技術情報 遺伝子発現データベース GENEVESTIGATOR：Gene Search Tools GENEVESTIGATORは遺伝子発現データベースのオンライン解析ツールです。公共データベースに登録されたマ イクロアレイや次世代シーケンサーの膨大な遺伝子発現データをキュレーションすることで、さまざまな研究者 が登録した大量の実験結果を統合して解析可能にしました。また、GENEVESTIGATORは使いやすいインター フェースと高速な検索エンジンを搭載しているため、研究者が標的遺伝子の探索などの遺伝子発現解析を行 う際に、注目する遺伝子の同定や発現変動遺伝子の優先順位付けなどを簡単かつ正確に行うことができます。 今回は注目する実験条件で特異的に発現している遺伝子を解析するGene Search Toolsについて紹介します。 ■ Gene Search Tools でコントロール群に比べて特異的に発現が上昇または低 GENEVESTIGATOR の解 析ツールは Condition Search 下している遺伝子の発現量のログ比をヒートマップで表示 Tools、Gene Search Tools、Similarity Search Tools、 します （図1右）。赤色はコントロール群と比較して発現が Single Experiment Tools の 4 種類に分類されます。 上昇していることを、緑色は発現が低下していることを示 注目する実験条 件で特異的に発現している遺伝子を します。Gene Search Tools の解析結果は遺伝子リストとし 解 析するツールが Gene Search Toolsです。Gene Search て保存できるので、引き続いてCondition Search Tools や Tools は Anatomy、Cell Lines、Cancers、Perturbations、 Similarity Search Tools を実行できます。 Development、RefGenes の 6つの解析ツールを含みます。 初期設定では全ての実験条件と比較して選択した実験 Gene Search Toolsで解析する時は、最初に生物種を 条件で特異的に発現している遺伝子を検索しますが、比 指定します。ヒト、マウス、ラット、シロイヌナズナ、イネ、 較対象となる実験条件を任意に選択することができます。 ダイズなど 17 種の生物種が選択できます。生物種によっ 例えば、リンパ節に特異的な遺伝子を検索する際に同じリ てはアフィメトリクス社、アジレント社、イルミナ社などの ンパ組織である胸腺や脾臓を比較対象に選択すると、リン 複数のアレイプラットフォームから解析対象のプラット パ組織の中でリンパ節に特異的な遺伝子を検索できます。 フォームを選択できます。 ■ 実験条件特異的な遺伝子の検索 Gene Search Tools を使うと遺伝子が発現している場 所 （組織、細胞株、癌種）、発生段階、刺激により特異的に 発現している遺伝子を検索できます。Gene Search Tools は注目する実験条件で単に発現量が多い遺伝子から順 に検索するわけではありません。たとえ発現量が多くて も他の実験条件で幅広く発現している遺伝子は検索結 果から除かれ、発現量が少なくても他の実験条件で発現 しておらず選択した実験条件でのみ発現している遺伝子 が検索結果に含まれます。 図1 Cell Lines Tool、Perturbations Toolの解析結果 ■ RefGenes Tool RefGenes Tool を使うと注目する遺伝子を定量 PCR す Anatomy Tool で は 組 織 お よ び 初 代 培 養 細 胞 を、 る際のリファレンス遺伝子の候補を検索できます。注目す Cell Lines Tool では細胞株を、Cancers Toolでは癌種を、 る遺伝子と同程度の発現量で実験条件による発現量の Perturbations Toolではさまざまな刺激を、Development ばらつきが小さい遺伝子を検索します。定量 PCR のリファ Tool では発生段階を注目する実験条件として選択できま レンス遺伝子としてよく使われるハウスキーピング遺伝子 す。Perturbations Tool で 選 択可能 な刺 激は化合 物、疾 の GAPDH やβ-アクチンも実験条件によっては発現量が 患、成長因子とサイトカイン、ホルモン、感染、その他に分 ばらつくことが知られています。発現量がばらつく遺伝子 類されます。その他の区分には加齢、ストレス、食事、運 をリファレンス遺伝子に用いると精確に定量できません。 動、喫煙など多様な刺激が含まれます。 そのため、定量 PCR を行う実験条件に応じたリファレン Perturbations Tool を除く4つのTool で 注目する実 験 条件を選択して解析を実行すると、選択した実験条件で 特異的に発現している遺伝子の発現量をヒートマップで ス遺伝子を探す際に RefGenes Tool は役立ちます。 ■ ご評価 表示します （図1左）。色が濃いほど該当する実験条件で遺 GENEVESTIGATOR Professional は、無償でトライアル 伝子の発現量が多いことを示しています。Perturbations 利用できます。トライアル期間は 30 日間です。遺伝子発現 Tool で注目する実験条件での発現上昇または発現低下の 解 析をされる方はぜ ひ GENEVESTIGATOR Professional いずれかを選択して解析を実行すると、選択した実験条件 をお試し下さい。トライアルを希望される方は弊社 Web サイトよりお問い合わせください。 6
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