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作品:告白
制 作 年 : 2011
元来、音楽スタジオだった防音室を暗室とし、舞台用照明装置と調光機による極小の光を、一人ずつ、鑑
賞する作品。
(撮影:山田大輔)
闇の中、照明装置を設置した。舞台用のスポットライトであり、光量を調節する為の機械に繋いである。
光量はフィラメントをギリギリ赤くする程度のメモリに調節した。光は防音室最奥の壁面を向いている。
そ の よ う に 空 間 に 光 は 用 意 さ れ て い る が 、防 音 室 の 扉 を 閉 め た 人 の 目 に ま ず 広 が る の は 黒 く な い 闇 で あ る 。
暗闇でありながらも、外界に居たちょっと前の瞼の記憶だろうか、それとも瞼に僅かでも光を貯めておく
ような機能があるのか、目の前にはこちらに触れようとする実体感のない何かがメラメラと脈打ち、動き
回り、時折背後から白い閃光が襲って来る感覚を覚える。この感じを何物かが「ある」と表現してよいの
か わ か ら な い し 、「 見 え て い る 」と 言 っ て 良 い の か も わ か ら な い 。闇 は 黒 く な い ば か り か「 や か ま し い 」程
に静寂を拒絶しているように思われる。
だ い た い 10 分 か ら 20 分 程 度 、扉 を 入 っ た そ の 場 で 立 ち 続 け る と 、そ の 闇 と は 明 ら か に 異 質 の も の が 表 れ
て来る。壁を照らす微かな光。この「対象」と呼べる存在の発見によりようやく何かが「見えている」と
いう表現に相応しい状態に鑑賞者は突入するが、一歩、歩を進めたり、瞬きをするだけでその「対象」は
霧散する。光を照射された物体、或いは光自体の刺激を生物が受け取る行為を「見る」の言葉の定義とす
るならば、この作品の中で人は「見える」と「見えない」の境界線に立つ事が出来る。