磁気ブリッジ型電流センサ MBCS

磁気ブリッジ型電流センサ MBCS
実 績
◆ 電流標準センサ用途としての研究用(産総研計測標準研究部門)
磁気回路でホイートストンブリッジを構築し,その磁路を構成する磁性材の透磁率(磁気抵抗)が磁束の大き
◆ 惑星科学探査機用磁力計共同研究(JAXA)
さで変化することを利用して,ブリッジのバランスから磁界発生源の電流を計測する方式である.磁力計にする
センサの特性は使用する磁性材に支配され,アモルファスリボンを用いると高感度になるが数十 mA 程度が上
限になる.一方,磁性流体を用いると数十 A 以上も計測することができる.しかし磁性流体のような透磁率の
小さな磁性材を用いると原理的な構造上,漏れ磁束の影響が無視できなくなり,外乱磁界の影響を受けやすくな
◆ 加速器電子ビームモニタ用(Spring-8)
◆ パイプライン防食電流モニタ用(新日鉄エンジニアリング)
概 要
と数十 pT の感度があり,電流センサでは数 µA を非接触で計測できる.
◆ スパッタリング用イオンビーム電流計測用試作納品(東京理科大)
特 性
磁性材にアモルファスリボンを用いた場合(左側のグラフ)と磁性流体を用いた場合(右側のグラフ)の特性
を示す.右側に図は磁性流体を用いた場合の形状である.
る欠点がある.従ってこの方式は微弱電流を計測するのに向いている.
原 理
個体軟磁性材の透磁率は Fig.1 に示すように磁束密度に対し
て大きな変化を示す.
Fig.2 (a) はホイートストンブリッジの回路であるが,これは
同図 (b) の様に描くこともできる.図 (b) では励起は励磁コイ
ルであり,検出はピックアップコイルである.図 (b) を具現化
したのが同図 (c) であるが,Fig.2 において,R1~R4 は磁性材の
磁気抵抗であり,これを具現化する場合は特別な素子を必要と
せず磁性材のリングで実現できる.
ここで,図に示す被計測電流 Ix が流れるとその被計測磁束
Φx が生じる.一方励磁コイルの励磁磁束は Φ1~Φ4 でこれらの
磁束は図に示す通り
内側と外側で方向が
異 な る. こ こ に Φx
が加わると各磁気抵
抗の磁束密度に変化
が起り,磁気抵抗が
変 化 す る. そ し て
Φd が 生 じ る. こ こ
で励磁磁束が交流で
あれば Φd も交流に
なり,ピックアップ
アモルファスリボンを用いた場合の特性
コイルに電圧が発生
する.この大きさは
Ix に比例する.
長 所
備 考
用途例
◆高感度(FG と同程度)
◆ 非接触イオンビーム電流計測
発熱は無いと言える程度
◆
◆低消費電力(FG との比較で 1/100 以下)
◆被計測電流に励磁ノイズを誘起しない
◆ パイプライン防食電流モニタ
磁性流体を用いた場合の特性
日本応用磁気学会誌 31(5), 421-426, 2007-09-01
日本磁気学会誌 , 35(3),266-272,(2011-04-28)
2010 Conference on Precision Electromagnetic Measurements
June 13-18, 2010, Daejeon Convention Center, Daejeon, Korea 他
特許登録
電流センサ:日本国特許第 4515905 号,米国 US 7,218,092 B2,韓国特許第 10-0993928
中国 ZL 03 8 19127,カナダ CA 2503828
電力センサ:日本国特許第 4579523,米国 US 7,511,471 B2,中国 ZL 2004 8,