事例の概要 この事例の登場人物、施設名等の名称はすべて仮称です

事例の概要
この事例の登場人物、施設名等の名称はすべて仮称です。
福祉 太郎
さん
記入者 支援センターひまわり
事例タイトル
相談支援専門員
和歌山
健太
一般企業で不当な扱いを受け、労働を課せられたことが原因で退職し、自信を無くした後、初めて福
祉サービスを利用しながら地域で生活する事例
相談経過の要約
普通学校を(義務教育を終了後)卒業し、中学校の担任教師の勧めもあり、地元の会社に就職するが、
約 15 年間在職するも、不当な扱い、労働を強いられる。
家族は地域が狭いことを気にされ、雇用主との関係性を意識するあまり、訴える事もせず、不当な労
働を黙認していたが、叔母が家族を説得し、相談事業所への初めての相談となる。
退職に至るまで、各関係機関による打ち合わせを何度となく行い、雇用主との協議も度々行った。
労働基準監督署等の協力も得たことにより雇用主との協議も終わり、無事、書面での退職手続きが交
わされ、この機会に退職することが出来た。
辞める事が決まった後も本人は度々出勤し、働かされることもあった。(断りきれない、といった性
格も見受けられた。)また、自分の意思をうまく伝えられない、強く頼まれると断れない、不当な扱
いを受けても家族に伝えない等の傾向がある事もわかった。
家族は、今回会社を退職できたので、将来の事も考え、退職後は少しのんびり過ごして欲しいと希望
している。ただ将来的には一般企業での就職をしてほしいという希望を持たれている。
本人は、
「これまで旅行に行った事がないので行ってみたい。少し落ち着いてから次の事を考えたい。、
就職については、今は考えたくない。失敗するのが恐いので少しずつ進んで行きたい。」と希望を話
されていた。
本人、家族の意向も確認でき、就労継続支援 B 型事業の見学も早速行い、相談支援が開始された。
年齢・性別・家族
年齢(30歳)
・性別(
構成・家族状況・
家族構成
現在の居住歴
父:数年前に死去。
男
)
A 町で生まれて以来家族と生活してきた。
現在の実家は、3人暮らし。
母:無職。
(介護保険利用中)単独での行動は不可のため、買い物は次男である本人に任せている。
兄:大阪在住。
弟:精神科病院入院。
手帳・区分
療育手帳
B1
障害支援区分
生活歴及び病歴
/
なし
精神遅滞
※30 歳で療育手帳を取得。
IQ46(精神年齢
8 歳 2 ヶ月)
〔生活歴〕
A 町で生まれ育つ。小中学校は普通校に通学。難しい内容や文字の理解は困難である。ただ、口頭で
の質問には答える事が出来る。
友達と呼べる人は居なかったとのこと。
中学校卒業後、学校の担任の先生の紹介で就職する。
16 歳の頃に原付免許の試験を受けるも、文字の読み書きが理解できず、試験に落ちる。
本人は寡黙で愚痴も言わず、約 15 年間休まず仕事に行き働いた。
ただ、社会との接点が少なく、社会経験は乏しい。
〔病歴〕
大病の経験はなく、病院等への通院もしておらず、服薬も行っていない。
経済状況
障害年金
2級
(手帳申請と同時に申請)
※家庭の収入面での経済状況は比較的安定している。
(亡くなった父の遺族年金)
相談に至る経緯
現在の仕事を辞めて、新たに支援を受けながらスタートしたいという意向
望んでいる暮らし
本人は、「退職した後、少しの間はゆっくり過ごしたい。それから少しずつ活動し、将来的には一般
企業での就職を目指したい。
」との希望。
原付の免許も取りたいし、旅行にも行ってみたい。
もし今度就職するなら、考える仕事ではなく、身体を動かす仕事をしてみたいとも話されていた。
ただ、今すぐに就職に向けて動き出すことは考えていない。
本人の状況と最近
仕事を退職する事が出来、気持ちが落ち着いた様子。今後は作業所での活動が楽しみになっている。
の様子
金銭面では母が管理して手渡しているため、家計簿的にはずさんな状態であり、金銭管理が出来てい
るというような状態ではない。
夜間の徘徊が頻繁にみられる。
(自転車使用)
その他
「元の雇用主から連絡が来たら、どうしよう。
」という不安を感じている。
公共交通機関は、電車は 1 時間に 1 本での運行、バスは 1 日に数本しか運行しておらず、活用するに
は時間に制限が生じる。
2
アセスメント票
記録:相談支援センターひまわり
相談日時
氏名等
和歌山
健太
平成27年10月1日
福祉太郎
氏、30歳、男性、精神遅滞
身長157㎝
心身の状況
相談支援専門員
体重60kg
特に問題ない。本人は最近肥満体型になってきたのを気にしている。
現在は落ち着いているが、元の職場から連絡が来るかもしれないと不安になっている様子も
精神面
伺える。
の状況
頼まれると断れない、自分の意思を伝えられない等、サポートが必要な状況である。
ADL はほぼ自立している。
生活の
基本的には母が管理しているが、本人としては金銭管理は出来ているとは言えず、無駄な買い物
自立度
も多く見受けられる。状況としては、買い物を本人に頼む際にお金を渡すため、本人のお金(お
小遣い)と混ざってしまっている状態。
今まで福祉サービスを利用したことがないので、初めは戸惑うことがあると思われる。また、自
気持ちの
自立度
服薬状況
分でなんとかしようと生きてきた方なので、上手く他人に相談することに慣れていない様子。
なし
<収入面>
障害年金 2 級
経済状況
/
遺族年金
<支出面>
欲しいものがあると買ってしまうと言う、浪費する一面もある。
・ホームセンターで農機具を見るのが好き。また部品等を購入する事もある。
趣
味
キーパーソン
・釣り
叔母
※母、本人の 2 人暮らし
父:数年前に死去。
母:無職。
(介護保険/デイサービス/日常生活自立支援事業(金銭管理)を利用中)単独での行動は不可の
家
族
ため、買い物は次男である本人に任せている。
(母はデイサービス利用時に、社会福祉協議会で生活費を受け取り持ち帰っている)
兄:大阪在住。
弟:精神科病院入院。
義務教育終了後、一般企業での就労を約 15 年間継続する。休むこともなく、1 日 8 時間以上の
労働をする日もあったとのこと。
作業能力的には手先も器用であり、長い時間の労働にも耐えられる精神力もあり、高い評価を得
就労
ている。ただ、分からない事や困ったことがあった時に助けを求める事が出来ないため、コミュ
ニケーション能力には課題がある。移動手段は主に自転車を利用しており、就労に際しての通勤
手段が限られている。また公共交通機関を利用した事が無く、遠方への通勤は不安がある。
3