外商投資企業も大いに注目すべき新たな融資方式 -

外商投資企業も大いに注目すべき新たな融資方式
--新三板市場への登録実行可能性の探究
天達共和法律事務所
弁護士 張 和伏
弁護士 汪 娜
2013 年下半期から、
「新三板市場への登録」が中国資本市場でホットな話題として次第
に注目されるようになった。株式上場基準には到達しない創業型および成長型の中小零細
企業にとっては大変魅力的である。初回の登録企業による集団登録式が 2014 年 1 月 24
日に開かれ、企業 285 社が新三板市場への登録を果たした。2015 年 7 月 31 日までの間
に登録した会社は 3052 社に達し、7 月だけでも 400 社あまりが登録を済ませている。そ
の株式総額は 1540.27 億株に達し、流通株式は 572.87 億株に達し、市場値総額は
13,191.72 億元となった。新三板市場への登録という新しい融資方式は、いまや中小零細
企業の「株式上場」の代名詞となっている。
これまで、経営規模を拡大する必要があるなどの事由に迫られると、成長型の外商投資
企業は、一般的に伝統的な融資方式を採用してきた。たとえば、①投資者による増資、②
国外の親会社からの借入れ、③銀行からの借入れなどの方式を採用するのが一般的であっ
た。また、これまでの伝統的な資本市場を利用した株式上場や債券発行などの資本運用方
式について言えば、株式上場の基準が厳しすぎる、外資に対する審査認可が複雑であるな
どの原因から、外商投資企業で融資に成功したケースは非常に少ない。それなら、中国資
本市場でこれほどまでに注目を集めている新三板市場に、外商投資企業は参加する必要が
あるのかどうか、新三板市場を利用する機会があるのかどうか、新三板市場にどのように
参加したらよいのかについて、以下に述べる。
一、
「新三板市場」とは何か
「新三板市場」とは、全国中小企業株式譲渡システム(以下、「新三板市場」という)
を指す。取引形態からみると、日本の店頭市場とよく似ている。非株式上場の公開企業が
株式を発行し公開譲渡するプラットホームである。登録した会社に対して、株式取引、発
行融資、買収・合併、再編など資本市場におけるサービスを提供し、全国中小企業株式譲
渡系統有限責任公司(以下、
「株式譲渡系統公司」という)が運営管理する。サービスの
主たる対象からみて、新三板市場は中国のナスダックと称されることもある。
全国中小企業株式譲渡系統が「新三板市場」と称されるのは、中国資本市場における位
置づけと歴史的な背景が、その理由として挙げられる。中国の資本市場は、主として以下
の 4 つの層から構成されている。
1/8
資本市場の層
一板市場
二板市場
三板市場
四板市場
一般的な呼称
主なサービス対象
株式の流通場所
主板(メインボード)
大型国有企業、優良
企業
上海証券取引所
深セン証券取引所
中小企業板(中小企
業ボード)
中型規模企業
創業板(創業ボード) 成長型の中小企業
深セン証券取引所
深セン証券取引所
新三板
創業型の中小零細企
業
全国中小企業株式譲
渡システム
地域型株式市場など
一定範囲で流通する
会社株式・持分権な
どの取引
上海など各地域
上の表からわかるように、資本市場のうち 3 番目の層が三板市場である。これが我々が
探究しようとしている全国中小企業株式譲渡システムである。では何故「三板市場」を「新」
三板市場とも呼ぶのだろうか。これは、
「旧」三板市場に対して「新」三板市場と呼んで
いるのである。いわゆる「旧三板市場」とは、もとの全国証券取引自動見積もりシステム
(STAQ)および中国証券取引系统有限公司が設計した NET 系统(以下、
「両網系統」とい
う)に登録された会社株式譲渡の残された問題を解決するために、中国証券監督管理委員
会が中国証券業協会に授権して 2001 年 7 月に設立させた「証券公司株式譲渡代理手続き
システム」である。現在の新三板市場は、旧三板市場にとって代わるものであり、かつ旧
三板の機能を引き継ぐものである1。
新三板市場は、場所的にも法律上の位置づけを見ても、上海取引所・深セン取引所と同
様、全国的な証券取引所である。今現在、新三板市場の体系制度の発展段階は、以下の 4
段階に分けることができる。
1
2006 年 1 月、旧三板システム内に中関村科技園区株式呼び値譲渡試験ポイントが増設された。中関村
科技園区内にある登録企業は条件に合致すれば、証券会社の代行株式譲渡システムに入り込み、協議式
の呼び値譲渡を行なうことができるとされた。この 2 つの市場は、そのサービス対象、取引方式、情報
開示、融資制度、投資者の適正などの面でいずれも根本的に異なる。両者を区別するため、メディアを
含む社会各界は、元々存在した両網系統に登録された企業と上場廃止の企業を主体とする市場を「旧三
板市場」と呼ぶ。これに対し、2006 年に始まった中関村園区企業を主体とする市場を「新三板市場」と
呼ぶ。2013 年 1 月 16 日、全国株式譲渡システムが正式に運用を開始された。元々の証券会社による代
理譲渡システムに登録していた企業が全て受け継がれた。市場運営プラットフォームの運営管理作業は、
中国証券業協会から全国株式譲渡系統有限責任公司へと引き継がれた。したがって、全国株式譲渡シス
テムは「旧三板」と試験ポイントと試験期間における「新三板市場」と法律上、連続性を有する。
「新三
板市場」は、証券会社の株式代行譲渡システムを呼ぶときに使われる俗称である。全国的な株式譲渡シ
ステムが正式に運営開始されたのを受けて、既に全国株式譲渡システムの呼称として使用されている
(http://www.neeq.com.cn/index の関連内容に基づき整理)
。
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段階
第一段階(2006
年 1 月)
取引場所

サービス対象範囲
「旧三板市場 」

システム内の増
設試験ポイント
第二段階(2012
年 7 月)

第三段階(2013
年 1 月)
第四段階(2013
年 12 月)

「旧三板」シス
テム内に増設試
験ポイント
→全国株式シス
テムの整備
全国中小企業株
式譲渡システム
が正式に運営開
始された
全国中小企業株
式譲渡システム

「証券会社の株式
譲渡代行システム
による中関村科技
園区の非上場株式
有限会社株式の価
格(呼び値)提示・
譲渡の試行弁法」公
布

国務院が承認「中関
村試験ポイントの
拡大により段階的
に全国中小企業株
式譲渡システムを
確立する指示」
中関村科技園
区内企業


関連する政策制度
中関村科技園
区内企業
上海張江高新
区内企業
天津濱海区内
企業
武漢東湖高新
区内企業





全国企業

「全国中小企
業株式譲渡系统有
限責任公司管理暫
定弁法」

「非上市公衆
公司監督管理弁法」

その他情報開
示に関する制度な
ど
全国企業

「全国中小企
業株式譲渡システ
ムに関する問題に
ついての国務院の
決定」

「非上市公衆
公司監督管理弁法」
の改正

その他情報開
示、取引等に関する
制度の改正と発布
上の表の第四段階に示されたように、国務院が 2013 年 12 月 13 日に「全国中小企業株
式譲渡システムに関する問題についての国務院の決定」(国発〔2013〕49 号。以下、「国
発[2013]49 号文」という)を正式に公布したのを受けて運用開始された新三板市場サー
ビスとは、創新型、創業型、成長型の中小零細企業の発展を目指すものであるという、新
三板市場サービスの趣旨がよりいっそう明確に示された。そして、新三板市場に登録する
企業がますます増えている。
3/8
二、外商投資企業の新三板市場への登録状況
我々の初歩的な統計によれば、2014 年 1 月から 2015 年 7 月までの間に、少なくとも
30 社あまりの外商投資企業が組織変更をして外商投資株式有限公司として新三板市場に
登録している。新三板市場に登録した外商投資企業をみると、主として製造業とコンピュ
ーターソフトサービス業である。このうち、外資による資本支配を受けている企業が占め
る割合は 55%以上で、登録資本金は 800 万から 3.6 億元の間である。そのうち、登録資
本金が 3000 万から 1 億元までの会社は全体の 70%を占める。国や地域別では、香港系の
外資企業が全体の 60%以上を占めており、日系の外資企業も 5 社ある。
三、外商投資企業が新三板市場に登録する意義
国発[2013]49 号文は、新三板市場を主として創新型、創業型、成長型中小零細企業の
発展のためのサービスと位置づけている。それでは、新三板市場への登録は、条件に合致
する「小規模であるが実力のある」外商投資企業にとってどのような意義があるのだろう
か。実務における外商投資企業の運営の実際の状況を踏まえ、外商投資企業が新三板市場
に登録することの主なメリットを、以下に述べる。
1) 資本対策:株式の流通を実現し、公開市場での価格決定を可能とし、より多くの直接
的および間接的な融資のチャンスを獲得できるため、企業再編や企業買収合併に有利
となる。
2) 株主対策:株式の流通を実現し、株主による現金化や中小株主の退出に有利となる。
このほか、株式への質権設定などの方式により融資を実現することが可能となるなど
のメリットがある。
3) 業務対策:新三板市場への登録により企業の知名度と影響力を引上げ、より多くのビ
ジネス提携のチャンスを獲得することが可能となる。
4) 管理対策:仲介機構によるデューデリジェンス調査により、会社の現有制度を全面的
に整理して改善し、将来における会社の発展空間を広げることができる。
5) 従業員対策:臨機応変な報酬・福利厚生制度を運用することが可能となる。株式によ
るインセンティブの実施により高級管理職員や従業員の積極性を引き出すことがで
きる。
6) 便利な登録制度:メインボード、中小企業ボードおよび創業ボードでの株式上場に比
べ、新三板市場での登録までの所要時間は短く、コストも低く、登録条件が低いとい
う特徴がある。
このほか、企業は登録した後に公開企業となるため、関連する規定により情報の開示を
行なわなければならないことに注意が必要である。新三板市場における情報開示要求は、
上海証券取引所や深セン証券取引所でメインボード(中小ボードを含む)および創業ボー
ドに登録する際の要求に比べれば緩やかなものではあるが、企業は、依然として財務報告、
関連取引および川上・川下など主たる経営情報について真実かつ漏れなく開示しなければ
ならない。一般的に、企業情報を日常に機密に管理をしている外商投資企業としては、新
三板市場への登録の意向を固めるにあたり、自らの状況を踏まえて査定することが重要で
ある。
4/8
四、外商投資企業の新三板市場への登録とその主な制度
1.外資に関わる新三板市場の制度枠組み
国発[2013]49 号文書 1 条には、条件に合致する株式会社は、いずれも新三板市場に登
録して株式取引、資産再編などを行なうことができると規定されている。同文書はまた、
関連部門は中小・零細企業が新三板市場を利用して創造的な発展を遂げるための好ましい
制度・環境づくりをしなければならず、外資政策に関わる場合には、原則として、取引市
場および株式上場企業に関する規定に照らして取扱うと規定している。前述規定は、外商
投資企業による新三板市場への登録について、枠組み作りをし、位置づけをするものであ
る。新三板市場の具体的な制度について言えば、内容からみて、主として会社ガバナンス
と情報開示、登録、取引(協議譲渡など)、融資買収など幾つかのブロックに分けること
ができる。会社法や証券法等の上位法による規定の下、証券管理監督委員会、株式譲渡系
統公司などにより一連の規定、規則およびガイドラインが示されている。
外商投資企業が新三板市場に登録する場合も、外資企業法など外商投資に関する法律法
規を遵守しなければならない。株式有限会社のみが新三板市場に登録することができると
されているため、既存の外商投資企業は外商投資株式有限公司に再編する必要がある。
1995 年に公布され現在に至るまで効力を有している「外商投資株式有限公司の設立に関
する若干の問題に関する暫定規定」
(対外貿易経済合作部令 1995 年第 1 号。以下、
「暫定
規定」という)は新三板市場への登録に深く関連している。しかし、同法の施行は時期的
に早すぎたため、会社法や証券法等の上位法およびその関連規定が改正された際も、関連
する条文には調整が行なわれていない。したがって、実務上、同規定に従わずに関連再編
を行うケースが多い。
2.外商投資企業の新三板市場への登録条件
「全国中小企業株式譲渡システム業務規則(試行)
」(2013 年 12 月 30 日改正)などの
関連規定により、株式有限公司は登録にあたり、株主の所有制の性質による制限を受けな
い。ただし、6 項目の条件を満たさなければならないとされている。外商投資企業の一般
的な状況を踏まえ、以下の点について重点的に注目するとよい。
1) 法により設立され満 2 年間存続していること。商務部門が発行した設立認可文書を提
供すること。
2) 業務が明確で、経営能力を持続する能力があること。
3) 登録前においてコンプライアンスに則った経営をしており、株式などの帰属関係がは
っきりしていること。
4) 登録しようとする企業、支配株主、実質的な支配者および高級管理職員が直近 2 年以
内に重大な違法行為規定・違反行為をしていないこと。
5/8

主な条件は、上に述べたように、実務において、各仲介機関が企業の実情と関連
する登録基準を踏まえて、適格であるか否かを逐一検討することになる。
規定においては、企業経営業績に対する強制的な要求はないものの、実務におい
て、新三板市場への登録に必須とされる仲介機関である証券会社は、一般的に、
ある程度の業績に達することを求めるハードルを設けている。例えば、企業に対
し、年度収入または純利益がある一定基準に到達していること等を求めるケース
がある。しかし、その基準もまた、企業が属する業界の特徴や企業自身の実情を
踏まえて調整される。

3.新三板市場への登録の手順と注意すべき点
中国の外資企業法に基づいて設立された外商投資企業が、新三板市場への登録をしよう
とする場合、どのような手順を踏まなければならないか。どのような点に注意すべきか。
ここでは、一般的な例をとって以下の点から簡単に説明する。
事柄
注意すべき点
備考





1) 初期段階の
準備





2) 再編

6/8
登録の意向を確認する
コスト予想(時間コスト、
資金コスト、その他)
仲介機関の選定
仲介機関による初歩的調
査
登録条件に合致するかの
確認および初期査定
DD 調査
再編方案の制定(過去か
らの遺留問題の解決を含
む。買収合併や再編を必
要とするか等について)
再編方案の実施



登録に要する時間コスト:およそ
4 か月から 8 か月
仲介機関、証券取引会社、法律事
務所、会計士事務所、査定機関な
どに関わる
費用コスト:登録コストと登録後
の維持管理コストに分けられる
登録コストについて、各仲介機関
は、業務量に応じて査定を行な
う。株式譲渡系統公司は登録初期
費用を収受する。一般的に関連す
る費用総額はいずれも 100 万元以
上となる。一部の地域では、企業
による新三板市場への登録につ
いて様々な財政補助政策を実施
している。例えば、天津市南開区
には「南開区企業発展促進のため
の扶助資金政策」施行されてい
る。これらの政策を利用すれば企
業が新三板市場に登録する際の
資金コストを大幅に削減できる。
内部政策決定
仲介機関からの関連報告および
文書の発行
外商投資株式有限公司の商務審
査認可、工商部門での登録変更手
続きおよびその他全ての関連す
る証書類の変更手続き




3) 登録申請と
審査承認




4) 登録
公開譲渡説明書、法律意
見書など申請書 1 セット
への記入・作成
株式譲渡系統公司への書
類送付・報告
株式譲渡系統公司が提出
書類を受け取り、審査
株式譲渡系統公司からフ
ィードバックされた意見
をもとに見直す(もしあ
れば)
)
株式譲渡系統公司が登録
同意書を発行
登録申請にあたり、上に
述べた登録同意書を持っ
て関連する情報の開示手
続き、株式の初期登録手
続きなど登録時における
一連の手続きをする



株主数が 200 人未満の株式有限公
司の登録申請は、株式譲渡系統公
司による審査同意を得れば中国
証券監督管理委員会による承認
手続きは免除される。
株主数が 200 人を超える株式有
限公司の登録申請は、直接、中国
証券監督管理委員会の申請窓口
で申請する。審査認可を受けた
後、企業が株式譲渡系統公司に登
録書類を提出する。
株式譲渡系統公司は、提出された
書類の形式と内容について審査
する。
形式に対する審査とは、提出書類
に漏れがないかどうかについて
の審査。
内容に対する審査とは、主とし
て、登録条件と情報開示のコンプ
ライアンスと有効性について行
なわれる審査。審査完了後、審査
認可手続きを直接履行し、登録同
意書が発行される。
手続きに関係するのは株式譲渡
系統公司と中国証券登記決算有
限責任公司
外資株主が証券口座開設および
登録決算業務を行なう場合、中国
証券登録決算有限責任公司の関
連規定に基づいて取扱わなけれ
ばならない。
五、 外商投資企業の新三板市場への登録に関して注目すべき点
1) 再編について
新三板市場に登録する企業は株式有限公司でなければならない。したがって、既存
の企業にとっては、株式有限公司への再編が成功すれば、新三板市場への登録が半分
成功したようなものであるとも言える。実務において、既存の有限責任公司が株式有
限公司を設立させて「変更設立」という方式を採用して再編を実現している例が多い。
上に述べた外商投資企業の株式有限公司への再編という法律行為に最も関連するの
は暫定規定である。この暫定規定において、外資株式有限公司への再編については以
下のような制限条件が存在する。
7/8

第 2 条 :本規定にいう外商投資株式有限公司とは、本規定により設立され、……
中外株主が共同で会社株式を保有し、外国株主が購入・保有する株式が会社登録
資本金の 25%以上を占める企業法人を指す。
第 7 条 :株式有限公司の登録資本の下限は3000 万元とする。そのうち、外国株
主が購入・保有する株式は会社登録資本金の25%を下回ってはならない。
第 15 条:既に設立されている中外合弁経営企業、中外合作経営企業、外資企業が
株式有限公司への再編を申請する場合、直近 3 年連続の黒字記録がなければなら
ない。



上記の規定の基づき,統括的にいうと、外商投資企業の株式有限公司への再編には、
三つの条件を満たす必要がある。しかし、これらの制限条件は、
「会社法」などの上
位法が修正され、「外資に対する審査認可の改善に関する商務部の通知」(商資函
[2014]314 号)
、
「中外合弁経営などのタイプの企業が外商投資株式有限公司に転換す
ることに関する問題についての商務部弁公庁の書簡」(商弁資函[2014]516 号)など
の審査機関の関連規定が公布されたことによって、外商投資企業が株式有限公司への
再編に対して実質的な障碍とはならず、実務において、これらの条件を満たさない会
社が新三板市場への登録に成功している例も見られる。
2) 新三板市場への登録条件について
現地の外商投資企業と本国の中小企業を比べ、会社が登録条件に合致するか否かを検討
すると、外商投資企業は往々にしてある種の優勢を誇る。例えば、多くの外商投資企業は
日常的な管理の面で規範化が進んでおり、登録条件として示されているコンプライアンス
上の条件に合致しやすい。また、過去からの遺留問題も少ないという強みもある。しかし、
外商投資企業もまた、外商投資企業ならではの問題に直面するのも事実である。例えば、

現地の外商投資企業と国外の親会社の業務がかなり競合する場合、同業者間の競争問
題をどのように解決するか。

現地の外商投資企業の役割上の位置づけが親会社の業務へのサポート提供である場
合、現地の外商投資企業は技術上、原料の供給上、さらには顧客先でさえも、親会社
にかなり頼る状況が生じるが、登録しようとする会社の業務の独立性を如何にして解
決するか。

中国の現地法人に派遣された管理職員または従業員が、中国国外で管理職員または従
業員を兼ねる場合、登録しようとする会社の管理職員の独立性の問題を如何にして解
決するか。
現在の外商投資企業の中国国内での実際の経営状況を踏まえると、相当数の外商企業が
このような問題に直面すると考えられる。これらの問題は、具体的な状況に照らし、専門
機関のサポートを受けてその解決法案を探る必要がある。
以上のように、外商投資企業による新三板市場への登録については、法律規定の面では
障碍がない。外商投資企業は依然として外資企業法および一部の旧規定の適用を受けるた
め、商務部門での審査認可手続き上、国内資本企業よりも余分な手続きが必要となる。し
かし、会社法および証券法など関連する上位法の改正や、外資企業の登録件数が増えるに
従い、商務審査認可部門も今後審査認可手順を調整し、外商投資企業の新三板市場への登
録をし易くしてゆくものと思われる。したがって、そう遠くない将来、外商投資企業が中
国資本市場の力を借りて会社発展を図るというケースが益々増えていくであろう。
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