油凝固剤のメカニズムに関する研究 茨城県立水戸第一高等学校 遠田 雄大(2 年),山口 悟 【緒言】 日々の食事の中で油によって調理されたものは多く,油は日常生活において欠かせないもので ある。これまで使用済みの油の処理は非常に手間が掛かっていたが,近年,油凝固剤“固めるテ ンプル”という便利な製品が開発されたため,使用済み油の処理が簡単になった。使用方法とし ては,80℃以上の油に油凝固剤を投入し,自然冷却させ,油を凝固させて廃棄するというとても 簡単な手順で行うだけである。しかしながら,その油凝固剤の使用方法はわかっているが,油が 凝固するメカニズムは未だ解明されていない。そこで本研究では,油凝固剤の主成分を探索し, 油が凝固するメカニズムを解明することを目的とした。 【実験】 サラダ油 5.0gを 200℃まで加熱し,固めるテンプルの適正量と等モル量,2 倍量,3 倍量の比 較するための試薬を加え,常温まで自然冷却した。凝固した油の硬度を測定し,評価した。 【結果】 ① 文献調査から,固めるテンプルの主成分は 12-ヒドロキシステアリン酸であると予想された。 凝固油の硬度の評価から,主成分が 12-ヒドロキシステアリン酸であることが示唆された。 ② 加えた試薬による油の凝固点上昇の評価から,固めるテンプルによる油の凝固点上昇の影響 は小さいことが分かった。 ③ 分子構造の評価から,固めるテンプルの持つ COOH 基が油凝固に関係していることが示唆さ れた。 ④ 分子間水素結合の評価から,固めるテンプルによる油凝固は COOH 基と OH 基による分子間 水素結合が関与していると示唆された。また,硬度に違いが見られたことから,固めるテン プルの持つ COOH 基と OH 基との距離が関与していることも示唆された。 ⑤ 分子間水素結合の強弱の評価から,油凝固には固めるテンプルの分子間水素結合により形成 されるリング構造の径の大きさが関与しているとも示唆された。 【結論】 本実験から,固めるテンプルによる油が凝固 するメカニズムは,固めるテンプルの持つ COOH 基と OH 基による分子間水素結合によ りリング構造が形成され,それらが複雑に絡み 合い油分子が捉えられ,見かけ上固体になると 考えた。 化学3-① ミセル法を用いた有機ナノ蛍光体の作製 茨城県立水戸第一高等学校 松田 樹生也(1 年),山口 悟 【緒言】混じり合わない液体のうち一方が粒状に会合している集合体をミセルという。ミセルの 大きさは 5~10 nm で,ミセルを用いるとナノサイズ効果が期待される。ミセルの研究は多数存在 し,その中に水中での有機蛍光物質の使用がある。本研究ではミセルを用いてアントラセンから なる有機ナノ蛍光体の作製方法の確立を目的とした。 【実験】有機ナノ蛍光体の作製方法の概要図を図 1 に示した。アントラセンのヘプタン溶液と,ド デシル硫酸ナトリウム(SDS)を水に溶かした SDS 水溶液を作製した。SDS 水溶液にアントラセンの ヘプタン溶液を滴下した。これを攪拌し続けるこ とで有機ナノ蛍光体を作製した。 【結果および考察】 図 2 は,①空のミセル溶液のスペクトル,②ア ントラセンのミセル溶液のスペクトル(濃度 1.7 図 1 有機ナノ蛍光体の作製方法の概要図 ×10 mol/L),③アントラセンのヘプタン溶液(濃 -3 度 4.3×10-6mol/L,バルク溶液)のスペクトルを表している。図 2 の横軸は照射した光の波長,縦 軸は各試料の吸光度(a.u.)を表している。図 2 から③バルク溶液と②ミセル溶液の吸収スペクトル が大まかに類似することがわかった。 ミセルの作製に使用したアントラセンのヘプタン溶液はその濃度が 1.7×10-3mol/L と本実験室 の分光器では吸光度が飽和してしまい測定できなかった。しかし,ミセルの中に封入することで 高濃度でも,図 2 の②と③のように,ミセル 溶液でもバルク溶液と同じようなスペクト ルが観測された。さらに,アントラセンのミ セル溶液を作製する際に必要な試料は 250 μL とごく少量であるにもかかわらず,綺麗 なピークを持つ吸収スペクトルが得られた。 したがって, ミセルを用いることでごく少量 の試料しかなくとも,その試料の性質を調査 できることが示唆された。 【結論】 本実験から,水溶媒中にナノサ イズの有機ナノ蛍光体を作製するためのミ セル法を確立できた。 さらに,ミセルを用いることでごく少量の 試料でもその性質を明らかにできることが 示唆された。 このようにミセルを用いること の有用性を知ることができた。 図 2 ①空のミセル溶液,②アントラセンのミセ ル溶液(濃度 1.7×10-3mol/L),③アントラセンの ヘプタン溶液(濃度 4.3×10-6mol/L,バルク溶液) の吸収スペクトル 化学3-② サリチル酸/メタノール系における安全なエステル化反応 茨城県立水戸第一高等学校 村山 泰眸(1 年),山口 悟 【緒言】 エステル化反応において用いられる代表的な触媒として濃硫酸がある。濃硫酸には酸触媒作用 と脱水作用があり,その二つの作用はエステル化反応において必要不可欠である。酸触媒作用は, プロトンの働きによりエステル化反応を促進させることをさし,脱水作用は平衡をサリチル酸メ チルが生成される方に移動させることをさす。濃硫酸はこれらの作用を併せ持つが,扱いが難し い,とても危険であるなどのデメリットも持つ。 そこで本研究では,酸触媒作用と脱水作用を持つ触媒の組み合わせを評価し,安全に行うこと ができるエステル化反応の確立を目的とした。 【実験】 酸触媒作用をもつ物質と脱水作用をもつ物質 の組合せを評価し,その二つの物質の組合せを濃 硫酸の代替触媒とした。実験では,酢酸,硝酸, 塩酸,リン酸の 4 種類を酸触媒とし,塩化カルシ ウムを脱水剤とした。この脱水剤に対し酸触媒を 変化させてサリチル酸メチルを合成し,収率を求 めた。本実験で用いた試料の使用量を右の表に示 した。 【結果および考察】 本実験から,濃硫酸を使わなくとも酸触媒と脱水剤とを組み合わせることで,サリチル酸メチ ルを合成できることが分かった。図に示したように,塩化カルシウムと塩酸,塩化カルシウムと リン酸の組合せのとき,サリチル酸メチルの収率は硫酸触媒のときよりも上回ることが分かった。 塩酸では,その電離度の高さが酸触媒作用を強めたた め,サリチル酸メチルの収率が高くなったと考えた。 リン酸ではリン酸の持つ脱水作用がサリチル酸メチ ルを生成する方に平衡を移動したため,収率が上昇した と考えた。さらに,図に示したように硫酸触媒のとき の半分程度の収率ではあるが,弱酸である酢酸を酸触 媒としたときでも,サリチル酸メチルが合成できるこ とが分かった。 【結論】 本研究から,弱酸である酢酸を用いても,その酸触 媒作用が働き,エステル化反応の触媒となりえることが 分かった。 化学3-③ スギ材の乾燥工程で排出される凝縮液の成分分析 茨城県立緑岡高等学校 助川翔(2) ,安西俊晃(1),柿﨑杏菜(1),佐藤遥大(1),圷良太(1),田中清嗣 1 はじめに 木材加工上,含水率の高い材を乾燥することは不可欠である。乾燥工程では,木材中の揮発性 有機化合物が排出され,冷却すると凝縮液が得られる。それらの化学成分としては,大部分がジ テルペンであることが既にわかっている。その中にはフェルギノールをはじめとする利用価値が 高い物質が多く含まれている。しかし,微量成分までの詳細な文献は見当たらないので,本研究 では,その化学成分を明らかにすることを目的とする。 2 実験方法 ガラスカラムにシリカゲルを充填し,ヘキサン:酢酸エチル=1:1v/v,続いて酢酸エチル 100% を用い,エアーポンプで圧力をかけながらスギ材の乾燥廃液(9.06g)を溶出させ,ろ過的な分取 を行った。シリカゲルに通した溶出物(6.68g)を,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用 いて分取した。HPLC は,ポンプ:JASCO 2086,検出器:JASCO 2075-UV(λ=230nm)を 用い,分取用カラムは Shodex シリカ C18M (20mm ID×25cm)を使用した。また,移動相に は,メタノール(100%,95%)を使用した。単離した化合物は、核磁気共鳴(NMR)スペクト ルのデータから構造を推定した。 3 結果と考察 HPLC で分取した経路を右図に示す。 メタノール 100%で7つのフラクシ ョンに分け,その後,95%のメタノー ルで Fr.2 をさらに3つに分取した。 NMR のスペクトルから,Fr.23 はほ ぼ単離できており,解析が可能ではな いかと思われる。 Fig.1 Separation scheme of condensed water from Sugi Fr.23 の NMR スペクトルにおいて,メチル基のピーク,セプテット,芳香族の水素のピーク, 及び文献調査から,以下(Fig.2)のような,アビエタン系のジテルペンであることがわかった。 また,δ6.0~6.5 のピークから,二重結合があることもわかった。さらに,δ2.1 付近に 2H 分の ピークから,酸素原子の存在も考えられる。 4 今後の課題 ・文献調査と他の機器分析データから Fr.23 の構造決定を行う。 ・HPLC による分取を進め,単離をめざす。 Fig.2 Dehydroabietane 化学3-④ シュウ酸エステルを用いた発光反応 茨城県立緑岡高等学校 大木康弘(2),大川翔(2),平井悠人(1),吉岡圭祐(1),橋本一輝(1),柘植琢也 Ⅰ.はじめに 私たちは化学反応の際に光を発する化学発光に興味を持った。広く普及しているケミカルライ トにはどのような物質が使用されているか文献で調べたところ,ルミノール反応とシュウ酸エス テルを用いた発光反応があることが分かった。 今回は,発色剤を変えることで赤や緑などの様々な光が見られるシュウ酸エステルを用いた発 光反応を中心に,色が変化する原因について調べた。 Ⅱ.実験内容 シュウ酸ビス 2,4,6-トリクロロフェニル(90ml) とフタル酸ジメチル(20ml),各種発色剤(20ml) を混合した溶液と,tert‐ブタノール(4ml)とフタル酸ジメチル(16ml),サリチル酸ナトリウ ム(4mg)に 30%過酸化水素(1ml)を混合した溶液を用意した。今回は発色剤に,ローダミン B,ローダミン 6G,ナフタセン, 1-クロロ-9.10-ビスアントラセンを用いた。その後,調整した 2 つの溶液を1:1の割合で混合し,発光している溶液の波長を,マルチチャンネル検出器を用い て測定した。 Ⅲ.実験結果 発色剤 発光色 ローダミン B 赤色 ローダミン 6G 橙色 ナフタセン 緑 1-クロロ-9,10-ビスアントラセン 緑 表 図 各発色剤と反応後の発光色 ローダミン6G の発光時の波長 用いた発色剤すべてで発光がみられた。溶液の波長を 20 秒間の積分を行って測定をしたところ, それぞれ特徴のあるピークが確認できた。ローダミン 6G では 570~580nm,ローダミン B では 610~620nm,1-クロロ-9.10-ビスアントラセンでは 530~540nm,ナフタセンでは 520~530nm の波長にそれぞれピークが見られた。この結果は,それぞれの発光色の可視光線のスペクトルと 一致した。 Ⅳ.今後の課題 ・過酸化水素水の濃度を変え,発光に与える影響を調べる ・シュウ酸ビスや発色剤の量を変え,発光の強度や発光時間について調べる。 化学3―⑤ マツタケの香り合成~マツタケのにおい成分の合成とマツタケオールの混合条件の検討~ 茨城県立緑岡高等学校 小山朋仁(2),篠原郁人(2),立枝千依(2) ,立花瑞希(2),田中清嗣 1 はじめに 本校の先輩方の研究では,バナナやオレンジ,リンゴの香りのエステルを合成してきた。エス テルとは,カルボン酸とアルコールを脱水縮合して得られる化合物であり,エステルの中には果 物の様な芳香をもつがあり,香料や芳香剤に利用されている。私たちは,キノコの王様であるマ ツタケの香りにもエステル(ケイ皮酸メチル)が含まれていることを知り,マツタケの香りを合 成することにした。 2 実験 ・実験1<ケイ皮酸の合成> Fig.1 Oxidation of Cinnamaldehyde to Cinnamic acid シンナムアルデヒドをシャーレに 入れ,数日間放置し,自然酸化させた。 ・実験2<ケイ皮酸メチルの合成> 試験官に,ケイ皮酸・メタノール・ Fig.2 Synthesis of Methyl cinnamate 濃硫酸を入れ,80℃の湯浴で 15 分間加熱した。その後,炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酸 抜きを行った。生成した固体をろ過・乾燥させ,質量を計測した。 ケイ皮酸とメタノールの物質量比1:3,1:4,1:5,1:6,さらに,濃硫酸1滴の場 合と2滴の場合で実験を行った。 ・実験3<ケイ皮酸とマツタケオールの混合> より本物のマツタケのにおいに近づけるために,マツタケの香りの もう一つの主成分であるマツタケオールと,合成したケイ皮酸 Fig.3 matsutakeol(1-octen-3-ol) メチルを混合した。 3 結果と考察 ・実験1:黄色がかった結晶が得られた。 ・実験2:ケイ皮酸とメタノールの物質量比と収率の関係, 及び濃硫酸の量と収率の関係をグラフに示す。 Fig.4 Results of experiment2 グラフから,濃硫酸を2滴加えたときの方が収率が高くなった。このことから,濃硫酸1滴の 時,反応時間 15 分ではエステル化の反応が十分に終わっていないと考えられる。 ・実験3:ケイ皮酸メチル 1.47gにマツタケオール 0.2gを加えたが,マツタケオールのにおい が強く,失敗した。マツタケオールの量が多かったと考えられる。 4 今後の課題 ・濃硫酸の量の検討。 ・ケイ皮酸メチルとマツタケオールの混合方法を検討し,マツタケの香りに近づける。 化学3-⑥ バイオエタノールの作成の研究 茨城県立竹園高等学校 美齊津啓人 1 (1 年) 担当教員 飯村好和 はじめに 以前からバイオエタノールについて興味を持っていた。本校の先輩が「紙からバイオエ ノールを作成する」という研究を行っているのを間近で見て、よりバイオエタノールへの 興味が強まりこのテーマを研究することにした。また、先輩の研究をさらに発展させるた め何か学校にある身近なものを利用できないか考えた。その結果、学校の敷地内で採れる 落ち葉からバイオエタノールを作ることが出来るのではないかと考え、研究することにし た。 2 3 実験 1 落ち葉を水に浸しミキサーで粉砕する。 2 落ち葉の水を切り後硫酸に浸し糖化する。 3 中和させ塩を取り除く。 4 酵母を加えて発酵させる。 5 蒸留してバイオエタノールを取り出す。 結果 結果は当日報告するものとする。 化学3-⑦ 紙ゴミからバイオエタノール 茨城県立竹園高等学校 首藤亮吾(2年) 長谷川匠(2年) 飯村好和 1. はじめに 我々は日々の生活において、多種多様なごみを大量に排出している。その中で我々は、 紙ゴミからバイオエタノールを生成できないかと考え、この研究を行うこととした。以 前行った研究では硫酸を用いた糖化を試みたが、環境への負荷が大きいことや、中和の 必要性などから、今回は生物が持っている酵素を糖化に用いる方法を探った。 2. 実験方法 紙ゴミ(主成分はセルロース)の糖化に以下の方法を試みた。 ① クロゴキブリ ・ゴキブリはセルラーゼを生成する原生生物を腸内に共生させている。そこで校内 に生息しているクロゴキブリを捕獲し、腸内のセルラーゼを利用することにした。 取り出す際には、液体窒素で瞬間冷凍し、腸の周囲をピンセットで取り出し、すり つぶしたものを、ビーカー内の紙ゴミ懸濁液に加え、数日間置いた。 ② 麹 ・市販の米麹をビーカー内で水と紙ゴミと一緒に数日間置いた。その際、ビーカー 内にポンプで空気を送り続け、減少した水を何回か注ぎ足した。 また、生成したグルコースの検出には、以下のフェーリング反応を用いた。 R-CHO + 2Cu2+ + 4OH- → R-COOH + Cu2O + 2H2O ※糖が生成されていれば、酸化銅(I) (Cu2O)の赤色沈殿が見られる。 図 実験の流れ 3. 結果 ① クロゴキブリを用いた方法では、グルコースの 生成は殆ど認められなかった。 ② 麹を用いた方法では、フェーリング反応による 赤色沈殿が見られた。よって、グルコースの生成 が認められた。定量的な結果については、実験中 につき当日報告する予定である。 赤色沈殿が見られた様子 化学3-⑧ 茶に含まれるカテキン類の定量分析とその効果 私立茨城高等学校 嶋田光将(一年),井町龍輔(二年) ,鈴木晶也(二年),上村和朗 カテキン類とはポリフェノールの一種であり、茶の渋み成分のことである。カテキン類の作用 は、様々なものがあるが、その代表として抗酸化作用があげられる。そこで、今回の実験では「茶 のカテキン類の含有量調査(1)」 「カテキン類の抗酸化作用の証明(2)」の二点をテーマとした。 (1)HPLC を用いて CA、EC、EGC、ECG、EGCG、EGCG3”Me、EGCG4”Me、の7種類の カテキンについて、玉露、柿の葉茶、紫鳳、A-COOP、紅ふうきへの含有量を調査した。検量線 は各カテキン 10mg/mL の水溶液を 2 倍、4 倍・・・128 倍希釈したものを HPLC への導入結果 に基づき検量線を作成。乳鉢で粉末状にした茶葉 250mg を取り、2%エタノール水溶液と 2%リ ン酸水溶液各 10mL で 30 分間抽出し、0.45 ㎛メンブランフィルターでろ過、それを 10 倍希釈 し作成した茶の抽出液を HPLC で分析し、カテキン類を定量した(図1)。柿の葉茶は CA 以外 カテキン類が含有されていなかった。緑茶の原料のチャノキはツバキ科の常緑樹で、柿の葉茶の 原料のカキノキはカキノキ科の落葉樹。チャノキ以外の茶はカテキン量が少ないことが考えられ る。紅ふうきは強い抗アレルギー作用を持つ EGCG4”Me が最も多く含有されていた。カテキン 類の総量は A-COOP が最多でカテキン類としての効果は A-COOP が最も大きいと考えられる。 (2)抗酸化作用は生物の有機物燃焼による生体組織の酸化を抑制する働きである。カテキン類 がこの働きを持つ場合、物質を酸化する際にカテキン類を加えることでその物質の酸化が抑制さ れる。この実験では物質としてシュウ酸を用いた。シュウ酸は酸化すると、水と CO₂が生成され る。カテキン類により酸化が抑制されると、シュウ酸の減少量が減り、CO₂が減るだろうと予想 した。なお、今回はカテキンが高価であるため、茶の抗酸化作用に証明に変更した。7.4%シュウ 酸水溶液 50ml、7.4%シュウ酸水溶液 50ml と含まれるシュウ酸の質量が等しいシュウ酸水溶液 45ml に熱湯で抽出した紫鳳の抽出液 5ml を加えた溶液 50ml を加熱し、空気に触れるようにして 酸化した。その試料を CO₂は検出器で、シュウ酸はガスクロマトグラフィーで測定した。結果は (図2)のようになり、CO₂は茶を含む試料の方が検出量は少なく、シュウ酸は茶を含む試料の 方がシュウ酸の減少幅は小さいことから、茶には明らかに抗酸化作用があると考えられる。 (図1)検量線と各品種含有量 (図2)右からシュウ酸、二酸化炭素の量の変化 化学3-⑨
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