地域と連携した教養教育 -サービスラーニングの構築を

地域と連携した教養教育
-サービスラーニングの構築を目指して日本学術会議からの提言「21 世紀の教養と教養教育」では、21 世紀に期待される教養と
して、学問知・技法知・実践知と並んで市民的教養を強調している。 この市民的教養は、
公共性についての理解を深め、その実現に向けたさまざまな活動やプロジェクトに参加し、
連帯・協働していく素養とその心構えを指す。実際に、大学の教養教育において、地域の
課題に対して、地域の人々とその地域の大学の教職員・学生が取り組む地域コラボレーシ
ョンプロジェクトを積極的に取り入れる大学が増えている。地域の課題(ニーズ)と大学
の資源(シーズ)のマッチングにより、地域と大学が必要と考える取組を全学的に実施し。
大学は自らがもつ“知”を地域再生・活性化のために活用し、また地域は自らがもつ“教
育力”を大学に還元するような Win-Win な関係を構築するものとして、期待されている。
2011 年 3 月の東日本大震災を受けて、多くの大学において、復興支援のために、多くの
学生、教職員がボランティアとして現地を訪れ、現地の人びとからも多くのものを得たこ
とをきっかけとして、サービスラーニング(以降、S-L)という新しい学びが市民的教養の
観点で注目されている。S-L とは、1980 年からアメリカで始まった教育活動の一つであり、
「社会活動を通して市民性を育む学習」であり,学校の教室における学習と、地域で行われ
る有意義な奉仕活動を組み合わせた教授・学習・省察のための方法論を指す。教育の方法
論としては、体験教育(experiential education)の部類に入る。いくつかの大学の教養教
育において、S-L 科目の開講、ボランティア・コーディネーターの養成、地域・社会へのイン
ターンシップやボランティア活動を企画・展開している。
以上のように、現在、大学教養教育において、市民的教養の重要性に注目するようにな
ったが、各大学において、S-L を構築するには、どうすべきであるのか、いくつかの問いを
提起したい。
1. 大学教養教育における S-L を構築するうえでどのような活動が行われているか?
2. 既存の授業との関連性が明確であるように S-L を構築するうえで、何が課題か?
3. S-L における活動を立案、実行、評価、そして改善する機会を学生に提供できるか?
4. S-L において、地域の必要性を把握し、有効な貢献を果たすようになっているか?
ここでは、各大学での課題や取り組み、学生の経験について報告を聞くこととしたい。