境界条件がわかって始めて解ける (お):しゃぼん膜は何で決まる? (お

●境界条件がわかって始めて解ける
(お):しゃぼん膜は何で決まる?
(お):針金の枠!
(お):えーと、しゃぼん膜の計算にはなにが必要だった?
(お):境界条件?
(お):そう、それは具体的には?
(お):針金の枠の高さ。
(お):僕たちの計算ではそのデータはいくつだった?
(お):一辺に3点X4で12、それに後の4点
(お)
:そうだったよね、それでね、しゃぼん膜のほうは、分割数をどんどんだ
んだん増やしていって連続にしたよね。そのときに成り立っている式はラプラ
ス方程式だった。じゃあ境界条件はどうだろうか。
(お):分割数をどんどんだんだん増やしていくと、境界条件はどうなる?
(お):やっぱり、なえらかになっていくんじゃないの?
(お):そうだよね、境界条件のほうも最後にはグラフになってしまうんだ。
(お):つまりね、まるいDの式を解く
境界条件(とびとびの点)
→
しゃぼん膜の式
境界条件(連続なグラフ)
→
ラプラス方程式
(お)
:最後の記号的に式を解くのは、なんどもいっているように僕たちには難
しい。そのかわりにちょっとしたパズルをやって、まるいDの式を解くことと
境界条件との関係を勉強しよう。
(お)
:それじゃあ、さっそく境界条件の勉強をしよう。それでね、シャボン膜
でもいいんだけれど、ラプラス方程式の答えのグラフをたくさん集めたからみ
てね。
じゃあ、具体的に境界条件
左側に境界での値、つまり境界条件を並べてみた。
それぞれの境界条件を満足する、
ラプラス方程式を解くんだけれど、それはどこかの誰かが
一生懸命計算したとしよう。その結果のグラフが右側のページに並べた
グラフだ。でも、順番がバラバラになっています。
どのグラフがどの境界条件のときの答えですか?
境界条件と、その答えのグラフを見つけてください。
(ま):組み合わせを見つければいいのね。
えーと、ぱっとわかるのは、⑤と I。
(お):はい、正解。次は?
(た):こんなの簡単じゃん。⑨と F でしょ、あと、⑦と A。それに、⑧と E。
(ま):アタシにも残しておいてよ∼。えーと、⑥と G。そして④と C。
あと残っているのは ...
(た):③と D。あのー、①と②って同じじゃないの?
(お):グラフの形は同じといえば同じだけど、グラフの高さが違うだろ。
(た):確かに、①の方が高いけど。そうかそれで見つければいいのか。
じゃあ、①と H、それで最後は、②と B。
(お):はい、よく出来ました。
(お):どお? まるい D の式だけでは計算できない、境界条件が必要だ、って
いうのはわかる?
●デコボコなしヨの法則
(お)
:えーと、実はね、この右側のグラフ、この中に一つだけラプラス方程式
の答えじゃないグラフがあるんだ。
(ま)
:えー、さっき、自分で全部ラプラス方程式の答えです、って言ったじゃ
ない!
(お):いやーごめんごめん。まあ、ネタフリ、ってことで勘弁して。
(ま):も∼
(お): それでね、そのラプラス方程式の答えじゃないグラフって、
どれだかわかる?
(た): そんなのわかりっこないよー。なんか知らないけどむずかしい数学が
いるんだろ?
(ま)
:具体的な数字で計算するにしても、こんなにたくさんのグラフ、計算で
きません!
(お)
:いやー、確かにそうだけど、実は数学を勉強した人なら、計算しなくて
も、パッと見ただけでわかっちゃうんだ。
(ま):見ただけで?
(お):そう、見ただけでわかる。自分の頭の中でシャボン膜を作って
みてごらん。それでもって、針金の枠をどんどん変えてみればわかるっ
て。
(た):うーん、どれだろー。この、F のグラフかなー。
だって、こんなにぐにゃぐにゃしてると計算できないんじゃない?
(お)
:残念、それはラプラス方程式の答えのグラフなんだな。実際のシャボン
膜と合うかどうかはまた別の話だけど。
(ま):なんか、変な言い方ねー
(ま)
:えー、今は気にしなくていいから。とにかくFのグラフはラプラス方程
式の答えのグラフだ。間違いのグラフは別にある。
(ま):・・・ ちょっとムズカシすぎる∼ ヒントを出してください!
(お):じゃあ、この問題は置いといて、一般的なことを考えてみよう。
シャボン膜の一番高いところはどこになると思う?
(た):どこになるって、そんなの実際に作ってみないとわからないよ。
(ま):アタシもそう思う。その場合、場合で違うんじゃないの?
(お)
:じゃ、君たちの数学のテストのことを考えてみよう。一番、最近のテス
トのことを思い出してみて。クラスの平均点はいくらだった?
(ま):えーと、確か、65点ぐらいだったと思う。
(お):君たちは何点とった?
(ま):アタシは72点でーす。
(た):えーと、ボクは55点。
(ま):うそばっかし。47点だったじゃない。
(た):ちぇっ、そんな細かいこといちいち気にすんなよなー。
(お):まあまあ、仮に、クラスの最高点が、えみちゃん、最低点が
たっちゃんだったとしよう。
(た):・・・
(お):それでね、これから平均点がわかるかな。
(た):そんなの分かるわけわけないじゃん。クラスのうち、2人ぶんしか
点数が分かっていないんだから。平均を計算するには、クラスの
みんなの点数が必要でーす。
(お):でもね、大体は分かるんじゃないかな。いやこれじゃあ、
ちょっと表現がわるいなあ。
えーと、平均点について、これだけは言えるってことは何?
(ま):うーん、少なくとも、平均点はたっちゃんの点数よりは高い、
(た):おまえな∼
(ま):しょうがないじゃん。ほんとうのことなんだから。
(お):それから?
(ま):平均点はアタシの点より低い!
(お):そうだね。つまり式で表すとこうなる。
まりえちゃんの点数 > 平均点 > たっちゃんの点数
(お):もうわかったんじゃないかな。シャボン膜の場合に話を戻そう。
シャボン膜の方程式の5つの点の中で、最大値は?
(ま)
:えーと、その場合、場合でわかんないんだけど、少なくとも真中の点は
最大値にはなりません。
(た):でも、何かへんだな。たとえば、その右隣の点を計算するときは
どうなるの?さっきの右隣の点は、今度は計算で求めようとする
真中の点になるんでしょ。
そうすると、どこにも最大値はできないんじゃない?
(ま)
:なんか変ね・・・ もしかすると、シャボン膜のどこにも最大値は出来
なかったりして。
(た):そんなばかな∼
(お):じゃあ、たとえば、G のグラフを見て。最大値はどこに出てる?
(ま):カドの2つの点・・・
(た):あっ、わかった。最大値はシャボン膜の中には出来ないで
針金の枠のところにできるんだ。
(ま):なーんだ。そうなんだ∼。それじゃあ、ラプラス方程式の答え
じゃないグラフは ... E でーす。
(お):はい、正解。ついでに言っておくと、最小値も同じだって
いうのはわかるよね。
(ま):うん、わかる、わかる。でもまだ何かひっかかるなー。
あのー、たとえばさー、クラス全員が同じ点数の場合はどうなるの?
みんなそろって90点とか。その場合は、
平均点=最高点
でしょ?
(た):まあ、それはそうだけど。うーん、それが、この B と H のグラフ
なんじゃないの。
(お)
:うん、そうなんだ。たっちゃんの言うとおり、シャボン膜の全部の点の
高さが同じ値の時は、最大値も内部にできる。
このシャボン膜の性質のことを、でこぼこなしよの法則と呼ぼう。
(ま):あのー、今の話、わかった、って思ったんだけど、なんかまた
気になってきちゃった。
確かに E のグラフにはデッパリやヘコミが出てる、だからラプラス方程
式の答えじゃない、って言うのはいいんだけど、G とか I のグラフにも、ヘコ
ミが出てるんじゃない?
(た):ほんとだ。しっかり谷ができてるじゃん。
(お):確かにちょっと見ると、ヘコミがあるように見えるけど、
これは「ヘコミ」じゃあないんだ。
(た)
:わかりやすくするために、必要なところだけを残したグラフを作ってみ
よう。
そのためには、グラフにちょっとした細工をする必要があるな。
(た):細工?
えーと、あの、ほら、駅前の、ガーときて、グーとおりて、ぐゎしっとつかむ
やつ。
(た):・・・ ぬいぐるみを取るゲーム?
(た):あ∼、それそれ! あれとおんなじ仕組みを、グラフの真上に取り付け
たとしよう。
(た):いや、別に、どうでもいいんだけど・・・
(た):ふーん、グラフを取り壊しちゃうの?
(た):いやそうじゃなくて、あの機械の天井に
(た)
:あちこち機械を動かしていくと、その点でのグラフの曲がり具合がわか
るよね。
ふーん、確かに、しゃぼん膜の公式が成り立っているようにみえるわ。
ちゃんとまわりの4点の平均になっていそう。
それでね、こうやって調べていっても、まわりの4点全部より高い点や、
まわりの4点全部より低い点はないようだね。
それじゃあ、問題になっている例の点の上に機械を持っていってみよう。
(お)
:ぱっとみるとそう見えるけど、それと直角方向が山になっているだろ?
(た):まあ、たしかにそうだけど。
(お):うん、数学では、これは
とはいわなくて、鞍点という。
(お):もし、誰かが、シャボン膜の実験を繰り返しやったとしよう。
そのうち、「シャボン膜の内側に最大値・最小値はできない」という
ことに気づいたとしよう。でも、このままだと、何百回実験を
繰り返しても、もう一回つぎに実験したら、予想と違う結果が
出るかもしれない、と疑い深い人は思うかもしれない。
でも、こうやって、シャボン膜の一般的な性質から、証明してしまうと
つぎからは安心だよね。
(お)
:そうだね、僕たちがみんなでやった計算みたいなのは、いかにもカガク
の計算、こういうのもあるんだ。
(お):ふーん、なんかこんな