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分子分類に基づく乳がんの診断および治療法の開発
現在乳がんは、腫瘍径や異型度、リンパ節転移の有無によって再発する危険性が評価さ
れ、術後の治療法が決定されています。しかし、乳がんにはエストロゲン受容体やHER2受
容体(上皮増殖因子受容体)が発現しているかどうかで異なる性質を有しており、それぞ
れの性質によって再発する危険性やお薬に対する効果は違っていると考えられますが、そ
れを正しく診断することは困難です。近年、遺伝子の発現を調べることによって、乳がん
を新しい分類法で区別することが可能になりました。これらの遺伝子の発現パターンに基
づいた診断法は今後のよりよい治療法の開発に結び付くものと期待されています。
一方、がんの組織では、p53、PIK3CA やPTEN といった遺伝子に変異が生じており、さら
にがんを抑える作用のあるBRCA1 が減少したり、がんの増殖を促進するEGF 受容体などの
過剰発現も認められます。
研究の目的は、これらの遺伝子と蛋白の発現や遺伝子の変異を調べることで、適切な治
療法の選択を行うことです。この研究成果によって、より多くの女性の再発を減らすこと
ができるものと期待されます。
* 対象となる方は、2009年3 月以降に当科で乳房の手術を受けられた方です。
* 乳がんの手術で摘出された組織はすでに病理診断が終了しています。残りの組織は当院にて
保管されており、今回の研究に使用させて頂くのは、この余った組織の一部です。これらの組織
を用いて遺伝子の発現や変化、蛋白の発現を解析します。そして、その解析結果と患者さんがん
の特徴(異型度やエストロゲン受容体、HER2の有無など)や、予後(再発したかどうか)との関
係を詳しく調べます。また、血液中のホルモンの測定や、白血球の遺伝子のタイプ(遺伝子多型)
も解析を行います。
なお、
ニットボ―メディカル株式会社と腫瘍マーカーの解析を行う共同研究を行います。
また、
今回新たに聖マリアンナ医科大学との共同研究を行います。この研究では、遺伝子の修復にかか
わる因子(ヘテロクロマチンプロテイン1(HP1))や、ERαを分解する因子(Fb-ERα)の解析を
行うことになりました。もし以前に同意をいただいている方で、この研究に検体を使ってほしく
ない方は、お申し出ください。
* 今回使わせたいただく組織は、どの方のものかわからないように番号が付けられていますの
で、お名前など個人が特定される情報が外部に出ることはありません。また、研究成果は学会や
論文等で発表させていただくことがありますが、すべてのデーターを一緒に
して発表することはあっても、個人情報を公表することはありません。なお、研究の結果はまだ
その有用性が確実にはなっておりませんので、皆さまにお伝えすることはありません。
* 本研究の実施については、兵庫医科大学の倫理審査委員会にて承認を受けています。
お問い合わせ担当者: 三好 康雄
〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学病院 乳腺・内分泌外科
TEL: 0798-45-6374、FAX: 0798-45-6373
生物学的マーカーによる乳がん術後療法を決定する診断法の開発
乳がんの術後には、再発を予防するために化学療法(抗がん剤)や、ホルモン療法、
抗HER2 療法が実施されます。どのような患者様に抗がん剤を行うのかは、腫瘍の大きさや
リンパ節転移、異型度、エストロゲン受容体やHER2 の有無で決定されています。しかし、
これらの因子だけでは正確に化学療法が必要かどうか、また、どのお薬が効くのか、現段
階では明らかにされていません。そこで、当科では化学療法が必要かどうか、またどのお
薬が適しているのかを診断する方法の研究を行っています。そのためには、過去に手術を
受け再発した方と、再発しなかった方の治療内容と、いろいろな蛋白を解析した結果を解
析することが必要です。この研究によって、より適切な治療を選択することが可能となり、
多くの女性の再発を減らすことができるものと期待されます。
* 対象となる方は、1995年以降に当科で乳房の手術を受けられた方です。
* 乳がんの手術で摘出された組織はすでに病理診断が終了しています。残りの組織は
当院にて保管されており、今回の研究に使用させて頂くのは、この余った組織の一
部です。これらの組織を用いて蛋白の発現を解析します。そして、その解析結果と
患者さんがんの特徴(異型度やエストロゲン受容体、HER2 の有無など)や、予後(再
発したかどうか)との関係を詳しく調べます。
* 今回使わせたいただく組織は、どの方のものかわからないように番号が付けられて
いますので、お名前など個人が特定される情報が外部に出ることはありません。ま
た、研究成果は学会や論文等で発表させていただくことがありますが、すべてのデ
ーターを一緒にして発表することはあっても、個人情報を公表することはありませ
ん。なお、研究の結果はまだその有用性が確実にはなっておりませんので、皆さま
にお伝えすることはありません。
* 患者様が再発されていないかどうか、健康上の問題がないかどうか、郵便にて問い
合わせをさせていただくことがあります。
* 本研究の実施については、兵庫医科大学の倫理審査委員会にて承認を受けています。
お問い合わせ担当者
お問い合わせ担当者: 三好 康雄
〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学病院 乳腺・内分泌外科
TEL: 0798-45-6374、FAX: 0798-45-6373
術後内分泌療法としてレトロゾールが用いられた閉経後女性における薬剤感受
性診断法の確立のための横断研究
手術切除されたエストロゲンレセプター(ER)陽性・HER2 陰性閉経後乳癌を対象に、術
後内分泌療法としてレトロゾールが用いられた女性を対象に、術後の化学療法が必要であ
ったかどうかを明らかにする研究です。手術で切除された組織において、エストロゲンや
細胞の増殖に関わる蛋白の発現を免疫組織染色、という方法で調べます。そして、それぞ
れの蛋白の発現と、再発しているかどうかといった臨床情報を解析するのが目的です。こ
の研究は兵庫地区の多施設で行う共同研究で、この研究の結果によって化学療法が必要か
どうかをより正確に診断することができるものと期待されます。
* 対象となる方は、2000 年以降に当科で乳房の手術を受け、術後のホルモン療法とし
てタモキシフェン(ノルバデックス)あるいはレトロゾール(フェマーラ)で治療
された方です。
* 乳がんの手術で摘出された組織はすでに病理診断が終了しています。残りの組織は
当院にて保管されており、今回の研究に使用させて頂くのは、この余った組織の一
部です。これらの組織を用いて蛋白の発現を解析します。そして、その解析結果と
患者さんがんの特徴(異型度やエストロゲン受容体、HER2 の有無など)や、予後(再
発したかどうか)との関係を詳しく調べます。
* 今回使わせたいただく組織は、どの方のものかわからないように番号が付けられて
いますので、お名前など個人が特定される情報が外部に出ることはありません。ま
た、研究成果は学会や論文等で発表させていただくことがありますが、すべてのデ
ーターを一緒にして発表することはあっても、個人情報を公表することはありませ
ん。なお、研究の結果はまだその有用性が確実にはなっておりませんので、皆さま
にお伝えすることはありません。
* 患者様が再発されていないかどうか、健康上の問題がないかどうか、郵便にて問い
合わせをさせていただくことがあります。
* 本研究の実施については、兵庫医科大学の倫理審査委員会にて承認を受けています。
お問い合わせ担当者:
三好 康雄
〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学病院 乳腺・内分泌外科
TEL: 0798-45-6374、FAX: 0798-45-6373
Body mass index が乳癌の発症とバイオロジーに及ぼす影響の検討
(多施設共同観察研究)
最近の研究により、閉経後の肥満女性は乳がんになりやすいことが知られていますが、それだ
けでなく、治療効果や予後にも影響することが明らかにされました。研究の目的は、肥満が乳が
んの発生に及ぼす影響を明らかにすることです。この点を明らかにするためには、乳がんを発症
した女性のデータを、健康な女性を比較することが必要です。従いまして、当院で手術を受けら
れた方の、臨床データー(体重、身長、家族歴、初潮年齢、閉経年齢、出産歴、治療の内容、術
後の経過など)を解析に使わせていただきます。情報はすべて匿名化して解析しますので、お名
前など個人が特定されることはありません。また、本研究の結果はまだその有用性が確実にはな
っておりませんので、皆さまにお伝えすることはありません。
* 対象となる方は、2005年1月以降に当科で乳房の手術を受けられた方です。
* カルテに記載されている臨床情報を使わせていただきますので、こちらから改めてご連絡す
ることはありません。
* 今回使わせたいただくデータは、匿名化しますので、お名前など個人が特定される情報が外
部に出ることはありません。また、研究成果は学会や論文等で発表させていただくことがありま
すが、すべてのデータを一緒にして発表することはあっても、個人情報を公表することはありま
せん。なお、研究の結果はまだその有用性が確実にはなっておりませんので、皆さまにお伝えす
ることはありません。
* 本研究の実施については、兵庫医科大学の倫理審査委員会にて承認を受けています。
お問い合わせ担当者: 三好 康雄
〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学病院 乳腺・内分泌外科
TEL: 0798-45-6374、FAX: 0798-45-6373
術前化学療法を施行した乳癌におけるバイオマーカーの変化と治療効果の解析
(多施設共同観察研究)
乳癌では術前化学療法(手術を行う前に化学療法を行う)が行われています。術前化学療法で
病理学的に癌が消失した場合は(pCR)、そうでない場合より、有意に予後がいいことが知られて
います。乳癌はエストロゲン受容体(ER)と HER2、Ki67 の発現によって、Luminal A, Luminal B,
HER2, TN(トリプルネガティブ)の 4 つのサブタイプに分けられており、このうち HER2 タイプ
が最も pCR 率が高く約 7 割であるのに対し、
Luminal A タイプの奏効率は 1 割程度にすぎません。
一方、pCR が得られなかった症例に関しても、化学療法の効果がまったくなかったわけではなく、
予後が良好な群と、そうでない群が存在することが明らかにされています。しかしながら、どの
ような症例が予後不良なのか、その点に関しては不明です。pCR が得られなかった群において、
予後不良な群を同定することは、その後の治療を変更することで、さらなる予後の改善が期待で
きることから、臨床上きわめて重要である。
我々はこれらの点を明らかにするため、多施設共同観察研究を行っています。対象は、2004
年から 2014 年の間に兵庫医科大学病院あるいは八尾市立病院で術前化学療法後に手術を受けた
乳癌の患者様約 300 例です。今回収集する情報は、年齢、乳癌の家族歴、閉経状況、身長、体重、
治療内容等であす。さらに乳癌の臨床病理学的因子として、治療開始前の腫瘍径、リンパ節転移
の有無、異型度、組織型、ER、プロゲステロン受容体(PgR)
、HER2、Ki67 を調べます。さらに
臨床的治療効果、病理組織学的治療効果、ならびに手術時の腫瘍径、リンパ節転移の有無、異型
度、組織型、ER、PgR、HER2、Ki67 も解析します。なお再発の有無、生存の有無に関しても調査
を行います。
* 今回使わせたいただくデータは、匿名化しますので、お名前など個人が特定される情報が外
部に出ることはありません。また、研究成果は学会や論文等で発表させていただくことがありま
すが、すべてのデータを一緒にして発表することはあっても、個人情報を公表することはありま
せん。なお、研究の結果は、まだその有用性が確実にはなっておりませんので、皆さまにお伝え
することはありません。
* 患者様が再発されていないかどうか、健康上の問題がないかどうか、郵便にて問い
合わせをさせていただくことがあります。
* 本研究の実施については、兵庫医科大学の倫理審査委員会にて承認を受けています。
お問い合わせ担当者: 三好 康雄
〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学病院 乳腺・内分泌外科
TEL: 0798-45-6374、FAX: 0798-45-6373
乳癌の予後に影響する臨床病理学的、生化学的因子の同定(多施設共同観察研
究)
数多くの研究によって、腫瘍径が大きい、リンパ節転移がある、異型度が高い、エストロゲン
受容体(ER)陰性、HER2 陽性などの病理学的な因子を持つ乳癌は、再発しやすいことが明らか
にされています。それに加え、年齢や閉経状況などの患者の背景因子も再発に影響することが示
されています。従って、現在これらの因子に基づいて術後療法が決定されています。近年、患者
の肥満度(Body mass index)も予後に影響することが示されており、肥満に関連する生化学的
因子(血中のインシュリンやコレステロール)を介して乳癌の再発に影響している可能性が示唆
されています。しかしながら、他の生化学的因子に関しては、どのような因子が乳癌の再発に関
係しているのか、この点は明らかにされていません。
そこで、
我々はこれらの点を明らかにするため、
多施設共同観察研究を行っています。対象は、
2005 年以降に手術を受け、手術時の病理学的因子検索、術前の生化学的検査が実施されている
兵庫医科大学病院あるいは八尾市立病院の患者様約 1500 例です。今回収集する情報は、疫学情
報として年齢、初潮年齢、出産歴、乳癌の家族歴、閉経状況、身長、体重です。また、乳癌の臨
床病理学的因子、腫瘍径、リンパ節転移の有無、異型度、組織型、ER、プロゲステロン受容体、
HER2、Ki67 も解析します。さらに、手術前、後の臨床検査値(生化学的因子:総コレステロー
ル、高比重リポ蛋白コレステロール、低比重リポ蛋白コレステロール、中性脂肪、血糖値、イン
スリン濃度など、炎症反応:血小板数、白血球数、CRP、腫瘍マーカー:CEA、CA15-3、骨代謝マ
ーカー:1CTP、NTx、BAP、TRACP-5b など)も調べます。また、骨密度を測定している場合には、
その情報も調査します。すべての情報は匿名化して集積し、データの解析は兵庫医科大学乳腺・
内分泌外科にて行います。研究期間は平成 27 年 2 月から平成 32 年 12 月 31 日までの予定です。
* 今回使わせたいただくデータは、匿名化しますので、お名前など個人が特定される情報が外
部に出ることはありません。また、研究成果は学会や論文等で発表させていただくことがありま
すが、すべてのデータを一緒にして発表することはあっても、個人情報を公表することはありま
せん。なお、研究の結果は、まだその有用性が確実にはなっておりませんので、皆さまにお伝え
することはありません。
* 患者様が再発されていないかどうか、健康上の問題がないかどうか、郵便にて問い
合わせをさせていただくことがあります。
* 本研究の実施については、兵庫医科大学の倫理審査委員会にて承認を受けています。
お問い合わせ担当者: 三好 康雄
〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学病院 乳腺・内分泌外科
TEL: 0798-45-6374、FAX: 0798-45-6373
局所進行・再発乳癌患者における予後規定因子の同定(観察研究)
この研究の目的は、局所進行・再発乳癌で、治療の経過に関係する因子を同定すること
です。治療薬の進歩により、再発乳癌の患者さんの予後は改善しています。しかし、多く
の薬剤をどのような順番で用いるのが最も効果的か、この点は明らかでなはありません。
従って、このような患者さんの予後を判断することは、治療選択する際に有用です。そこ
で、本研究では局所進行・再発乳癌患者さんを対象に、予後に関係する因子や、治療効果
に関係する因子を明らかにするのが目的です。
今回検討するのは、日常診療で実施する画像データ、臨床検査データ、治療効果、予後
などのデータです。この研究の結果は、日常診療において治療法を選択する際に有用な情
報を提供することが期待されています。
今回調べるのは、日常診療で得られる患者さんの背景(年齢や閉経状況、癌の特徴など)、
画像データ(エコーや CT、MRI、PET などの検査)、臨床検査データ(採血のデータ)、
治療効果、予後(生存されているかどうか)などのデータです。以上のデータは、診療記
録より調べますので、直接患者さんに問い合わせることはありません。以上のデータは、
診療記録から調べた後は能匿名化し、どなたのデータかわからないようにして解析します。
対象は、兵庫医科大学で局所進行あるいは再発のために治療を行った方、約 200 名です。
研究期間は、平成 32 年 5 月 31 日までです。
* 今回使わせたいただくデータは、匿名化しますので、お名前など個人が特定される情報が外
部に出ることはありません。また、研究成果は学会や論文等で発表させていただくことがありま
すが、すべてのデータを一緒にして発表することはあっても、個人情報を公表することはありま
せん。なお、研究の結果は、まだその有用性が確実にはなっておりませんので、皆さまにお伝え
することはありません。
* 患者様が再発されていないかどうか、健康上の問題がないかどうか、郵便にて問い合わせを
させていただくことがあります。
* 本研究にご自身のデータを使ってほしくない方は、お申し出ください。
* 本研究の実施については、兵庫医科大学の倫理審査委員会にて承認を受けています。
お問い合わせ担当者: 三好 康雄
〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学病院 乳腺・内分泌外科
TEL: 0798-45-6374、FAX: 0798-45-6373
現在実施している臨床試験:
当科では、ターゲット試験(ホルモン受容体陽性転移・再発乳がんに対するタモキシフェンの
CYP2D6遺伝子多型に基づく個別化投与と固定容量の比較研究)、オーラルケア―試験(エストロ
ゲンレセプター陽性再発乳癌を対象としたエベロリムス使用症例における口内炎予防のための
歯科介入無作為化第Ⅲ相試験)、アブロード試験(転移性乳がん患者におけるアブラキサン(3
週毎投与法)の至適用量を検討するランダム化第Ⅱ相臨床試験)、KBCOG10試験(閉経後ER陽性
HER2陰性乳癌に対する術前化学療法にレトロゾール併用のランダム化比較第Ⅱ相試験)、Neo-L
試験(閉経後エストロゲン受容体陽性・HER2陰性乳がんに対するレトロゾールを用いた術前内分
泌療法の有効性を検証する多施設共同研究)、FDG-PET検査による早期治療効果判定法の開発、
FDG-PET検査を用いた術前薬物療法における早期治療効果判定法の開発の臨床試験を行っていま
す。