台湾税務および投資法令アップデート

台湾税務および投資法令アップデート
2015年11月
所得税法
改正労働基準法第56条第2項により営利事業者が労働者退職準備金を積
み立てる際の損金算入に関する財政部の解釈通達
2015年2月4日に改正された労働基準法第56条第2項によると、営利事業者は毎年年度終了前に、
労働者退職準備金の専用口座の金額を見積り、その金額が翌年度に同法第53条または第54条
第1項第1号の退職条件を満たす従業員に支払うには不足している場合、翌年度の3月末以前に
一括でその差額を積み立てなければならないことが定められています。
上記の退職金積立額が営利事業者の損金算入できる上限を超過する場合について、財政部は
2015年11月10日に台財税字第10400608350号通達を発し、当該規定により積み立てた退職金
は、積み立てた年度に全額損金算入できるとの解釈を示し、従来規定よりも損金算入枠が拡大
されました。
会社法
従業員報酬および役員賞与の法令適用に関する疑義について
会社法第235条の1が2015年5月2日に総統により公布され発効したことにより、従業員報酬は
利益配当項目でなくなり、会社は定款規定を改正し、分配の一定額または比率を定款に明記し
なければならないこととなりました。これに伴い、経済部は2015年6月11日および2015年10
月15日に経商字第10402413890号通達および経商字第10402427800号通達を順次公布し、関
連する疑義に対し説明しています。その要点についてまとめると以下の通りとなります。
一、従業員報酬と役員賞与との比較
項目別
適用法令
従業員報酬
役員賞与
会社法第 235 条の 1:
1. 2015.6.11 付通達による説明:
会社は、定款に当年度の利益獲得
状況に対する一定額または比率で
五、
(中略)ただし、会社は定款
に利益獲得状況に対する一定額
従業員報酬を分配することを規定
しなければならない。
または比率で役員賞与を分配す
ることを依然規定することがで
きる。
2. 上記 2015.10.15 付通達による
説明:
定款に役員賞与について明確に
規定されていない場合は、会社
は役員賞与を分配しないとみな
1
項目別
従業員報酬
役員賞与
される。株主総会の決議をもっ
てこれを代替することはできな
い。
定款の制定方法
上記 2015.6.11 付通達によれば、3 上記 2015.10.15 付通達によれば、
(比率を採用する
場合)
つの方法から 1 つを選ぶことがで 「上限」のみ設けることができる
きる。
(たとえば、1%以下または 1%を上
(1) 一定額(たとえば、2%)
回らない)。
(2) 一定の範囲(たとえば、2% 2015.10.15 までに定款の変更登記
から 10%まで)
が完了した会社はこの限りではな
(3) 下限(たとえば、1%以上、 い。
2%を下回らない)
1. 三分の二以上の取締役が出席 三分の二以上の取締役が出席し、
し、出席取締役の過半数の同意 出席取締役の過半数の同意をもっ
決議方法
をもって決議してから、株主総 て決議を行う。
会に報告する。
(通達の趣旨によれば、役員賞与の
2. 定款で上記を上回る割合の取 分配は従業員報酬と同様に株主総
締役会の議決定足数を定める 会で報告しなければならないと考
ことはできない。
えられる)。
1. 株式または現金により行う。
分配方法
現 金のみ により 行うこと がで き
2. 取締役会の特別決議により行 る。
われる。定款の規定で現金での
み分配できると限定すること
はできない。
二、分配時点
(一)すでに 2015 年度の定時株主総会で定款変更が承認されている場合
新株発行により従業員報酬を分配する予定で、かつ株主総会において定款を変更し
授権資本金額を引き上げる決議が必要な場合を除き、従業員報酬および役員賞与の
分配は、取締役会の特別決議により行うことができ、2016 年度の株主総会でこれ
を報告を行うだけでよいということになります。
(二)2016 年度の定時株主総会で定款変更が承認される場合
株主総会で定款変更が承認されてから分配することになります。留意すべき点につ
いては下記の通りです。
1.定時株主総会での議案の順序
(1)討論事項:定款変更の件
(2)報告事項:2015 年度従業員報酬分配(新定款による)に関する報告の件
2.新株発行により従業員報酬を分配する予定で、かつ定款を変更し増資を行う場合
株主総会が開かれる前の取締役会において「株主総会の同意をもって定款を変更
2
し増資が行われる場合は新株発行により従業員報酬を分配することができる。そ
れ以外の場合は、現金により行うものとする」という条件付の決議を行うことが
できます。
注:給与報酬委員会の設置が義務付けられている上場(店頭公開)会社および新興株
式市場登録会社については、給与報酬委員会より下記事項が提案されてから、取締
役会に付議します。
1. 定款に定められている従業員報酬および役員賞与の一定額または比率の変更。
(定款変更が承認されたがまだ給与報酬委員会の同意を得ていない場合、2016
年第 1 四半期末までに給与報酬委員会の事後承認を得る、あるいは再提案し、
これを討議しなければならない。)
2. 当年度の役員賞与の比率、総額および経理人の給与報酬。
(職権行使規定第 7 条による。)
時系列にすると以下の通りとなります。
2015 年
2016 年 3 月
2016 年
12 月 31 日
2016 年 6 月
3 月~5 月 15 日
給与報酬委
取締役会で財務諸
定時株主総会
すでに定款
員会で事後
表が承認されれ
で報告
を変更した
承認
ば、ただちに現金
場合
または株式を配当
できる
給与報酬委
取締役会が財務諸
定時株主総会
まだ定款を
員会で決議
表を承認してか
で定款を変更
変更してい
1. 修正すべ
ら、分配する現金
き定款条
または株式、ある
文の提案
いは条件付き新株
2. 当年度の
発行( 授権資本金
ない場合
報酬
額の引き上げによ
る) について提案
する
3
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