新製品情報 詳細化学反応解析支援ソフトウェア CHEMKIN-PRO 新バージョンリリース Reaction Design社製 CHEMKIN-PRO は反応速度論にもとづく化学反応シミュレーションソフトウェアです。 この度、新バージョンとして 「CHEMKIN-PRO Release 15141」がリリースされました。今回のバージョンアップで は、燃焼反応に関する新しい反応器モデルとして、Spark Ignition Engine Zonal SimulatorとIgnition Progress Variableモデルが追加されました。また、新しいグラフ表示機能が加わり、出力される物性値が増えました。 本稿ではこれらの新機能を紹介します。 ■ 新しい反応器モデル ■ Spark Ignition Engine Zonal Simulator Spark Ignition Engine Zonal Simulator は、ガ ソリン こちらのモデルは CFD シミュレーションで用いられる、 IPV ライブラリーと呼ばれる表形式のテキストファイルを 出力します。この IPV ライブラリーには、さまざまな圧力、 エンジンに代表される火花点火機関における、燃焼室内 温度、当量比の条件下における、反応の進行に伴う化学 のガスの組成変化や温度、圧力の変化をシミュレーショ 種の組成変化や温度変化等の情報が記述されます。 ンする反応器モデルです。 これによって、あらかじめ想定した条件下で IPVライブラ こちらのモデルにおける燃焼室の様子を以下に説明し リーを作成しておけば、CFD シミュレーション時に化学反 ます。まず、このモデルでは、燃焼室は未燃ガスからなる 応の計算を行う代わりに、IPVライブラリーから情報を参照 ゾーンと既燃ガスからなるゾーンの2 つのゾーンから構成 することができ、計算負荷を軽減することができます。 されるとします。次に、圧縮、燃焼、膨張時の様子です ( 図 1)。燃焼前の圧縮時は未燃ガスのゾーンのみで、既燃ガス ■ 新しいグラフ表示機能 のゾーンは空の状態です。火花点火により燃焼が始まる 本 バージョンより新しいグラフ表 示 機 能「CHEMKIN と、未燃ガスのゾーンから火炎面を通して、反応物を含む Visualizer」が搭載されました ( 図 2)。より見やすく使い勝 ガスが既燃ガスのゾーンへ移動していきます。ゾーン間に 手の良いグラフ表示機能となります。 おけるガスの移動量は、一般的な経験則であるWiebe 関 数によって定められます。燃焼後の膨張時は既燃ガスの ゾーンのみとなり、未燃ガスのゾーンは空になります。 図2 CHEMKIN Visualizer な お、従 来 の グ ラ フ 表 示 機 能 で あ る 「CHEMKIN Graphical Post-Processor」も利用可能ですが、将来のリ リースでは終了する予定です。 図1 圧縮(上)、燃焼(中)、膨張(下)時の燃焼室の様子 以上のように火花点火機関の燃焼室をモデル化する 出力される物性値としてエントロピーが加わりました。 ことで、Spark Ignition Engine Zonal Simulatorでは、燃 さらに、Flame Simulator における混合 気の物性値とし 焼室内のガス組成変化や温度、圧力の変化をシミュレー て、熱伝導率、拡散係数、粘性、比熱比が新たに追加され ションすることができます。なお、このモデルでは、火花 ました。 点火のタイミングと燃焼の継続時間をユーザーがソフト ウェア上で設定することができます。 ■ Ignition Progress Variable(IPV)モデル IPV モ デル は、化 学 反 応 を 伴う 数 値 流 体 力 学 (CFD: Computational Fluid Dynamics) シミュレーションを支 援する反応器モデルです。 6 ■ 出力される物性値の追加
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