◎ 不可分債権、不可分債務 生前に D に建物を売却 D 被相続人乙 生前に D から建物を購入 A B C 相続人 A,B,C は D に対し建物を引き渡す不可分債務を負う。左向きの矢印の場 合は相続人 A,B,C は D に対し建物を引き渡させる不可分債権を取得する。 1. 性質上の不可分債権債務、不可分債務 給付の目的物を分割して給付することが不可能な債権、債務。 具体例 ・ 競業をしない債務、講演をする債務等「なす債務」の多くは、事実上の不可 分債務 ・ 共有地上に地役権を設定する債務は法律上の不可分債務 ・ 共同相続人の所有権移転登記義務 ・ 共同賃借人の賃料債務。 2. 意思表示による不可分債権、債務 当事者の合意により不可分債権、債務とされたものをいう。例えば、A,B,C が共同で 2000 バレルの石油を買うにあたって、輸送の都合上、分割債権としな い特約をした場合など。 3. 分割債権、債務への転化 不可分債権、債務が金銭の支払いのように可分なものに転じたときには、分割 債権、債務となる。例えば、家屋の引渡しを目的とする不可分債権、債務が、 債務者の過失による滅失(履行不能)によって損害賠償債権債務に転じた場合 などである。 4. 不可分債権の対外的効力 各債権者は単独で債務者に債権の全部の履行を請求することができ、また、債 務者は債権者のうちの一人に対して債務の全部を弁済することができる。 (1) 絶対的効力(総ての債務者に対して効力が生じる)の場合 ・ 履行の請求およびそれに伴う時効の中断、履行遅滞 ・ 弁済、弁済の提供、供託、相殺、受領遅滞 以上にあげた以外の事由は相対的効力が生じるのみである。 5. 不可分債権の内部関係 民法に明文規定は無いが、弁済を受けた債権者が他の債権者に持分の割合に 応じて分与すべきとされている。 6. 不可分債務の対外的効力 債権者と不可分債務者との関係については、連帯債務の規定が準用されるの で、債権者は各債務者に対して同時または順次に、全部または一部の履行を請 求することができる。 弁済に関する事項(弁済、弁済の提供、供託、相殺、受領遅滞)についてのみ 絶対効が生じる。その他は、すべて相対効である。 7. 他の不可分債務者に対して、内部的な負担割合に応じて求償できる。
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