、参照構造など) init.cya CYANA 計算の基本設定 (CPU 数、配列ファイル名、ライブラリ名など) protein.seq タンパク質の配列 ***_auto.xpk 自動検出されたピークファイル ***_filt.xpk ノイズフィルターされたピークファイル ***_unfold.xpk フォールド復元されたピークファイル ***.peaks FLYA で読み込むためのピークリスト xpk 形式から peaks 形式へのファイルコンバージョンでは***_refine > ***_unfold > ***_filt > ***_auto の順に優先順位が設定されています。 [重要 [重要] 重要] xpk ファイルのピーク編集を行った後は最上位の形式, ファイルのピーク編集を行った後は最上位の形式, ***_refine.xpk ***_refine.xpk で上書き保存してく ださい。 4)FLYA 計算の実行 4) FLYA の実行は 以下のようにコマンドラインから実行します。 /opt/cyana3.95/cyana RUNFLYA 主鎖シグナル系の帰属では 4CPU で 5~10 分、全シグナル帰属では 4CPU でおよそ1時間半程度か かります。 11-4 5)FLYA 計算結果の読み込み 5) FLYA 計算終了後には flya.tab というファイルが作成されます。 Total number of shift values: 32057 Cutoff for extent Atom Residue : 16.00 Ref Shift Dev Extent inside inref N ARG 3 116.353 20.0 55.7 0.0 H ARG 3 8.181 20.0 54.3 0.0 CA ARG 3 59.572 20.0 99.8 0.0 HA ARG 3 3.795 20.0 99.7 0.0 strong CB ARG 3 29.085 20.0 99.7 0.0 strong strong このファイルでは化学シフトの帰属結果を示していますが、5行目の inside という値が重要で20 個の最終帰属テーブルで結果が収束度を示しています。FLYA module ではこの値が 80.0%を超えて 80.0%を超えて いるもの(strong いるもの(strong とラベルされる) とラベルされる)を信頼性の高い結果として採用することにしています。 主鎖シグナルの帰属ついては"Import FLYA->BBass"ボタンを、全シグナルの帰属に関しては "Import FLYA-->ACS"ボタンを押すことで帰属結果を取り込むことが出来ます。 主鎖帰属結果の読み込み 全シグナル帰属結果の読み 取り込み後、主鎖帰属の結果は assign_NN.txt ファイルに、全シグナル帰属の結果は ACS に反映 されます。 [重要] 重要]帰属結果は上書きされてしまうためバックアップをとっておいてください。 11-5 11.ピークリストの取り扱い 1)ピークリストの読み込みかた MagRO では NMRView に実装されているピーク リストマネージャとは独立したモジュールを利 用します。 各スペクトルには左図のような"Peak"ボタンを 押すことでモジュールの呼び出しを行います。 左の図は 3D-HNCO スペクトルから Simple Peak Manager を起動したものです。 [重要]このモジュールは各スペクトルに対応付 けされているため、他のスペクトル用ピークリ ストを利用する場合はモジュールを起動しなお してください。 ピークリスト xpk ファイルの読み込みは左上の File から Load xpk を選びます。 ロードしたピークリストをスペクトル上で表示する場合に は Peak list: か ら 該 当 す る ピ ー ク リ ス ト 名 を 選 び "DrawPeaks"ボタンを押します。 12-1 2)ピークの追加、削除、編集モードへの切り替え ピークの削除 ピークの追加 ピークボックスの編集 通常モード ピークの追加、削除、編集を行うためには各スペクトルの上部にあるボタンを押すことでマウスの モードを切り替えることで実現します。 [重要] 重要]ピークの編集作業には既に作成されているピークリストが必要になります。 本稿ではあらかじめ FLYA モジュールで作成されているピークリスを読み込んでいるということを 前提にしています。新規にピークリスを作成したい場合は以下のようにピークリストを作成してく ださい。 [補足]新規ピークリスト作成の仕方 NMRView C 言語版の場合 各スペクトル上でマウスを右クリックし、Peak を選びます。List Name:に適当なリスト名を 記入します。pick ボタンを押すとピークリストが作成されると同時に表示されているシグナルにつ いて自動ピックが実行されます。 NMRView Java 版の場合 各スペクトル上でマウスを右クリックし、Attribute を選びます。PeakPick タブを選択し、List のエントリに適当なピークリスト名を記入します。Pick ボタンを押します。全領域についてピーク の自動検出が始まります。3Dスペクトルの場合は少々時間がかかり、ピーク検出中は操作不能に なるので注意が必要です。 3)ピーク削除、編集の仕方 ピークの削除は注意しながら行ってください。削除指定されたピークは表示されなくなりますが、 もし間違えて削除してしまっても取り消しすることは可能です(次ページを参照)。 ピークボックスの編集モードにした場合、マウスでクリックしたピークボックスの位置、大きさを 変更できます。コツがいるので何度か試してみて習得してください。 NMRView C 版の場合 スペクトル上のピークボックスをマウス左クリックしてドラッグするとピークボックスを移動 できます。またマウス中クリックしてドラッグするとピークボックスの大きさを変更できます。 NMRView Java 版の場合 スペクトル上のピークボックスを左クリックするとピークボックスが黄色くなります。その状 12-2 態でマウス左ボタンをドラッグするとピークボックスを移動出来ます。またピークボックスの角に 近いところを左クリックしてドラッグするとピークボックスの大きさを変更できます。 3)ピークリストの保存 Simple Peak Manager の左上から File -> Save xpk で 現在作業中のピークリストを xpk ファイルに保存できま す。 また、削除指定したピークについて完全に 削除し、ピーク番号の振りなおしをする場 合は Tools から Get-Int,Cmp&Degap,Write を選んで実行します。 [重要]上書きするファイルを指定するよう尋 ねられますので、慎重にファイル名を指定 してください。 4)削除指定されたピークの復元 Peak list: に対象となるピークリストを指定 します。 show only deleted と jum to peak のチェッ クボックスをオンにします。 <>のボタンを押すと削除指定されているピ ークの位置にスペクトル表示領域が移動しま す。 ドクロマークの隣に"deleted"が表示されてい るピークは削除指定を受けています。ドクロ マークを押すと削除指定が解除されます。 12-3 7-1.トラブルシューティング 1)ウィンドウがスクリーン外に出てしまって表示されないあるいは操作できない 画面解像度の変更などをしたためにウインドウがスクリーン外に出てしまい、MagRO を起動しても表示でき ないあるいは操作できない場合があります。 以下のディレクトリを削除して MagRO を再起動してみてください。 matrix/000temp 2)CYANA 2)CYANA result analysis が正しく表示できなくなった 何らかのエラーによって CYANA result analysis の画面が正常に表示されなくなることがあります。 以下のディレクトリを削除してを CYANA result analysis のモジュールを再起動してみてください。 matrix/CYANA_results 3)全くキー入力が出来ない MagRO が正常に起動してもモジュールへの数値、文字などをタイプしても何も表示されない、キー入力が出 来ない場合があります。これは NMRView C-version と Linux の日本語入力とのコンフリクトが原因であるこ とが報告されています。 対策としては Linux の日本語入力機能を停止させることで解決できることがあります。 13-1
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