授与機関名 順天堂大学 学位記番号 甲第 1448 号 Properties of force output and spectral EMG in young patients with nonspecific low back pain during isometric trunk extension (等尺性体幹伸展運動における若年非特異的腰痛患者の力発揮特性と筋電図スペクトラム解 析) 三浦 達浩(みうら たつひろ) 博士(医学) 論文審査結果の要旨 本論文は、等尺性体幹伸展運動での非特異的腰痛者の力発揮において、低強度(2%MVC) から高強度(90%MVC)の力発揮にわたり、その特性を力変動および表面筋電図スペク トラムの解析にて総合的に検討した論文であり、中強度の力発揮において非特異的腰痛 者の力発揮特性が健常者と異なることを初めて明らかにした臨床的に意義のある論文で ある。 近年、腰部背筋群の表面筋電図解析により、非特異的腰痛者は高強度の力発揮におい て健常者と異なる筋特性を示すことが明らかにされていたが、日常生活活動場面で通常 みられる低強度から中強度レベルの筋活動における筋特性については明らかになってい なかった。また、筋電図による差異が認められることから非特異的腰痛者の運動制御は 健常者と異なることが予想されていたが、非特異的腰痛者の力発揮特性を力変動から検 討した報告はなかった。 本論文の結果により、非特異的腰痛者の力変動は中強度の力発揮において健常者より も大きく、また、高強度の力発揮において非特異的腰痛者の多裂筋の筋電図中間周波数 は健常者よりも高いことが示された。これらの結果から、力変動や筋電図周波数解析に より非特異的腰痛者を鑑別評価できる可能性が示唆されたが、高強度の力発揮が必要と される筋電図周波数解析による方法に比べ、中強度の力発揮にて評価できる力変動の有 用性が示された。本論文で示された知見は非特異的腰痛の評価、トレーニングおよび予 防方法の開発などに応用できる可能性があり、臨床的に意義のある論文である。 よって、本論文は博士(医学)の学位を授与するに値するものと判定した。
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