インターネット情報からのニュースショー自動生成放送 TV News Show Broadcast Generated Automatically from Data on the Internet 林 正樹† Masaki HAYASHI† 中嶋 正之‡† スティーブン・バチェルダー† Masayuki NAKAJIMA‡† Steven Bachelder† ‡ ゴットランド大学 東京工業大学世界文明センター † ‡ Gotland University Tokyo Institute of Technology, Center for the Study of World Civilizations † Abstract We propose an automatic news broadcasting system, which generates full-CG animated news-shows from original text formats from the Internet. This paper introduces the overall system and provides a feasibility test and working model of the news show application generated from a HTML Internet news site. We also describe the future collaboration work. 1. は じ め に スマートフォンを代表とするモバイル、ブロードバ ンドインターネット、タブレットコンピュータの普及 ルをベースとしたメディアやコンテンツのユビキタス 化の著しい成功と対照的である。そういう意味で、テ レビは現在、最後に残ったチャレンジとも言える。 など、メディアとコンテンツの姿は多様化している。 これまでのチャレンジでは、テレビ番組というコン 我々は、この状況の中で特に「テレビジョン」を取り テンツを中心として、それに対してインターネットコ 上げ、次世代のテレビシステムのあり方について検討 ン テ ン ツ や ソ ー シ ャ ル ネ ッ ト ワ ー ク 、 直 感 的 GUI な ど を続けてきた。 をうまく統合する、という方向性が大半であった。し テレビの一つのあり方としてこれまで我々は、テレ かしながら、その前提となるテレビコンテンツが従来 ビ番組をコンピュータで自動的に作って配信する「自 型のままではどうしても発展に限界がある。我々は、 動放送」について検討してきた。今回、特にテレビの そのテレビ番組コンテンツそのものに焦点を当て、そ 基本であるニュース番組にスポットを当て、これをす れを電子的に自動生成することによって一気に次世代 べて電子的に自動生成してユーザーに配信するシステ のテレビシステムへ飛躍しようとするものである。 ムを改めて提案する。方法としては、ニュースソース のテキストを受けて、これをコンピュータで解析し、 ニュースショー台本を自動生成し、それに基づきリア ル タ イ ム CG や 音 声 合 成 で ニ ュ ー ス シ ョ ー を 丸 ご と 電 子的に自動生成し、配信する。 3. 自 動 ニ ュ ー ス 番 組 生 成 ・ 配 信 シ ス テ ム 今回は、特にニュース番組に焦点を当て、これを電 子的に自動生成し配信するシステムを提案する。 図 1 に、提案システムの構成図を示す。入力はニュ 本稿では、以上のニュース番組自動生成・配信シス ース原稿、取材映像などのニュースソースである。こ テムに至る背景、そしてその概要、さらに実際にニュ れらはコンピュータで解析され、アナウンサーがしゃ ース番組を自動生成する実験を紹介し、最後に、この べる読み原稿の生成や、取材映像の適切な自動編集、 生成・配信システムの実現における課題について述べ さらに演出の一つとしてたとえば画面に出すスーパー る。 インポーズによるキャプションの自動抽出などを行う。 2. 背 景 従来型の大型メディアのひとつであるテレビは、テ レビ産業が巨大であるがゆえか、なかなかその体質が 変わらない。これまでインターネット上のソーシャル ネ ッ ト ワ ー ク と テ レ ビ を 結 び つ け る 試 み [1] な ど が 多 く な さ れ て い る 。さ ら に 、昨 今 、Apple 、Google、Samsung Ar t i cl e : パ リ “自 由 の 女 神 像 ”を 美 術館に移設 Ma i n bo d y: フ ランス革命1 00年を記念 して作られ、 パリの公園に 置かれていた 「自由の女神 像」が傷みが 激しくなった ため修復され、 2日、オルセ ー美術館でお 披露目されま し た 。 .. . な ど か ら 相 次 い で ス マ ー ト TV と い う コ ン セ プ ト で 次 ア ナ ラ イ ザ | こんにちは、 ロイターニ ュースです。 あのパリの 自由の女神 が美術館に 移設されま した。 フランス革 命 10 0 年 を 記 .. . . . 読み原稿 編集映像 世代のテレビが発表されたが、そのいずれも、いまだ に華々しい成功に至っていないのが現状である。次世 代のテレビに関する試みは、インターネットとモバイ .. . . .. ニュースソース アートワーク (o p e ni n g mo v i e) su p e ru p p e ri g h t: lo g o .g i f an n ou n ce r : Ca t h y se t : ne w s sh o w #1 (c a m er a cl o s eu p ) こんにち は 、ロ イ タ ーニュー スです。 di s p la y : a 15 2 3 4. j p g (w a i t) あのパリ の自由の 女神が美 術館に移 設されま し た .. . ビ ジ ュ ア ラ イ フ ル CG ザ ニュース番組 | ニュース台本 図 1. 自 動 ニ ュ ー ス 番 組 生 成 の 構 成 図 これらの結果をいったんニュース台本の形式としてま スを合成音で読み上 と め る 。 そ の 後 、 こ の 台 本 を 元 に 、 リ ア ル タ イ ム CG げ る だ け で は な く 、ニ で作られたニュースキャスターを音声合成でしゃべら ュースショーとして せ、さらに映像挿入などの演出を加えてニュースアニ 演出と共に提供して メーションを自動生成する。 く れ る こ と で 、リ ラ ッ 一 方 、配 信 の 方 法 に は 、(1)ム ー ビ ー と し て 配 信 す る 、 ク ス し て 見 ら れ る 、と (2)台 本 と 素 材 を 配 信 し て ユ ー ザ ー 側 で 映 像 化 す る 、(3) いった感想が多かっ 映像化の仕組みをクラウド側に置きストリーミングで た 。5 つ 並 ん だ ボ タ ン ユーザー側に配信する、といった方法が考えられる。 に「 今 さ ら チ ャ ン ネ ル 次 に 述 べ る 対 話 性 を 考 慮 す る と (2)と (3)が 適 し て お り 、 な の か 」と い う 批 判 や 、 最 終 的 に は (3)に 収 斂 し て 行 く で あ ろ う 。 対話モードでは文字 以上に加え、我々はニュース番組にインタラクティ 打ち込みじゃなく ブ性とインテリジェント性を持たせることも考えて行 て音声認識になら く 。ユ ー ザ ー が CG ニ ュ ー ス キ ャ ス タ ー と 直 接 対 話 し て ないのか、など様々 見たいニュース番組をその場で生成して見たり、ニュ な意見やアイデアが寄せられた。そうした新しいメデ ースの意味内容を自動検出してそれに応じた演出スタ ィアデザインに関する刺激を生み出すことこそ、 この イルで見せるなど、ニュース番組のコンテンツそのも 実験アプリケーションの狙いだったので、成功と言っ のをインタラクティブでインテリジェントなものにす てよいと思う。 図 2. 実 験 ア プ リ の 画 面 る 。こ れ に よ っ て 、現 状 の ス マ ー ト TV で ネ ッ ク と な っ ていたコンテンツそのものが旧態のテレビ番組である、 という限界を突破することを試みたい。 5. お わ り に ニュース番組をターゲットとし、これを電子的に自 動 的 に 生 成 し 、 フ ル CG に よ る ニ ュ ー ス 番 組 を 生 成 し 、 4. 実 験 ア プ リ ケ ー シ ョ ン これをニュース生成・配信システムとして構築する提 実際に撮影して編集してテレビ番組を制作する代わ 案と実験について述べた。本システムの実現には、ニ り に 、CG な ど を 使 っ て 番 組 を コ ン ピ ュ ー タ で 作 り 出 す ュースソースからの意味抽出、台本生成における自然 研 究 [2]は 古 く か ら 行 わ れ て お り 、テ キ ス ト 台 本 か ら 自 言 語 処 理 技 術 、CG や ニ ュ ー ス 演 出 に お け る デ ザ イ ン ワ 動 生 成 す る T2V (Text-To-Vision)[3] な ど の 例 が 上 げ ーク、多言語の音声合成技術、インタラクションを実 ら れ る 。 今 回 、 こ の T2V 技 術 を 使 っ た 簡 単 な ニ ュ ー ス 現するゲームデザイン技術など、多くの技術の集積 が 番組自動生成アプリケーションを作成し て実験を行っ 必要である。逆にそれらの研究分野における研究成果 たので紹介する。 を、一つの大きなプロジェクトで現実の世界で役立た 図 2 に試作したアプリケーションを示す。ニュース せるチャンスでもある。 表示ウィンドウと、チャンネル選択ボタンと、対話用 今後は、複数の国からなる研究グループ の立ち上げ テキスト入力窓を持っている。ニュースソースとし て を行うと共に、将来計画の策定、詳細な技術的検討、 NHK オ ン ラ イ ン ニ ュ ー ス や Reuters の Web サ イ ト を 利 加えて、ニュースソースとの提携などのメディア的な 用しており、チャンネルボタンで切り替える。アプリ 問題を解決するべく活動する予定である。 ケ ー シ ョ ン は Web サ イ ト の HTML を 取 得 し 、こ れ を 解 析 文 し 、 ニ ュ ー ス 記 事 の タ イ ト ル と 本 文 と JPEG イ メ ー ジ 、 日時、カテゴリなどを取得する。以上をテキスト処理 し 、い っ た ん ニ ュ ー ス 台 本 形 式 に 自 動 変 換 し 、こ れ に 、 CG ア ナ ウ ン サ ー や ニ ュ ー ス セ ッ ト 、効 果 音 な ど を 加 え た 演 出 を 適 用 し T2V 台 本 に 変 換 す る 。 最 後 に こ の T2V 台 本 が T2V 再 生 エ ン ジ ン に よ っ て 再 生 さ れ リ ア ル タ イ ム CG と 音 声 合 成 に よ る フ ル CG ニ ュ ー ス 映 像 が 得 ら れ 献 [1] 浜 口 , 米 倉 :“ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア に よ る 視 聴 行 動 の 新 潮 流 ~ 大 規 模 ソ ー シ ャ ル テ レ ビ 実 験 teleda の 分 析 結 果 か ら ~ ”, 映 像 情 報 メ デ ィ ア 学 会 誌 , vol.66, no.4, pp.244-247(2012) [2] 道 家 、 林 、 牧 野 : “TVML を 用 い た 番 組 情 報 か ら の ニ ュ ー ス 番 組 自 動 生 成 ”, 映 像 情 報 メ デ ィ ア 学 会 誌 , No.7, pp.1097-1103 (2000) [3] T2V ホ ー ム ペ ー ジ : http://t2vlab.jp る 。 T2V は 多 言 語 な の で 、 英 語 を 始 め 多 く の 言 語 に 対 応できる。また、キーを押すことでニュース番組に割 り込んで対話モードに入りアナウンサーキャラクタと Gotland University, Department of Game Design 対話することができる。 SE - 621 67 Visby, Sweden 実験の結果だが、なかなか快適であり、単にニュー TEL.090-9235-8536 E-mail: [email protected]
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