■■ 乳癌のサブタイプ分類に基づいた治療 ■■ 診外科部長 宇都宮勝之 日本人の2人に1人が癌になる時代になりました。男性は6割が、女性は4割5分が癌になります。夫 婦のうちどちらかが癌になってもおかしくない時代です。 乳癌になられた方が、癌の進行度・ステージを心配されるのは、ごもっともな事ですが、乳癌治療では サブタイプ分類が重要です。 乳癌は、比較的おとなしいものから、増殖が活発なものまで、5種類のサブタイプに分類されます。サ ブタイプによって再発のリスクが異なりますので、乳癌の初期治療では手術以外に、各タイプに応じて患 者さんに適切な治療を実施するようになってきております。 (1)ルミナール A タイプ:ホルモン受容体陽性タイプはルミナールタイプと呼ばれ、乳癌の 60~70% を占めます。このうち増殖能力が低い A タイプはホルモン受容体陽性乳癌の典型的なタイプです。 ホルモン受容体をもつ乳癌は、女性ホルモンをエサとして増殖するため、ホルモン療法が推奨されま す。リンパ節転移が多数ある場合など、癌細胞の悪性度が高い場合は再発リスクが高くなるため化学 療法の追加が考慮されます。 (2)ルミナール B タイプ:A タイプと同様にホルモン療法が効果的ですが、A タイプに比べて増殖能 力が高いため、多くの場合ホルモン療法に加えて化学療法も行います。 (3)ルミナール B タイプ(HER2 陽性) :ホルモン受容体と HER2 のどちらも陽性であるため、ホルモ ン療法と抗 HER2 療法ともに効果が期待できます。抗 HER2 療法を行う場合には、化学療法を併用 することがあります。 (4)HER2 タイプ:ホルモン受容体陰性で HER2 陽性の乳癌は、乳癌全体の約 10%です。ホルモン療 法は期待できず、抗 HER2 療法と化学療法の併用を行います。 (5)トリプルネガティブタイプ:ホルモン受容体と HER2 タンパクのいずれも持たないため、化学 療法を行います。 今後は他の癌疾患もサブタイプ分類が行われ、サブタイプに応じた治療法が確立されてゆくと考えられ ます。 お知らせ 乳がんは、早期に発見し治療すれば完治が可能な病気であり、検診が重要でかつ効果的です。 日本では、40 歳を過ぎると2年に1回乳がん検診を受けることが推奨されています。一般的な乳がん検診 では、問診、視触診、マンモグラフィ検査を行います。マンモグラフィでは、乳房を圧迫し、薄く伸ばし ●ノルディックウォーク教室 ながら撮影を行います。圧迫の際に痛みを伴う場合がありますが、乳腺組織の重なりを少なくし、小さな 平成 27 年 6 月 13 日(土) 14:00~ (第 2 土曜日) 病変を鮮明に写し出す為には必要不可欠です。マンモグラフィは、自己検診や医師の触診で発見できない ●ロコモ体操教室 小さなしこりや、初期症状である微細な石灰化(乳管内のがん細胞によってカルシウムが沈着したもの) を写すことができるため、乳がんの早期発見につながります。 講師 帝京平成大学 ヒューマンケア学部 教授 渡會 公治 当院では「マンモグラフィ検診施設画像認定」を取得し、精度の高いマンモグラフィ撮影の為に日々の 平成 27 年 6 月 17 日(水) 17:30 ~ 18:30 (第 3 水曜日) 画質管理や装置の日常点検を行っています。また、女性認定技師が撮影させて頂きます。 場所 クリスタルスポーツクラブ世田谷(三宿病院すぐそば) ※施設利用料 540 円 悪性新生物の主な部位別にみた女性死亡数の推移(平成 ※クリスタルスポーツ世田谷ではロコモ体操教室を開催しております(毎週水/木曜日) 24 年人口動態統計確定数) 部位 S.40 50 60 H.7 17 21 22 23 24 大腸 3,335 5,654 8,926 13,962 18,684 19,672 20,317 20,882 21,747 肺 2,321 4,048 7,753 12,356 16,874 18,548 19,418 19,511 20,146 胃 17,749 19,454 18,756 18,061 17,668 17,241 17,193 17,045 16,923 乳房 1,966 3,262 4,922 7,763 10,721 11,918 12,455 12,731 12,529
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