高校生・学生口演 1 ES 細胞特異的 LRH1 の発現調節機構の解析 菅野

高校生・学生口演 1
ES 細胞特異的 LRH1 の発現調節機構の解析
○菅野真史 1 2・矢澤隆志1・河邉真也1・宇佐美陽子1・水谷哲也1・今道力敬13・具云峰1・松村健大1・
藤枝重治2・宮本薫1
1 福井大・医・分子生体情報学、2 福井大・医・耳鼻咽喉科頭頸部外科学、3重点研究高度化推進本部
転写因子 Liver receptor homologue 1(LRH1)は肝臓や膵臓で顕著に発現し、小腸や卵巣などでも発
現を認める核内受容体である。ES 細胞において LRH1 は細胞の自己増殖を制御する因子として知られ
ており、その調節機構は iPS 細胞樹立に重要な4因子の1つである OCT4 を正に制御することによって
成り立っていることが分かっている。また、LRH1 は代表的な未分化マーカーである Nanog の発現調
節に関与しているとの報告もあり、LRH1の発現調節因子を解析することは、幹細胞研究ひいては再生
医学の分野にとって非常に重要な意味を持つ。
LRH1 は転写産物に組織特異性があり、肝臓や膵臓といった成熟細胞と ES 細胞では若干異なり、プロ
モーター領域も別であることが分かっている。今回我々は胚性腫瘍細胞(EC 細胞)である F9 細胞で
ES 細胞特異的 LRH1 のプロモーター領域をルシフェラーゼアッセイで解析し、重要な2領域を同定し
た。転写開始点より上流-393∼-388bp および-179∼-174bp の2領域であり、この部位に mutation を
入れることによってプロモーター活性が低下することを確認した。また、それぞれの位置には GABP(α
β)および SOX2 が直接結合することを EMSA によって証明した。さらに、pcDNA 発現ベクター導入
により GABP(αβ)および SOX2 を過剰発現することによって LRH1 のプロモーター活性は正に制御さ
れることを実証した。
今回の実験によって iPS 細胞樹立に関わる 4 因子のうち SOX2 と OCT4 の2因子に関して、SOX2 か
ら直接発現誘導を受け OCT4 を直接発現誘導する因子として LRH1 が示唆されたことになる。これは
非常に重要な発見であり、さらに研究を進める予定である。
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