臨床工学技士:岩下 - 池田バスキュラーアクセス 透析・内科クリニック

当院で留置カテーテルにて在宅血液透析導入
を行った症例の管理方法
医療法人 信心会 池田バスキュラーアクセス透析・内科
岩下 廉史
森藤 祐美
平口 美知子
安田 透
池田 潔
背景と目的
1) HHDを、開始する患者にとって、自己穿刺とそれに伴う疼痛は、
ストレスを感じる手技である。また、シャントによる心負荷も患
者の生命予後に関連する因子である。
2) 当院では、留置カテーテル患者が4名在席している。4年以上留置し
ている患者が3名で、カテーテルトラブルは4年間で3回と、きわめて良
好に管理されている。この実績を踏まえ、当院では留置カテーテルで
のHHD導入も管理によって可能であるとして試みている。
3) 当院のHHD留置カテーテルの管理方法を報告します。
留置カテーテル実績 2015年5月末
性別
外
来
維
持
透
析
H
H
D
透
析
血液透析導入
透析歴
留置カテーテル挿入年月 留置カテーテル挿入期間 留置カテーテルトラブル歴
1
女
2010年12月
4年5ヶ月
2010年12月
4年5ヶ月
2012年9月 血栓除去
2015年5月 血栓除去
2
女
2011年3月
4年2ヶ月
2011年3月
4年2ヶ月
2014年12月 留置カテーテル
閉塞により 入れ替え
3
女
2000年8月
14年9ヶ月
2011年3月
4年2ヶ月
なし
4
男
2012年2月
3年3ヶ月
2015年1月
4ヶ月
なし
5
男
2015年4月
1ヶ月
2015年4月
1ヶ月
なし
6
男
2008年10月
6年7ヶ月
2014年12月
5ヶ月
なし
7
男
2012年3月
3年2ヶ月
2015年3月
2ヶ月
なし
留置カテーテル感染対策・管理法
1)
接続部
2)
出口部
3)
出口部発赤時(皮膚炎が疑われる場合)
1)接続部
• 血液回路接続などは基本、
患者本人で行う。
• 週1回接続回数制限により
留置カテーテル先端の血
液回路との接続部(閉鎖式
ルアーアクセスサイト)の交
閉鎖式ルアーアクセスサイト
換を行う。
2)出口部
バイオパッチ
• 週1回出口部処置を行う。但
し、ドレッシングフィルムの剥
がれや、大量の発汗時は処
置を行う。(出口部の開封は
最小限に留める)
• 出口部処置時は2人(本人・
介助者)で行う。
• 週1回出口部の写真を当院に
送信する。
• ドレッシングフィルム使用によ
りカテーテル部にテープ付着
がある場合、清拭して清潔に
する
3)出口部発赤時(皮膚炎が疑われる場合)
• ゲンタシン塗布
• 滅菌ガーゼで固定
• ドレッシングフィルム
にて保護
留置カテーテル状況写真
処置時
処置後
普段時
入浴時
HHD留置カテーテル管理方法
• 日機装社製の在宅支援システムでの管理方法
• 静脈圧や脱血具合状況をレポートから把握
• 患者からのコ治療中のメント情報でその他を把握
• 留置カテーテルの出口部観察を写真にて把握
• PLANEX社製のスマカメ(WEBカメラ)での管理方法
• トラブル時にスタッフが透析装置モニタの確認を行う事で、スムー
ズに対応出来る
在宅支援システム
レポート
【透析記録】
• 治療条件の把握
ID 000000000001 氏名
透析回数
開始時刻
• 治療時間・除水の把握
終了時刻
実績時間
実績除水量(L)
03:00
14:29
17:36
03:07
1.77
• 静脈圧・脱血状況の把握
• その他コメント
14:44 コネクター交換、接続し透析開始しました。
14:45 脱血、静脈圧、問題なし。
14:46 カテーテル処置施行。出口部発赤なし。皮膚トラブルなし。
14:47 透析中、問題なし。
14:44 コネクター交換、接続し透析開始しました。
14:45 脱血、静脈圧、問題なし。
14:46 カテーテル処置施行。出口部発赤なし。皮膚トラブルなし。
14:47 透析中、問題なし。
メ
モ
75.50 kg
透 析 日 2015//
ダイアライザ FDX-210GW
予定時間
D W
歳
回
抗凝固剤
ヘパリン
初回注入
持続注入
持続総量
CTR (%)
前回体重(kg)A
2000.02
1500.01
4500.04
47.4
前体重(kg) B
増減(kg) B-A
後体重(kg) C
前後差(kg)B-C
76.20
77.00
0.80
75.50
1.50
前血圧・脈拍
117 / 39 / 90 ( 76 )
後血圧・脈拍
107 / 65 / 69 ( 59 )
穿 刺 者
在宅支援システム
写真
• 週1回訪問看護師が訪問し、
留置カテーテル部の処置を行
う
• 留置カテーテル出口部の証
拠写真を撮影し、当院に送信
する
• 医師・スタッフが出口部の写
真確認を行う
スマカメ(WEBカメラ)
どの端末からでも使用可能
※透析装置に設置
(邪魔にならない所)
スマカメと使用端末
から無料アプリを取
得し、Wi-Fi接続する
無料アプリ
HHD留置カテーテルでのメリット
• 自己穿刺などのストレスもなく、毎回治療を行える事が患
者のQOL向上に繋がる
• シャントが存在しない為、心負荷がない
• 穿刺がないので、シャントの形態変化もない
• VAIVT治療が無くなる
• 自己穿刺困難患者でも行える
• 容易に連日治療が行える
• 治療中両手が自由
• 自己穿刺がないので、トレーニングの短縮が可能になる
HHD留置カテーテルでのデメリット
• 前胸部からの留置カテーテルが存在する
• 出口部の管理がとても重要
• 回路接続手技により若干の血液破棄(約10ml/毎
回)がある
• 留置カテーテルが長期になることで、留置カテーテ
ルの劣化や詰まりで再挿入が考えられる
留置カテーテルHHD患者 比較
1例目
2例目
自宅と病院の距離
車 15分
車 1時間30分
訪問看護利用
有
無
診察
1回/月
2回/月
カテーテル出口部管理 ・自宅で週1回看護師が管理
問題点
特になし
・自宅で週1回本人・介助者で管理
・当院で隔週管理
自宅が遠方なので当院の訪問看護
が利用出来ない
結果
• HHDを留置カテーテルで行うことで自己穿刺のス
トレスなどもなく行える
• 出口部の状況なども毎週写真で管理しているので
早期異常などの対応も可能となる
まとめ
1) 留置カテーテルによるHHD治療を開始した。
2) 出口部・接続部を管理する事で、在宅血液透析
においても維持通院透析同様に管理できる体制
を整えることが重要であると考えられた。
御清聴ありがとうございます