テキスト一1

通関士合格講座
関税法等
01A
はじめに
本書の目的
本
書は、通関士試験に最も容易に、かつ、確実に合格するために構成されています。
このテキストをマスターすれば、最も合理的かつ最短に合格圏に入ることができ
ます。
本書の特色・使い方
❶ 文章は簡潔に、かつわかりやすくしました。
少ない時間で全範囲を勉強するには、楽に読める必要があります。そのため、本書は、
なるべく文章を簡潔に、かつ、わかりやすくしました。
❷ 図表を多く盛り込みました。
文字ばかりのテキストではなかなか理解が進みません。テキストの内容に合わせた
形で、図表があると理解が進むものです。そこで、本書では図表を多く盛り込みました。
❸ 試験に出題されるか、否かの重要度を各事項のはじめに明示しました。
試験にあまり出ないところを一生懸命やっても無意味です。そこで、どこに力を入
れて学習すべきかを各事項のはじめに、
A
B
C
最重要 重要 補足 ゾーン
ゾーン
ゾーン
の 3 段階で示しました。
❹ テキスト内の内容にも重要度を示し、確認のためのチェックボックスを設けました。
▪黄色枠で 4 つ星マークが記してある箇所は、最重要事項です。テキストの本文中
や事項の最後にポイントとしてまとめてある場合があります。
check
2
▪テキストの本文中の必須学習項目は、黄色以外の色枠で囲み、1 〜 3 つの星マークで
重要度を示しています。
星マーク1∼ 3 で重要度を表記
チェックボックス
check
I 総則
色枠は学習意欲向上の一助として、
カラフルな色使いにしています。
C
労働基準法の適用対象
ゾーン
▪必須学習項目に関する参考項目については、同色で下記のように表示しています。
⑴ 適用範囲(法 112 条、法 116 条、別表第1ほか)
原 則
check
労働者を使用する事業は、その種類・規模に関係なく労働基準法の適用を受けます。
労働基準法別表第1
この場合、
「原則」に関する
参考項目です。
労働基準法 は 事業の種類に関係なく適用 されますが、労働時間 など 一部 の 規定 について
は、事業 の 種類 によって 特例 が 設 けられています。 そこで 労働基準法は、
「別表第1」にお
いて 一定 の 業種 の 区分 を 列挙 したうえで、特例 の 箇所 でそれを 引用 するという 形 をとって
います。
工業的業種
非工業的業種
1 号 製造業
6 号 農林業
11 号 郵便通信業
2 号 鉱業
7 号 畜産・養蚕・水産業
12 号 教育研究業
3 号 建設業
8 号 商業
13 号 保健衛生業
▪テキスト右ページ上部には、学習日の記録欄を設けました。学習進捗状況などの確認
4 号 運輸交通業
9 号 金融・広告業
14 号 接客娯楽業
5 号 貨物取扱業
10 号 映画・演劇業
15 号 焼却・清掃業
に役立ててください。
属地主義
1
/
2
/
3
/
4
/
5
/
労働基準法 は、日本国内 にある 事業 にのみ 適用 されるので、国外 にある 支店等 であって
事業 としての 実態 を 備 えるものについては 適用 されません。 また、日本国内 で 行 われる 事
▪テキストの各ページの下に「メモ欄」を設けました。講義を聞きながら、またテキス
業であれば、事業主が外国人であっても適用されます。
トを読みながら、必要なことはどんどんメモ欄に書き込み、自分だけのオリジナルテ
キストに仕上げていきましょう。
本書の利用により、一人でも多くの方が通関士試験に合格されることを、心より切望し
ます。
フォーサイト教材作成室
14
3
もくじ
I
関税法
─ ─────────────────────────────────────────────────────────────────────
I-1 定 義 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8
I-2 通関前の税関手続
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 16
⑴ 保税地域(総則)
⑵ 運 送. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 28
⑶ 収容および留置 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 36
I-3 通関手続
輸出通関手続
⑴ 輸出申告手続の開始. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 40
⑵ 輸出申告に際しての提出書類. . . . . . . . . . . . . . . . . . 43
⑶ 輸出貨物の検査場所. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 47
⑷ 輸出してはならない貨物. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 48
⑸ 証明または確認. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 52
⑹ 輸出の許可. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 53
⑺ 外国貨物の積戻し. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 56
輸出申告の特例 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 59
輸入・納税申告方式の通関手続
⑴ 輸入申告の時期 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 74
⑵ 輸入(納税)申告に際しての提出書類. . . . . . . . . . . 76
⑶ 貨物の検査場所 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 83
⑷ 輸入してはならない貨物 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 84
⑸ 輸入が許可されない貨物 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 92
⑹ 輸入の許可. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 96
⑺ 輸入の許可前における貨物の引取り. . . . . . . . . . . . 100
⑻ 帳簿の備付け等 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 102
⑼ 税関事務管理人 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 104
⑽ 特例輸入申告制度. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 106
7
⑾ 認定通関業者 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 116
⑿ 郵便物の通関手続. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 120
関税の確定、納付、徴収および還付
⑴ 通 則 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 126
⑵ 申告納税方式の関税の確定. . . . . . . . . . . . . . . . . . . 137
⑶ 関税の納付および徴収 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 142
⑷ 附帯税 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 149
⑸ 還付および充当 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 156
I-4 その他
不服申立て. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 158
税関職員の権限 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 162
罰 則 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 164
索 引. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
168
チェックテスト 解答・解説. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
172
法令略称 略 称
正式名
関税法
関税法
関 令
関税法施行令
関 則
関税法施行規則
暫定法
関税暫定措置法
暫 令
関税暫定措置法施行令
定率法
関税定率法
アイコン ▪択一式・複択式補足.................................................................................................
▪語句選択式対策
.................................................................................................................
6
択一補
語句対
I
関税法
関税法の内容 関税法は、主として関税の確定、納付、徴収お
よび還付に関する税法としての側面と、貨物の
輸出および輸入に関する税関手続の適正な処
理を図るために必要な事項を定める、いわゆる
〝通関法〟 としての側面がある
通関士 合格講座 テキスト 01A I -1
定 義
B
定 義
ゾーン
⃝ 設問の貨物は、外国貨物なのか ? 内国貨物なのか ?
⃝ 設問の行為は、輸入にあたるのか ? 輸出にあたるのか ?
1. 外国貨物と内国貨物(関税法 2 条、同法 74 条)
check
外国貨物
内国貨物
外国から本邦に到着した貨物で輸入が許可
される前のもの
本邦にある貨物で外国貨物でないもの
輸出の許可を受けた貨物
輸入の許可を受けた貨物
外国の船舶により公海で採捕された水産物
本邦の船舶により公海で採捕された水産物
で、輸入が許可される前のもの
輸入を許可された貨物とみなされるもの
❶日本郵便株式会社から交付された郵
便物
❷公売に付され、または売却された貨
物で買受人が買い受けたもの
❸ 国庫に帰属した貨物
例 刑事訴訟法の規定により没収
が執行されたもの
❹ 一
定の外国貨物で関税が徴収された
8
もの
例 税関から返還される領置物件
または差押物件で関税が徴収
されたもの
1
2. 輸入と輸出の定義(関税法 2 条)
/
2
/
3
/
4
/
5
/
check
▪ 輸 入 次の貨物を、本邦に引き取ること
▪外国から本邦に到着した貨物
▪輸出の許可を受けた貨物
外国の船舶により公海で採捕された水産物を本邦に引き取ること
▪輸 出 内国貨物を外国に向けて送り出すこと
※外国貨物を外国に向けて送り出すことを積戻しという
コラム
お
勉強とお酒について
酒 の 好 きな 人にとって、お 酒は 勉強 の 大敵。家に 帰って、すぐに一杯、風呂
から出て一杯という習慣のある方は家で勉強することは至難の業です
そんな方のためにひとつアドバイス!
「試験 に 合格 するまで、 お 酒 は 飲 まない 」 なんてことは、 できっこありませんか
らはじめから諦めましょう。そのかわり、家ですぐにお酒を飲むのはやめて、今日
はここまで 勉強したら、ご 褒美 としてお 酒 を 飲 んでも OK、というルールを 作 って、
実行してください。これなら、勉強もはかどり、かつ、お酒も飲めて一挙両得です。
是非、お薦めいたします
ところで、6 年程前の受講生にこんな方がいらっしゃいました
講義の際、いつも机の上にウーロン茶らしき缶が置いてあるので、何気なしにみ
てみると、 なんとビール。 そこで、早速、 その 受講生 に 注意 すると、
「 ボクは、 お
酒を飲みながらでないと頭が回転しないんです!」と真剣に弁明。本当かな? と思
いつつも、その真剣さゆえ、その後も、ビールを飲みながらの受講を許可。そして、
なんと彼は、その年の試験に合格しました
なお、その後は、こんな豪快な受講生は現われていません
9
I 関税法 / I-1 定 義
3. 輸入と輸出の時期(関税法基本通達 2-1、同通達 2-5) 種 類
輸入の時期
輸入の許可を受け
た貨物
船舶または航空機
❶本邦以外におい
て本邦の国籍ま
たは仮国籍を取
得した船舶また
は航空機
❷本邦内にある外
国籍の船舶また
は航空機
郵便物
check
輸出の時期
時 期
種 類
輸入の許可の時
輸出の許可を受け
た貨物
外国に仕向けられ
た船舶または航空
機に積み込んだ時
船舶または航空機
外国の国籍または
仮国籍を取得した
後、初めて本邦を
出発する時
郵便物
通関郵便局(日本
郵便株式会社)に
おいて税関検査が
終了した時
次に掲げる時また
は輸入許可の時の
いずれか早い時
❶初めて本邦に回
航されて使用に
供される時
❷本邦の国籍また
は仮国籍を取得
して使用に供さ
れる時
名あて人に交付さ
れた時
公海等で採捕され
た海産物
関税を徴収された
貨物
関税を徴収された
時
❶採捕した船舶で
輸出されるもの
❷外 国に向けて航
行する船 舶に積
み替えられたもの
本船扱いの承認を
受けた貨物
収容、留置された
貨物で公売、売却
されたもの
10
買受人が買い受け
た時
❶外国貿易船に積
み込んだ後、輸
出の許可を受け
た場合
❷外国貿易船に積
み込んだ後、輸
出の許可前にそ
の船舶が外国に
向けて航行を開
始した場合
時 期
❶採捕した船舶が
外国に向けて運
送を開始した時
❷外国に向けて航
行する船舶に積
み替えた時
❶輸出の許可を受
けた時
❷外国貿易船が航
行を開始した時
1
密輸入に係る貨物
❶原則
❷保税地域、他所
蔵置許可場所、
指定検査場所か
ら引き取られた
もの、保税運送
中に引き取られ
たもの
/
2
/
3
/
4
/
5
/
❶陸揚げまたは取
卸しの時
❷引取りの時
11
I 関税法 / I-1 定 義
4. みなし輸入
check
❶趣 旨
関税法において輸入とは、外国貨物を本邦に引き取ること
➡ そのため
引き取る前に貨物を使用し、または消費することを輸入とすることはできない
➡ そこで
関税法は、これを特に輸入とみなすこととした
❷ 外国貨物の使用・消費と販売
(関税法 2 条、関令 1 条の 3、関税法 62 条の 4、同法 62 条の 15、関令 51 条の 5)
▪外国貨物の使用・消費 原 則 外国貨物が輸入される前に本邦において使用され、または消費された場
合、その使用し、または消費する者がその使用または消費の時に当該貨
物を輸入したものとみなされる
例 外 次の使用または消費の場合は、輸入とみなされない
⒜保税地域において関税法により認められたところに従って外国貨物が
使用され、または消費される場合
⒝本邦と外国との間を往来する船舶または航空機に積まれている外国貨
物である船用品または機用品を当該船舶または航空機においてその本
来の用途に従って使用し、または消費する場合
⒞旅客または乗組員がその携帯品である外国貨物をその個人的な用途に
供するため使用し、または消費する場合
⒟税関職員が採取した外国貨物の見本を当該貨物について検査のため使
用し、もしくは消費する場合または権限のある公務員が収去した外国
貨物をその権限に基づいて使用し、もしくは消費する場合
▪外国貨物の販売 原 則 保税展示場または総合保税地域に入れられた外国貨物が保税展示場等内
で販売された場合、その販売は輸入とみなされる
例 外 保税展示場等に入れられた外国貨物がその販売により外国に向けて積み
戻される場合、その販売は輸入とみなされない
12
1
輸入の見極め方
設問の貨物は
外国貨物?
/
2
/
3
/
4
/
5
/
択一補
Yes
設問の貨物は
本邦に引き取る?
No
Yes
輸入に該当
No
輸入に該当しない
輸出の見極め方
設問の貨物は
内国貨物?
択一補
Yes
設問の貨物は
外国に送り出す?
No
Yes
輸出に該当
No
輸出に該当しない
水産物の見極め方
択一補
水産物を
採捕した船舶
外国の領海
公海(各国の排他的
経済水域を含む)
本邦の領海
外国の船舶
外国貨物
外国貨物
内国貨物
本邦の船舶
外国貨物
内国貨物
内国貨物
13
I 関税法 / I-1 定 義
チェックテスト 1
以下の各問題に、○か×で答えなさい。
□□ ❶ 外国から本邦に到着した貨物で、輸入が許可される前のものは、外国貨物である。
□□ ❷ 輸入の許可を受けた貨物は、内国貨物である。
□□ ❸ 輸出とは、外国貨物を外国に向けて送り出すことである。
□□ ❹ 郵便物の輸入の時期は、輸入の許可の時である。
□□ ❺ 輸出の許可を受けた貨物であって、保税蔵置場にあるものは、内国貨物である。
□□ ❻ 外国の船舶により公海で採捕された水産物で、輸入が許可される前のものは、
外国貨物である。
□□ ❼ 日本郵便株式会社から交付された課税価格が 20 万円以下の郵便物は、輸入許可
を受けるまでは外国貨物である。
14
1
コラム
講
/
2
/
3
/
4
/
5
/
勉強方法について
師 を や っ て い る と よ く 質問 さ れ る の が、
「 ど の よ う に 勉強 す る と 効率的
か?」という質問です。そこで、今回は効率的な勉強方法についてのお話
結論 からいえば、 これが 効率的 な 勉強方法! という 絶対的 な 方法 はなく、人 に
よって最善な方法は違うと思います。たとえば、どちらかというと聞くというより、
書いた方が覚えやすいという方の場合、一度自分でサブノートを作成してみるとよ
いでしょう。反対に聞いて覚えるタイプの方は講義 CD または DVD を繰り返し視
聴してみる方法がよいでしょう。この場合、自分にあった方法を見つけ、ある方法
に決めたら、その方法を最後まで継続することが最も大切なことです。人によって
は、他人に言われるまま勉強方法をコロコロ変更している方もいらっしゃいますが、
どんなに優れた方法でも継続しないと効果は期待できません
「継続は力なり」
、これは勉強における真理です
15
I -2
通関前の税関手続
B
通関前の税関手続
ゾーン
⑴ 保税地域(総則)
⃝ 各保税地域の機能
⃝ 保税地域の届出および許可等の要件は ?
⃝ 「長期蔵置」として申請が必要となる期間は ?
⃝ 「記帳」を行うのは、どんなとき ?
1. 保税地域の設置
check
⑴原 則
種 類
16
機 能
保税蔵置場
▪外国貨物の処理・整理
▪一時蔵置
▪長期蔵置
保 税 工 場
▪外国貨物を原料とする加工
▪製 造
保税展示場
▪外国貨物の展示
▪使 用
総合保税地域
▪外国貨物の処理・整理
▪一時蔵置
▪長期蔵置
▪外国貨物を原料とする加工および製造
▪外国貨物の展示および使用
指定保税地域
▪外国貨物の処理・整理
▪一時蔵置
設置の許可等
税関長の許可
財務大臣の指定
1
/
2
/
3
/
4
/
5
/
⑵特 例
保税蔵置場または保税工場の許可を受けている者で、セキュリティ管理と法令遵守の体
制が整備された者として、あらかじめ税関長の承認を受けた者(特定保税承認者)が、位
置または設備が所定の基準に適合する場所において外国貨物の蔵置等を行おうとする場合、
当該場所を所轄する税関長に届け出ることによって、保税蔵置場等の設置が特例措置とし
て可能となる
なお、届出がされた場所については、当該届出が受理された時に、保税蔵置場の許可を
受けたものとみなされる
❶ 承認の要件(関税法 51 条、同法 62 条)
税関長は、特定保税承認者の承認をしようとするときは、次に掲げる基準(不適格
者等の要件)に適合するか審査しなければならない。なお、以下の要件は、保税工場
についても、準用される
⒜ 承認を受けようとする者が次のいずれにも該当しないこと
a. 承認を取り消された日から 3 年を経過していない者であること
b.現に受けている保税蔵置場の許可について、その許可の日(2 以上の許可を受
けている場合は、これらのうち最初に受けた許可の日)から 3 年を経過してい
ない者であること
c.保税蔵置場の許可の要件のうち一定場合(後述の 2.「保税地域の指定・許可」
の表「保税蔵置場、保税工場、保税展示場」の列-「許可または指定される要
件」❷~❼)に該当している者であること
⒝ 承認を受けようとする者が、外国貨物の蔵置等に関する業務を電子情報処理組織
を使用して行うことその他当該業務を適正かつ確実に遂行することができる能力
を有していること
⒞承
認を受けようとする者が、外国貨物の蔵置等に関する業務について、その者(そ
の者が法人である場合においては、その役員を含む)またはその代理人、支配人そ
の他の従業者が関税法等を遵守するための事項を規定した規則を定めていること
17
通関手続
I 関税法 / I-3
I-2 通関前の税関手続
❷ 承認の失効(関税法 53 条、同法 62 条)
特定保税承認者の承認は、次のいずれかに該当するに至ったときは失効する。なお、
承認の存続を不適当とする事態が生じたときは、税関長が改めて取消処分をすること
なく、承認は失効する
⒜ 保税蔵置場の許可の特例の適用を受ける必要がなくなった旨の届出があったとき
⒝ 特定保税承認者に係る保税蔵置場の全部について、その許可が失効したとき
⒞ 特定保税承認者が死亡した場合で、保税蔵置場の許可の承継の承認の申請が所定
の期間内にされなかったとき、または許可の承継の承認をしない旨の処分があっ
たとき
⒟ 承認の期間が満了したとき
⒠ 税関長が承認を取り消したとき
❸ 承認の取消し(関税法 54 条)
税関長は、特定保税承認者が次のいずれかに該当するに至ったときは、その承認を
取り消すことができる
⒜ 特定保税承認者の承認の要件のうち一定のもの(前述❶⒜ c. または同⒞ )に該当
することとなったときまたはに適合しないこととなったとき
⒝ 特定保税承認者が税関長の「規則等に関する改善措置」の求めに応じなかったと
き
なお、税関長が承認の取消しをしようとするときは、当該処分に係る特定保税承認
者にあらかじめその旨を通知し、その者等の出頭を求めて意見を聴取し、またはその
他の方法により、釈明のための証拠を提出する機会を与えなければならない
18
1
/
2
/
3
/
4
/
5
/
❹ その他の特例措置(関税法 50 条)
特定保税承認者は、届出を行った場所について、次のような特例措置を受けること
ができる
⒜ 許可の期間
許可を受けたものとみなされる場所に係る当該許可の期間は 8 年
⒝ 許可の手数料
許可を受けたものとみなされる場所について納付すべき手数料は、免除される
⒞ 税関の検査
コンプライアンスを反映した検査が行われる
合否と人間性について
コラム
今
回は「合否と人間性」について、お話しします
「合否 と 人間性・日頃 の 行 いは 比例 する 」 という 意見 もありますが、 このよ
うな法則はないと断言できます。過去にも受講態度がきわめて悪く、周りの方から
もあまり良く言われていない受講者が合格した例は多数あります。また、友達同士
で勉強していたのですが、合格できそうにないので、合格をあきらめ本試験直前の
1 週間、毎日飲みにいったにもかかわらず、共に合格したという例もあります
ただ、
「自分 は 合格 できない 」 と 思 っている 方 はたいてい 合格 していません。 で
すから、最後まで「自分は合格できる」という信念を持つことが重要なようです
結局、合格できるかどうかは、勉強したかどうかにだけかかっているようです
みなさん、
「合格できるのかしら」と悩む時間があれば、まず、勉強しましょう!
19
通関手続
I 関税法 / I-3
I-2 通関前の税関手続
2. 保税地域の指定・許可
check
(関税法 37 条、同法 43 条、同法 47 条、同法 48 条、同法 62 の 8)
種類 処分権者
保税地域の許可
保税蔵置場、保税工場、保税展示場
保税地域の指定
総合保税地域
税関長の許可
税関長は、次のいずれかに該当する
場合は、許可をしないことができる
❶許
可を受けようとする者(申請者)
が保税地域の許可を取り消された
者であって、その取り消された日
から3年を経過していない場合
許可または指定される要件
❷申請者が関税法の規定に違反して
刑に処せられ、または通告処分を
受け、その刑の執行を終わり、も
しくは 執 行を受けることがなく
なった日またはその通告の旨を履
行した日から 3 年を経過していな
い場合
❸申請者が関税法以外の法令に違反
して禁錮以上の刑に処せられ、そ
の刑の執行を終わり、または執行
を受けることがなくなった日から
2 年を経過していない場合
財務大臣の指定
❶国、地方公共団体
または港湾施設も
しくは空港施設の
建設もしくは管理
を行う法人であっ
❶当 該一団の土地等が、一定の要
て一定の者が所有
件を満たす 法人 により所有され、
し、または管理す
または管理されるものであること
る土地または建設
❷当 該一団の土地等における貿易
物その他の施設
に関連する施設の集積の程度が
高いこと
+
税関長は、前項の許可をしようと
するときは、次に掲げる基準に適
合するかどうかを審査しなければ
ならない
❸当 該一団の土地等において積卸
し、加工または展示等の行為が
総合的に行われることが見込ま
れ、これにより相当程度輸入の
円滑化その他の貿易の振興に資
すると認められること
❹当 該一団の土地等の位置、設備
その他の状況に照らし、関税法
の実施を確保する上に支障がな
いと認められること
❹申請者が暴力団員による不当な行
為の防止等に関する法律の規定に
違 反 し、 ま た は 刑 法 204 条( 傷
❺当 該一団の土地等を所有し、ま
害)
、同法 206 条(現場助勢)、
たは管理する法人等が「保税蔵
同法 208 条(暴行)、同法 208 条
置場等の許可の要件 ❶から❼」
の 3 第 1 項(凶器準備集合及び結
に掲げる場合に該当しないこと
集)
、同法 222 条(脅迫)もしく
は同法 247 条(背任)の罪もし ❻当 該一団の土地等を所有し、ま
たは管理する法人の資力その他
くは暴力行為等処罰に関する法律
の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、 の事情を勘案して、当該法人が
総合保税地域の業務を遂行する
その刑の執行を終わり、または執
のに十分な能力を有すると認め
行を受けることがなくなった日か
られること
ら 2 年を経過していない場合
20
指定保税地域
❷開 港または税関空
港における税関手
続の簡易、かつ、
迅速な処理を図る
ため、外国貨物の
積卸しもしくは運
搬をし、またはこ
れを一時置くこと
ができる場所
1
/
2
/
3
/
4
/
5
/
❺申請者が暴力団員等である場合
❻申請者が❶から ❺のいずれかに該
当する者を役員とする法人である
場合またはこれらの者を代理人、
許可または指定される要件
支配人その他の主要な従業者とし
て使用する者である場合
❼申請者が暴力団員等によりその事
業活動を支配されている者である
場合
❽申請者の資力が薄弱であるため関
税法の規定により課される負担に
耐えないと認められる場合その他
保税蔵置場等の業務を遂行するの
に十分な能力がないと認められる
場合
❾許可を受けようとする場所の位置
または設備が保税蔵置場等として
不適当であると認められる場合
❿許可を受けようとする場所につい
て保税蔵置場等としての利用の見
込みまたは価値が少ないと認めら
れる場合
許可失効または指定取消しの要件
❶保税蔵置場等の許可は、次のいずれかに該当するに至ったときは、その 指定保税地域を利用
効力を失う
して行われる外国貿
⒜ 許可を受けた者が当該保税蔵置場等の業務を廃止したとき
易の減少その他の事
⒝ 許可を受けた者が死亡した場合で、許可の承継の申請が法定期間 由に因りその全部ま
内にされなかったとき、または許可の承継の承認をしない旨の処 たは一部を存置する
分があったとき
必要がないと認める
⒞ 許可を受けた者が解散したとき
ときは、財務大臣は
⒟ 許可を受けた者が破産手続開始の決定を受けたとき
指定を取り消すこと
⒠ 許可の期間が満了したとき
ができる
⒡ 税関長が許可を取り消したとき
❷税関長は、次のいずれかに該当する場合においては、期間を指定して外
国貨物または輸出しようとする貨物を保税蔵置場等に入れることを停止
させ、または保税蔵置場等の許可を取り消すことができる
⒜許
可を受けた者(その者が法人である場合においては、その役員
を含む)またはその代理人、支配人その他の従業者が保税蔵置場
等の業務について関税法の規定に違反したとき
⒝許
可を受けた者について「許可または指定される要件」❷から❿
までのいずれかに該当することとなったとき
21
通関手続
I 関税法 / I-3
I-2 通関前の税関手続
3. 長期蔵置等のための手続
check
(関税法 43 条の 3、同法 43 条の 2、同法 61条の 4、同法 62 条の 3、同法 62 条の10、同法 62 条の15)
承認を受けなければならない場合
保税蔵置場に外国貨物を入れる者が、
当該貨物をその入れた日から3 月を超え
て当該保税蔵置場に置こうとする場合
➡
蔵入承認申請
移入承認申請
総保入承認申請
その超えることとなる日前に税関長に
申請し、その承認(蔵入承認)を受け
なければならない
保税工場または総合保税地域に外国貨
物を入れる者は、当該貨物をその入れ
た日から 3 月を超えて当該保税工場等
に置こうとする場合または当該貨物を
当該保税工場等に入れた日から 3 月以
内に保税作業に使用(総合保税地域:
加工、製造または展示等の行為を)し
ようとする場合
➡
その超えることとなる日前または保税
作業に使用する(総合保税地域:当該
行為をする)日前に税関長に申請し、
その承認(保税工場:移入承認、総合
保税地域:総保入承認)を受けなけれ
ばならない
保税展示場に外国貨物を入れる者は、
展示等の承認申告
税関長に申告し、次の行為をすることに
つき、その承認(展示等の承認)を受
けなければならない
❶積卸し、運搬または蔵置
❷内容の点検または改装、仕分けそ
の他の手入れ
❸展示または使用
22
外国貨物を置くことができる期間
保税蔵置場、保税工場および総合保税
地域に外国貨物を置くことができる期
間は、当該貨物を最初に保税蔵置場等
に置くことが承認された日から 2 年
(他の保税蔵置場等に置かれた期間を
通算し、最初に保税蔵置場等に置くこ
とが承認された日から 2 年)
(原則)
なお税関長は、特別の事由があると認
めるときは、申請により、必要な期間
を指定して原則の期間を延長すること
ができる
1
/
4. 関税納付
2
3
/
4
/
5
/
check
❶ 外国貨物の亡失責任(関税法 45 条、同法 61 条の 4、同法 62 条の 7、同法 62 条の 15)
保 税 地 域 /
語句対
保税蔵置場 指定保税地域 保税工場 保税展示場 総合保税地域
どんなとき 保税地域にある外国貨物(輸出の許可を受けた貨物を除く)が亡失
し、または滅却されたとき
だ れ か ら 保税地域の許可を受けた者(指定保税地域:外国貨物を管理する者)
効 果 直ちにその関税を徴収する
例 外 外国貨物が災害その他やむを得ない事情により亡失した場合またはあ
らかじめ税関長の承認を受けて滅却された場合は、関税の徴収は行わ
れない
❷ 保税工場外における保税作業(関税法 61 条、同法 62 条の 7、同法 62 条の 15)
保 税 地 域 保税工場 保税展示場 総合保税地域
どんなとき 保税工場以外の場所に出すことの許可の際に設定された期間が経過
した場合において、その指定された場所に当該許可を受けた外国貨
物またはその製品があるとき
だ れ か ら 当該貨物がその指定された場所に出された保税工場等の許可を受け
効 果 た者
直ちにその関税を徴収する
❸ その他(関税法 62 条の 6、62 条の 15)
保 税 地 域 保税展示場
どんなとき 税関長は一定の場合、保税展示場の許可を受けた者に対し、期間を
定めて当該外国貨物の搬出その他の処置を求めることができ、当該
期間内に当該処置がされないとき
だ れ か ら 保税展示場の許可を受けた者
効 果 直ちにその関税を徴収する
例 外 外国貨物の輸入が他の法令の規定によりできないことその他税関長
がやむを得ない事情があると認める場合には、これらの事情が継続
している期間については、関税を徴収しない
保 税 地 域 総合保税地域
どんなとき 総合保税地域の許可を受けた法人が外国貨物に係る関税を納める義務
を負うこととなった場合、当該貨物が亡失し、もしくは滅却された時等
だ れ か ら 総合保税地域において当該貨物を管理していた者が総合保税地域の
許可を受けた法人以外の者であるときは、当該管理していた者
効 果 当該法人と連帯して当該関税を納める義務を負う
23
通関手続
I 関税法 / I-3
I-2 通関前の税関手続
5. 貨物の収容能力の増減等
check
(関税法 44 条、同法 61 条の 4、同法 62 条の 7、同法 62 条の 15)
❶ 保 税 地 域 保税蔵置場 保税工場 保税展示場 総合保税地域
❷ だ れ が 保税地域の許可を受けた者
❸ どんなとき 当該保税地域の貨物の収容能力を増加し、もしくは減少し、またはそ
の改築、移転その他の工事をしようとするとき
❹ い つ ❸の旨をあらかじめ届け出なければならない
❺ 届 出 先 税関
6. 休業または廃業の届出
check
(関税法 46 条、同法 61 条の 4、同法 62 条の 7、同法 62 条の 15)
❶ 保 税 地 域 保税蔵置場 保税工場 保税展示場 総合保税地域
❷ だ れ が 保税地域の許可を受けた者
❸ どんなとき 許可の期間内に当該保税地域の業務を休止し、または廃止しようとす
るとき
❹ い つ ❸の旨をあらかじめ届け出なければならない
❺ 届 出 先 税関長
7. 保税工場の保税蔵置場としての利用(関税法 56 条)
check
▪ みなし保税蔵置場 だ れ が 保税工場の許可を受けた者
利用内容 当該保税工場につき保税蔵置場の許可を併せて受けているものとみなす
限 定 当該保税工場において使用する輸入貨物について、当該貨物を当該保税
工場に入れた日から 3 月までの期間に限る
▪ 併設保税蔵置場 だ れ が 保税工場の許可を受けた者
利用内容 保税蔵置場の許可をあわせて受けることができる
限 定 当該保税工場の一部の場所に限る
24
1
8. 保税地域における記帳義務
/
2
/
3
/
4
/
5
/
check
(関税法 61 条の 3、関令 50 条、関税法 62 条の 7、関令 51 条の 7)
▪指定保税地域
▪保税蔵置場
▪総合保税地域
▪保税工場
▪保税展示場
外国貨物または輸出しようとする貨物の出し入れ、貨物の取扱い(内容
の点検、改装・仕分け、簡単な加工等)が行われるため、貨物の管理を
行う者は、その管理する外国貨物等について帳簿を設け、所定の事項を
記載しなければならない
外国貨物についての加工またはこれを原料とする製造、展示、使用等が行
われることがあるため、その特殊性を考慮し、貨物の管理を行う者は、そ
の管理する外国貨物等について帳簿を設け、指定保税地域・保税蔵置場・
総合保税地域とは異なる所定の事項を帳簿に記載しなければならない
▪記帳処理の発生タイミング(白字部分が発生時期)
貨物の到着
保税地域への搬入
数量等確認
貨物の取扱い
輸入許可前引き取り、
見本の一時持出し
輸入の許可等
許可前引取り
見本持出し
引取り
保税運送等に
よる搬出
数量等確認
輸入の許可等
引取り
25
通関手続
I 関税法 / I-3
I-2 通関前の税関手続
許可の承継
択一補
保税蔵置場 の 許可 を 受 けた 者 について 相続、合併 または 分割 があったときは、 その 相続
人または合併後の法人等は、被相続人の当該許可に基づく地位を承継することができる(関
税法 48 条の 2)
保税工場外保税作業の許可
択一補
税関長 は、貿易 の 振興 に 資 し、 かつ、 この 法律 の 実施 を 確保 する 上 に 支障 がないと 認 め
るときは、期間および場所を指定し、保税工場にある外国貨物について保税作業をするため、
これを当該保税工場以外の場所に出すことを許可することができる(関税法 61 条)
連帯納税義務
択一補
数人 の 納税義務者 が、同一 の 内容 の 納税義務 を 負担 し、 そのうち 一人 の 者 から 納税 があ
れば、これによって他の者も納税義務を免れる関係にある納税義務をいう
外国貨物と内国貨物との混合使用
語句対
次 の 場合、税関長の承認 を 受 けて、外国貨物 と 内国貨物 とを 混じて使用 したときは、 こ
れによってできた 製品 のうち 当該外国貨物の数量 に 対応 するものを 外国 から 本邦 に 到着 し
た外国貨物とみなす(関税法 59 条、関令 47 条)
➡ 政令 で 定 めるところにより、外国貨物 にこれと 同種 の 内国貨物 を 混 じて 使用 し、当該
外国貨物 のみを 原料 として 製造 する 場合 の 製品 と 等質の製品 を 製造 する 場合 において、
作業 の 性質、工程等 を 勘案 し 当該内国貨物 を 混じて使用 することについて やむを得な
い事由 があり、 かつ、原料の数量 に 対 する 製品の数量 の 割合 が 明 らかであると 認 めら
れる場合
保税地域の許可の期間
保税地域 の 許可 の 効力 は、 その 有効期間 または 有効期限 が 定 められていない 場合、 その
取消しを受けるまでは、無期限に続く
このため、許可 の 対象 となる 行為、業務 などの 性質上、 そのようなことを 行 わせること
の 可否 を 無期限 の 将来 にわたって 判定 することが 困難 である 場合 または 適当 でない 場合 に
は、許可に期間を定めることがある
許可 の 期間 が 定 められる 場合、当該許可の期間は 10 年※を超えることができず、 また 税
関長は、10 年以内の期間を定めて更新することができる(関税法 42 条 2 項)
※保税地域の許可の期間は、その実態把握の必要性等を考慮し、6 年を超えることができ
ないものとされている(関税法基本通達 42-10)
26
1
/
2
/
3
/
4
/
5
/
チェックテスト 2
以下の各問題に、○か×で答えなさい。
□□ ❶ 保税蔵置場を設置するためには、税関長の許可を受けなければならない。
□□ ❷ 指定保税地域を設置するためには、税関長の許可を受けなければならない。
□□ ❸ 税関長は、申請者が暴力団員等によりその事業活動を支配されている者である
場合は、保税地域の許可をしないことができる。
□□ ❹ 保税蔵置場等の許可は、当該許可を受けた者が当該保税蔵置場等の業務を廃止
したときは、その効力を失う。
□□ ❺ 保税蔵置場に外国貨物を入れる者は、当該貨物をその入れた日から2月を超え
て当該保税蔵置場に置こうとする場合、蔵入承認を受けなければならない。
□□ ❻ 保税工場以外の場所に出すことの許可の際に設定された期間が経過した場合に
おいて、その指定された場所に当該許可を受けた外国貨物又はその製品がある
ときは、当該貨物がその指定された場所に出された保税工場等の許可を受けた
者から直ちにその関税が徴収される。
□□ ❼ 保税蔵置場は、外国貨物を原料とする加工及び製造を行う保税地域である。
□□ ❽ 保税工場には、原則として長期蔵置することができる。
□□ ❾ 税蔵置場、保税工場及び総合保税地域に外国貨物を置くことができる期間は、
原則として、当該貨物を最初に保税蔵置場等に置くことが承認された日から 3
年(他の保税蔵置場等に置かれた期間を通算し、最初に保税蔵置場等に置くこ
とが承認された日から 3 年)である。
□□ ❿ 総合保税地域では、外国貨物の展示及び使用することができない。
27
通関手続
I 関税法 / I-3
I-2 通関前の税関手続
⑵ 運 送
⃝ 運送承認が必要な場合、不要な場合は ?
⃝ 運送承認の際に求められる手続は ?
1. 貨物の運送(関税法 63 条、関令 52 条、関税法 66 条)
check
▪外国貨物
原 則 税関長に申告し、その承認を受けて、次の場所相互間に限り、外国貨物の
まま運送(保税運送)することができる
❶ 開港
❷ 保税地域
❸ 税関官署
❹ 税関長が指定した一定の場所
例 外 次の貨物については、運送の手続は不要
※
❶ 郵便物(課税価格が 20 万円以下のものに限る)
❷ 特定輸出貨物
❸ 本邦に到着した外国貿易船等に積まれていた外国貨物で、引き続き当該
外国貿易船等により、または他の外国貿易船等に積み替えられて運送さ
れるもの
❹ 輸出の許可を受けて外国貿易船等に積み込まれた外国貨物で、当該外国
貿易船等により、または他の外国貿易船等に積み替えられて運送される
もの
▪内国貨物
外国貿易船等に積んで本邦内の場所相互間を運送しようとする者は、税関長に申告して
その承認を受けなければならない
※ 20 万円を超える郵便物は、税関長に届け出て、保税運送を行うことができる
28
1
/
2. 運送承認手続(関税法 63 条)
手続の流れ
運送承認申告
2
/
3
/
4
保税運送の承認を受けようとする者が申告する
発送確認
(運送の承認を受けた者の措置)
運送目録を税関に提示し、その確認を受ける
運
(災害その他やむを得ない事由発生)
運送期間の延長申請を行う
到着確認
/
各措置等
運送の承認
中
5
check
(税関長の措置)
▪税関長は、承認をする場合において、相当と認められる運送
の期間を指定しなければならない
▪税関長は、必要があると認めるときは、税関職員に保税運送
の対象の貨物の検査をさせ、また、関税額に相当する担保を
提供させることができる
送
/
(運送の承認を受けた者の措置)
▪発送の際に確認を受けた運送目録を、直ちに到着地の税関に
提示し、その確認を受けなければならない(当該確認を受け
た運送目録を保税運送の承認をした税関長に提出しなければ
ならない)
▪運送先に到着する前に亡失した場合、直ちにその旨を保税運
送の承認をした税関長に届け出なければならない
(税関長の措置)
亡失貨物について、関税を徴収する
29
通関手続
I 関税法 / I-3
I-2 通関前の税関手続
3.特定保税運送
check
(関税法 63 条の 2、同法 63 条の 3、同法 63 条の 4、同法 63 条の 7、同法 63 条の 8)
▪意 義
外国貨物を本邦内の場所相互間で運送する場合、保税運送の
承認が必要
➡
一定の要件を満たした事業者であって、あらかじめ税関長の
承認を受けた者(特定保税運送者)が所定の区間において行う
外国貨物の運送(特定保税運送)
➡
保税運送の承認を要しない
▪特定保税運送者の承認申請手続
承認を受けようとする者 ➡ その住所または居所および氏名または名称その他必要な事項を記載した申請書を
税関長に提出しなければならない
税関長 ➡ 当該申請書の提出があった場合において、当該承認をしたときは、直ちにその旨
を公告しなければならない
▪承認の要件
税関長は、保税運送の特例の承認をしようとするときは、次に掲げる基準に適合するか
どうかを審査しなければならない
❶ 承認を受けようとする者が次のいずれにも該当しないこと
⒜ 関税法もしくは関税定率法その他関税に関する法律またはこれらの法律に基
づく命令の規定に違反して刑に処せられ、または通告処分を受け、その刑の
執行を終わり、もしくは執行を受けることがなくなった日またはその通告の
旨を履行した日から 3 年を経過していない者であること
⒝ 政令で定める国際運送貨物取扱業者の区分に応じ、政令で定める法律またはそ
の法律に基づく命令の規定に違反して刑に処せられ、その刑の執行を終わり、ま
たは執行を受けることがなくなった日から3 年を経過していない者であること
30
1
/
2
/
3
/
4
/
5
/
⒞ ⒜ および ⒝ に規定する法令以外の法令の規定に違反して禁錮以上の刑に処せ
られ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から
2 年を経過していない者であること
⒟暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、または刑
法 204 条(傷害)
、同法 206 条(現場助勢)、同法 208 条(暴行)、同法 208
条の 3 第 1 項(凶器準備集合および結集)
、同法 222 条(脅迫)もしくは同法
247 条(背任)の罪もしくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯し、罰金の
刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった
日から 2 年を経過していない者であること
⒠ 暴力団員等であること
⒡その業務について⒜から⒠までに該当する者を役員とする法人であることま
たはその者を代理人、使用人その他の従業者として使用する者であること
⒢ 暴力団員等によりその事業活動を支配されている者であること
⒣ 下
段の保税運送の特例の「承認の取消し」❶⒝または❷により「保税運送の承
認の特例」の承認を取り消された日から 3 年を経過していない者であること
❷ 承認を受けようとする者が、特定保税運送に関する業務を電子情報処理組織を使
用して行うことその他当該業務を適正かつ確実に遂行することができる能力を有し
ていること
❸ 承認を受けようとする者が、特定保税運送に関する業務について、その者(その
者が法人である場合においては、その役員を含む)またはその代理人、支配人その
他の従業者がこの法律その他の法令の規定を遵守するための事項として財務省令で
定める事項を規定した規則を定めていること
▪承認の失効
保税運送の特例の承認は、次のいずれかに該当するに至ったときは、その効力を失う
❶ 特定保税運送制度の適用を受ける必要がなくなった旨の届出があったとき
❷ 次に掲げる者の区分に応じ、それぞれ次に定める場合に該当するとき
⒜ 認定通関業者 ............................通関業者の認定が失効した場合
⒝ 国際運送貨物取扱業者 ...........承認の要件を欠くに至った場合
❸ 税関長が承認を取り消したとき
31
通関手続
I 関税法 / I-3
I-2 通関前の税関手続
▪承認の取消し
税関長は、次のいずれかに該当するに至ったときは、特定保税運送の承認を取り消すこ
とができる
❶ 特定保税運送者が次のいずれかに該当するとき
⒜特定保税運送者の欠格要件に該当することとなったとき、または特定保税運送
者の資格要件に適合しないこととなったとき
⒝ 税関長の求め(規則等に関する改善措置)に応じなかったとき
❷ 特定保税運送に際し、貨物発送時に運送目録の提示および確認を受けず、もしく
は貨物到着時に運送目録の確認を受けず、または貨物発送時に確認を受けた税関長
に運送目録の提出をしなかったとき
4. 難破貨物等の運送(関税法 64 条)
check
特定の外国貨物は、そのある場所から開港、税関空港、保税地域または税関官署に外国
貨物のまま運送することができる
▪対象貨物
❶難破貨物
❷運航の自由を失った船舶または航空機に
積まれていた貨物
❸仮に陸揚げされた貨物
▪運送手続
原 則 ▪難破貨物等の運送をしようとする者は、税関長(税関が設置されてい
ない場所においては税関職員)の承認を受けなければならない
▪税関長は、運送の承認をする場合には、相当と認められる運送の期間
を指定しなければならない
例 外 税関が設置されていない場所から運送をすることについて緊急な必要
がある場合において、税関職員がいないときは、警察官にあらかじめ
その旨を届け出なければならない
32
1
5. 運送期間の経過による関税の徴収(関税法 65 条)
原 則 /
2
/
3
/
4
/
5
/
check
▪保税運送の承認を受けて運送された外国貨物(輸出の許可を受けた貨物を
除く)がその指定された運送の期間内に運送先に到着しないときは、運送
の承認を受けた者から、直ちにその関税を徴収する
▪特定保税運送に係る外国貨物が発送の日の翌日から起算して 7 日以内に運
送先に到着しないときは、特定保税運送者から、直ちにその関税を徴収する
▪郵便物の保税運送の規定に基づく届出をした上で運送された郵便物(輸出
されるものを除く)が、発送の日の翌日から起算して7日以内に運送先に
到着しないときは、届出をした者から直ちにその関税を徴収する
例 外 次の場合は、関税の徴収は行われない
❷あらかじめ税関長の承認を受けて滅却された場合
❶ 当該貨物が災害その他やむを得ない事情により亡失した場合
6. 運送貨物亡失の届出(関税法 65 条)
対 象 貨 物 保税運送の承認を受けて運送された外国貨物
特定保税運送に係る外国貨物
どんなとき 運送先に到着する前に亡失した場合
だ れ が 保税運送の承認を受けた者
特定保税運送者
だ れ に 保税運送の承認をした税関長
特定保税運送の承認をした税関長
ど う す る 直ちに亡失の旨を届け出なければならない
check
33
通関手続
I 関税法 / I-3
I-2 通関前の税関手続
包括保税運送 択一補
税関長 は、運送 の 状況 その 他 の 事情 を 勘案 して 取締 り 上支障 がないと 認 めるときは、所
定の期間(1 年)の範囲内で税関長が指定する期間内に発送される外国貨物の運送について
一括して承認することができる(関税法 63 条)
保税運送の際の「確認」
発送時
保税運送 の 承認 を
受けた者
運送目録を提示
発送地の税関
到着後
発送時に税関に確認を
受けた運送目録を提示
到着地の税関に確認を
受けた運送目録を提出
確認
到着地の税関
確認
確認
※特定保税運送の場合も同一
亡失の届出 択一補
亡失の届出を要する外国貨物には、輸出の許可を受けたものも含まれる
運送期間の指定
語句対
税関長 は、運送の承認 をする 場合 においては、相当 と 認 められる 運送 の 期間を指定 しな
ければならない。 この 場合 において、 その 指定後災害 その 他 やむを 得 ない 事由 が 生 じたた
め 必要 があると 認 めるときは、税関長 は、 その 指定 した 期間を延長 することができる(関
税法 63 条)
34
1
/
2
/
3
/
4
/
5
/
チェックテスト 3
以下の各問題に、○か×で答えなさい。
□□ ❶ 外国貨物については、税関長に申告し、その承認を受けて、開港等一定の場所
相互間に限り、外国貨物のまま運送(保税運送)することができる。
□□ ❷ 外国から到着した郵便物(課税価格が 20 万円以下のものに限る)についても、
保税運送の手続が必要である。
□□ ❸ 難破貨物は、そのある場所から開港、税関空港、保税地域又は税関官署に外国
貨物のまま運送することができる。
□□ ❹ 保 税運送の承認を受けて運送された外国貨物(輸出の許可を受けた貨物を除
く)がその指定された運送の期間内に運送先に到着しないときは、運送の承認
を受けた者から、その 1 月以内にその関税を徴収する。
□□ ❺ 内国貨物を外国貿易船等に積んで本邦内の場所相互間を運送しようとする者は、
財務大臣に申告してその承認を受けなければならない。
□□ ❻ 課税価格が 20 万円以下の郵便物は、保税運送の手続が不要である。
□□ ❼ 保税運送の特例の承認は、特定保税運送制度の適用を受ける必要がなくなった
旨の届出があったとき、その効力を失う。
□□ ❽ 保税運送の承認を受けて運送された外国貨物で、運送途中に当該貨物が災害そ
の他やむを得ない事情により亡失した場合、当該亡失貨物について直ちに関税
が徴収される。
35
通関手続
I 関税法 / I-3
I-2 通関前の税関手続
⑶ 収容および留置
⃝ 収容の対象となる場合に該当するか否か
⃝ 公売の対象となる場合に該当するか否か
1. 収容することができる貨物
check
❶ 保税地域にある貨物(関税法 80 条)
税関長は、次に記載する期間を経過したものを収容することができる
外国貨物を入れた日からの期間
指定保税地域
外国貨物を置くこと等の承認を
受けた日からの期間
1 月を経過したもの
最初に置くことが承認された日か
ら 2 年を経過したもの
保税蔵置場
次の行為が税関長より承認された
日から 2 年を経過したもの
保 税 工 場
税関長の承認を受けることなく、
3 月(原則)を超えて置かれたもの
▪保税作業のために置くこと
▪保税工場に入れられた外国貨
物を当該保税工場において保
税作業に使用すること
次の行為が税関長より承認された
日から 2 年を経過したもの
総合保税地域
▪外国貨物を置くこと
▪総合保税地域に置かれた外国
貨物につき一定の行為をする
こと
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❷ 特殊な貨物(関税法 80 条)
▪税関長は、次に記載する期間を経過したものを収容することができる
▪指定保税地域または保税蔵置場、保税工場、保税展示場もしくは総合保税地
域とみなされた場所にある外国貨物
▪税関長が指定する期間を経過したもの
▪他所蔵置許可場所として指定された場所にある外国貨物
▪保税地域から出すことを命ぜられた貨物で、保税地域にあるもの
▪収容の解除の承認を受け、その際置かれていた場所にある貨物
▪その承認の日から 3 日(原則)を経過したもの
2. 収容の解除(関税法 83 条)
だ れ が check
収容の解除を受けようとする者
解除要件 収容に要した費用および収容課金を税関に納付し、税関長の承認を受け
なければならない
備 考 収容された貨物の引取りが確実であると認められるときは、税関長は当
該承認をしなければならない
3. 収容貨物の公売または売却等(関税法 84 条)
公 売
随意契約により売却
措置権者
税関長
対 象
収容された貨物
措置内容
公告した後、公売に付することができる
原則
措置要件
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最初に収容された日から 4 月を経過して
なお収容されているとき
次の場合、4 月の期間を短縮できる
▪生活力を有する動植物である
例 外 ▪腐敗し、もしくは変質した
▪腐敗もしくは変質のおそれがある
▪他の外国貨物を害するおそれがある
随意契約により売却する
ことができる
▪公売に付することがで
きないものであるとき
▪公売に付された場合に
おいて買受人がないと
き
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通関手続
I 関税法 / I-3
I-2 通関前の税関手続
4. 原産地虚偽表示貨物の留置(関税法 87 条)
❶対象
留 置
返 還
原産地を偽った表示等がされている
貨物
留置された貨物
▪原産地について偽った表示
▪誤認を生じさせる表示
❷内容
❸要件
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輸入申告をした者が、税関長が指定
した期間内に、❷の表示を消し、も
しくは訂正し、または当該貨物を積
み戻さないとき
❷の表示が消され、もしくは訂正さ
れ、または当該貨物が積み戻される
と認められる場合
緊急収容
収容 することができる 貨物 として 規定 された 貨物 が、生活力 を 有 する 動植物 であるとき、
腐敗 し、 もしくは 変質 したとき、腐敗 もしくは 変質 のおそれがあるとき、 または 他 の 外国
貨物を害するおそれがあるときは、規定されている期間を短縮することができる
収容に要した費用
収容貨物の保管、運搬および公告に要した費用ならびに通信費をいう(関令 70 条の 3)
収容課金
収容期間、重量、容積、貨物の種類を基準として定める金額をいう(関令 70 条の 2)
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