第 10 回 健育会グループ チーム医療症例検討会 in 熱川 演 題 名 「家さ帰りてぇ!」 施 設 名 介護老人保健施設 しおん 発 表 者 ○伊藤麻美(介護福祉士 野村常也 常也(ケアワーカー ○伊藤麻美(介護福祉士) 福祉士) 野村 常也(ケアワーカー) (ケアワーカー) 岩渕信子(看護師) 佐藤祐一(理学療法士) 阿部里恵(介護支援専門員) 阿部里恵(介護支援専門員) 概 要 【はじめに】 H24 年 4 月に開設した介護老人保健施設しおん。 介護未経験の職員や年齢の若い職員の割合が多いユ ニット環境で、ご利用者のニーズを把握し、そのニ ーズである在宅復帰に向けユニット・リハビリ科・ 看護師・栄養科などと連携する。今回は本人の隠れ たニーズであった在宅復帰を表出化し、在宅復帰に 向けたリハビリに対しての意欲向上を念頭に行った 取り組みを報告する。 【症例紹介】 K様 85 歳 要介護 4 既往歴 脳梗塞(右片麻痺、失語、構音障害) 高血圧症、めまい症、胆石症、白内障 H24 年 11 月脳梗塞発症にて入院。入院中に再発 し右片麻痺が重度化。退院後、H25 年 5 月当施設 入所となる。 【ケア計画】 <目標> ・身体機能・能力の向上 ・健康管理・異常の早期発見 ・施設の生活に慣れる <介護> ・食事時の見守り・声掛け ・離床時間の拡大、余暇活動への参加誘導・援助 <看護> ・体調管理・服薬管理・起立性めまいに注意 <リハビリ> ・基本動作訓練 ・両下肢の筋力強化訓練 ・歩行訓練 <ご家族の意向> 在宅復帰を視野に入れたリハビリ、またそのリハ ビリを行うにあたっての意欲向上 【経過】 入所当初は、入院中と同じようにほぼ臥床してい る状態で、食事のために離床してもすぐに体の痛み を訴え感情失禁をする事も多くあった。また、日々 の生活に悲観的な言葉も多く、レクリエーションな どの参加を拒否するような状態であった。このよう な状態から、生活に少しずつ慣れていただき職員と の会話を増やしていく中で、隠れていたニーズであ る「自分の家に帰り生活したい」を発見する。 そこから、まずは在宅復帰をする上で家族の希望 であるトイレでの排泄について支援する。毎日のレ クリエーションにて離床時間を増やし、やる気・興 味・体力を向上させトイレ動作の練習へと移行して いく。 【結果】 ・離床時間の拡大も伴う体力の向上。 ・離床時の体の痛みを訴えることが少なくなる。 ・離床時間が増えたことで、職員との会話も増え、 やる気・興味・積極性が増大した。また他ご利用者 ともコミュニケーションをとり、自助・共助が芽生 えた。 ・トイレ動作を行う上での基礎ができたため、在宅 復帰に向けたトイレ動作の練習を実施している。 【考察】 毎日のように感情失禁をし、塞ぎこんでいた方が、 本来の姿である笑顔の多い姿に戻り、本人の気持ち を引き出すことができた。これを実現することがで きたのは、どの施設でも「当たり前」に行っている 日々の会話といったコミュニケーションやレクリエ ーションである。しかし、その「当たり前」一つ一 つを大切にし、積み重ねることで、本人の意欲向上 と安心・信頼される介護サービスへ繋がった。こう いった「当たり前」、つまり基本を大切にすること が重要であることを改めて実感することができた。 これからも個々の様々なニーズをもったご利用者 と関わっていくことになるが、毎日の基本を大切し ていくことが重要であると考える。
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