はじめに 留学試験の読解問題を解く上で必要なのは,正確に内容を読み取る基礎的な読解力と, 限られた時間の中で素早く的確に読み取る能力です。本書は二部構成になっており,ま ず<基礎編>で6つの重要な読解スキルを身につけることで読解力の基礎を固め,次に <本編>で試験の形式や時間,文章の長さに慣れることで留学試験に対応できる力を養 成します。 また,読解ではそのトピックについての背景知識があること,関連語彙を多く知って いることで,より深く,素早く読むことが可能になります。これらの知識を深めるには, さまざまなジャンルの読み物をたくさん読む必要があり,それは本来なら大変時間のか かることです。そこで本書では,幅広い分野から特に留学試験に出題される傾向がある と思われるトピックを中心に取り上げ,<基礎編><本編>の問題文を通じて少しでも 多くの背景知識を得られるよう配慮しました。同時に,それらのトピックの関連語彙を 単語・表現リストとしてまとめ,背景知識と関連語彙の獲得をより効率的に行えるよう 工夫しています。 試験対策だからといって,問題を解くためだけに文章を読むのでは,面白くありませ ん。本書では読む楽しさも味わえるよう,多様なトピックの中から読み応えのある文章 を集めるよう努力いたしました。読んで面白く,日本に関する知識も深まり,読解力も アップする,そんな問題集を目指しました。 本書を活用して「試験対策も意外と面白い」と思っていただければ幸いです。 著者一同 1 目次 目次 ■本書の特長と構成 ・・・・4 ■本書の使い方 ・・・・6 ¶第1部 基礎編(読解スキルの習得) スキル 1 必要な情報を読み取る ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 ・スキル解説 ・・・・8 ・問題例とポイント ・・・・9 ・練習問題(1∼5) ・・・・13 ・練習問題の単語・表現 ・・・・18 スキル 2 キーワードを探す ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 ・スキル解説 ・・・・20 ・問題例とポイント ・・・・21 ・練習問題(1∼4) ・・・・23 ・練習問題の単語・表現 ・・・・27 スキル 3 文章の流れをつかむ ・スキル解説(全体) ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32 ・・・・29 1 マーカーがある場合 ・マーカーの具体例 ・・・・32 ・問題例とポイント ・・・・35 ・練習問題(1∼4) ・・・・39 ・練習問題の単語・表現 ・・・・43 2 マーカーがない・少ない場合 ・・・・・・・・・・・・・・・ 44 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54 ・問題例とポイント ・・・・45 ・練習問題(1∼4) ・・・・49 ・練習問題の単語・表現 ・・・・53 スキル 4 中心文を探す ・スキル解説 ・・・・54 ・問題例とポイント ・・・・55 ・練習問題(1∼4) ・・・・57 ・練習問題の単語・表現 ・・・・61 2 目次 スキル 5 情報を統合する ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 62 ・スキル解説 ・・・・62 ・問題例とポイント ・・・・63 ・練習問題(1∼4) ・・・・67 ・練習問題の単語・表現 ・・・・71 スキル 6 推測する ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 73 ・スキル解説 ・・・・73 ・問題例とポイント ・・・・75 ・練習問題(1∼5) ・・・・81 ・練習問題の単語・表現 ・・・・86 ¶第2部 本 編(模擬テスト) 第1回(問1∼問20) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・単語・表現 ・・・・108 ・使用スキル一覧 ・・・・112 88 第2回(問1∼問20) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・単語・表現 ・・・・133 ・使用スキル一覧 ・・・・137 113 第3回(問1∼問20) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・単語・表現 ・・・・158 ・使用スキル一覧 ・・・・163 138 ■問題文の出典一覧 ・・・・164 コラム 必ず覚えておきたい表現 ・・・・28 付録 ・本 編 ・基礎編 模擬テスト 練習問題 正答一覧 解答・解説 3 ■本書の特長と構成 ■本書の特長と構成 全体について ◆効果的な学習方法とは 日本留学試験では,短時間で大量の文章を読まなければなりません。つまり書かれ た内容を正確に,速く読み取ることが要求されています。試験対策としては,模擬試 験など数多くの問題をやってみるという勉強方法もあるでしょう。もちろん試験形式 に慣れることは必要ですが,何も目標なしに,ただ練習問題をやっていたのでは,効 果的に実力をアップさせることは難しいでしょう。まず土台となるものをしっかりと 築き,その上で練習問題 をすることが大切です。本書はこのような理由から ,「基礎 編 」(読解のスキル習得)と「本編」(模擬テスト)を設け,試験に対応する力を養成 することを目指しています。 ◆6つの読解スキル・・・基礎編 本書では,日本留学試験に過去に出題された問題* を分析し,土台を作るために何が 必要か考えました。そして,読解問題を解く上で特に重要なスキル6つを取り上げま した 。「基礎編」では,この6つのスキルを身につけ,読解力の土台を作ることを 目 指します。 *過去問題は平成14年度第1回から平成16年度第1回までを参考にしています。 ◆20問の模擬テストが3回分・・・本編 基礎が固まったら,本番と同じ形式の問題を解いて ,実力をつけましょう。そして, 本番の試験形式に慣れましょう。本書では,3回分の模擬テストを用意しました。 ◆読解文のテーマと単語・表現リスト 本書は,読解力を補強するための背景知識を,少しでも効率的に獲得できるよう工 夫されています。全編を通して留学試験で扱われそうなトピックを中心に取り上げて います。楽しみながら読め,背景知識を少しずつ増やしていくことができます。 そして,読むことを通じて単語や表現を身につけるために,基礎編の練習問題と本 編の模擬テストに出てきた単語と表現のリストをつけました。 第1部 基礎編について 基礎編では,読解スキルを身につけることにより読解力の土台を作ります。留学試験 の過去の問題を見てみると,同じような設問であっても求められるスキルは必ずしも一 致していません。そこで,まずは設問の形式にはとらわれず,それぞれのスキルを身に つけるのに適当と考えられる問題を準備しました。これによって,どんな設問であって も対応できる土台が作られます。基礎編では,次に示した6つのスキルを学習します。 4 ■本書の特長と構成 スキル1 スキル2 スキル3 スキル4 スキル5 スキル6 必要な情報を読み取る キーワードを探す 文章の流れをつかむ 1 マーカーがある場合 2 マーカーがない・少ない場合 中心文を探す 情報を統合する 推測する スキル1∼4は基本スキル です。スキル5と6は複合 スキルで,1∼4を土台と しています。6つのスキル は,難易度とそれぞれの ス キルの関連を考えて配置さ れていますので ,スキル1 より順番に進んでいくこと で,確実に読解力を伸ばしていくことができるでしょう。実際に出題される問題には, これらのスキルを単独で使うものだけではなく,複数のスキルを組み合わせて解いてい くものもあります。各スキルの章は,次のような内容で構成されています。 ・スキル解説: どんなことを学習するのかを紹介。 ・問題例と ポイント : 過去問題を1問∼3問取り上げて,スキルを具体的に説明。 ・練習問題 :4問か5問あり,スキルの学習が効果的にできるように設問を工夫。 ・練習問題の: 各練習問題の単語と表現をリストアップ。予習・復習に利用。 単語・表現 この土台作りは,試験のためだけでなく,実生活でまとまった文章を読むときの理解 力にも結びつくものです。 第2部 本編について 基礎編で学んだことを生かして問題をやってみます。本編は設問も含め本試験とほぼ 同じ形式をとっており,20問×3回分の問題を準備しました。時間配分を考えながら問題 を解くことで,実際の試験形式に慣れることができます。試験前の模擬試験としても利 用が可能です。 また,各回の最後には「単語・表現」のリストが付けてあるので,語彙の復習に役立 てることができます。さらに,基礎編で学習したスキルがどの問題で応用されているの かを示した「使用スキル一覧」も付けてあります。 別冊付録について ◆基礎編 練習問題の解答・解説 練習問題を解く上で,スキルがどのように応用されているのかを解説しています。 また,問題によっては,本番の試験を想定した設問例も提示してあります。 5 ■本書の使い方 ■本書の使い方 本書を個人で利用する際の一般的な使い方は次の通りです。 ※学校で利用する場合は,付録は学校で保管し,学習の段階に合わせて必要な部分を配 布してください。(付録には切り取り線が入っています) 「基礎編」で読解力の基礎を固めましょう (1 )「スキル解説」を読み,[問題例]を解きながら,各スキルの使い方を理解します。 (2)そのスキルを使って「練習問題」を解いてみます。語彙力が不足している人は, 練習問題の最後に付いている「単語・表現」リストに目を通しておきます。 ※学校で利用する場合は,時間を制限して行うのが効果的です。 (3)付録の「解答・解説」を読んで,答え合わせをします。 解説を読んで,どのようにスキルが応用されているのかを理解しましょう。 ※学校で利用する場合は,教師が付録の「解答・解説」を参考にして指導してください。 ※各スキルの学習が終わったら,付録の「解答・解説」のページを配布して,学習者が 復習できるようになっています。(付録には切り取り線が入っています) (4 )「単語・表現」リストを見て,わからなかった単語や表現の復習をします。 「本編」で留学試験と同じ形式の問題にチャレンジしましょう ●模擬試験の形式で利用する場合 (1)実際の試験時間である30分で,20問を解きます。時間配分に留意してください。 (2)付録の「正答一覧」を見て,答え合わせをします。 (3)間違った問題はもう一度見直し,間違いの原因を考えます。 (4 )「使用スキル一覧」を見て,どんなスキルが応用されているのかを確認します。 特定のスキルの問題で間違いが続いた場合は,基礎編のそのスキルの章をよく復 習して,理解を深めましょう。 (5 )「単語・表現」のリストを見て,わからなかった単語や表現の復習をします。 ●基礎力をさらに強化したい場合 (1 )「使用スキル一覧」で勉強したいスキルの問題を選びます。 (2)基礎編の「練習問題」と同じように,問題を一問ずつ解いていきます。 (3)付録の「正答一覧」を見て,答え合わせをします。 (4)間違っていた場合は,その原因を考えながら問題を見直します。 基礎編のそのスキルの章をよく復習して,理解を深めましょう。 (5 )「単語・表現」のリストを見て,わからなかった単語や表現の復習をします。 6
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