NHK/WIMAアンケート調査 「被災者1万人の声」から見えてきた現状

NHK/WIMAアンケート調査
「被災者1万人の声」から
見えてきた現状
早稲田大学人間科学学術院 准教授
早稲田大学災害復興医療人類学研究所 所長
辻内琢也
Photo ©T.TSUJIUCHI
NHKスペシャル
2015年3月8日(日)
放送
共同調査:
早稲田大学災害復興医療人類学研究所
早稲田大学人間科学学術院
震災から4年。一人一人の暮らしの復興は進んでいるのか、1万人規模のアンケートを実施した。
すると、4年たっても生活の厳しさが改善していないこと、仮設住宅での暮らしが住民を追いつめているこ
と、心が突然折れる人が出ていることなど、深刻な悩みが見えてきた。
どうしたら「暮らしの再建」を進めることができるのか。現場のルポに加え、アンケートのデータや自由記
述欄を丹念に読み解きながら、具体的な方策を考える。
調査対象と方法:
東日本大震災にて被災し、仮設住宅等で避難生活を送る人びとのうち、自治体
の協力が得られた市町村。広報誌挟み込み・自治会経由・ポスティング。
岩手県
計
12,187
宮城県
計
27,271
福島県
計
16,686
釜石市
2,910
石巻市
8,969
楢葉町
3,576
陸前高田市
1,939
仙台市
8,018
いわき市
3,250
大船渡市
1,836
気仙沼市
2,640
双葉町
3,200
山田町
1,796
女川町
1,950
広野町
2,325
大槌町
1,651
南三陸町
1,660
郡山市
1,650
宮古市
1,459
東松島市
1,165
福島市
1,500
岩泉町
200
多賀城市
1,087
相馬市
625
野田村
179
山元町
615
葛尾村
560
紫波町
100
塩竃町
513
住田町
80
七ヶ浜町
340
久慈市
31
岩沼町
268
洋野町
6
美里町
46
回収数(回収率)
◆全体:11,377
(20.3%)
■岩手県:2,567
(21.1%)
■宮城県:5,612
(20.6%)
■福島県:2,862
(17.2%)
(数字は人数)
調査項目:
 1.被災状況
 2.生活・経済状況
 3.就労状況
 4.住宅環境
 5.健康状態・生活習慣
 6.放射線について
 7.補償賠償について
 8.家族状況
 9.こころとストレスの状態
 10.子どもの状況
 11.情報や地域とのつながり
 12.自由回答・みなさまの声
現在の経済状況
・
住まいについて
阪神・淡路大震災と比較した復興の遅れ
◆阪神・淡路大震
災では、震災4年後
の仮設住宅入居者
は約10%まで減
少していた。
◆東日本大震災で
は震災後4年、いま
だに70%が仮設
住宅住まい。
◆仮設住宅がなく
なるのは震災8年後
の見込み。
経済状況:世帯収入の減少
◆震災後に収
入が減った人
=42%
震災前後の世帯収入:
◆200万円
未満の収入:
震災前22%
↓
震災後38%
売り上げの回復状況(グループ補助金交付先,NHK)
健康状態の悪化:
持病が悪化した人=35% 震災後新たな病気にかかった人=40%
(高血圧・高脂血症・糖尿病・精神疾患・心臓病・腎臓病・など)
「震災直後、とにかく頑張らないと、という気持ちでいました。少しずつ、自分
の環境が変わり初め、先がなかなか見えないが、続くと心と頭と体がバラつきは
じめて3年がすぎた頃から、落ち込みが激しくなり寝れない、やる気ない、涙が
出る、自分が消えていなくなりたい…等マイナス面がすごい。」
住宅:全壊(津波)
災害危険区域
現在、仮設住宅くらし
住宅・周りの環境:多少不満
震災前夫と2人暮らし
現在:夫とは仕事のため別居
生活費:心配あり
経済状況:少し困っている
ローン・借金:あり
自営業、サービス業
岩手県大船渡市
40代女性
体調の心配:あり
アルコール:週5-6日
運動:ほとんどしない
CES-D:31点(高いうつ状態)
IES-R:45点(PTSD可能性大)
抑うつ状態&影響を与えている要因:
人間関係・コミュニティの再生
社会経済の復興
生活経済状況の改善
こころの復興
健康問題への対応
住宅環境の改善
人間の復興