直流機の整流火花について

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直流機の整流火花について
松田, 敏彦; 丹治, 辰男
室蘭工業大学研究報告.理工編 Vol.6 No.3, pp.1015-1031,
1969
1969-07-15
http://hdl.handle.net/10258/3480
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Journal Article
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Muroran Institute of Technology
直流機の整流火花について
松田敏彦・丹治辰男
O n Commutator Sparking in Electrical d-c
Toshihiko Matsuda and Tatsuo Tanji
Abstract
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c
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r
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ywhent
h
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ya
r巴 a
r
c
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巴m
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.
2 ampsundert
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s
.
1
. 緒 言
整流火花はブラシおよび整流子の摩耗や荒損の主原因となるため,整流の良否を火花発生
の程度を表わす火花号数 1) をもって示すことが一般に行なわれている。
この火花号数と火花の
実害との関係は明確なものではなかったが,近年火花号数の科学的裏付を行ない,火花の実害
を明らかにする研究成果が報告されている 2),
4
)
0
R.Holmによるとブラシの摩耗は火花によっ
て運ばれる電気量に比例する項と整流子の荒損による機械的摩耗の項との和として与えられへ
整流火花の大部分がアーク放電となる高火花号数状態時にはアークの燃焼作用による摩耗が非
常に大きくなることが知られている 4)。従って整流アーク放電の発生条件,
アーク放電エネル
ギーなどと整流の主要条件との関係を検討し,算定式を得ることが望まれる。
"
I
"
t
a
/
2で与えられる。従って
整流アーク放電によって消費されるエネルギーは ,Wα= V
アーク放電エネルギーの値はアーク電流初期値 α
I, およびアーク放電時間んの算定または測
定によって得られる。アーク放電時間については,
(
4
0
9
)
すでにK.Binder,R
.Holmなど 4)叶)の報
1
0
1
6
松田敏彦・丹治辰男
またアーク放電エネノレギーについても R.Holmなど 4),
6
) の式が報告されているが,
告があり,
それぞれの式はその論理,
表現形式および特徴を異にしている。
ついてはJ.E
.D
i
e
h
l およびR.Holm
7),
8
)
またアーク電流初期値んに
の報告があり, アーク放電発生条件についてはK.
B
i
n
d
e
r5),稲垣・伊東 8) の報告,林・内藤9),著者らの一人 10) の報告がある。 林・内藤, 著者らの
一人の方法は,
脈流電流による銅一黒鉛のすり接触 V
-I特性はほぼ直線となるとして,
ブラ
シl
陪と整流子片幅が等しい場合の整流方程式を解いて整流火花発生条件を検討したものであ
-I特性の非直線性の整流に及ぼす効果 12),
1
3
) は重要であるが,線形化され
る。ブラシすり接触 V
た整流方程式による解析は整流過程とその基本条件との関係を明確に示す点に特徴を有する。
本報告は線形化された整流方程式を基礎とし, アーク放電電流初期値を整流方程式の解か
ら得られるブラシ接触電圧降下値から算出する方法について述べ, アーク放電時聞をアーク放
電発生瞬時の整流コイル中に蓄えられたエネルギーの関係式から求めている。整流試験機によ
る実験から,整流火花号数とアーク放電時間および整流子表面荒損度との関係を求め,高火花
号数の整流となるに従い急速に実害度を増すことも確認した。 また整流アーク電流初期値およ
びアーク発生限界リアクタンス電圧値についての検討をも合せ行なっている。
I
I
. 整流中のコイルの短絡電流と整流火花
直流機の電機子におし、て,
ブラシによって短絡されるコイル(以下整流コイルという) の
電流を表わす政分方程式すなわち整 i
Jf[方程式は,図 1においてブラシと整流子聞の抵抗をオー
ム抵抗となし, かつブラシ幅は整流子セグメント幅と等しく,片間マイカの厚みを零と仮定す
ると次式となる。
立
L生
土
-v
?+Ec= 0
dt十 Ri十 M f五
d
t+
, M豆
d
t +v,
v2
' A U ' "'A]
HLr
(1)
I V]
また整流コイノレに電磁結合する主磁極回路および整流コイノレと並列にある電機子回路の電圧平
衡方程式は次式となる。
互t
1十 R
Lfd
立十R
f
i
M
f
f
f- E
f
1 d
t
'
J
"
Jf+.
L
] d
i
'
.
.
Jl
J
LJJ
(2)
L?3j+RJJM7古
(3)
1
む
1
.
I
.
_
1
.
J
.
.Y
I
二
.
J
.
.
V l +V2 二
O
=i
1十 i)RoTj(T-t)
1R1 = (
2
1
(4)
図
V2 ニ
i
1-i)RoT/t
2R2 = (
(5)
1 整流:ドのコイノレ
の作る回路
ここでブラシは整流子から離れることなく全面接触をすると仮定している。整流コイル短
1
),(
2
)および (
3
)式を連立させて解くと得られるが,
絡電流は (
2
),(
3
)式の効果を無視して求めると (
6
)式を得る九
び(
(
4
1
0
)
簡単のため整流コイル抵抗およ
1
0
1
7
直流機の整流火花について
x=t/T,yニ i
/
I
,c=Ec/2IRb' r=1/b=(2LI/T)/2IRbとおいて
ド ト
r
2ω(ζ主 ~:(三ゴ (l-bc) dx
(6)
ブラシ整流子片 1と の 聞 の 電 圧 降 下 町 の 値 が 3-4[
V
]を越えるとブラシに火花が生ずる
1
4
),この値は (
4
)および (
6
)式から
ことが知られているが8),
V
l=(
I
+
i
)
R
hT
1+
7
.
む =IT~
RbF37
引
2IRbとおいて基準化すると次式となる
である。また V
IR=Vl/
よ土ν
(8)
ZY1P=1.
川
2 1-x
基準化されたザアクタンス電圧 r=2の場合の基準化短絡電流値 νお よ び む 況 を 図 2および
3に示す。ブラシ全面の接触電圧降下 2IRbはブラシ材質,電流波形およびブラシ極性によ
図り異なる。整流中のブラ、ン下に流れる電流は主電流平均値上に尖頭電流を重畳したものと考え
られ,このノ之ルス重畳電流によるブラシ接触 V-I特性(過渡特性と呼ぶ)は,著者らの実験11)
によると電気黒鉛質ブラシ ,50H
z半波整流波重畳電流に対し,図 4の如くなりほぼ直線とな
る。過渡特性は電流,
ブラシ材質,すり接触条件などにより変わり ,Rbの一般的な値は定め
4の例では Rb立 0
.
1,0
.
0
7
5,0
.
0
6
5である。
られない。図 v1
R
V
1= 2IRb
(9)
4hし
duT
、j''
AuauvF
向
問
74け依酔
-hw
rtM
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ムM
刈
}同町
注剛時盟理制定川氏
﹄
am
r=2
HIll-﹂lLW
gh
6543210t1234567
図 2 整流曲線
図-3 基準化ブラシ接触、電圧値
r=2
このり 1 がブラシと整流子片の接触が開離する瞬間において 3-4[
V
]となると加熱火花を
生じ,続いてアーク放電に移行するものと考えられる。すなわち整流火花放電過程は図 5の
ような経過を取る。
すなわち時刻 t
oにおいてブラシ後端と整流子片 lとの接触が開き , t
1に
おいてアーク放電が始まる。
1t
α=t
ーらはらにおいて接触点に高温陰極点が形成されて
期間 L
1
から,陽イオン発生をうながして完全なアークを形成するまでの時間おくれである。 t
1で点弧
(
4
1
1
)
1
0
1
8
松田敏彦・丹治辰男
しんまでアークが継続する。んは後述のように一般に数 10仰 に 達 す る が ,L
1t
aはこれに比べ
9にアーク電圧波形の一例を示した。
てきわめて短かく 1阿 以 下 で あ る 。 実 験 1の 図 -
上記ア
ーク電圧波形はブラシ極性に関係なく, アークの極性により一意的に決定されるものであるが
アーク電圧はその放電期間中ほぼ一定値を示す。
l
l
i
t
o
同
「1 :
t
2
4ケ fq~
1
+
土
t
!¥dh│
a
もl
f
σ
ど
図
4 ブラシ接触過渡
V
I特 性
図-5 整流アーク放電過程
従って
九二
となる。
I
1
4
1
1
竺 I
= L_
ι
i
dt 1
-~ l
t
n'
すなわち, アーク欣電電流
[ベん7177J-c
1
1
(
[
(
1
0
)
はI
z
l
5に示すように初期値んより直線的に減少し最
小アーク電流値 I~ にて消滅する。
UI. アーク放電電流と放電継続時間
1
_ アーク放電電流初期値
ブラシと整流子との接触は整流子の偏心, ブラシの弾性振動などにより多少なりともブラ
シの跳躍をきたし,接触面円弧も整流子のそれとは異なっているものである。従って,放電電
流初期値を数式により算定することは非常に困難であると考えられるが,整流方程式により考
察してみる。
nで述べたように,
ブラシはそのすり接触電圧降下が
3-4[
V
]に達すると加熱火花を生
じ,続く開離においてアーグ発生条件が満足されていると,電圧は飛躍的に 12~24 [
V
] となっ
てアーク放電に移行する。 電圧 4-10[V]の範囲は不安定領域であって, この{r立を取る火花は
殆んどなし、 8)。従ってブラシ電圧降下町 >4[V]をアーク放電発生条件とする。すなわち
τ
)
1=
2IRbV]R = IRb(
1+
ν)/(1-x)>4
でアーク放電を生ずる。 (
6
)式を代入して
(
4
1
2
)
(
1
1
)
1
0
1
9
直流機の整流火花について
(
l
x
)b-l
r
x
(
x ¥
ヲ~\。十.r=-x-) (1-b
c
)dx二 百J
とし ,Xj における
νの値をめ=乙 /
1
1
(
1十 γc
)
(
1
3
)
これらの関係を図 6に示す。 または0
)式から
L である。
アーク放電時間 t
"を実測し,
ι=v,九/
α
KAph
ゼヘ側、如判明
Iα~~
多くの測定値
か ら ん を 求 め て 検 討 す る 必 要 が あ る 。 実 験 3において,
このんを求めているが, 電機子回路電流の1O ~30% の
自己:を得ている。
{(一一-一一
とすると, アーク放電電流初期値は次式て、与えられる。
hm
Xj
(
1
3
)式 の め と の 関 係 に つ い て は 実 験 を
4,hunkυAMU
ι 円υ ? ム4
nHvnmUAudH停 ?
ノヴ山 η
ハu n u n u A U 7 t
μ
-'hηJq
を満足する z を
(
1
2
)
図
ー
←6 ブ ラ シ 接 触 電 圧 と ア ー ク
進行中である。
電流初期値
j=21RoVl
R
, Ro=O.l[Q],1=10[A]
7
J
2
. アーク放電電流
国一 1で整流の終期 x
]=tj/Tでアーク放電が生じた時, ブ ラ シ と セ グ メ ン ト 1お よ び 2と
の聞の接触電圧が次式で与えられるとする。
む
j= ijRj= i
]
α
jR
(
1
5
)
V,, ~const.
(
1
6
)
日二 i 2 Rz 二 Vo~cons t.
(
1
),(
3
)式にこれらを代入し ,i=i
α,i
,, =1
十九とおいて
j
f
空lf 十 M ,.
L_
E
_,
,
-十 Ri
α十l
v
1
_
d
[
2
二十九十 E
c=0
f t
J d
'"'~,. d
t
L2
L
2
3
LR M70? 九 =0
(
1
7
)
十R
tif+J
(
1
8
)
山
(
1
9
)
十
-h
一
一
り
一
'
z
dd
A
ftJ
一
RA
,
ィ
川万
(
1
8
)式において ,Rtlf~Ef であり , Rfi
fは小さい倍であるので省略すると
d
iα
dt
(
2
0
)
または9
)式にお L、ても│寸慌に R
.
,
.
i
,を省略すると次式となる。
2 d
i
" ,1
¥
1
1 九
1
1
γ
/
1 竺 竺 二 ー M,
と十
dt
L.
, d
t 'L
(
2
1
)
γ
2
0
),(
2
1
)式を代入すると
(
1
7
)式に (
(
L_ M
?MF
)
dRi
t
Å~~J
)
'
7
!
f
-十
"十/
円 十 号 ) に 一 九 十E
c=
c0
Lf _ Á~ir
ム )dt ,~"'" ¥
)
ここで Le L(l-kj-k
,長]=11
存/LLt,k2c
'
;/LL.
, とおいて
=A1
z
二
(
4
1
3
)
(
2
2
)
ι
1
0
2
0
1
7
,,-E [l-e去(,-,,)]+ ル 号 ( ' ん)
- (
VOて
1士
l
1α
松田敏彦・丹治辰男
c
(
2
3
)
(
2
3
)式で (
R
/
L
e
)(
t
t1) は極めて小さい値であるので次の近似式を得る。
α
1
2
(
t
r
i
,
,
-[(l+Mr/L
)
;
:
a二 日 + 1 .
1" = 1
(
2
4
)
ー
アーク放電は心がアーク放電最小電流値となるまで継続する。
アーク放電最小電流値は
R
.Holmの測定値 15) によると,銅陰極の場合 0
.
4
3[
A
],黒鉛陰極の場合 0
.
0
1[
A
]である。 これ
らの値はアーク電流初期値に比べ非常に小さく無視できる考え ,i
1α O となる時間んをアーク
士
放電時間として求めると
t,
,
-
Leι
一
一
一
一
一
一
(
2
5
)
一
ー
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
(
1+
,- V
M
r
/
L
r
)Vα
o
十E
σ 十 R1
.
α
ー
2
4
)式に代入し, アーク発生時刻むを時間の原点とすると
を得る。 これを (
Lllf/
九
t一
、
、
、
,
JJI--11111
よ
ー、
α
、
7、
'
A
・
1
一
一
(
2
6
)
1
0
)式の L は実効イン夕、グタンス L
を得る。 (
eに当るものである。
I
V
.
アーク・エネルギーとアーク放電時間
アーク発生時における整流回路のエネルギーについて考察する。
(
1
7
),(
1
9
)式から
1
8
)および (
M%.
d
i
n
M:.. !
M
.
.¥
~. .+二三三
1ト
i
,十 E c = 0
一二乙十 1
)V
ーR
。
L
e竺 ι
z
r
z
11 7 )
α- V
l
L
fz y - L T
この式に
(
2
7
)
l1a を乗ずると
L
l
i
i
a
]
二
rん,
μ
?α
+
3
芸
子Z
3
労
1
比
仏仇
ι
l
Z1
r
α(Rα
R,
j
与
)
川
レ
(会
ι
ι
αr
μ
)
t
i
a -Eci
i
l
(
L
- れ,
同
,
九
山
川
九
乙,+九
ん
川
右
j
山
「
川
刊
叩
凶
川
凶
己
叫
1
1
)
l
<
.
t
川
,
,
(
一
→
1十
い
(
2
8
)
となる。 上式右辺第一項は主極回路と,第二項は電機子回路と整流コイルとの間にエネルギー
o
s
5である。
が授受されることを示すものである。第三項はアーク放電電力,第四項は ohmicl
echanicalpowerを示す。 次にこの式を
第五項は補極磁束との間の m
l
1α が
(
2
6
)式で与えられ
るとして, アーク放電時間について積分すると次式を得る。
ル1
'
$i
'
'
'
.
.
f
t
u
d
t十
2LeIj=7Liz
.0
f
,",
JO
2
M,
r
'
"iri"dt
γI
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1!
. , Mr ¥ T
TT
1
;
"
r)
1+"
V,
-2
",
a,
~ (
~ R n斗
J"t
+2
\~'
L
r (
t.L(t
γ
この式で右辺第一,
)
第二項の積分はんおよび
(
4
1
4
)
o-E
α
c
)l
(v
"
t
(
2
9
)
lr の 値 を 知 る 必 要 が あ り 非 常 に 複 雑 で あ
1
0
2
1
直流機の整流火花について
R.Holmによるとアークに消費されるエネルギーは整流回路に蓄えられた電磁エネルギー
一
一
る
。
(
1
/
2
)Lel~ の一部分であるとされ 6) ,多くの部分が主極回路および電機子回路へ移行するといわ
れている。右辺第一項,第二項はこれを示す。しかし
るとへ
Holmの論文に対する Cohoの討論によ
隣接する電機子短絡コイルの効果の方がより大きいと述べられている。
このことにつ
いては目下検討中である。アーク放電時聞は (
2
9
)式から得られる。 (
2
5
)式は右辺第一項,第二
項を省略した場合に当る。かつ整流コイル抵抗 R をも無視すると
V一
一
十
E
一
W川守九
一
ゅ
一
川
ι
(
3
0
)
を得る。ここで 1
,, =1
十i
c,er=Le1/Tである。アーク放電時間んはリアクタンス電圧 e
,およ
びブラシ幅 W"に比例し,整流子周速にが大きくなると短いことが知られる。んが知れると
1一
2
7'A
V
1一
2
眠
一
一
削
工
アーク・エネルギーは次式で得られる。
(
3
1
)
v
. 整流火花に関するこ,三の実験
直流機の整流回路を模擬する整流試験機には三とうりの回路がある。今,二極で補極を有
称な位置に取り付けられており,巻線もまた対称で
ある直流機の等価回路は図 7のようになる。
この等
220
/
し
V
Rj
せす¥ブラ、ン幅は整流子片幅に等しく,幾何学的に対
21
﹂
三とうりの回路が実現される。
(
a
) の回路は 2個のブ
L
し
(
0
) NEMA
式試験回路
(
b
) 宗宮式、試験回路
図 8
等価整流回路
(
4
1
5
)
吋
お よ び 図 8(
c
)のK.B
inderの報告に見られる回路の
37
1
9
5
1
) の回路 16) 18h 凶 8
(
b
)のいわゆる宗官式回路町
E
RRJU
価 回 路 か ら 図8(
a
)の NEMAブラシ試験規格 (
CBI
図 7 直流機の等価回路
。
し
L
o
(
C
)M
a
n
d
u
i
tの試雪量回路
二二
1
0
2
2
松田敏彦・丹治辰男
ラシ B,j B
zが幾何学的な対称性をもたないことのために, 2個のブラシの整流が同時に完了し
ないことに難点があるといわれている。
合を改良したもので,
(
b
)の回路は等価回路の対称性に注目し,
宗官民その他によって提案されたものである。
前記の不都
(
c
)の回路は原理的には
Manduitによって発表されたもので,凶 -7の二つの L",R"電機子回路には常に同一電流が流
れることから,
ブラシおよび整流コイルの一組を省略したものである。
すなわち L
α;
pLであ
ればよし、ことになる。
実験には 2種 の 試 験 機 を 用 い て い る 。 実 験 1および 2に用いた試験機 lは 整 流 子 の 直 径
1
2
0[mm],整流子片幅 6
.
5[mm],片間マイカ厚さ 0
.
8[mm],整流子片長さ 4
5[mm],整流子
2枚である。反動型ブラシ保持器をもち,ブラシすり接触面積 6
.
8X2
0[mm2,
] 3個のス
片数 5
リップリングを取りつけてある。模擬回路は図 8(
b
)を用いた。実験 3に用いた試験機 2は整
流子が直径 1
6
0[mm
,
]
整流子片幅 4[mm
,
] 整流子片長さ 6
0[mm
,
] 坐流子片数 1
1
5枚であ
2
.
5X2
.
0X3
2[mm3] である。
る。ブラシ保持器は垂直, 複式ノミネ型でブラシ寸法は 1
ブラシ幅
隔に等しくするためセグメント 3枚 ず つ 一 組 に 短 絡 し 一 組 お き に 短 絡 し ス リ ッ プ
を整流子片 l
リングに接続しである。
6
4・ 内 乙
﹀︺出脚援機
〉
〕
出 10
脚
ξ¥
I 0
ト
。
(a)火花号数: 2
掃引速度
(b)火花号数
1m
s
/
d
iv
1-2
掃引速度
1μs/div
2
0
2
0
〉
〉
出 1
0
出 1
0
増
田
細
々
¥
。
ト
h
│。
ト
(c)火花号数: 2
掃引速度: 2μs/div
(d) 火花号数: 3
掃引速度: 2μs/div
(f) 火花号数: 4
f
帯
ヲl
速度・ 2μs/div
2
0
〉
出
制 10
h
ト
o
(e) 火花号数: 5
図 9
ブラシ接触電圧降下およびアーク放電波形
(
4
1
6
)
掃引速度: 2μs/div
1
0
2
3
直流機の整流火花について
実験 1 アーク放電時間と火花号数
目測火花号数に対する火花放電波形のオシログラム例を図 9に示す。
火花放電波形
全整流周期の電 J
'
E降下波形は (
a
)閃のようで,
2~3 号火花が目測される。
ブラシ後端の電圧尖頭 i
置が約 3.2Vを越えると
このとき早い掃引とすると (
b
),(
c
)図のような短いアーク波形が得
られる。 (
d
)図および (
e
)図は 3号および 5号火花のアーク放電波形である。 (
f
)図はブラシ負極
性アーク放電波形で,正極性の放電電圧が約 12Vであるのに対 L,約 18Vの放電電圧を示しラ
アーク消滅時の電圧ピークのないのが特徴である。
図8
(
b
)の 模 擬 回 路 に つ い て の ア ー ク 放 電 時 間 算 定 式 は
火花号数とアーク放電時間
目
別
一
九
2V
一
UF
一
一
行
一
円
一
ι
#
2一
一
九
μ
(
2
4
)式から次式となる。
(
3
2
)
測定は試験機 1に よ っ て 行 な い , 模 擬 回 路 凶 8(
b
)の L,1および回転数を変え,各測定
につき十分に予備摺動を行なった後,
t を求め
オシロスコープ。により得られた火花波形より α
た。その結果を図 10~ 図 -13 に示す。
(
1
) 火花号数 sと ア ー ク 放 電 時 間 α
t との関係は,一つの測定に対してほ滑らかな曲線と
なる。 s=2~4 の範囲で , (s-l)oct~n , s=5~8 の範囲で (s-l) oc tα とみることができる。一方
(
1
0
)式
, (
3
1
)式から ,l
"
o
c
t
α,1
.
αo
cW)j2であるから
no
(
s
1
)2
cW α
(5-1
)
2α
s= 2~4 の範囲
Wα
5 = 5~8 の範囲
の関係が知られる。 nの値については,より定量的測定により求めなければならないが,測定
結果から l:
S
;
;n手 2,平均1.
46を得た。
すなわち極端に火花が大きくない範聞ではアーク・エネ
ルギーは火花号数の 3乗に,とくに火花の大きいときは火花号数の 2乗に比例することがわか
る。火花の実害もこれに比例するものと考えられる。
l
Mコイ川
表 -1
火花号数
s
I 7"
インダクタンス│
2L[
μH]
l
火花号数とアーク放電時間および仙の値
"7シ電流
1[A]
アーク放電[
時間実誤Ij値
I
2LI
.
V
,
,
-百
アーク放電│
│
│アーク放電
│開始短絡電流ブ、ラシ極性
具U Q U O O Q U Q U Q U
t
,
us
]
a, [
[ms]
Yc=iclI
6
0
0
.
3
5
0
.
1
7
1
2
.
0
3
7
0
.
3
1
0
.
1
2
5
.
8
4
1
0
.
2
9
0
.
1
4
t
ぇ
4
.
4
1
8
0
.
1
5
0
.
0
9
正
0
.
1
1
負
6
0
2
1
0
.
5
470
6
0
2
6
0
2
叫
正
!
I
iηd
円
5
6
5
1
2
.
0
6
0
0
.
5
7
6
0
2
9.
4
4
2
0.
4
7
0
.
0
9
1
1
3
4
0
1
2
.
0
4
5
0
.
2
3
0
.
1
95
正
2
4
0
1
2
.
0
2
5
0
.
2
4
0
.
1
96
負
(
4
1
7
)
1
0
2
1
絵日敏彦・丹治辰男
.
0
0
5
1
(HOA)
コ
レ
+
h
山
1
A
l
O
)
A
十 :_
r
t
.(
H
O
A
)
E
ミ
1
ト
.
.
.
.
:
牛
C
J
2
A
)
.
0
0
4
-{)-串
句
l
f
通
史
悔i
、
最.
0
.
0
3
1
E
/~I
/
1
/jv
I1
1I
仰
〆
!
V
J
W
ソ
;
,
,
宍
ト
,
K
r
1
1
.
/
J
/
0
.
0
2
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1
/l
4
1
;
/L
i
t
0
.
0
/Jt
/
b
塁
恥
d
0
、
メぜJi
7
0
.
0
.
2
1
J
旨
2
営
,
I
!
)
目
I
.
0
0
4一....:牛(
~
話
¥
1
1
/
告
を
z
1
++::阜 (
l
州)
+:((ff1
f
イ
2
A
A
O
)
A
))
,t
中工
、
¥
1
.
0
;
0
E
0
7
.
0
ノ
ノ
~r
O
L
O~
d
,ィ
に
V1
ノ
ぱ
:
ど
t
V
ノ
12 5
: 45673
72345673
文花与故
国
'"花易荻
1
0 火花号数とアーク放電時間
1
1 火花号数とアーク放電時間
図
整流子商:銅
色
回転数・ 3
60rpm
o
a
る
整流子商・銅
色
回転数
360rpm
I
/
'
lI
:平 (
HOA)
-0-
+
+
.
:
・ 工
4
牛
科
L
) →
畳
一
・
0
.
0
.
5
(
(
(
H
β
f
叩
A
A
)
)
A
)
/1
1
/
J
oo.~
4
nHHい
MW
I
堤口町
て
'
1
、
々
/v
IHI 1
j
J
?;
〆
号¥
I
,
.
0
ど
f
日
7234567
〆
〆
そ竺
〆
l
u
吉
決花号軟
図1
2 火花号数とアーク放電時間
図
整流子面.黒化
回転数
3
6
0rpm
J
f
'
/レ,I l
i
ノv
0
.
0
.
1
_
%
//
v
レζ ~ザ
一
5 O 7 s
火花ろ軟
1
3 火花号数とアーク放定時間
整流字国-黒化
回転数
9
0
0rpm
(
4
1
8
)
マ
:
'
1
噌
封
/
g
fLUFLU
刀
h
O 史世齢制旬、 ik
(
同h
/
万
I
I
~
/
)
.
ー
ー
0
.
" L
I
I
十:牛(間)
ミd似
X
A
、
/
主
十-0.阜 (
l
刊'
A
)
f:((l12
イ
A
P
A
J)
E
ミ
f
f
0
.
0
I
J
v)
1
/j
)
f
_
民
/
J
0
.
0
6
1
1
0
2
5
直流機の整流火花について
(
2
) 同じ火花号数について回転数の低い方が α
t が大きい。
むと火花号数が小さく観測され,
ブラシ摩耗が接触面中央へ進
t が大きくなる傾向がみら
また黒化した整流子面の場合 α
t
こ
。
れL
(
3
) アーク放電時間九の実測値と (
3
1
)式を用いて計算するとラアーク開始電流値の概算
を行なうことができる。すなわち α
t の実況J
I
値を α
t怖とすると
y
一
一
三
仁
1-
c
(
V
α -V
o
)
t
αm
2LI
である。アーク電圧を正ブラシで 1
3[
V
],負ブラシで 19[
V
] として計算した結果を表 -1に示
I は 1(4~12 A) の1O ~20% であることが知られる。
す
。 α
実験 2
. 火花号数と整流子表面アラサとの関係
火花号数と火花の実害との関係を整流子表面のアラサにより求めた。すなわち整流子表面
アラサ計により測定し火花号数との関係を求めた。表面アラサは最大高さ
Hmax にて表わ
す。測定はまず整流子表面にサンドベーパをかけ,引続き革砥をかけ,それから 50時間摺合
せをした後実験を始めた。
また一つの実験についてほぼ 40時間摺動を続け,
次の実験は前の
実験の面をそのまま用いた。実験中火花号数が大きくなるにつれてセグメントの出口側より次
第に黒化が進み,
8号火花の
時にはセグメントの幅の半分
に及ぶものが出た。実験の摺
2に示す。
動 条 件 を 表-
~I
火花号数 I
~ ~:~ m~~rßì
[
A
j
v
aI
I
I測 定 位 置
測定
位置 F,M ,B は 図 -14に示
す整流子片上の測定位置を表
わし, M は中心, F および B
J
ハリハリハリワムの
A伎
A住
A4aSAA
3
9
2
3
1
5
1
←
一
一
一
一i
ト
一
一
_
_
_
_
_
,
ト一一一→
トー一一一--1
い一一一→
d佐
3
3
2
2
5
a4ム
4AVQU
イバーバパー円ノ︼
(
4
1
9
)
パヨ
1
2
バU 1 A 斗A A 4 A d
2
.
8
ハリハリハリハリハリ内
表面アラサ測定位置
2
.
8
1
2
U
国 ~14
1
2
ハ九
(¥
28
OAU
回転方向
回転軟 9
0
0r
pm
2
1
2
A
A つμ
7ヲシ
5667788
5
1
2
︼
ん
つ
せ
IF,IIM,I
I
I
Bなどの 1
,I
I,I
I
I
つム
1
斗
1
2
τA
表 2お よ び 凶 -15中の
1
οA
什
す
。
1
2
よ
ー
qJ
.
5m mはなれた所を示
より 0
︼
ん
つ
は整流子片入口および出口端
トー一一一一→
ト一一一叶
ト
ー
一
一
一
一
→
ト
一
一
一
→
ト
一
一
一
一
一
→
ト
一
一
一
→
ト
一
一
一
一
→
ト
一
一
一
→
1026
松田敏彦・丹治辰男
之
μ
Eミわれれ円粗利
︹
三H
っζ
。
7772345678
1 J
[ J
I
火J
回数
(
σ)
}
!
i
U
定位 :
I:
1,F
図-15 (a)
凶 ←1
5
1
,
8
図-15
τ
ム
廿
ト
ト
。
T
i
7772345678
1 1
I1
I
I
火花号数
(
d
) i
則定位置 :l
I
)
F
5 6 7.8
臼f
.
X
*
1
(
c
)
図← 1
5 (d)
T
1一
一
ー
一
i
ーす
l
ペ
ノL
つ/﹄
bmmk明白紙
(きさミヱわ止唱対
c
e
)J[.M
又
l
u
xd
、
下
(
S
u
s
k
h
円一
「
一
一
C
d
)
,
I
1F
つ/﹄
(三遠足下﹃令小 Ah 恒明叫時
つノレ
HbE
ヱ本恥悟縦
7 7 7
1 J
[ 1
I
I
(
C
)j
則定イ立直
考μ
υ
ズ
{
き
。
(b)
γ
ト一一
i
T
十←ー
。
。7 7 7 2 3 4 5 6 7 8
1
J
[
1
l
I
(乙)
*
f
t
IM
1 2 ヨ4
E
号数
測定位置 :J
I
,
B
;則定住墨 : ,
凶 -15 (
己
)
凶-15 (
f)
(
4
2
0
)
8
1
0
2
7
直流機の整流火花について
(ミ
(三﹃ミミ
守ぺυ
弓U
hvhh
唱蝋
k h h叩
聞
紙
T
ム
(
h
)J
J
I
,f
v
1
ハ
JL
つ
/
﹂
Lロ
ベ
ミミネ
(
g
)
J
I
I
,
F
ム
7
γ
L
"
T
ム
γ
τ
ム
.
ム
T
。
。7 7 7 2 3 4 5 6 7 B
」一ー一白血』
工五五
1 J 72 345 6 7 8
1]
[J
J
I
文托号数
C
h
) j則定位置 :J
J
I
,
f
v
1
火花宅軟
C
g
) j別史位置 :J
I
I
)
F
図 -15 (
g)
図
1
5 (
h
)
z
u
へ
き
﹄
は測定を行なった整流子片が異なることを示し
SF
q
ミ
ている。
日明時
態すなわち火花号数 1から火花号数 3までは,
勺/-
山小
b k
測定結果を図 15(a)~(i) に示す。無火花状
表面アラサに差はなく Hm目 立=
:
1
.
5[
,1
1
]である。
3号 火 花 ま で 火 花 の 実 害 が な い こ と が 知 ら れ
る。事実微小火花状態は整流子表面の適度な皮
膜の成長をうながし,良好な摺動 ;t!~ 態を得ると
いう報告もある。
07772345678
1 l
J
. J
]
[
;
1
;1
回数
(
{
) 民
)u
定位置 :J
I
I
,B
火 花 号 数 が 4号以上になる
と,火花号数の増加 i
こ対し表面アラサは放物線
的に増加する。
関
アラサは B M ,F の順に大き
1
5 (i)
ラ
図
く
, 8号火花状態では, B点 で H四 日 立 2
.
7[
p
],
1
5 火花号数と整流子表出アラサーの関係
M 点で Hmax~2.3 μ
[,
] F 点で 1-Imax~2.0 [けとなっている。
図中アラサ値のばらつきの表示
r-----lは電流値小の場合,一→は電流値大の条件の場合であるが,電流大の場合の方がアラ
サ,ぱらつき共に大きい傾向が見られる。
実験 3
. アーク放電継続時間とアーク発生限界リアクタンス電圧
IVにおいて導いたアーク放電時間算定式 (
3
0
)は,基礎方程式を線形化していること,ブ
ラシ振動など機械的な条件,主極回路など隣接短絡回路の効果などが明らかでな L、点に問題が
ある。これを検討するにはアーク電流初期値を算定する必要がある。
試 験 機 2を用い,
図8(
c
)の等価整流回路を用いた。
従って短絡コイノレ電流は Iから
までの変化をする。実験方法は,スート系無含侵ブラシ (
1
2
.
5x20X3
2[mrn
3
]
)
-1
を
, 0番 エ メ リ
ー紙で研摩した整流子に出動させ,電流 1[A/cm ] で 40 時間すり合せを行なった。室i昆は 22~
2
(
4
2
1
)
1
0
2
8
{'i;田敏彦・丹治辰男
24[
C
C
]ラ
温度 70~80% 位であった。
ブラシと整流子片一 1との間の接触電圧降ドをシンクロス
コープにて観測,写真撮影しアーク放電時間んを求めた。各回路条件について 20~30 分の
予備運転を行ーない,小火花の条件から大火花条件へと実験を進めた。間半のため,ブラシ全面
V
] とし,
電 圧 降 下 町 =21Rb = 1[
1
9[
V
]として計算に用いた。
アーク電 J
二V
α は正ブラシの場合 1
3[V
,
] 負ブラシの場合
回路条件は平均リアグタンス電!王 e
.
3
5[
V
]を基準とし 8), 回l
r =~ 0
転数は 600,800,1,
000[rpm], 電 流 1=10,1
5ラ20[A]のそれぞれの組合せについてラ整流コ
イルのインダクタンスを L=2-20[μH] に 変 化
させた。
各条件につき火花号数を記録し,
f
:
勺
平均
1~2
5枚のアーク電圧波肢の写真撮影を行なった。ま
りタ肉眼によるアーク放電時間平均値の測定も行
早
M
の測定例である。無火花リアクタンス電日は1.8-
-∞く+く〉
o
<)8 8 ③@油開 co~
③ 問 問 ③
5~6
①
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凶 -16は平均リアクタンス電)ぞと火花号数と
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た試験機にはオシロ観測用同期装置が附されてお
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0
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5
1
0
平均ワ í'71J~ス電圧 er [V
J
図-16 りアクタンス電圧と火花号数
2
.
0[
V
]以下である。 2.0[V]以ドに 2, 3号火花の発生が以外に多いが実験期間中の条件がー様
でないことによるものであろう。 2,3号火花は加熱火花および接触開離時の電圧伝動の電圧ピ
ークがわずかつぶれるような放電が多く,一般に火花電
F
E波高値が 3.2-4[V]である。アーク放電は 4号火花か
ら生じているとすると,そのリアクタンス電圧は 2
.
8[
V
l
以 t と見られる。図中 ll~ は約 5 個の測定値の平均であ
り,測定度数は任意に取った。
次にアーク放電時間,
放電電流初期情,
アーク・エ
ネルギーとリアクタンス電}_i:の関係を図 1
7に示す。
アーク放電時間の実測平均値を基に求めたものである。
アーク放電時間および放電電流初期値はリアクタンス電
図
1
7
リアグタンス電圧と
整流火花諸量
圧と直線的関係にあるのに対 L,アーク放電エネルギー
は放物線的に増す傾向が見られる。リアクタンス電圧が
0.2-0.3[
V
]の値ではん ,l
a,W"ともに小さく,ぱらつきが多い。 これからもりアクタンス電
圧0
.
3[
V
]以とはアーク放電を生じ,火花の実害を増すことがうねられる。
表3に測定条件およひ諸量の値を示す。試験機 2,回路
(
c
)の場合
y
""
土
V,, -Vo
y
"= ーL
“
I ムα-1
である。
これからアーク電流初期値は 1
,, =
1(1十 y
c
)で得られる。
(
4
2
2
)
めの値からアーク電流初期
1
0
2
9
直流機の整流火花について
{正{は電機子回路電流 (5~ lO A) の1O ~30% の値で分布していることが解る。アーク・エネルギ
ーは 2 号火花から 7 号火花へ 2X1O -5~ 50X1
0
-5[
j
o
u
l
e
] と大きく変わり,
同様に 10~30
アーク電力(土 1
"と
[
W
]と変化する。 アークの極性による放電の差異は, 放電電圧が異なることか
らも推測されるが,実験から明確な結果は得られなかった。
1
どl
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7
1
J
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2
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.
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2
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.
5
I
-0.786
←
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;
:
l
;
l
:
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:
(
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;
;
;
久正負正正正正
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3
6
.
5
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2
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ハ
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0
.
5
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0
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剖0
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29.
4
門
20
Aり ハ リ ハ リ
800
82
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2
2
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0
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2
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.
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2
0
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800
氏d に
RUハり
3
6
.
5
1
0
V
I
. 結 言
直流機の繋流火花をその実害度の点から検討し,火花の正当なる評価を得るため,整流火
花エネノレギーの算定が必要である。そのためアーク放電時間の一算定式含提案し放電電流初
期値について実験を行なった。また整流火花の実害度の検討をも合せて行なった。
まず整流火花の強さを表わす火花号数に注目し,火花号数とアーク放電時間,および整流
子表面アラサとの 1
:
X
1
係を求める実験,火花発生限界条件の実験などを行ない次の結果を得た。
1
) 火花号数とアーク放電時間との間には i
骨らかな放物線的関係がありヲそれ i
J込
ら
5 二c2~4 の範同で
W"oc(s-l
)
3
5 ニ 5~8 の範閉で
Wαoc(s-1)2
の関係がある。火花の実害はこの Wα に比例すると考えられる。
2
) 火花号数と整流子表面アラサの関係は火花号数が増すと急激にアラサを増す。火花号
数とアーク・エネルギーの関係が整流子の荒損度としてあらわれている。
3
) 整流子表面アラサ測定の結果から, 2~3 号火花による火花の実害はみとめられない。
この程度の火花状態を完全無火花とする過度の努力をはらう必要はないと考えられる。しかし
(
4
2
3
)
1
0
3
0
松田敏彦・丹治辰男
4~5 号火花以とでは急激に実害度を増す。
4
) アーク放電時間の実測値とアーク放電時間算定式とから,アーク放電電流初期値がえ
られる。アーク放電電流初期値は,火花号数 2~3 で約 1 [A],火花号数 4~5 で約1.5~2
火花号数 6~7 で 2.5~3
[
A
,
]
[
A
]の値であった。
5
) アーク放電時間はリアクタンス電圧にほぼ比例して増加し,アーク電流初期値および
アーク電力はリアクタンス電圧 0 .2 ~O.3
[
V
]で急激に増加する。
アーク・エネルギーはリアク
タンス電圧に対し放物線的に増加する。
6
) Eiìl!l)I亡よる無火花限界平均リアクタンス電圧 ι は O.25~O.3 [
V
]であり,
花電圧は 3.2~4
この時の火
[
V
]である。また接触開離時に最初の電圧振動半波のピークで放電する場合も
ある。
7
) 整流回路のエネルギーについて考察を行ない,アーク放電時間算定式を導びいたが,
隣接短絡回路の効果等について実験による検討を進める必要がある。またブラシと整流子のす
り接触特性は整流特性を左右するものであって,機械的特性の改良フブラシおよび整流子の材
質,すり接触面の通電機構の研究などを同時に進める必要がある。
C
1に行なったものであるこ
終りに,木研究の一部は著者らの一人が北海道大学工学部在職 9
とを付記しラ当時懇切なる御指導を賜わった故林邦雄教授に謝意を表します。また日ごろ御指
導頂いている,北海道大学工学部内藤正木教授,本学電気工学科会織笠教授ならびに電気,電子
両工学科教官各位に感謝の立を表します。
(昭和 44年 4月 初 日 受 理 )
使用記号
C:
整流起電力基準化値
Ef: 主極回路電源起電力
E,
,
: 整流起電力
z: 整流コイル電流
Z
,
j Zr:
l1α:
主紙回路,電機子回路電流変化分
アーク放電電流 (
i
十九)
1α=1
ι: アーク放電電流初期 fl~l (ι=1十 i
c
)
1
: 電機子回路電流
L: 整流コイル自己イン夕、クタンス
ム:
Lj,Lγ:
整流コイル実効インダクタンス
主極回路,電機子回路の自己インタクタンス
M(,}
v
1
,
.
: 整流コイノレと主極回路,電機子回路間の相互インダクタンス
(
4
2
4
)
直流機の整流火花について
R,Rf,R~:
整流コイル,主極回路,電機子回路(負荷を含む)の抵抗
Rb : ブ ラ シ 全 接 触 抵 抗
r' 平 均 リ ア ク タ ン ス 電 圧 基 準 化 値
S: 整 流 火 花 号 数
ん: ア ー ク 放 電 時 間
t
: アーク放電時間実測値
a,る
ll
T: 整 流 周 期
川 町 : ブラシと整流子片
む lR.
1, 整 流 子 片 2聞 の 接 触 電 圧 降 下
ブ ラ シ と 整 流 子 片 1間 の 接 触 電 圧 降 下 基 準 化 値
Vα: ア ー ク 放 電 電 圧
に:整流子局速
日九: アーク放電エネノレギ-
c
1
Vc: ブ ラ シ 中 高
X: 整 流 周 期 で 基 準 化 し た 時 間
γ: 整 流 コ イ ル 基 準 化 電 流
ぷ 1:
アーク放電開始時の z
y
c
: アーク放電開始時の γ
文 献
1
) 電気学会電気規格調査会標準規絡, JEC-54,20(
昭2
9
)
2
) 稲垣純平: 炭素 (
3
1
),1
3(
1
9
6
2
)
3
) Holm,R: AIEET
r
a
n
s
.,Pt
.I
I
I(Pw
r
. ApparatusandS
y
s
t
.
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7,1
1
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9
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8
)
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6
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0
)
1
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2
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1
4
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5
)
1
6
)
1
7
)
1
8
)
稲垣純平: 電気学会雑誌, 8
4
1,1
3(
1
9
6
4
)
l
e
k
t
o
r
o
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c
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.(
E
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1,5
5
8(
1
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0
)
.
Binder,K: E
Hol凶
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pparatus and S
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s
t
.
)8
1,1
3
4
8(
1
9
6
2
)
.
稲垣・伊東 東芝レビュー, 1
6,1
1
3
1(
1
9
6
1
)
.
林・内藤. 電気学会雑誌, 7
9,7
1
4(
1
9
5
9
)
.
松田敏彦: 室工大研報, 4(
2
),1
4
3(
1
9
6
3
)
林・内藤・松田: 電気回学会連大講演論文集, 618(
1
9
6
1
)
.
乙武・玄地: 電気学会雑誌, 7
9,7
1
4(
1
9
5
9
)
.
宮地邦夫: 電気学会雑誌, 8
2,8
0
7(
1
9
6
2
)
Turner,M.J
.B
.,e
t
.a
l
: P
r
o
c
. IEE,1
1
3(
8
),1
3
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9
6
6
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V
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9
5
7
)
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Olney,F
. D: AIEET
r
a
n
s
.,6
9,1
2
0
7(
1
9
5
0
)
NEMブラシ試験規格
CBI-1951,AIEE,No.5
0
4(
1
9
5
3
)
炭素材料研究会. 炭素, No. 1
5,1
3
2(
1
9
5
4
)
ー
1
9
) 宗宮・上木・大久保: 炭素, No.3
3,28(
1
9
6
2
)
(
4
2
5
)
1
0
3
1