第3回ELNEC-J in TOYAMA

ELNEC-Jコアカリキュラム看護師教育プログラム研修を受けて
市立砺波総合病院 島 美貴子
私がこの研修を知ったのは、急性・重症患者看護専門看護師から ELNEC‐critical コースというコ
ースがあると聞いたことがきっかけでした。
「ELNEC-J」は、初めて聞いた言葉で、ネットで調べると、
日本緩和医療学会のホームページに本コースの内容が詳細に明示されていました。
このコースが、
2000
年に米国の看護協会と City of Hope National Medical Center が共同して設立した組織であり、その
ミッションには、すべての人々への質の高いエンド・オブ・ライフ・ケア(EOL ケア)を届けること
とありました。人が病を持ち、健康を維持できなくなったとき病院を受診し、専門家の診断を受け、
治療、看護を受けることは当たり前の現象です。癌や慢性疾患など長い時間の経過を持ち EOL ケアを
受ける方や、緊急時や急変など数時間、数分で EOL ケアを受ける方など、人が人生を終える時期は様々
ですが、その時に必要とするケアは同じです。このコースを受講し、救急医療現場においても、質の
高い患者ケアをより迅速に実践できるよう自分自身の EOL ケアの知識、技術の向上と、後輩スタッフ
への現場実践指導の教材として共有することを目的に、受講させていただきました。
WHO の緩和ケア定義にあるように、生命を脅かす疾患に伴う問題に直面する患者と家族に対し、痛
みや身体的、心理社会的、スピリチュアルな問題を早期から正確にアセスメントし解決することによ
り、苦痛の予防と軽減を図り、生活の質(QOL)を向上させるためのアプローチは、救急医療現場でも
考え方は同じです。本コースで学んだ QOL のアセスメント視点は、身体面、精神面、社会面、スピリ
チュアルな面があり、患者の現象をとらえた言語が存在します。臨床では、その言語から考えられる
事象はすべてカテゴリー化され、看護診断し看護計画、実施、評価されています。また、痛みのマネ
ジメントや症状のマネジメントは、医療診断からもアセスメントする必要性があり、医学的予後予測
や倫理的問題を医師と共に考えていく過程が大切であると理解しました。そして、患者、家族を中心
に、多種多様な社会、文化背景を考え、その人らしい EOL ケアを提供できるよう、考えていく過程を
学びました。救急医療現場では、突然に患者家族が、喪失、悲嘆、死別、臨死期に遭遇する機会があ
ります。スタッフ自身が、看護ケアに戸惑い、看護実践が停止してしまうことも少なくありません。
今回学んだそれぞれの概念やケアの方法を共有し、迅速な看護実践につなげていきたいと考えます。
そのためには、経験したケースの状況や判断を振り返るカンファレンスを定期的に開催し共有できれ
ばと考えます。また、本コースの長期的な目的には、老いは必ず誰にでも訪れる現象であることを広
く一般市民にも啓蒙する必要があると感じました。
誰もが慌てることなく、人生の選択をできるよう、
自らに行われる医療行為に対する意向を伝え、最善を常に考えた、アドバンス・ケア・プランニング
を、患者、家族、多職種チームメンバーとともに共有する場が必要だと考えます。そのためには、テ
キストにもあるように、現状の振り返り・把握、課題の明確化と目標設定、目標に合わせた行動の検
討・実施、リソースの活用、目標達成状況の評価を繰り返した、PDCA サイクルを展開していくことが
今後の課題だと理解しました。
救急医療現場では、とにかく時間が患者の生命を左右し、迅速、的確に診療の補助を実践すること
が優先的に求められます。ですが看護の本質は、環境、時間、かかわる人が変化しても、患者、家族
にとっては変わることはなく、患者、家族の人生を中心に、人間を総合的にアセスメントしていく過
程を本コースで学ぶことができました。今後はアセスメントした内容を統合し、看護問題を抽出、看
護診断すること、看護計画を立案、実施、評価、振り返りを行い、言語化された EOL ケアの蓄積が、
本コースのより発展したものにつながることを祈念します。この度はこのような素晴らしいコースに
参加させて頂き誠にありがとうございました。八塚教授はじめ、本コースのスタッフの皆様に感謝と
お礼を申し上げます。
ELNEC-Jコアカリキュラム看護師教育プログラム研修を受けて
済生会富山病院 永森 久美子
私は、外科・消化器内科の混合病棟に勤務しています。手術や治療をして元気に退院さ
れる方々もたくさんいますが、その反面、終末期で入院される方々もたくさんいます。
私が経験した中に、終末期の症状で、痛みが多くいろいろな鎮痛剤を使用しても今一つ
効果がないことで、それによって精神的・心理的症状も影響が出てきた患者さんの辛い姿
を目の当たりして、家族もまた辛い状況になったというケースがあります。その患者は意
識がほとんどなく家族が交替で付き添っていました。意思疎通ができた時から医療用麻薬
を使用していてレスキューも本人の希望で施行していました。意識がなくなってからは、
妻が付き添っている時は必ず「痛がっているので(レスキュー)お願いします」というナ
ースコールが頻回にありました。
最初のうちは、そんなに痛そうではないのに・・と思いながらも妻の希望に沿って施行
していました。またこの患者さんの最期の時も、妻以外の家族からも「苦しそうだ」
「どう
にかしてほしい」という訴えがありました。主治医からは頻回に状態が悪いことや余命な
ども説明されていました。
この研修を受けて思ったことは、妻も他の家族も患者さんの辛い状況をみていたくない
という事と、いくら予後をわかっていても複雑な気持ちであったのではないかと感じまし
た。
それをサポートする看護師は、まず信頼関係を作りそこから患者・家族はどこでどのよ
うに過ごしたいかを確認し希望を尊重することが大事だと改めて思いました。
また、この研修は、日々の業務などで身近に起きている事が内容であったため、全て興
味のそそられるものでしたが、一番興味が湧いたのはコミュニケーションによるロールプ
レイでした。看護師役・患者役・観察役にそれぞれ分かれロールプレイ中は役になりきる
事であまり経験できない患者さんの気持ちが少しわかったような気がしました。看護師役
では普段の業務と変わりありませんでしたが、その言い方のひとつひとつに良い悪いなど
考えさせられました。また、会話する中で、専門的な知識も重要であることが改めて考え
させられ反省しました。
この2日間で富山県内のいろいろな病院や施設・訪問看護ステーションの多くの看護職
の人達の意見や情報交換ができとても勉強になりました。
今後、学んだことを日々の多忙業務に少しずつでも取り込んでいき、それを他のスタッ
フにも伝えて共に実践できるよう頑張っていきたいと思います。
第3回
ELNEC-J in TOYAMA アンケート結果
モジュール 1:エンド・オブ・ライフ・ケアにおける看護
1)講義の内容はわかりやすかった
ですか
(回答数 28 人)
2)講義の内容は臨床で遭遇する問題
の解決につながると思いましたか
(回答数 28 人)
全くそう思わない
あまりそう思わない
普通
ややそう思う
大変そう思う
3)講義で使用したスライドはわかり
やすかったですか
(回答数 28 人)
4)講義の内容に関心・興味がもて
ましたか
(回答数 28 人)
モジュール 2:痛みのマネジメント
1)講義の内容はわかりやすかった
ですか
(回答数 28 人)
3)講義で使用したスライドはわかり
やすかったですか
(回答数 28 人)
2)講義の内容は臨床で遭遇する問題
の解決につながると思いましたか
(回答数 28 人)
4)講義の内容に関心・興味がもて
ましたか
(回答数 28 人)
モジュール 3:症状マネジメント
1)講義の内容はわかりやすかった
ですか
2)講義の内容は臨床で遭遇する問題
の解決につながると思いましたか
(回答数 28 人)
(回答数 28 人)
3)講義で使用したスライドはわかり
やすかったですか
4)講義の内容に関心・興味がもて
ましたか
(回答数 28 人)
(回答数 28 人)
5)ケーススタディは講義の内容を
理解するうえで参考になりましたか
(回答数 28 人)
モジュール 4:エンド・オブ・ライフ・ケアにおける倫理的問題
1)講義の内容はわかりやすかった
ですか
(回答数 28 人)
3)講義で使用したスライドはわかり
やすかったですか
(回答数 28 人)
2)講義の内容は臨床で遭遇する問題
の解決につながると思いましたか
(回答数 28 人)
4)講義の内容に関心・興味がもて
ましたか
(回答数 28 人)
モジュール 5:エンド・オブ・ライフ・ケアにおける文化への配慮
1)講義の内容はわかりやすかった
ですか
2)講義の内容は臨床で遭遇する問題
の解決につながると思いましたか
(回答数 27 人)
(回答数 27 人)
3)講義で使用したスライドはわかり
やすかったですか
4)講義の内容に関心・興味がもて
ましたか
(回答数 27 人)
(回答数 27 人)
モジュール 6:コミュニケーション
1)講義の内容はわかりやすかった
ですか
(回答数 28 人)
3)講義で使用したスライドは
わかりやすかったですか
(回答数 28 人)
5)ロールプレイは講義の内容を理解
するうえで参考になりましたか
(回答数 28 人)
(回答数 27 人)
2)講義の内容は臨床で遭遇する
問題の解決につながると思い
ましたか
(回答数 28 人)
4)講義の内容に関心・興味が
もてましたか
(回答数 28 人)
モジュール 7:喪失・悲嘆・死別
1)講義の内容はわかりやすかった
ですか
(回答数 28 人)
3)講義で使用したスライドは
わかりやすかったですか
(回答数 28 人)
2)講義の内容は臨床で遭遇する
問題の解決につながると思い
ましたか
(回答数 28 人)
4)講義の内容に関心・興味が
もてましたか
(回答数 28 人)
モジュール 8:臨死期のケア
1)講義の内容はわかりやすかった
ですか
(回答数 28 人)
3)講義で使用したスライドは
わかりやすかったですか
(回答数 28 人)
2)講義の内容は臨床で遭遇する
問題の解決につながると思い
ましたか
(回答数 28 人)
4)講義の内容に関心・興味が
もてましたか
(回答数 28 人)
モジュール 9:高齢者のエンド・オブ・ライフ・ケア
2)講義の内容は臨床で遭遇する
問題の解決につながると思い
ましたか
1)講義の内容はわかりやすかった
ですか
(回答数 28 人)
(回答数 28 人)
3)講義で使用したスライドは
わかりやすかったですか
4)講義の内容に関心・興味が
もてましたか
(回答数 28 人)
(回答数 28 人)
モジュール 10:質の高いエンド・オブ・ライフ・ケアの達成
1)講義の内容はわかりやすかった
ですか
(回答数 28 人)
3)講義で使用したスライドは
わかりやすかったですか
(回答数 28 人)
2)講義の内容は臨床で遭遇する
問題の解決につながると思い
ましたか
(回答数 28 人)
4)講義の内容に関心・興味が
もてましたか
(回答数 28 人)
全体について
Ⅰ.本プログラムを受講して、
‘エンド・オブ・ライフ・ケア’の
重要性が理解できましたか
(回答数 28 人)
Ⅱ.本プログラムの内容は、あなた
の期待をどの程度満たしましたか
(回答数 28 人)